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  • マクガイヤーチャンネル 第124号 【映画『LOGAN/ローガン』その2 『タラレバ娘』の倫子は『ローガン』をどう評価するのか】

    2017-06-19 07:00  
    216pt
    さて、今回のブロマガですが、前回に引き続き映画『LOGAN/ローガン』についてです。
    前回の後半と同じくネタバレ前提で書いてますので、お気をつけ下さい。
    ●ローガンがローラを受け入れる理由
    で、そんな何一つ思い通りにならないおっさんと老人がX-23、ローラと出会うわけですが、彼女は「新しい希望」そのものなわけです。
    まず、老老介護の果てには、なんの「希望」もないという絶望があります。プロフェッサーXは死を待つだけの状況です。ローガンも、日々老いてゆきます。人生における撤退戦です。作中でローガンが「希望」のように語っている船の購入も、根本的な解決法ではありません。現実において、老老介護が鬱病や殺人や心中になる場合があるのは、ここに理由(の一つ)があります。ローガンも例外ではなく、だから、自傷したり、アダマンチウムの弾丸を持ち歩いていたりするのです。
    そこに現れる新しいミュータント、ローラは、「希望」以外の何者でもありません。ローガンよりも長く生きているプロフェッサーXはそのことをよく理解しています。ローラにスペイン語で話しかけるシーンは、プロフェッサーXが教育者でインテリであるという理由以外に、この場でプロフェッサーXだけがローラと心を開いているという表現でもあります。
    ですが、ローガンはそうではありません。ローガンは長い間一人きりで生きてきたおっさんなのです。現実に目を向けてみましょう。長い間独身だったアラサー、アラフォー、アラフィフが、誰かと一緒に生活し「家族」や「家庭」を持つことに適応できるでしょうか? そんなわけないということは、周りでずっと独身のおっさんやおばさんをみれば、明らかなわけです。ローガンにとって最強の敵は、実のところ超能力を持ったミュータントやヘイトを溜め込んだ権力者といったアメコミ世界のヴィランなどではなく、「家族」や「家庭」だったのです。
    なぜ「家族」や「家庭」が最強の敵なのでしょうか? それは、これまでローガンが「家族」や「家庭」や「愛するもの」を手に入れようと試みると、必ず悲劇が訪れたからです。本作には「赤毛の女」は出てきませんが、ローラはどことなくこれまでローガンが原作・映画版で愛してきた女たちに髪型と雰囲気が似ています。そして、本作で出てくるX-24は、「若い頃の自分」だけではなく、「家族や家庭に完全に背を向けた自分」の象徴でもあります。
    更に、ローラには凄まじいまでの反骨精神があります。これは、X-MENたちが心の奥底に秘めていた(マグニートーたちは全面に出していた)精神そのものです。彼女が生首をサッカーボールのように蹴って登場するシーンには、観客の誰もが拍手を送ることでしょう。
    当初はローラを遠ざけていたローガンですが、スマホでローラの過去をみたことをきっかけに、徐々に受け入れていきます。スマホに入っていたのは、兵器として生み出され、自分自身を受け入れることが出来ず、自分の爪で自分を傷つけるローラの映像でした。これはローガン自身がウェポンXとして改造され、逃げ出したものの、自分で自分に傷をつけるようになった現在まで――とばっちり重なっています。ローガンがローラを受け入れるのは、同じ遺伝子を持っているからという理由ではないのです。