小堀宗慶著「(シベリアに)咲いた一輪の花」(『もう一輪の花』
宗慶 平成23424日 89
大正12年(1923)1月14日遠州茶道宗家11世小堀宗明の長男として生まれる。 東京美術学校(現東京芸術大学)在学中、学徒出陣にて満州に従軍。 終戦後シベリアで4年間の抑留生活を送る。昭和24年9月に復員、
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 捕虜になって一年半も過ぎた頃、私は全く疲労困憊し、自分の身をどう処すればいいのか考えることもできず、自暴自棄に過ごす日々が続いていた。いつ終わるとも知れぬ極度の飢えと寒さと疲労が身をさいなみ、私の内から明日への希望を完全に消し去っていたのだ。
 それは抑留生活二年目の雪解けて終わりを告げる。およそ八カ月にも及ぶ長期間、寒き苦しめられるのだが、その長くつらい冬が終わる兆しを見せる頃である。 
 ある日、なぜその花に目がいったのか分からない。何気なく見やった