麻雀最強戦ファイナルまであと僅か。各対局者はどんな気持ちで今を過ごしているのか。麻雀最強戦レポーターの梶本琢程が選手への直接インタビューを試みた!


梶本「ではよろしくお願いします」

瀬戸熊「お願いします」

梶本「まずはここ最近の調子はどうですかか?」

瀬戸熊「そうですね。まず十段戦で負けてしまいました。ただ、負け方はそんなに悪くなかったんで、自分の中では納得の麻雀だったのですが。とはいえ結果がついてこなかったのは不安材料ですね。そういうこともあって、いま最強位はどうしても獲りたいタイトルですね」

梶本「今年は鳳凰位も防衛失敗で、そして十段位も失ってしまいましからね。ただ、鳳凰位のほうは…」

瀬戸熊「そうですね。今、Aリーグ戦が1位なので、上手くいけばリベンジのチャンスがあります」

梶本「その前に1つ(最強位を)獲っておきたいですね」

瀬戸熊「はい。とくに最強戦は4年連続なんで、確率的にもそろそろ決勝に乗らないと、と思っています」

梶本「4年連続といえば、C卓で同卓する鈴木たろうプロも同じですね」

瀬戸熊「そうですね。たろうさんともたまに話をするのですが、たろうさんも雀王のシード枠ができてからずっと雀王を獲っているし、最強位にもなったことがあるので『相性いいんだよな』って仰ってましたね。やはり対戦者の中では一番マークする打ち手です」

梶本「過去、何度か対戦されたこともありますか?」

瀬戸熊「モンドとか、あと他のタイトル戦の予選などでちょくちょく当たってますね」

梶本「(鈴木たろうに対しては)どういう打ち手だという印象がありますか?」

瀬戸熊「うーん、そうですね。やはり、どんな場面になっても最後まで諦めないで、色々な打ち方をするというイメージがあります。僕なんかがラス目に入ると大物手を狙う正統派の打ち方になりますが、たろうさんはその位置に入る手前にちょっと変わった手を打ってきますね。あとはノーテン罰符をしつこく狙ったり、最後まで粘り強いです」

梶本「相手として打ちにくい印象とかありますか?」

瀬戸熊「うーん、ただ、今回の相手ではプロはたろうさんだけなんで。僕とたろうさんのペースになればいいかなと思っていますけど」

梶本「同じC卓には超攻撃型の時岡さんもいます」

瀬戸熊「全国アマチュア最強戦の対局もチラっと見ましたが、ニコ生で『時岡さんと瀬戸熊の叩きあいが楽しみだ』というコメントがあったので、相当攻撃的な人なんだな、と思いました。どっちにしろ頭取りの対局なので、全員そういう麻雀になっちゃうでしょうけど」

梶本「あとは2年連続出場を決めた岩井さん」

瀬戸熊「岩井さんの対局は2回解説をさせていただいたんですが、凄い打ち方をされますよね。アガリ逃しを2、3回した後、意志を込めて四暗刻を狙ってツモっちゃった、みたいな。意外と飄々とした印象があるんすけど、けっこう繊細なところがあると思います」


梶本「では、そのC卓を勝ち上がったら、決勝ではどんなメンバーと打ってみたいですか?」

瀬戸熊「まずは萩原さん。B卓だと櫻井くんにリベンジするか、もしくは小林くんとも久々に打ってみたいという思いもありますし、あと今ノリに乗っている村上さんとも打ちたい気持ちがあります。まぁプロ4人の決勝卓になれば、やりやすいかなと思います。アマチュアとか著名人の方で決勝まで勝ちあがられた方は相当運気が高いでしょうから」

梶本「沢崎さんも同じようなことを仰っておられました」

瀬戸熊「そうですか。特に一発勝負ですからね。技術も大事だけど、勢いとか精神面の状態が大事じゃないかなと思うんで」

梶本「萩原さんと打ったことはありますか?」

瀬戸熊「プライベートではけっこうご一緒させていただいて打ってます。萩原さんはプロっぽい考え方をされますよね。必ず逆転手を作ろうとするし、そのためにラス前からちゃんと準備する、みたいな感じ。何か、プロ以上にプロ意識の高いところもあります」

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梶本「萩原さんはご自身で日本一麻雀の映像を見ているって仰っておられました」

瀬戸熊「そうでしょうね。梶本さんもよくご存知でしょうけど、15年ぐらい前から『プロとはこうあるべきだ』ってことをずっと言っていた人なんで」

梶本「最強戦の舞台でそういう戦いが見たいです」

瀬戸熊「まぁA卓には藤崎さんもいるんで、決勝では鳳凰戦のリベンジっていうのもありですね。そういった意味では誰が勝ちあがっても面白くなるかなと思います」

梶本「今年は例年以上にメンバーが揃った感じがありますね」

瀬戸熊「どの卓も厳しいですよね」

梶本「それだけに優勝したときの価値も高まりますね」




梶本「対局まであと1ヶ月を切ったわけですが、ご自身ではどのような調整をされてますか?」

瀬戸熊「まぁ体調は万全で臨みたいなと思います。体調万全ならあとはやることは1つなんで。その段階で風邪をひいたとか寝不足だったとかそういうことがないようにしたいです」

梶本「この時期は王位戦もあるしタイトルが連続で行なわれて大変ですよね。特に瀬戸熊プロは対局が続くとどんどん痩せてくるし…」

瀬戸熊「ぼくも梶本さんに追いつけ追い越せじゃないですけど。うちの家内がTVとかで痩せた梶本さんを見ると、『痩せたね~、梶本さんは』って言うんですよ。僕のほうを見て『見習え』ってね」

梶本「いやいや、瀬戸熊プロの体型なら全然問題ないじゃないですか」

瀬戸熊「『同い年でしょ、偉いね』なんて言うんで」

梶本「ま、僕の場合は元が元なんで…」

瀬戸熊「だから寿人とかと一緒に映ったときも痩せろ痩せろって言われますね。藤崎さんも痩せてるし。頼みの綱は村上さんしかいなくなりました」

梶本「体力的なこともそうですが、ストレスで胃がキリキリして食べられなくなるようなことはありませんか?」

瀬戸熊「いや食べるんですよ。でも頭を使って打つと1日に2~3キロ減りますね。食べても食べても痩せてしまう。こりゃいいや、とか思うんですけど」

梶本「結果も勝って、スリムになったら最高ですね」

瀬戸熊「はい。そうなりたいですけどね」

梶本「瀬戸熊プロならではのジンクスとか験担ぎとかありますか?」

瀬戸熊「うーん、何でしょうか。僕の場合はやることをちゃんと片付けておくことでしょうか。対局前に締め切りがある原稿はちゃんと書いておく、とかですね。そういうことはしっかり片付けてから対局に臨みたいです」

梶本「そういう部分とか、あと麻雀で『悪い手牌でもオリ前提の打ち方をせず、少しでもテンパイに近づける』というところが桜井章一さんの考え方に近いような気がするのですが。瀬戸熊さん自身、影響を受けたようなことはありますか?」

瀬戸熊「いや、特に誰の影響を受けたわけではないです。ただ、勝負事なんで。勝負師として生きるためにはそういうところをキッチリすることが大事だと思っています。関連なさそうにみえるけど、日々の生活が一番大事かな、と」

梶本「なるほど、よく分かりました。本番まであと少しなんで頑張ってください」

瀬戸熊「はい、まずはC卓を勝つことだけを考えて全力投球したいと思います」

最強戦ファイナルまであと17日!

ちなみに実際のインタビュー音声はこちら!