ヤクルトは高校生の夢を見るか
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ヤクルトは高校生の夢を見るか

2015-08-22 00:00
    今回は以前配信でも述べた内容だが、それを文章に起こしてみた。

    近年のヤクルトのドラフトは「高校生を獲らない」とよく言われる。
    全体での高校生の数が少なく、
    あまり知られていない社会人選手の指名が多いこともあって
    このイメージが定着しており、たいていは「だから弱い」の一言で片づけられている。
    しかし1位指名に限ってはこの認識は大間違いなのである。
    2008年以降の指名選手を実際に見てみよう。



    最近はくじ運が悪いため指名選手がかなり多いのだが、
    指名選手14人中7人が高校生(赤字)となっている。
    しかも最初の1位入札に限定すれば7人中5人が高校生。
    高校生を獲らないどころか、「高校生に走りすぎ」とすら言っていい内容だ。

    ここまで見ても、まだ反論する人はいるだろう。
    よくありそうなパターンとしては2つ考えられる。

    ① 「14人中7人は大して多くないだろう」
    ではこれも他の球団がどうなっているか、見てみることとする。



    右の「最初」は最初の入札で指名された高校生の数をさす。

    これを見てわかるように、高校生の比率が5割以上になっているのは
    ヤクルト以外に中日、ソフトバンク、西武の3チームだけ
    (この中日というのもかなり意外だ)。
    そして2008年以降の7年間のうち半分以上高校生を1位入札したのは
    ヤクルト、ソフトバンク、西武、楽天の4チームで、
    ヤクルトの5人はソフトバンクと並んで最も多い数字である。
    この7年間のヤクルトは1位に限ればかなり高校生重視となっていることがわかるだろう。


    ② 「外れ指名がよくない。指名方針に一貫性がない」
    1位指名のくじ引きはあくまで運であり、この点は人為ではどうしようもない。
    一方で外した場合の外れ指名に何らかの主義や意図を持つ識者も多いものだ。
    主だった評論家の考え方としては
    「同じポジションの選手を獲りに行くべき。違うポジションを狙うのは一貫性がない」
    というものや
    「即戦力→将来性にシフトしたり、違うポジションでも投手→野手(できれば高校生)
    に行くのはいい。しかし野手→即戦力投手に行くのはビジョンがない」
    というものがある。
    ここでは便宜上、前者を安倍型、後者を小関型と呼んでおこう。

    まず安倍型に沿った場合、投手から野手に行ったのは2010年だけ、
    それも外れ1位をさらに外した結果なのであまり批判されることはないだろう。
    2011年の川上が内野手転向込みとはいえこれはどう評価されるかわからないが。
    小関型はどうか。高校生から即戦力投手に切り替えた2009、12、14年などは
    まさに酷評の対象といっていいだろう。
    外野→内野への転向も嫌われるため2011年も批判対象と思われる。

    さて、ならば代わりに誰を獲るべきだったのだろうか。
    あくまでこれらの理論に基づいた場合、実際に獲れたかもしれない選手を見てみよう。



    2010年の野手は実際の指名がここ数年の高卒野手最強の選手なので省いておいた。
    2013年以降はまだまだ下で育成中の選手が多いから何とも言えないが、
    こうして見ると別な選手を獲っていればという仮説が成り立たない年が多い
    2009年は活躍している高校生投手が皆無に近いので不本意な年も多い中澤とすら差がなく、
    堂林が入ったとしてもポジションが川端とかぶるためあまり意味がない。
    2011年の場合も現状一番活躍している野手は近藤だが、
    こちらもポジションが川端、中村とかぶっている。
    2012年の石山は物足りないものの安定してそこそこの貢献をしているのが貴重だ。

    ここまで見ればおわかりだろう。
    代わりに評論家からけなされない別な選手を獲ったとしても、
    実益の面では現状プラスの面がほぼないのである
    評論では5年後10年後の淡い願望の中にしかない夢の世界を想像しがちだが、
    残っている選手の中で現実を見出す指名も重要なのだ。

    以上、ヤクルトの1位指名について見てきた。
    配信時のコメントにもあったが、実のところこのチームは
    大学野球のメッカである神宮球場へのこだわりよりも
    むしろ1位高校生にこだわりすぎている感すらある。
    以前川崎憲次郎や石井一久といった大物高校生投手がチームを支えてきたことは事実だが、
    現在の慢性的な投手不足はほかならぬ大物高校生投手が
    いずれも短命にすぎたのが最大の要因と言っていい。
    これらの実態を踏まえつつ近年のドラフト候補たちが当時どのようなランクに
    位置づけられていたかを見て行かないことには、
    本当のドラフト評価にはつながらないのではないだろうか。
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