混乱の継続を予期せよ、Expect Continued Chaos,マーガレット・マクミラン
マクミラン氏は歴史家、オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジの元学長。
ここ10年ほど、多くの人々は、これまでと変わらない未来にうんざりしていた。
迅速に行動し、物事を破壊し、あるいは少なくとも揺さぶることは、大胆で、急進的で、斬新に思えた。しかし、現実はこう。私たち皆が慣れ親しんできた国際秩序は――振り返ってみると、自己満足に陥るほどに――悪化しており、おそらく致命的と言える。
次は何が起こるのか?トランプ大統領は、またしても国家元首の拿捕を命じるのか?またしてもロシア船籍のタンカーが?中国の習近平国家主席は、台湾を中国本土に再統合する時が来たと判断するのだろうか?
明日は太陽が昇るのだろうか?
私たちは、いわゆる「根本的な不確実性」の時代に生きている。以前の体制が崩壊しつつある過渡期にあり、次に何が起こるのかはまだ分からない。もしかしたら、事態はすぐに新たな常態へと収束するかもしれない。しかし、歴史が示すように、私たちはそれを期待すべきではなく、むしろ長期にわたる不安定な状況に備えるべきだろう。
世界平和に不可欠な予測可能性は、この世界には存在しない。実際、予測を立てること自体が無意味。予測不可能な選挙、貿易戦争、人工知能(とそれに伴う投資バブル)、人口の高齢化、地球温暖化など、破壊的な要因が多すぎる。修正主義的な勢力はルールを破り、規範を放棄して隣国を侵略したり脅かしたりする。一部の国際兵器協定は失効したり、単に無視されたりしる。核拡散防止協定や宇宙の軍事化防止協定など、早急に改訂が必要な協定も放置されている。
合意されたルールの枠組みの外側に存在することで、私たちは皆、意思決定者の気まぐれに、より一層無防備になる。意思決定者は、その場その場でルールを作り上げなければならない。そして、この点においても、楽観視できる理由はほとんどない。私たちは、現在の指導者とその顧問たち、いや、私たち自身でさえ、私たちが直面する多様な課題にうまく対処できると本当に思っているのか?インドのナレンドラ・モディ首相は、記念碑的な建造には熱心だが、公共サービスや繁栄の提供にはそれほど力を入れていない。あるいは、孤立したロシアの・プーチン大統領は、常に自分が正しいと確信する取り巻きに囲まれている。あるいは、多くの基準で依然として世界最強の国であるアメリカのトランプ大統領は、国内外で権力を行使することを好むが、ホワイトハウスに新しい舞踏室を建設することと、ベネズエラへの宣戦布告なしの戦争を仕掛けることの間で、関心が揺れ動いている。
この予測不可能な世界では、秩序の代わりに紛争地帯が生まれることが予想される。大国は排他的な勢力圏の確保を目指し、陸海上のどこで出会っても衝突を繰り返す。台湾と太平洋をめぐる中国とアメリカ合衆国、共通の国境をめぐるインドと中国、あるいはヨーロッパとロシアの東の国境など。
小国は、何らかの庇護の下に避難場所を見つけようと躍起になるかもしれないが、1914年以前に起こったように、より良い条件が見つかれば同盟国を変える。こうした絶え間ない再編には、独自のリスク。大国は、そして中小国も、歴史を通して、庇護国同士の争いに巻き込まれてきた。戦争は偶然に始まることもある。しかし、一度始まってしまうと、制御も終結も難しく、まるで山火事のように、行く手を阻むものすべてを焼き尽くしてしまう可能性がある。
孫崎享のつぶやき
セント・アントニーズ・カレッジ元学長:混乱の継続を予期せよ。国際秩序は悪化。「根本的な不確実性」の時代に生きている。意思決定者の気まぐれに、より一層無防備に。より良い条件でれば同盟国を変える。戦争は偶然に始まる事も。一度始ると制御も終結も難しい
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セント・アントニーズ・ヵレジ元学長が唱えるほどに現在が混沌にあり将来が明かくないとは私は思えないのです。
ロシアのプーチンと中国の習近平とインドのモデイが団結を強化し国連を前面に推しだしてトランプに対していけば秩序は回復するのではないでしょうか。
プーチンのウクライナ侵攻は事実上の均衡を既に得ており、プーチン自身、ウクライナ全土支配には関心がなさそうです。元々プーチンは西欧と仲良くしたいと思っているんです。
中国の習近平は台湾の統一を平和的手段でやると公言してるし。世界のリーダーを意識する中国共産党はその威信をかけてその公言は守るでしょう。中国共産党及び習近平の関心は「台湾は現状のままでいい。むしろ世界が国連憲章の精神で統一されることこそ喫緊の課題だ」ということにあるのです。
インドは特殊な国です。言語、人種だけでもその数は100を下らない。インドの政治がそのまま世界の政治になれば全てが解決する。インドの為政者にとって世界政府は分りやすい。
まずトランプに対して三国が団結して圧力を加えその牙を抜けば、その後の米国は大人しくなると私は観測してます。
マクミラン女史は、私より4年後輩であるが、同年代に生きてきたといえる。
学生時代ドラッガ氏ーの「不確実性の時代」という書物に接した記憶があり懐かしい。
マクミラン女史の不確実性の時代を生きるには「混乱の継続を予期せよ」と何かしら共通点を意識する。
ドラッガー氏の「不確実性の時代」では
本質の探究として、従来のプランニングは何が現実的に起きそうかと考えた。不確実性の時代におけるプランニングは未来を変えるものとしてすでに何が起きているのかを考える。不確実性とプランニングという概念が対立的であり同生が難しいが、現実を肯定するところから解決の道が通じる。
混沌とした時代に、高市氏は今後の成長分野の未来ビジョンを具体的に明確に掲げており、若い人たちは理解しやすいが、高齢者は過去とか未来にこだわり現状分析が欠けて批判に傾くので、支持が2極に分離している。私などの世代はドラッガー氏の思想に接しており分かりやすいと思うが、柔軟性のかける批判旺盛な高齢者に理解しがたいかもしれない
>「根本的な不確実性」
確かにトランプ政権に焦点を絞って考えると、そのように見えるだろう。
だが、この種の西側識者の論評には、“暗黙の了解”と言おうか、”勝手な思い込み“と言おうか、大前提を置いているように見える。それは、西洋的自由民主主義或いは西洋文明の優越に関する信仰のようなものに思われる。
それは、しかし実際にはたかだか数百年続いただけだし、世界人類共通の普遍的価値だったのかは、論議してもよいはずだ。西洋文明も自由民主主義も、単なる歴史の過程に過ぎなかっただけかもしれない。少なくとも、“西洋による覇権”を批判的に見る視座はあるべきだ。西洋は侵略植民地支配という犯罪的行為を繰り返したことも間違いない。また、アメリカ帝国は自由民主主義の名の下に、他国を侵略し、蹂躙してきたのは、現代人の多くが記憶している。イギリスは諜報や謀略を駆使して、アメリカ帝国の一極覇権を支え、甘い汁を吸い、他国を踏みつけてきた共犯者で無かったか?
そもそも、西洋による覇権は、それほど正当だったのか、否か?それを今検討するべきではないか?「西洋の敗北」(エマニュエル・トッド)が論じられる昨今、英米の知識人は謙虚であるべきだろう。
確かに、西洋が築いた覇権を、今トランプが破壊或いは放棄しているように見えたとしても、時代の流れは多極化の時代に転換しつつあり、トランプ政権は単に、そうした時代の潮流に適合する動きをしているだけかもしれない。
中露といった地域大国は、明確に自国の国益を軸に国際政治の舞台に立っている。英米ら西洋人が独善的ものさしで、世界を語る時代は終わるのだと考えている。
>>3
そうですね。
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