幸福の秘訣とは?研究者たちが提唱する理論。(ニューヨーク・タイムズ)『愛されていると感じる方法』
幸福の秘訣とは?研究者たちが提唱する理論。『愛されていると感じる方法』は、私たちの社会的スキルと幸福感の関連性を論じている。
 ソニア・リュボミルスキー氏(カリフォルニア大学リバーサイド校の著名な心理学教授)は、数十年にわたり幸福科学の第一人者として研究を続けてきた。
「幸福の秘訣?なんて馬鹿げた、単純化しすぎた質問でしょう。」
 さらに問い詰められると、彼女は「つながりと人間関係。感謝の気持ちを含むポジティブ思考。そして、自分の人生をコントロールしているという感覚」といったことを言う傾向があると語った。
 しかし、もし本当に一つだけ選ぶとしたら、幸福の秘訣は「愛されていると感じること」だと彼女は言う。
著者らによれば、もっと愛されていると実感したいと願う人々は、必ずしも効果的とは言えない二つのアプローチのどちらかをとる傾向。一つは自分自身を変えようとすること(「もっと素敵で、優しくて、魅力的な人間だったら……」など)、もう一つは相手を変えようとすること。
 しかし、もっと愛されていると実感したいなら、誰かを変えようとすることにエネルギーを注ぐべきではないと、説く。そうではなく、相手との「会話」を変える。
 愛をより多く受け取るには、聞き上手になること。
他者から愛されていると実感するためには、まず相手に「愛されている」と感じてもらうことから始める必要があると著者らは述べている。そして、聞き上手になることは、そのための最も強力な方法の一つ。
 多くの人は自分を「聞き上手」だと思っているが、実際には、単に自分が話す番を待っているだけのことが多いとリュボミアスキー博士は指摘(彼女自身、この点には苦労していると認めている)。そこで彼女が推奨するのは、「学ぶために聞くlistening to learn)」という姿勢を持つことです。つまり、意識を「反応すること」から「理解すること」へと切り替える。
「誰かが自分に強い関心を寄せ、自分の話を早く聞きたくてたまらない様子を見せている……そんな時の感覚は、誰もが知っているものでしょう」とリュボミルスキー博士は語る。「相手の目は輝き、身を乗り出すようにして話を聞いているのです」
そのような、心からの真剣な傾聴は稀であり、同時に非常に大きな力を持つものだと彼女は指摘。
 「自分が深く見つめられ、大切にされ、理解されていると感じると、相手もまた、あなたに対して同じように接しようという意欲や熱意を抱くようになるのです」と著者らは記している。
 しかし、より良い聞き手になるには練習が必要。リュボミルスキー博士が挙げる簡単な実践法として、まずは「話を遮らないこと」、そして「相手から求められない限りアドバイスをしないこと」が挙げられる。
 さらに、話を深めるための質問(フォローアップ・クエスチョン)をすることも大切。ライス博士は、まず「もっと詳しく教えて(Tell me more)」という言葉をよく使いますが、これはめったに失敗しない有効なフレーズだと言う。
 一度に一つの関係に集中しましょう。
人生におけるすべての人への接し方を一度に変えようとするのではなく、リュボミルスキー博士は、もっと愛情を感じたい相手を一人選び、そこから始めることを勧めている。それは、パートナーや親など、すでに親しい間柄にある人かもしれませんし、あるいは、もっと親しくなりたい同僚かもしれない。
愛されているという感覚は、必ずしも恋愛関係だけで得られるものではなく、また、ごく親しい限られた人間関係の中だけに限られるものでもないと、著者らは説いている。
 ターゲットとなる相手を決めたら、自分自身に課題を課す計画を立ててみよう。リュボミアスキー博士は次のように提案。「今後1週間で、その相手と3回会話。その際、相手に対して心からの関心を示すよう努める」
 著者らは、愛を与えることと受け取ることは、シーソーのように連動して機能すると考えている。つまり、自分が関心や気遣いという「重み」をかけて相手を持ち上げれば、相手もまた同じように自分を持ち返してくれる。
 「もう一方の側面も非常に重要です」とライス博士は語ります。「自分にとって大切なことや、気に掛けていることを共有すること。そうすることで、本当の意味での双方向のやり取りが生まれるのです」
 必ずしも「お返し」があるとは限らないんが、互いに応え合うこと(互恵性)は強力な社会規範である、と博士は付け加える。私たちは、思いやりや親切心を示してくれた相手に対しては、同じように思いやりや親切心をもって応えようとする傾向がある。
引き際を見極めることも大切。
もちろん、相手の話に耳を傾け、心を開こうと最善を尽くしても、相手からは何の反応も返ってこないこともある。もしそのような状況なら――あるいは、相手に対して純粋な関心を抱くのが難しいと感じるなら――それは、その関係に多大な労力やエネルギーを注ぐべきではないというサインかもしれない。
 「もっと愛されたいと願うあまり、間違った相手を選んでしまうこともあります」とリュボミアスキー博士は述べている。
 次のような問いかけをしてみてください。「この人は、ある程度私のことを『理解してくれている』だろうか、あるいは少なくとも理解しようと関心を示してくれているだろうか?」「私が悩みや自分の欠点について話したとき、相手は関心を持ち、熱心に耳を傾けてくれただろうか?」
 リュボミアスキー博士が何よりも願っているのは、賢明な相手を選び、会話への向き合い方を工夫すれば、より多くの愛、そして幸福を感じられるようになるというメッセージによって、人々に力が湧いてくることである。
 「愛されていると感じること」――それについて著者らは、「それは自分ではどうにもできないことではない」と説いている。