広島と日本ハムに学ぶドラフト戦略
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広島と日本ハムに学ぶドラフト戦略

2016-10-17 22:36
    今年は育成に定評のある広島と日本ハムが優勝したことで
    ドラフト・育成重視を求める声がチーム・マスコミ・ファンから多数上がっているが、
    この両チームの現状から見ると明らかにおかしな言論も多い。
    鈴木誠也と日本ハムスタメンが高卒で固まっている試合にだけ注目したり、
    両チームとも外国人4枠をフル活用している点を見なかったことにしたりと
    いうのは定番だが、それ以上に奇妙な内容も少なくないのが現状だ。
    その奇妙さは、このブロマガを読んでいる人にはいないと思うが、
    広島の同学年である丸佳浩、安部友裕、菊池涼介、田中広輔は全員高卒だと
    勘違いしてる人も多いのではないかと思えるレベルだ。
    ここ数年、特に阪神・中日を中心として大学生・社会人を嫌って高卒を求める声
    (大学生の獲得記事が出るとコメント欄が罵倒で埋め尽くされる程度に)
    が高まっていることも影響しているのだろうか。

    しかしそんな両チームの構成で特徴的な、
    かつまずそうした記事では取り上げられない部分をここでは紹介していこう。

    広島の上位指名

    育成重視と言われているカープだが、
    逆指名制度終了以降の指名は実にオーソドックスだ。


    上位は大学生投手が多く、ここ3年間は高校生の指名がない。
    高校生投手にいたっては2012年に入札した森雄大を除くと
    2009年の今村猛以降上位指名がなかった。競合も8年間で4回と少なく、うち最大競合は2回といわゆる「逃げる指名」も多い。
    トータルではバランスの良さが目立つが、
    高校生と野手の上位指名が重視されるドラフト評論の視点から見ると
    「(否定的な意味での)『ドラフトの鉄則』に沿った指名」が行われていることがわかる。
    それでも2012年2位の鈴木誠也が今年大ブレークしたことで
    ドラフトを知らない人は「こうした高校生を上位下位で獲り続けている」と
    思い込んでるのではなかろうか。

    たしかどこかのインタビュー記事に書いてあったが、
    やはりこうした指名は逆指名制度がなくなったことが大きいのだろう。
    さらにソフトバンク、巨人の金満球団が高校生に走ったため
    オーソドックスな路線をとれるようになったものと思われる(ソフトバンクは16人中高投6、高野4、高卒率62.5%
    巨人は高投4、高野4と昨年大学生2人を上位指名しての高卒率50.0%)。

    投手起用に見るカープの特徴

    「先発投手=高卒、リリーフ=大卒、社会人」という固定観念は
    ドラフト評論家だけではなく現場の首脳陣にもよく見られる光景である。
    ところが広島投手陣を見ると、
    今年高卒で先発登板したのは故障で離脱した戸田隆矢5試合と
    優勝決定後の塹江敦哉1試合の計6試合しかない。

    (画像はBaseball LABから)

    リリーフにはクローザーの中﨑翔太と61試合登板の今村猛がいるが、
    昨年までのエース前田健太が抜けたとはいえ通説とは全く違った編成が作られている。
    逆指名時代に大量の高校生投手を獲ってきたにもかかわらず
    広島はずっとこうした傾向が続いており、
    リリーフにはこれまでも横山竜士や林昌樹などがいた反面、
    2年以上先発ローテで活躍したのはFA移籍した大竹寛と前田以外では
    長谷川昌幸ぐらいしか見当たらない。
    またセリーグはこれで2年連続高卒投手が
    先発ローテに入らないチームが優勝したことになる
    (以前書いた通り昨年のヤクルトは先発リリーフとも高卒が1人もおらず、
    一昨年の巨人は若い宮國がリリーフに回ったことで先発組は移籍した大竹だけ)。
    「先発投手=高卒、リリーフ=大卒、社会人」の単純な図式は
    いいかげん頭の中から消したほうがいい時代に入っているとも言える。

    高校生投手が少ない日本ハム

    日本ハムの実際の野手戦略については以前書いたのでここでは触れない。
    ただ上位指名で高校生野手が多いのは事実だが
    外れ外れ外れ1位だった渡邉諒以外の4人がすべて2位なのは覚えておこう。

    一方日本ハム投手陣の特徴は広島と多少似ていて、主力に高卒が少ないことだ。
    ダルビッシュ有、大谷翔平とスーパーエースがいたので気づかない人も多いだろうが、
    今年のハム投手陣で主力と言える大谷以外の高卒は20試合に先発した吉川だけで、
    一昨年規定回に達した上沢が今季登板できなかったことを考慮してもかなり少ない。

    日本ハムの場合はそもそも高校生投手の指名が少ない。
    こちらでも書いた通り2008年以降8年間での高校生投手7人は全チームで2位タイの少なさ。
    1位で3人抽選を外したとはいえ指名率は全投手中21.9%で、
    2010年以降にまで絞ると大谷以外は上沢直之、石川直也、立田将太のみとなる。
    他のチームに先に指名されたということもあるのだろうが、
    ハムにとっては投打ともに高校生と大学・社会人のバランスなどというものには
    全くこだわっていない様子が見て取れる。

    ちなみに今年の日本ハムは30試合以上登板した投手が9人、
    他に20試合以上先発した投手が4人いたため
    これだけでも年間の主力投手数は13人に達する。
    今日のNumberでこんなコラムが載っているが、
    12行目の「野手17人、投手11人ほど1シーズンを戦っていく」は完全にでたらめだ。

    ハムは1位で誰に行くべきか

    さて今年の日本ハムは昨年来ずっと田中正義で行くと公言してきたが、
    ここにきて雲行きが怪しくなり
    田中、寺島成輝、今井達也の3人の中から1位指名を決めると報道されている。
    筆者自身先日の仮想ドラフトではあまりに読めずにあえて寺島へ行ったわけだが、
    はたして現実の日本ハムは誰に行くべきか?
    先に結論を出すと3人の中なら田中正義
    優先順位は田中>今井≧寺島となる。
    理由は今井、寺島はとれない確率のほうが高いからだ。

    日本ハムはくじ運が非常に良いというイメージが定着している。
    しかし2008年以降当たっているのは斎藤佑樹、菅野智之、有原航平とすべて大学生で、
    高校生の菊地雄星、松井裕樹、高橋純平は外したばかりか
    その後の抽選も柿田裕太、岩貞祐太、小笠原慎之介とすべて外してしまっている。
    それでも記憶のいい人なら
    「いやその前に陽仲寿(岱鋼)と中田翔を当てただろ」と言うかもしれない。
    その通りだ。
    来年はポジションに難があるものの人気面ではおそらく圧倒的であろう
    清宮幸太郎がいて、日本ハムが一塁専任を欲しがるかはともかく
    営業面と中田の流出に備えて獲りに行く可能性もあるが、
    これは別にいいと思う。

    問題は高校生投手。
    日本ハムはここ15年ほど金村暁、ダルビッシュ有、大谷と高卒1位のエースが続いているが、
    彼らは全員単独指名である。
    そして日本ハムが高校生投手の抽選を引き当てたのは1985年5位の水沢正浩が最後。
    1位指名に限定するとなんと
    東映時代だった1965年の森安敏明までさかのぼる。
    実に第1回を最後に50年間当てていない計算になるのだ。
    予備抽選からのウェーバー制の時代があったとはいえいくらなんでも長すぎる。
    仮想ドラフト内では日本ハムが1位8連敗中だったため
    「くじを外す」と書いて「内輪ネタうざい」などと批判も浴びたが、
    改めて調べてみると現実のハムはもっとひどい状態だったようだ。
    というわけでややオカルト的な理由になってしまったが、
    単独指名が狙える場合を除けば
    日本ハムの1位指名には高校生投手よりも高校生野手か大学生・社会人をお勧めしたい。

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