A-1アサドの崩壊をどう考えるかHow to Think about the Fall of Assad、ダニエル・バイマンDaniel Byman(ジョージタウン大学教授)著、2024年12月7日、
独裁者の終焉は祝賀の対象となるだろうが、それは地域とそこにおける米国の利益に新たな危険をもたらすだろう。
世界で最も残忍な独裁者の一人である・アサドが倒れようとしている。
10年以上の内戦を生き抜いた後、歓喜に沸くシリア人たちはアサド大統領の銅像を倒し、過酷な刑務所から捕虜を解放している。一方、アブ・モハマド・アル・ジョラーニAbu Mohammad al-Jolani,と彼が率いるグループ、大シリア解放機構ハヤット・タハリール・アル・シャーム(HTS、Hayat Tahrir al-Sham)は米国によってテロリストに指定されており、中東の中心にある国家の全部または一部を乗っ取る可能性がある。
孫崎享のつぶやき
米国教授「アサドの崩壊をどう考えるか」、アサド政権倒したのはHTS大シリア解放機構。イスラム国の分派。アサド政権を支援してきた露、イラン、レバノンのヒズボラはいずれも困難に直面しシリア支援の余力なし。HTSはシリア内戦に注力。対米攻撃には参画していない。」トルコ資金提供
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コメント
コメントを書く急な展開であるため、多くのオルタナティブメディアは戸惑っている印象である。
しかし、潮流としては、大イスラエル建設とパレスチナ抹消=二国家解決崩壊に資する動きだろう。
アラブ諸国は、親パレスチナを言いながらも、結局はパレスチナ人を助けるより、抵抗枢軸=シーア派らを封じ込める意図に見える。
Moon of Alabamaは、シリア・アサド政権崩壊について次のように書いた。
-------引用ここから-------
過去数ヶ月間、シリア同盟国であるイランとロシアは反体制派とアサド政権の間の妥協点を探ってきた。結局、両国はバッシャール・アサドの頑固さを克服できなかった。両国は罠にかけられていると感じ、それに引っかかることを拒否した。
シリアは今や崩壊しそうだ。報復として多くの血なまぐさい行為が起こるだろう。大勢の人々が避難を求めるだろう。
「抵抗の枢軸」は主要な連結棒を失った。イランとレバノン間の物流は極めて困難になるだろう。
しかし、抵抗は続くだろう。
-------引用ここまで-------
https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-falls.html#more
元外交官で歴史家のイギリス人、クレイグ・マレーという人は「中東では、本当に劇的な変化が急速に起こっているようだ。その核心にあるのは悪魔の取引だ。トルコと湾岸諸国は、シリアとレバノンのシーア派少数派の絶滅と東アラブ世界へのサラフィー主義の押し付けと引き換えに、パレスチナ国家の絶滅と大イスラエルの創設を受け入れている。」と書いた。
https://www.craigmurray.org.uk/archives/2024/12/the-end-of-pluralism-in-the-middle-east/
Indian PunchlineのMK BHADRAKUMAR氏は次のように「シリアにおける勝者と敗者」を評価している。
-------引用ここから-------
イスラエルとトルコは、アルカイダグループとのつながりを確立した最大の勝者だ。両国ともシリアに勢力を拡大し、シリア領内でそれぞれの勢力圏を確立する態勢が整っている。トルコはシリアはシリア国民だけのものであるべきだと主張している。これは、外国軍(ロシア、アメリカ、イラン)の駐留中止を求める薄っぺらな呼びかけである。
同様に、バイデン政権は、ロシア軍の存在が今後抑制されないままになることはなく、シリア西部ラタキア県のモスクワの軍事基地の影響力が大幅に低下するという耐え難い状況が続くだろうという満足感を得ることができるだろう。
(中略)
問題の核心は、抵抗グループ(主にシーア派)が舵を失い幻滅するにつれ、イランの地域的影響力が大幅に減少することだ。これはイスラエルに有利に働くだけでなく、地域の力関係の変化も引き起こす。
-------引用ここまで-------
ここに来て、ますますイスラエルの思惑どおりに状況が推移している印象が強い。
HISの背後にCIAが控えていると私は疑ってます。これからも混乱は続くでしょう。
今のアラビア半島は20世紀初頭アラビアのロレンスがベドウイン族を率いて活発に破壊活動に従事していた当時と殆ど変わっていないという受け止めです。ただ違うのはイスラエルというシオニズム国家が出現していることです。シオニズムとムスリムは水と油です。ムスリムの聖地をシオニズムが冒涜している。これはムスリムにとって受け入れることが出来ない大問題です。
絶対的な解決方法はパレスチナ出身の米人哲学者のエドワード・サイード氏が言っているようにイスラエルもシリアもサウジも他の首長国も国家を解散し清算しアラブ合衆国を創設することだと私は思います。この哲学者はモンゴルがインド亜大陸を支配しムガール帝国を創設した時期において顕著に平和を取り戻し商工業が発展したことをアラビア半島は学ぶべきだと声高に説いてます。
そのためには米国、ロシア、中国が手を取り合ってそのスポンサーシップを請け負うことが不可欠だと私は考えてます。
米人のこの手の問題を説く文脈に「米国の利益」という用語が平気で出てきますが、低劣ですね。