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麻雀最強戦2016 歴代最強位代表決定戦 レポート
沢崎、得意の「引き出し」で決勝進出!
歴代最強位代表決定戦は、同時に最強戦の歴史を思い起させる場でもある。対局開始前、配信の解説を務める張敏賢(第19期最強位)が各選手に熱心にインタビューをしていた。
張「放送を見る人には、各最強位がどのような時代に、誰を相手に、どんな勝ち方をしたのか知らない人も少なくない。ですから、解説の中でそこにも触れていきたいと思いまして」
初代最強位の片山まさゆきから現最強位の前田直哉まで実に25年以上の隔たりがある。片山や小島武夫(第2期最強位)が優勝したのはバブル時代の真っただ中。片山が雀鬼会会長の桜井章一さんの代走として出場し、そのまま優勝したこととや、小島が優勝した後、会場地下のバーで関係者全員に奢って賞金を一晩で使い果たした話を知らない人も多いだろう。
第12期最強位の森山茂和は、準決勝で故・安藤満や前原雄大を相手に勝ち上がり、決勝では沢崎誠(2013最強位)や、多井隆晴を倒して優勝している。また、オーラスを四暗刻ツモで逆転優勝し、表彰式ではプレゼンターから「見事な役満だった。感動した!」と小泉純一郎・元総理の名セリフをもじった挨拶をされた鈴木たろう(第15期最強位)。そして、福田聡(第20期最強位)が勝った時は、初めてニコニコ生放送で対局が配信された記念すべき年でもある。
そんな新旧レジェンド達が集う今回の代表決定戦。A卓は鈴木・水沼利晃(2012最強位)・小島・沢崎の組み合わせで始まった。
多くの人が本命視していたのが鈴木たろうだったが、南1局の親で、沢崎のタンピンイーペーコードラ3のハネ満に放銃し、圏外に去る。

残り3人が僅差の競り合いの中、南3局でトイトイをアガった水沼が一歩リード。

残る1つの椅子をラス親・沢崎と小島が争う構図となった。
オーラス。3700点のビハインドを追う小島は、タンヤオ含みドラ1の手で
待ちのリーチ。

なら文句なしに逆転。ツモか沢崎直撃、他家からでも裏ドラ1枚でOKだ。直後、沢崎は小島のロン牌を掴む。
沢崎「
は嫌な予感がした。ぱっと見たら、
は山に1枚か2枚。これならオリて流局を狙う価値がある」
危険牌を掴んだこと、そして小島がリーチ棒を出したことで、ノーテン罰符でも変わらない点差になったことで沢崎はオリる決意を固める。ところが、である。断ラスで国士狙いの鈴木が小島の無筋を飛ばしてくる。

ラス親の沢崎がオリたので、次局がない。国士の可能性がある限り、アガリに向かわなければ敗退が確定してしまうのだ。そんな中、沢崎は4枚目の
をツモ。これで鈴木の国士が消えた。
沢崎「ただ、僕が分かっただけではダメなんです。たろうさんに、国士の可能性がなくなったことが伝わらなければ、彼の押しは止まらないので」
沢崎は前巡にも
を捨てていた。だが、鈴木の手は直前に手変わりしている。今度の
は国士に捕まってしまうかもしれない。「今回の戦いで一番苦しいのがこの場面でした」と語った沢崎は、意を決して
をツモ切る。これで鈴木の攻撃も止み、流局。沢崎は、水沼とともに決勝進出を果たした。

沢崎という打ち手を紹介する際、必ずと言ってよいほど出てくるのが「引き出しの多い打ち手なので‥」という言葉である。さきほどの
捨てもその1つだと沢崎は言う。
沢崎「引き出しというのは、『相手が何を欲しているか』を考えれば、必然的に出てくるものです。あの
も普通は切らない。けど、今回は切らない方が不利になるから捨てたんです」
冴える勝負勘が生んだ倍満予選B卓は、福田・藤田晋(2014最強位)・片山・森山の並びで開始。
ここは東場で片山がサンドバッグ状態になる。
東3局で福田にタンピンドラ2、東4局では森山とのリーチ合戦で親満を放銃。


その後、藤田がタンヤオドラ3をツモアガり、A卓同様、三つ巴の争いとなる。

ここで先に抜け出したのが森山。藤田の親で満貫をツモり安全圏に。

オーラスはスピードを駆使した福田の仕掛けが決まり、森山・福田が決勝進出を果たした。

決勝メンバーが出そろった時、沢崎はこう思ったという。
沢崎「このメンツは自分向きだと思いました。皆、良く知ってますし。森山会長はもちろん、水沼さんも一度対決してますし。福田君は以前、半年ほど同じ雀荘で仕事をしたので。この3人なら普通の手組で戦える、と」
対局が大きく動いたのが東2局だ。親の森山が
待ちでリーチをかけていた。

これを受けた沢崎の手牌はチートイツドラ2のイーシャンテン。
森山の捨て牌はマンズとピンズの下が出ているだけで、沢崎の余り牌は全て無スジ。
ドラ2とはいえ、テンパイまで最低2スジを通す必要があり、かつ追いついても単騎待ちだ。アガれば高いが、ここは様子見で回る打ち手が多いのではないだろうか。
だが、沢崎は
を押していく。
沢崎「このときは
の方が嫌でした。
はリーチに中スジですが、森山さんだけに当たるかも。で、森山さんは
を捨てていて、
はなさそうだったので
から捨てました。次にテンパったら
で待つつもりでした。
は山に1枚は残っていそうでしたし」
沢崎は9割方、待ちは読まず、感覚的に嫌だなと思った牌だけを止めるという。特に、この日の沢崎は感覚が鋭く、「予選でツモり四暗刻をテンパったけど『アガリ牌は良くて山に1枚だな』と思いました。対局後に(解説の)前田くんに聞いたら空テンだったと。でも、今日は感覚が合ってると実感しました」と語っている。次巡、
を重ねた沢崎は打
で追っかけリーチ。
前巡に捨てた
も
待ちの良い後押しになっている。さらに途中、森山が
を暗槓。そして、そのロン牌をイーペーコーの
待ちでヤミテンしている福田が掴んだ。

本来の福田なら、捨て牌に
があろうが
を暗槓されていようが、危険牌はキッチリ止める打ち手である。だが、半荘1回のトップ取りでファイナルの切符を掴めるという誘惑には勝てなかった。
で沢崎への放銃。裏ドラが4枚乗って倍満となる。
この後、一旦は森山にトップを奪われるものの、ラス前に再逆転を果たした沢崎がそのままゴール。2年ぶりに最強戦ファイナルの舞台に返り咲いた。
沢崎「今回は予選・決勝を通じて僕だけツモアガリがありませんでした。次のファイナルのC卓では、最初に700・1300以上の手をアガれれば、そのまま優勝できると思いますよ」と独特の沢崎節でファイナルへの意気込みを語ってくれた。
すげえ一打・福田聡プロ
1人大きく沈んだ点数で南場を迎えた福田。
ドラ2の手牌で早いテンパイが入ったが、ここでどう打ったか?
福田、打
でヤミテン昔に比べ、カンチャン待ちでもリーチをかける打ち手が増えた。だが、この手は単純カンチャンよりリャンメン変化の幅が広く、


の4種でピンフになる形。ヤミに構えた福田は先にアガリ牌の
を引くが、ここで打
のフリテンリーチを敢行。
すぐに
をツモって裏ドラ1枚でハネ満に仕上げたのである。
「
でアガらないのは当然。あとは待ち選びの問題」と福田はサラっと語った。実はこの2メンツカンチャン(ただし19牌を含まない形)は、アガリ牌を引いたとき、2つの3メン待ちを選べるところがミソ。



ツモ
で

待ちか

待ちかを選択可能



ツモ
で

待ちか

待ちかを選択可能ドラのあるチャンス手のときほど、慎重に待つ姿勢が肝心なのだ。 -
九州に逃亡します。
実行委員長のカネポンです。
明日から九州最強位決定戦、中国最強位決定戦、シニア最強位決定戦(@大阪)とあるので、それに引っ掛けて東京というか家庭から逃げることにしました。
別に僕が行かなくても大会は成り立つのに行くことにした、そのきっかけは3ヶ月前の夫婦喧嘩です。
妻が娘のバレエの発表会を急遽申し込んだ、一緒に見に行こうと言ったことだ。出るのに4万円もかかるらしく、もう仮り申し込みしたと。
「それが9月18日なんだけどあいてるよね」
はあ?普段俺の給料安い安いと言っといてそんなどうでもいいもんに4万も?
抗議の意味で手帳をめくる。たしかその辺は地方最強位決定戦があったはず!
「おれその日東京おらんで。広島」
「え、なんで?」
「ほら、この日中国最強位の日じゃもん」
居直って手帳を見せる。
「えーーそうなん…」
一瞬凹んだ妻だがどうやら母を呼ぶらしい。
その4万はお母さんが出すからあんたが口は出せないというこことで喧嘩も終了。だが、とにもかくにもこれがきっかけで僕は西に行く決断ができました。
妻よありがとう。
1年ぶりに団野さん(九州最強位)高橋さん(中国最強位)に会えるのが楽しみだ。
選手の方は超絶真剣なのでその雰囲気を出すのは失礼ですが、解説者という仕事をしつつホンネは家庭からの逃避です。
とにもかくにも明日からです。
九州で一番麻雀が強い人は誰だ、
中国地方で一番麻雀が強い人は誰だ、
60歳以上で一番麻雀が強い人は誰だ
3連休、無料ですのでぜひ視聴ください。 -
麻雀最強戦2016 男子プロ代表決定戦・因縁の対決 レポート
重圧と戦う選手たち対局を終え、選手やスタッフの打ち上げの席で、阿部孝則は非常に饒舌だった。男子プロ代表決定戦・因縁の対決を制し、ファイナルへの切符を掴んだことを喜んでいるのは間違いない。が、それ以上に対局前に受けていた重圧から解放されたことも大きかったはずだ。
今回の代表決定戦は日本プロ麻雀連盟vsRMUという対立構図でマッチメイクされた。プロ連盟所属のトップ選手の一部が団体を脱退し、新たにRMUという団体を設立したのが今から10年前。以降、この2団体間は断絶状態となり、選手同士の対局も実現しなかった。だが、一昨年、阿部が全日本プロ代表決定戦のベスト16に勝ち進んだことからその潮目が変わる。阿部は準決勝で敗れたものの、久々に見る元・鳳凰位3連覇の麻雀にニコ生のコメントは大いに沸いた。
そして翌年、ついに男子プロ代表決定戦にRMUの選手がノミネートされ、阿部は代表・多井隆晴とともに出場。その決勝では、久々に瀬戸熊直樹と多井隆晴というライバル同士の対決が実現したのである。
このような経緯をふまえ、今年は両団体4人ずつ出場という形になったのだ。もちろんこの流れを作ったのは、阿部の活躍に一因があったのは間違いない。ただ、今回の対決には阿部自身も重圧を受けていたようである。阿部「最強戦というステージの大きさに緊張したこともあります。さらに、あくまで個人戦とはいえ、古巣との対決という構図でしたので、普段と多少違う意識にはなっていましたね」
予選A卓は、河野高志・阿部・瀬戸熊・藤崎智という組み合わせとなった。
10年ぶりとはいえ、お互いの麻雀は十分知っている間柄。お互いが致命的な放銃を避けつつ、拮抗した状態でオーラスまで進む。オーラスは3着目の阿部が速攻を決め、瀬戸熊と共に決勝に進んだ。


一方、B卓は多井・谷井茂文・前原雄大・古川孝次という組み合わせ。
こちらもA卓同様、接戦のままゲームが進んでいく。終盤まで手牌に恵まれず我慢の麻雀を余儀なくされていた谷井がラス前の親でトップ目に抜け出してそのままゴール。

もう1人はオーラスのアガリ競争を制した前原が決勝進出を決めた。

阿部、冷静な判断で逆転勝利決勝は前原・瀬戸熊・谷井・阿部の並びで始まった。
東1局に4000オールを決めた前原が先行。これを阿部・瀬戸熊が追うという展開でゲームが進む。
大きく動いたのは東4局。親の阿部がドラの
トイツのピンフリーチに対し、南家の前原が追っかけ。



このロン牌を阿部が一発で掴む。
暗刻の
が丸ごと裏ドラとなりハネ満。これで一気に前原のリードが広がった。前原は続く親でさらに畳みかけていく。

前原はペン
待ちで得意のガラクタリーチをかける。途中瀬戸熊に押し返されるが、瀬戸熊のリーチ宣言牌の
を捕えて連荘に成功する。
が、このリーチのみのアガリを見た阿部は、前原に隙ありと思ったという。
阿部「リードの大きな状況でもそのガラクタ戦略に頼るのか、と。この時点で3万点以上の差はありますが、前原さんがこの打ち方なら逆転の可能性は十分あると思いました」
ちなみに阿部が前原の立場なら、先ほどの手はペン
もペン
でもテンパイを崩し、手なりでタンピン三色になったところで勝負のリーチに出るそうである。
ただ、阿部にもなかなかチャンス手がこず、ラス親を迎えた。この時点では親の倍満ツモでも前原に届かない。阿部「僕にとっては前原さんと瀬戸熊の点差が大きかったので、逆に良い展開だと思いました」つまり谷井・瀬戸熊の条件がかなり厳しいので、事実上前原との一騎打ち状態。この展開が阿部にとっては大きな追い風となった。
南4局。阿部は5巡目にドラ2枚のチートイツでテンパイ。

前原がすでに1枚捨てている
単騎でリーチをかけた。すぐに前原が
を掴んだが、ここは踏みとどまって放銃を回避。

だが、終盤に阿部がラスト1枚の
を引いて6000オール。これで親満で逆転するところまで詰め寄った。

その1本場。14巡目に阿部は条件を満たすテンパイを入れる。
ここで、阿部は前原直撃かツモに賭けてヤミを選択。ところが、前原が終盤に
待ちでテンパイ。ヤミだと
で出アガリできないので、ここでケリをつけるべくリーチに踏み切る。

すると、これに対し四暗刻イーシャンテンの谷井が、前原の無筋の
を押す。

これをみて、阿部もカン
待ちのまま追っかけリーチ。谷井の手も煮詰まっているようなので、谷井から出アガっても逆転できるように追っかけたのである。

すると、前原が一発で
を掴んで、阿部がロン。オーラスの2局で逆転勝利を飾った。

一昨年からの活躍を機に、ついにファイナルまで駒を進めた阿部は、意気込みをこう語った。
阿部「ファイナルでも阿部らしい麻雀で、見る人の心に残るような一局一打を打って勝ちたいと思います」
の功罪
予選B卓の多井には
絡みの2局に功罪があった。
功は東1局の手牌。親でタンヤオのテンパイを入れた多井。
普通はピンズの単騎待ちの仮テンを入れ、タンピンの変化を待つ人が多いだろう。だが、「さすがにこの材料で、安手にしたくない。
受けも良くみえたので、『どうすればカン
でタンヤオ三色のテンパイになるか』」を考えた多井は
を切る。



ツモで345の三色テンパイに復活。特にツモ
の場合は文句なしに即リーチだ。他家が序盤にソーズの上を捨てており、
の重なりが期待できることもこの決断を後押しした。また、
ツモで雀頭ができたら、イーペーコー含みの

待ちフリテンリーチを敢行するつもりだったという。結果は
ツモで構想通りの三色テンパイ果たした多井はヤミテンに構え、谷井から出た
で7700をゲットした。
だが、このリードが多井の決断に悪い影響を与えてしまう。罪は東2局の手牌。
ここで多井はドラ切りでヤミに構える。この時点でアガリ牌の
は場に2枚切れ。役が無いので出アガリはできない。なぜ多井はリーチをかけなかったのだろう?
多井「僕のドラ切りで、まわりがドラを合わせて場が安くなったり、僕を警戒するようであればリーチにいく選択もあった」
つまり、追っかけられて致命傷になる可能性が低い、あるいは相手が引き気味で追っかけられないと踏んだらリーチをかけよう、という構想だったのだ。ところが同巡に
が立て続けに切られ、場に4枚切れ。これではリーチもかけられない。
多井「ただ、この局の反省点は、リーチをかけなかったことではなく、その後に楽をしてオリてしまったことです」
この後、前原・古川のリーチに抗しきれず、テンパイを崩しノーテン罰符を支払った多井。
多井の敗因は、2着まで勝ち上がれるシステムに過敏になりすぎたことだろう。仮に頭取りの決勝戦なら即リーチをかけるか、ヤミテンでも「楽をしないで」粘り強くテンパイ料をもぎ取っていたに違いない。
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