清宮幸太郎と即戦力投手と
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清宮幸太郎と即戦力投手と

2017-10-25 00:13
    ドラフトもいよいよ本番が迫ってきたということで、
    今年ブロマガでずっと書いてきた「ドラフトの大当たり年・大外れ年」でも
    触れた今年の補強ポイントについての補足のようなものを書いてみた。

    訂正部分

    まずは記述の間違いから(今は修正済み)。
    広島のところで、広島の上位野手率33%を25%にしていた。
    3+3+8+3+1+0をどう足して24と勘違いしたのだろう。というか2×9でいいだろうに。
    スペイン宗教裁判か。

    清宮幸太郎を指名できるチームは少ない

    今回のシリーズでは全チームのドラフト補強ポイントを見てみたが、
    ファーストである清宮幸太郎を指名できるチームは非常に少なく、
    わずか3チームしかなかった。全てパリーグである。
    しかも甲子園で中村奨成の評価が急上昇したため、
    8月以前に分析したチームではさらに状況が変化している。
    そしてこれは、清宮が打者として大成するかどうかとは別の問題で、
    むしろ清宮が大成することを前提として考えた結果だ。

    清宮の場合問題になるのは打撃や一部でやけに批判の多い走力よりも守備。
    一塁守備自体はそれほど悪いようには見えないし、送球の捕球も問題ないと思う。
    だが他のポジションへのコンバートを考えると、どうしても肩がネックになる。
    やってみないとわからないと言う人も少なくないが、
    長年の古傷によるものとなると、その点での成長は難しそうである。

    ファーストを起点にチーム編成を行うのはいばらの道どころではない。
    特に再建期のチームはファーストまたはDH清宮の育成に成功しても、
    彼の前に走者がいない、後ろの打者がおらず歩かされる、
    ソロHRを打っても味方投手陣が打ちこまれて敗れる、
    という構成になってしまっては宝の持ち腐れではないか。
    となると獲得できるのは他に野手の補強ポイントが多くなく、
    かつファーストかDHが固定されても問題の少ないチーム

    あるいは多少時間がかかっても彼の肩を治せるチームということになる。

    また、前にも書いたが、こういう指名をする際に必要なのは覚悟である。
    この「覚悟」とはよく若手を使わせる場合に言われる
    「今は成績が伸びなくても将来のために我慢して使い続ける」という意味ではなく、
    「別な若手の獲得で今いる若手有望株の芽をつぶしていく覚悟」だ。
    ショートなどと違い、ファースト候補の場合はそこから先のコンバートが困難だからだ。
    しかし、12球団でもトップクラスに若手・中堅の有望なキャッチャーが揃っている
    広島が中村奨成指名を明言したように、
    プロには補強ポイントを全く無視した入札をしなければならない場合がある。
    もちろん、各チームにはこうした覚悟はできているだろうが、
    普段盛んに「長い目で見て野手を獲得し育成しろ」と言っている人たちは、
    この若手を長い目で見ずとっかえひっかえするか、溜めこむかする戦略に対して
    果たしてその覚悟はできているのだろうか。
    もっとも、若手野手が飽和どころか次々こぼれ落ちるようなドラフト指名を
    させたがるファンやドラフト評論家は非常に多いが。

    今年即戦力投手はいるのか?

    今回の2017年分析では、それこそ判で押したように
    どのチームに対しても即戦力投手の指名を主張していたかと思う。
    そんな中で「でも今年は即戦力投手がいるの?」というしごくもっともな疑問を目にした。
    では、その質問に答えてみよう。
    はっきり言ってしまうと、「少ない」

    ただし、この答えに関しては2つの点を説明しておかなくてはいけない。
    まず、即戦力投手の数はそもそも毎年少ないということだ。
    今年は例年よりも少ないのだが、それでも毎年そこまで多くはない。

    しかしもっと重要なのは私の「即戦力投手」の定義が一般と違うということだ。
    「即戦力」というと、大抵の人はその意味を
    「1年目のシーズン当初から主力になる大卒・社会人」に限定しているようだ。
    そんな選手がそうそう多くいるわけもないので、
    即戦力や大卒・社会人が世間一般から嫌われる傾向が強いのは、
    この定義の即戦力への失望感が大きいことが理由の一つになっている。
    しかし私の言う「即戦力投手」は、まず高卒と大卒・社会人をさほど区別していない。
    そして1年目から戦力になる必要はなく、2・3年かけて出てくればいいと考えている。
    もちろん早いに越したことはないが。
    ただし、そこから複数年にわたって使えることも条件になる。
    1年目に使えても翌年から使えなくなるケースには、
    身体ができていない1年目から使いつぶすパターン以外に
    この即戦力の定義を満たしていない、まだ実力不足だったというパターンがかなり多い。
    考え方としては、投手の全盛期は野手ほど年齢に左右されないというものに近いだろうか。

    なぜこういう考え方になるかというと、
    長く成功する当たり投手にはこの定義の即戦力に該当する選手、
    つまり早い段階で一軍の主力に定着する選手が多い
    という歴史があるからだ。
    私が高卒投手の大量指名を特に推さないのは、
    単純にこの定義に見合う高卒投手の候補が少ないだけなのである。
    このポイントにはまって投手陣が崩壊したチームが何チームもいたのは、
    今回の企画の中で見てきたとおりである。
    もちろん大卒や社会人でもこの定義に見合わない素材ばかりではあまり意味がない。
    現状、ドラフトにおける投手指名の基本は、少数の即戦力投手の取りあいなのだ。
    一方でこの歴史を逆手にとり、無理な一軍抜擢はせずに二軍・三軍で長期の育成を行う、
    そのために選手枠を大幅に増やしつつ、下で育成できるように一軍も常時戦力を整えておく。
    こうした手法をとっているのが今のホークスである、とも言えるだろう。

    そしてこういう即戦力投手は、絶対数が少ないにもかかわらず
    意外と下位でも残っていることがよくある。
    これは、プロのスカウトや編成にしても評論家にしても、
    ある程度完成された力のある好投手よりも
    どこかが突出しているがドラフトの時点では力の劣っている選手を好むのが
    理由の一つかもしれない。
    こうした周囲の評価は仮想ドラフトをしているとよくわかるのだが、
    そこから実際に指名されて活躍した選手がその仮想ドラフトよりも指名順位が遅かった、
    といったことも意外に多いものなのだ。
    こんなえらそうなことを書いている私自身も、
    今年の候補で即戦力に該当する投手を何人も見落としている可能性は当然ある。
    私自身の投手の見方自体は、この即戦力の確率を引き上げる程度のものでしかない。

    もう一つ勘違いされやすいというか、勘違いしたがる人が多い点でもあるが、
    こうした投手は一軍に抜擢されて伸びるというものではなく、
    伸びて一軍で通用するようになってから抜擢され結果を残すものだ。
    実力が伴わないうちに抜擢されても、期待されるが結果を残せないまま
    耐用年数の限界を超えてしまうことがほとんどである。
    この状況は、NPBにおける投手の育成そのものに劇的な変化が起きないと
    そうそうは変わらないと思われる。

    ずいぶん説明が長くなってしまったが、
    私の言う「即戦力投手」はこういう意味合いを持つ。
    その点を多少なりとも把握してから「即戦力」について見ていただけるとありがたい。
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