マックス・ベネット著『知性の未来』
人類。蓄積された青ディアの全ては最早一人の人間の脳に収めておくことが出来なくなり、複雑性の転換期に達した。
 世代間で伝達できる知識の量を広げる4つのことが起こった。
 第一に人間は脳を大きく深化させた。
 第二に人間は集団内に「専門」を持つようになり、様々なメンバーにアイデアを分散させた。
 第三に人口規模が拡大した。
 第四に最も重要なことだが、人間は「文字」を発明した。文字により人間はアイデアの集合的記憶を持てるようになり、事実上無限の知識全集を持つこととなった。
何故人間が独特なのか。それは我々が世代間でシミュレーションを同期させ、人間の文化を一種のメタな生命体に変える。その集合的意識は、何世代にもわたって何百万もの人間の脳を流れていくアイデアや思考の中に実体化される。この集合体の基盤が言語である。
人類が驚異的な発展をとげたのは、より優れた遺伝子を持ったからではなくて、より優れた、より洗練されたアイデアの蓄積が出来たからだった。
目を例にしてみよう。AさんがBさんより少しだけ目がよかったら狩猟や交尾に成功する確率は高くなる。故に目の良い遺伝子が集団に広がると言われる。
しかし言語は目のように直接的に個体を利することは無い。
言語は「他者」が一緒に使い、それが役に立っている限り個体を利する。(『知性の未来』より。