WSJ[サウジアラビアエネルギー省は10日、リヤドとメディナ地域で起きた攻撃を受け、日量700万バレル規模の東西パイプラインを安全のため停止したと発表]
サウジ高官によるとパイプラインへの攻撃は10日にイラクを起点に行われた
衛星画像には10日にメディナの南にある東西石油パイプライン付近から煙が立ち上る様子が写っている
 【ドバイ】サウジアラビアは、東部の油田地帯から紅海の港へ原油を輸送する東西パイプラインを停止した。複数回の攻撃を受けたためとしている。イランがホルムズ海峡を封鎖した後も、サウジはこのパイプラインを使って原油輸出を続けてきた。
 東西パイプラインは、ペルシャ湾沿岸にあるサウジの産油地帯から紅海沿岸のヤンブー港まで、最大で日量700万バレルの原油を輸送できる。サウジはそこから世界各地の顧客に原油を輸送することができ、世界の原油供給の逼迫を緩和し、原油価格の上昇を抑制する役割を果たしていた。
 サウジ高官によると、攻撃は10日にイラクを起点に行われた。イラクでは、イランが支援する民兵組織がサウジのインフラを繰り返し標的にしている。サウジのエネルギー省は、攻撃によって負傷者が出たため、パイプラインを停止したとしたが、攻撃の実行者については明らかにしなかった。
 山火事を追跡する米航空宇宙局(NASA)の人工衛星は、11日にかけての夜間にサウジのメディナの南にある東西パイプライン沿いで火災の可能性を検知した。過去1カ月間、この地点で高温が検知されたことはなかった。
 パイプラインへの攻撃は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、サウジの原油輸出にとってもう一つの重要な要衝であるバベルマンデブ海峡の支配を固める中で起きた。サウジとイエメンの当局者によると、フーシ派はペリム島を掌握し、海峡に面するイエメンの町ドゥバブにも到達した。
 石油市場はここ数日上昇しており、11日にはブレント原油が1バレル=104ドルを上回った。トレーダーらは、パイプラインや港湾、タンカーへの攻撃によって、湾岸地域から世界市場に供給される原油の量がさらに減少するかどうかを注視している。
 調査会社キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ハマド・フセイン氏は、フーシ派の勢力拡大や東西パイプラインへの重大な損害があれば、原油価格は1バレル=120ドルに向けて上昇する可能性があるとの見方を示した。ただ、影響の大きさは被害の程度に左右されるとみている。同氏は「対立が長引く限り、エネルギー供給と価格を巡るリスクは続くだろう」と述べた。