• 【SS】トオリナデシコ【第4話】 次回予告

    2019-11-14 04:24

    【SS】トオリナデシコ【第4話】
    『デッドエンドの恋』前編-6『私を待ってる人がいる』
     がようやく1年以上をかけて11/1に完成しました。

     お、遅すぎる……



     そして一応年内更新予定の次回、トオリナデシコ第4話「前編-6」ワタシを待ってる人がいる、がトオリナデシコ第4話の「前編最後」のお話となります

     4話という大きなお話の中で、何かが始まり動き出し、そしてひとつの終わりを迎えるお話です
     気合を入れて書かないと

     年内に書いてすっきり終わらせたいですね




     そんな第4話その6「ワタシを待ってる人がいる」の予告
    (主に自分のモチベ用である)

     鬼灯と???の戦いが始まる! ってのが4話-5の冒頭からでしょうか。それがようやく始まります
     トオリナデシコ内での大きな戦いと言えば演劇部での包帯男との戦いでした
    そもそも自分の今までのSS「カル×はつ」などでも戦い!といえばほぼ複数人が同時に同じ戦闘内にいるというのがいつもでした。なんでか知らないけど
     「海人 VS 南々見」もタイマンって感じではなかったです。仲間いました。海人南々見の初戦?はあれは奇襲みたいなものなのでノーカン


     つまりなにが言いたいかというと、次回の鬼灯VS???は自分の初のタイマン戦です!
     1対1です!
     え? 近くに的井とか水谷がいた? まぁ……いろいろあるんですが。ネタバレなのでこれ以上言えない
     そんな初のタイマン?が行われる4-6ワタシ
     いつも?みたいに冒頭だけ書いてあげたり、意味深に台詞とかだけネタバレしたりとか、最初はそういう予告にしようかと思ってたんだけど、書き始めるとやめました
     これは1本まるまる書いて、ガっ!と上げると。ちょいとも見せません
     今更冒頭だけとかじゃなく、これは最初から最後まで書けてそれをしっかりと上げる。という風がいいかと思ったからです

     安心してください。「まーーーーーーーーーーーた完成までに1年かける気か」って?
     違います話を分けただけで、次回更新は丸々いつもの1話分あるものではないです。短いというか、ここ最近の追加更新分ぐらいというか
     そんな長いの書いてたらマジでほんとまた1年かける気かってなるので。あと4-6長くなったので容量の問題で分けたというか


     ここでグダグダ書いても仕方ないので
     というわけで次回のトオリナデシコ更新は4-6ワタシver、となります!
     もちろん戦闘だけでなく、いろいろあった、ここや、撫子、そしてさくらのお話もあります
     「始まりと終わりの」4-6「ワタシを待ってる人がいる」年内更新を予定しています
     4話前編終わらせて未練なく2019年を終わるぞーーーー! おーーー!


     そして
     トオリナデシコと並行して進んでいる(つもりの)
     マトイサクラですが
     そのちゃんとした正式な1話の予告
     ずいぶん前に1話冒頭だけ上げて放置しているような状態ですが、別にやる気尽きてたわけではなく4-6ワタシを読み終わってからマトイサクラの1話を読めば面白いかなと思って温存しておいたわけです

     4-6ワタシを読む「!? えええ!? 続きまだかーーー!!」
     次にマトイサクラ1話を読む「!? あれ!? どゆことーーー!!」

     というプランなのです(主にモチベが)

     てことで年内はほぼ難しいかもしれませんが
     マトイサクラ1話も4-7上げる前に上げるかもしれません。ということだけ



     では
     長くなったのでこのへんで
     これからもトオリナデシコをよろしくお願いいたします






     最後にそのマトイサクラ1話の仮予告を置いてこの記事はおしまいです。



    シオン「……! って、思い出した! あなたこの前私の人生初の壁ドンを奪った人じゃない! 忘れもしないその顔!」
    少年「今忘れてただろうが!」
    シオン「またこんな……壁ドンしないと女の子と話せないのかあなたは!」
    女子「その癖やめたほうがいいよ……」
    女子「ねえー」
    少年「そんな癖ねえから!」

    少女の声「タノシソーな話してんじゃん……!」
    見知らぬ少女が現れた
    少年「……」
    同い年ぐらいだろうか
    少女は俺たちに話しかける

    キョウコ「いいよ、私に喧嘩を売ってくれるヤツは、……大好きだ!」
    キョウコは構える

    飛んできたナイフを包帯の巻かれた左腕、その立てた指2本だけで挟み受け止める
    さくら「……」
    そのまま、持っていたもう一本のナイフを構え、小さな少女が突っ込んでくる
    さくらはナイフを左手で掴みなおすと
    ――激しくぶつかり合うナイフとナイフ!
    その小さな少女の大きな一撃を受け止めた!

    目の前で繰り広げられる戦いに
    シオン「……世界観、違いすぎません?」
    つい口から言葉がこぼれた
    少年「……」
    少年もただぼーっと眺めることしかできなかった



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  • 【これまでと】トオリナデシコ【これから】

    2019-01-07 01:44


     あけましておめでとうございます。みなさん
     どうぞ今年もこのSS置き場と化した場所共々よろしくおねがいします。


     さて、さっそく問題のSS5『トオリナデシコ』ですが
     まず今更ですが、簡単なあらすじを


    これまでのストーリー


    ◆1話

     夏。高校2年生の草太は、ある日クラスメイトの撫子の死体を発見し、そこから逃げ出してしまうの
     しかし翌日、撫子は当然のように生きていた。さらになぜかその撫子から命を狙われることとなってしまう草太
     命を狙う理由、それは、『未練』
     一度死んだ人間は、いわゆる死後の世界、真っ白な世界で己の形ある欲望を全て満たしてもらう、その後どうしても満たされぬもの『未練』を自覚し、それを消化しまたその白の世界に戻るために、少年少女は生き返ってくるみたい
     それは不思議なことに、生き返られる人間は少年少女、さらには草太たちのいる『鉢上』というマチ限定だったの
     そうして草太という少年の生活と常識は一変したの


    ◆2話

     さらに、そんな生き返った少年少女たちを増やしている、的井という少年の存在を耳にするの。
     的井は仲間を増やしている。つまり、人を殺しているってこと
     そんな的井に撫子はひとりで会いに行き、そして的井に宣言する「草太は私が殺す、だから手を出すな。その他の人間の命はどうでもいい」って。的井もこれを了承するの


    ◆3話

     そしてそれは草太たちの通う、鉢上高校、――鉢高の演劇部で起きたの
     生き返った少年少女たちが生み出すという、凶器の殺人鬼『包帯男』が演劇部の部室を襲撃したの
     その包帯男を連れてきたのは、鉢高とは別の高校の演劇部所属生徒の「渋木」
     渋木により演劇部の生徒たちがひとり、またひとりと死んでいくなか、その場に己の未練消化のためにたまたま居合わせた草太の友、友田の彼女を名乗る名の知らぬ小さな女の子、「???」が抵抗をしたの
     友田の所属していた演劇部がこんなことになったらあいつはどう思うだろう、ていう演劇部部長、ゆりの言葉からだったの
     しかし草太の思わぬ登場で、あーあ残念。その抵抗はあっさり破られてしまうの
     思わず草太の名を叫ぶ撫子。己の未練、欲望のため以外に動いた小さな少女に魅せられた撫子は包帯男に抵抗することを決めたの。撫子の中にはまだ、的井たちのように人の命を軽んじる気持ちよりも、命を大事にするという思いが残っていたみたい。だけどそれは、生き返った、あの白の世界を知った者としてはまだまだ不完全、未熟な存在ということ
     それでも共に抵抗をすることを決める撫子。そしてゆり、???
     戦いは最後に生き残った「水谷」を守りながらも、包帯男に見事とどめを刺した草太の一撃で終わったの
     しかし包帯男の一撃は正確に水谷をとらえ、その命を奪っていたの
     水谷の死は、ゆりの演劇部を守るという未練を果たせなくなった瞬間でもあったの
     ???も草太に何か言いたかったみたい。撫子は短くなった髪をなびかせながら雨風に打たれ座り込むことしかできなかったの


     その後、演劇部の戦いの中に突然、白く輝く髪をなびかせ現れた鉢高生徒会長の蘭を捕らえた渋木
     渋木とその仲間たちは、その白の色に、あの自分たちのよく知る白の世界を重ねて見ていたみたい
     だけど、その瞬間の記憶がない蘭
     命の危機だったところを助けに来たのは、蘭を慕う、同じ生徒会の「あやめ」だったの
     あやめは、生き返った少年少女たちが見たこともないような不思議な力を使い、無事蘭を助け出せたのだけれど、今度はそんなあやめを崇める少年少女も出てきてしまったの
     実はあやめにそんな不思議な力を与えたのは、的井
     的井はそんなあやめと、自分の本当の目的を伝えた仲間、「かおる」と「鬼灯」と共に何か大きなことをこの鉢上で起こそうとしていたの
     その傍らに、「本物の包帯男」を連れて


     「演劇部の戦い」を終えた草太たちは、的井の仲間と多少のつながりのあったゆりからいろんな話を聞いた
     包帯男のこと、死後の世界のこと、そして、『白紙の知識』のこと
     生き返った子たちはその白紙の知識という新たな知識で、普通の人間には使えない不思議な力や言葉を使えることを教えてもらったみたい


    ◆4話

     そしてようやく訪れる夏休み
     でもそれは撫子が草太に宣言した。草太への殺害予告へのカウントダウンの始まりでもあったの。草太は夏休みの終わりが、その命の終わりと、自分の未練を果たすとき、と宣言していたの。でもその未練にもすこし揺らぎが生じてきていた撫子
     そんなときに、撫子と草太と友達になることを未練とする少年、比嘉は撫子に改めて自覚をさせるの。撫子と草太を殺したのは比嘉、彼だということを
     撫子の持っていた銀のバットは比嘉が撫子と草太を殺したものだったの
     でも死後の、白紙の知識を持たない草太。どういうことなの?
     そしてそんな草太自身も自覚のない死を知っていたさくらは、草太を殺した犯人を捜していたの、犯人がすぐそばの比嘉だとは知らずに
     そして当の草太は、新たに出会った生き返った少女、「ここ」と楽しい夏休みを送っていたの
     それもここの未練、草太への一目ぼれを成就させるというものに付き合っていただけだったのだけれど
     そんな草太の前へ「楓」と「まなび」という少女がやって来たの
     楓とまなびは包帯男や渋木を倒した草太や撫子、あやめを崇めて敬っていたみたいだけど
     草太だけは幻滅しちゃったみたいなの。楓ちゃんは。
     とりあえず楓とまなびに連れられてやってきた廃工場
     そこで「しゅう」という少年に出会うの
     しゅうは、あやめを崇め自分たちも同じような力を使おうとする子たちと、的井が人を殺して仲間を増やしていくことに反対をする子たち、を集めた。いわゆる『反的井の勢力』のリーダーを名乗ったの
     撫子が立ち上げた部活、『幇助部』の名を借りた彼らは、まだ死を経験したことのない草太たちの保護、護衛を申し出てきたの
     でもそのとき、運悪くその廃工場で戦いが始まったの
     鬼灯と???
     でも草太は???を助けようとしたんだけど、さっそく護衛として草太を逃がす、まなび
     そして戦いは、鬼灯のわがままに付き合うかのように現れた少女「鉢上強子」によって終わってしまうの

     だけど決着をつけることに拘った鬼灯は???に再び戦いを挑むの

     そして草太は、ここに重ねて見ていた、忘れられぬ少女「まり」との整理をつける中、ここにまりに会う提案をされてナイフを取り出され
     逃げた先で撫子に出会うのだけれど、撫子にまでまりに会えばいいと、つまり再び命を狙われてしまうの


    サイ「……だいぶ端折ったけど、たぶんこんな感じなの」
    トーキー「すごーいサイ。よく覚えてるね!」
    サイ「えっへんなの」
    トーキー「ぱちぱちー」


    つづく……


     予想以上に長くなりました
     もっとコミックスの冒頭についてるような短いものにしたかったのですが、書いてるうちになんか長ぇな……になり、なんか長ぇな……のままにしておきました


     なんか長ぇな……のこのあたりで
     さてSS5「トオリナデシコ」を始めたのが「2015年11月」からですか、3年は超えてしまいました
     今年の11月までやってたら4年を迎えることになります。それまでに完結できるのか、そんな未来のことはわかりませんが、なんども言っていますが、やめるつもりは一切ないので、更新速度は落ちていますが、どうぞ心の隅の隅のほうにとどめておいていただけると嬉しいです
     もう読んでいる人がいるかどうとかはあまり今年は言わない方向でいこうと思っています
     ちゃんと定期的なペースで続けていけばいいのです、それが一番大事なのです

     さて、それでは最後にこれまでのナデシコで印象に残っている台詞や文章で振り返りながら、ついでにこれからのナデシコのネタバレしながら、今回はおしまいです

     どうぞ『トオリナデシコ』&『マトイサクラ』を今年もよろしくお願いします
     あ。あとたまに動くSS用のツイ垢(twitter.com/manaSSnadesiko)でほんとのSS「ショートストーリー」を書いてみました、また機会があればやるかもしれません。フォローはしなくてもいいので、ぜひそちらもどうぞ見てやってください

     では~



               『トオリナデシコ


                       ◆これ まで◆

     たとえば、それは突如始まる戦闘シーンだとする。それは光の銃弾が飛び交う戦場か、はたまた巨大なドラゴンに立ち向かう主人公か、あるいは刀を持って対峙する2人の剣士でもいいかもしれない

                          ◆

    草太「なっ!!!? だ、誰か、死んでる!?」

     死体を見た瞬間、俺は確信した
     殺されたのだ、あの音に
     あの音はこの少女を死に至らしめる音だったのだ

    草太「わああああああああああああ!!!?」

                          ◆

    草太「お、お前は昨日死んだはずじゃ!!」
    撫子「そうよ、私は死んだ。だからあんたを殺しにきた」

                          ◆

    友田「そう、俺は俺が一目ぼれするような女の子に会いたかったんだよ! それじゃそういうことで、また明日だ!!」

                          ◆

    さくら「っっっっっっっっっってゆーーーか! 十里先輩!!!! どういうことですか!? 約束と違うくないじゃねーですか!?」

     さくらの怒りが未だ椅子にでんと座った撫子へ向く

                          ◆

    父「しかしお前、本当に何処へ行っていたんだ? 学校までサボって……」
    ???「デート」
    父「え?」
    ???「ううん。ちょっと新しいお友達と遊んでたの」
    父「お友達? 遊んでたって、お前……」

                          ◆

    ???「彼女から。ワタシも今日はとっても楽しかったよって! 伝えておいてくれるかな?」
    的井「了解した」
    ???「ワタシの彼氏も、生涯友田くん以外いないよって」

     電話の向こうでふっと笑う声がした

    的井「彼も喜ぶだろう」
    ???「嘘じゃないよ?」
    的井「それも付け加えておこう」

                          ◆

    蘭「まりさんに未練が無かったのかは本当は私にはわかりません……。だけど、あなたがそうやって私の目にあなた自身の気持ちを見せてくれるのならば、私はそれを大事にしたい。今見えるあなたの今の気持ちを私は優先したいんです。だからどうか想像しないでほしい、今あなたの目の前に立つことができない人の悲しい表情を。あなたがここにまりさんとの楽しかった思い出を求めて来たのなら、きっと思ったよりも簡単に彼女の笑顔が見えるはずです」

     蘭の人差し指がとん、と俺の胸を突いた

    蘭「どうですか?」

                          ◆

    ゆり「…………演劇部がこんなことになったって知ったら、友田もがっかりするんじゃないかな、ってこと」
    ???「っ!」

     幼女が目を大きく見開いた
     口から飴の無くなった棒を取り出した

    ???「………………そういうの、ヒキョウって言うんだよ?」

                          ◆

    ???「負けだ
    撫子・草太…………え?

     その死骸は自らの作った赤い海に落ちた

    部員たち「…………っぅう!」

     自分たちの頬や手に突然かかった液体、すぐ近くの壁に何かを叩けられた音や衝撃に怯えながらも、それでも2人の部員たちは、必死に目を閉じ涙を流し、命を懸けて堪え、耳を塞いでいた


    撫子「草太あああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!」
    草太「!!!??」

    渋木「終幕だ」

                          ◆

     スマホを取り出し画面を確認する

    蘭「!?」

     彼女は電話に出なかった
     突然今までの穏やかな顔を捨て驚愕の表情で画面を見て固まっている

                          ◆

     校舎から伸びたその傷跡は
     俺がさっきまで守っていた女子へと続き、赤へとその色を変えていた
     右肩から左の腰まで入った赤い線

    草太「…………」
    部員3「…………」

     俺に力のない目を向けて

    部員3「…………ありがと、な…………………」


                          ◆

    部員3「まあ? もうふたりじゃあの劇もできないし? 未練も消せなくなって部長も暇だろ? だったら私に――」
    ゆり「ん~~~~~~!! 水谷いいい!!!」

     私はもう思いっきり彼女に抱きついてやった!

    水谷「!! ば、何してんだ暑いだろ離れろよ!! おい、ふざけんな!」

                          ◆

    私の目は目の前に立つ包帯男の顔へ

    的井「力の代償は」
    あやめ「命」


                          ◆

    あやめ「うるさい黙れ

     あやめの全ての感情を渋木一人にぶち当てる

    渋木「!!? それは僕の言葉だぞ!!!!!!!!」

                          ◆

    ……いや
     もうあのとき。あの世界を体験したときから幸せは始まっていたから……
     ……だったらこれは幸せの続き
     第2章だ
     私は、彼、西雪草太に恋をした』

                    そうして私は完成する
                   「草木ここ」は、完成する

                          ◆

    あやめ「……証拠、というのは?」
    蘭「探していたんです、副会長たちの言う死後の、向こうの世界は行けませんから、こっち。現実で。まりさんが、生きているという証拠を」

                          ◆

    ゆうこ「遊園地?」
    ワタシ「そう。行ってらっしゃい。でも帰ってきて? パパを幸せにしてあげるんだよ」
    ゆうこ「どういうこ――?」
    ワタシ「初めてだけど上手くやるから

                          ◆

    ここ「ああ、暖かい。幸せってここにあったのね」
    さくら「大体なんであんただけ学校指定の水着じゃなくてビキニなのよ! 1人だけ可愛いじゃない! ずるい!」
    ここ「だってここはここの生徒じゃないもーん」
    さくら「きぃいいいいい!」

                          ◆

    楓「あたしは女だ!!」
    草太「え、嘘だ!」
    楓「っ……て、てめぇなんてもう知らない!!!!」

     楓の最後の一撃

    草太「ぎゃああああああああああああ!!」

     手を握りつぶされる感覚というものを、俺は初めて味わった

                          ◆
    撫子「し……」
    草太「覗くのか? 覗いていいのか? 俺は下を覗くぞ撫子! うおおおおお!」

     そして
     気合とは裏腹に、彼女のスカートの端をちょんとつまみ上げ、中を覗いた

    草太「…………」
    楓「どうだった?」

     顔を上げると、首を振って答える

    草太「だめだ、何もわからない」
    撫子「ちっ…………ころ……!」

                          ◆

    ???「こんばんは」

     挨拶はきちんと
     教わった
     誰に? 誰にってそれは
     …………。

    水谷「よう……」

    水谷「そのっ……、さ。それは別として、その、……そろそろいいんじゃないか? 演劇部もああなったし。だからさ……」
    ???「?」
    水谷「…………………………………もう、死んでくれないか」
    ???「……」

     ああ……なんだ…………

    水谷「!!?」

     ワタシは

     口を閉じたまま笑った

     ……彼女を

     慰めるような笑顔で

                          ◆

    しゅう「人を連れて来ていてね。実は今そこに隠れてる」

    草太「――――っ!!!」

     一気に泣くという行為が感情ごと吹き飛んだ
     そしてまた訪れる、背筋を凍らせるほどの緊張
     助からないかもしれないという、命の恐怖
     今、俺も、楓も、撫子も、まなびも、全員がしゅうを見上げて固まっていた

    鬼灯「……何?」


    強子「初めて私の戦いを人が見てるんだ」

     そして強子は一回転してワタシのほうへ向けた身体を今度はそのまま逆回転……するような勢いをつけて右手を鬼灯の顔を正面から鷲掴み――

    強子「アンタなんかと戦って、私がそんなに強くないって思われたらどうしてくれるんだい?」

                          ◆

    ここ「だから――これはきっと私だけじゃなく、草くんの未練にもなると思うし」

     そうしてポケットからスマホを取り出すような気軽さで

    ここ「今日ここで全部処理しておいたほうがいいよね?」

     ナイフを取り出した

    楓・草太・ここ「…………え?」


    ???「ワタシ手は抜かないよ」

     男に笑顔を向ける。しかしそれは決して年相応のものではなく、そのあどけない顔には一切絶対似合わない、敵意と殺意で満たされた笑顔で

    ???「あんたをぶっ殺してあげる!」


                          ◆
                       ◆これ から◆
                          ◆

    「行こうか! ---」
    「行こう! 友田くん!!!」

     白の大刀
     包帯の左腕

     鉢上は闇に落ちる

    ここ「恋する乙女は、強いんだぞ!!!!」

    「「さぁ、かかってこい」」

    撫子「草太あああああああああああ!!!」

     俺は声を出そうとする。だけど、声がでない。だせないんだ!
     俺は彼女の名前を知らない……!
    草太「……ッ――!」


    ゆり「ごめん、ゆーこ!!!」
     ゆりは引き金を引き打ち出された弾丸は
     ゆーこの体に大きな穴をあけ、木っ端みじんに吹き飛ばした


    「この俺の左腕で、お前を倒す!!!」


    「わたしにもできたよ、ゆーこちゃん」


    まなび「あの技を出す時が来たようね……」
    楓「ま、まさかアレをやるのか!」
    まなび「いくぞ!」
    楓「や、やめろーーー!」


    かおる「なんだか私たち四天王みたいですね」
     急にテンションを上げるかおる
    あやめ「は?」
    かおる「私でしょう? 鬼灯さんに、あやめさん……」
    あやめ「私をいれないでくれますかね」
    かおる「そして……」


    「お前は、二つ目の太陽を見たことがあるか?」



    「それが俺が友達と交わした約束だからだ!!!」


    「久しぶりだね、シオン」


     その巨大な顔の上に降り立った彼女
     それはまぎれもなく
    草太「っ―――……」

    「お前たちは、この世界の意味を考えたことはあるか」


    「あの場所は、願いを叶える場所なんかじゃなかった」


    「走れ!!!! さくらああああああああああああああああ!!!!!」


    「観覧車を破壊する。それが今の俺たちの目的」


    「お前たちは、まだ! 生きている!!!」


     そうして
     最後に俺の前に立ちはだかるのは、やはり彼女だった



    「さようなら、…………せんぱい!」
     そう言ってさくらは自分のこめかみに
     銃を押し当てた

                          ◆

     彼女の目に浮かんだ涙をこの指でぬぐい去る
     それが唯一俺にできる最後の――




  • 【SS】マトイサクラ【第1話】 『』(冒頭)

    2018-09-13 00:012

    ピピピピピ!

     う~~~ん……

    ピピピピピ!

     目覚まし時計の音が、する

     う~~~……

     布団から右手を伸ばして……
     ぶち当たるダンボール箱

     「痛い!!」

     ……少し目が覚めた
     ……
     そしてその箱の上でわめく時計を黙らせる

    「…………ぁあ」

     真新しいカーテンから刺し込み、数々のダンボール箱に阻まれながらも
     朝の光は私の元へと降ってきていた

    「………………ハッ! 学校!」

     危うくニドネをするところだった
     私は急いで制服に着替え

    「……イッテキマーー! ……ス」

     鍵を閉め
     誰もいなくなった小さな家から飛び出した

                         ◆

     朝の鉢上
     私は学校に行くにはあまりにも早い時間に、通学路を歩いていた
     ただ目的地は学校ではない
     ぐー、とお腹がなる
     朝食だ

    「とりあえず昨日と同じところにするかなぁ~。あそこ人も全然いなかったし」

     そして現在の目的地である、定食屋の近くまで来た

     「家の中が片付くまではあそこで…………って……えええええええええええええええええ!!!??」

     人がいた。たくさんいた。行列だ
     朝も早くから人が並んでいる

    「そ、そんな! 昨日は来たときは、この時間こんな人いなかったのに!!」

     人、人、人
     それが全部こちらに背中を向けて店へ向いている

    「おい、お譲ちゃん! ちゃんと並びな!」
    「横入りは勘弁だよ!」
    「……は、はぁ」

     疑い深く行列に近づいただけで怒られた
     お客さんたちの目が赤い

    「こちとら3時間も並んでるんだからな!」
    「わたしなんて昨日の夜からよ!」
    「ワシが来たときは入り口にテントが張ってあったのぅ……」

     ……

    「はえ~~。実はすごい有名なお店だったとか? 昨日はたまたまタイミングが良かっただけだったのかな」

     私は携帯で時間を確認する

    「うーん」

     この人だかり
     どう見ても学校に間に合うまでにこの店の席について朝食を食べられそうにない
     あきらめて他の店にいくしかない、か
     私はしかたなくその場を通り過ぎる

    「コンビニで何か……」

     嫌、どこかに座って食べたい

    「マク○ナル○は……」

     ど、何処だ
     まだこの辺りの地理を把握していない
     なにせ私はまだこの鉢上に来たばかりなのだから
     そうして迷いながらなんとなくただまっすぐに進んでいると
     前方に1人の女の子を見つけた
     女の子は腰を折って、ガラス張りの向こう側の何かを覗いている
     目元には黒いサングラス
     近づくうちにその、何かが何かわかった
     うどんだ
     ……いや、正しくは食品サンプルだ
     ガラスの向こう。色々な種類のうどんの食品サンプルが置いてある――店を見ていたのだ
     なんとなく、その女の子が気になって歩きながら見ていた
     だが別に声をかけるほどの理由はない
     そのまま後ろを通り過ぎようとしたとき

    「ねぇ。コレナニ?」
    「え……」

     私は立ち止まり、その女の子がガラスに指を当てている先を見る

    「あ、油揚げ、かな?」
    「アブラアゲ?」
    「きつねうどんのこと、ですよね?」
    「キツネ?」

     その女の子はスッと背中を伸ばすと――

    「なんだかおいしそうだ」

     サングラスを外した
     背は私よりも少し高いけれど
     顔を見ると、意外にも年は近そうだ
     だが、制服を着ていないし同じ学生、というわけではなさそうだ
     ……まぁ、そもそもこの時間帯に制服を着て歩いている姿は私以外に見つけられないが

    「決めた! 今日の朝ゴハンはここにしよう!!」
    「朝からうどんっ!?」

     思わずツッコミを入れてしまった!

    「よし入るぞ!」

     さも当然のように私の腕を掴んで店ののれんをくぐった

    「私もうどんっ!!?」

                         ◆

    「キツネウドン2つ!!」

     その女の子は意気揚々と声をかける

    「ヘーイ!」

     店の奥からそれに答える男性の声

    「私もきつねっ!?」
    「え? 何か不味いの?」
    「いえ、何もマズクはないですが……」

     早々に諦めて私はその女の子と同じテーブルにつく
     店には私たち以外にお客はいない
     当然だろう。と思った
     さっき見てきた近くの店の行列を思い出したら自然とそう頭に浮かんだ
     それにもしお客がいたとしても、こんな朝から学生服を来た少女が来ることなんて

    「ないよねぇ~……」
    「まだかなぁ~キツネ!」

     目の前の少女はすでにテーブルの上にあった木の割り箸の束からひとつ取ると割ってすでに構えている
     そして落ち着きなさそうに体を捻って周りをキョロキョロと見回してみたり、奥の厨房を覗いてみたりしている

    「ふふっ……」

     つい笑ってしまった
     なんだか子供みたいだ
     ほほえましいという意味で
     私は、どうやらその店はセルフサービスみたいだったので、席を立ち2人分の水とビニールに入ったお手拭を持ってきた

    「はいどうぞ」
    「ん? ありがと……」

     不思議そうにコップの水を眺める少女

    「なるほどそーゆーシステムか!」
    「ところで――」

     私は自分が名乗った後に聞いた

    「お名前は?」
    「私かい?」

     意外にもそのタイミングでお店の置くから2人分のうどんを持った男性が

    「私はキョウコ!」

     私たちの目の前に置かれる、おいしそうな揚げの乗ったきつね

    キョウコ「キョウコでいいよ!」

     ニッ! と笑った

    「へー」
    男性「えっ!?」

     男性が思わず声を上げて固まってしまうほどに、驚いていた
     もう少しその反応が早かったら、うどんを手からすべり落としていたかもしれないと思えるほどに

    「?」

     男性……店長だろうか? 他に店員らしき姿は見えない

    店長?「……」

     店長は私たちから離れることもなく、すぐそばでただじっとつっ立ち、キョウコを、じっと眺めていた
     焦るように、驚くように、緊張するように、じっと何かを待つように

    「……あ、あの」

     正直店長が気になって食べ始める気になれない

    「ウマイ!!!」
    「もう食べてる!!?」
    「これってキツネの皮なのか?」
    「揚げだけ食べ終わってる!!」
    「?」

     まったく何も気にせず食べ始めていたキョウコに驚き
     そしていつの間にか、静かに去っていく(しっ! となぜかとても気合の入ったガッツポーズを隠すようにしていた)店長

    「……」

     なんだか今日は朝からよくわからないことだらけの連続だが

     (それもアリなのかもしれないな~)

     鉢上だし
     鉢上に来たってことで、ここはひとつ
     全てを納得した

    「あ! ウマイ!」
    キョウコ「だろう? あ、おっちゃん! こんどはこのタヌキってのをひとつ!」
    「ってもう食べ終わってるし! 私まだ食べ始めたばっかりなのに!!」

                         ◆

     そして――
     私が一杯のうどんを食べ終わる間に、キョウコは目の前で大量の空の鉢を積み重ねていっていた

    キョウコ「おっちゃん! 次はねえ……」
    「…………」

     (フ、フードファイターか何かだったんだろうかキョウコちゃんは……だったらお店の人がそれを知ってて驚いたのも頷ける!)

    キョウコ「うん、この店も悪くないね!」

     なんて言いながら
     まだ
     食べている
     食べ続けている

    「う……」

     目の前で見ているだけで私の膨れ上がったお腹がさらに膨れ上がりそうになって少し吐き気が……
     壁の時計を見る

    「というか遅刻する!!」

     私は急いで立ち上がり
     お腹を押さえる

    「……うっ! このお腹で走るのは……しかし、学校に……」

     キョウコちゃんに軽く手を振り

    「あの子に……会わなくてはあああああーーーー!!!」

     ごちそうさま! と叫んで店を出る
     そしてそのまま私は通学路をダッシュしていった

    店長?「あ、ちょっとお金ーー!!」
    キョウコ「いいよ私が払うから」
    店長「え、いやでもそんなあなたからは……」
    キョウコ「いいから次。持ってきて~~!」

                         ◆

    サイ「………………」

     一番後ろの席に座る私
     私の周りでクラスメイトたちはざわざわと朝から元気に騒ぎながら……
     それでもどこか私1人を気にしている
     決して近づこうとせず、決して話しかけようとせず
     しかし私はクラスからのそんな気配を感じながらも
     ただ、何もせず座り

    サイ「………………」

     すぐ左の、窓から外を眺める
     夏の朝
     外は無駄に眩しい

     …………

    生徒「おい、聞いたか。またやられたらしいぞ……」
    生徒「え? まじ? これで何人目? ……」
    生徒「やっぱり同一犯なんじゃないかな? ……」
    生徒「包帯男? 包帯男? ……」
    生徒「は? 何言ってんの? オタハだよオタハ! いつの話してんの? ……」

     …………

    サイ「…………」

     そこで――
     今日最初のチャイムが、鳴り始めた
     椅子を引きずる音がクラス中に響き渡り
     そして前の戸から先生が――

    「セーーーーーーフッ!!!」

     後ろの戸が開きすべり込んでくる少女、シオン
     そしてぜえぜえと汗をかきながら

    サイ(朝から暑苦しい)

     ふうふうと肩を上下に息をして

    サイ(部屋の温度が3度くらい上がった)

     私の右隣、シオンの席についてその机に倒れこむ

     私は思わず顔をしかめる

     机に倒れながら、彼女はこっちを見た

    シオン「ッ…………お……おはよう……ございますッ……!」

     私に話しかけるシオン

    「…………」

     クラスメイトたちは前を向きながら、しかしこちらに耳をそばたてているのがわかる

    サイ(…………そういえば)

     私は彼女に返事もせず顔をそらす

    シオン「ぜえ……ぜえ……」

     クラスの注目が私から、少し、シオンの方へと向いていた

    サイ(…………学校で挨拶されたのって久しぶりかも)

     私はまた外へと目を向ける
     ……なんとなく瞼を上げ空を見上げる

    シオン「…………ハァ……ハァ……」
    サイ(…………)
    シオン「…………うっ…ぷ………ナ、ナニか出そうっ……!」
    サイ(………………何かって何……!?)

                         ◆

     それから隣の彼女は昨日の元気はまるで嘘だったかのように
     授業中も休み時間も
     ずっと席についたまま静かに過ごしていた
     ……静かに、というか、朝、登校中になにかあったのだろうか
     急いで来ていたから寝坊かと思ったが、原因はもっと深い何かに感じられた

    サイ「…………」

     3時間目が終わり、その休み時間
     隣の彼女、シオンは席を立つと、しばらく帰ってこなかった
     そして4時間目の授業が始まる、ギリギリになって、シオンは帰ってきた

    シオン「ふぅ…………」

     とてもすっきりした表情で帰ってきた

    サイ「…………………………」

     案外大した理由ではなかったのかもしれない

                         ◆

     4時間目の終了のチャイムが鳴り

     昼休みに――

    シオン「さあ! お昼の時間です! 私ついついダウンしていましたが、そんな午前中の時間を取り戻すかのごとく、これから濃厚な仲の良い時間を過ごして行きましょう!! さぁお昼は何にしますか?! お弁当ですか? それとも食堂でお昼ですか? どっちでもイイデスヨ!! あ、でもうどんだけは今日はナシでお願いしますね!」

     ――――なった

     とたんこれだ
     ダンスに誘う外人みたいに手のひらをこちらに向けて立つシオン

    サイ(…………)

     私は椅子を引いて静かに立ち上がる
     そして私はシオンに少しの間だけ目を合わせながら

    サイ「……シオン」
    シオン「……!」

     何かに気がついたシオン

    シオン「なんです? ……サイ?」

     私は必要最低限に声を出す

    サイ「私……パンを買って食べるだけだから」

     私はシオンの横を通り過ぎる

    シオン「……。わっかりました! じゃあ私も――」

     シオンが私についてこようとしたところで
     その足元に誰かが足を引っ掛けようと足を伸ばした

    シオン「ほっ!」

     それを跳んでかわす
     私は後ろの戸から廊下へ出て戸を閉めてしまう
     シオンは追いかけ
     ふたつ目の出てきた足もかわし

    シオン「はっ!」

     そして横から掴もうと伸びてきた手もさらりとかわし

    シオン「さらっと!」

     斜め前から歩いてきた男子が両手を広げ、シオンを捕まえようと

    シオン「ちょちょっちょ! 今抱きつこうとしましたね!! 変態! チカン! セクハラ! 反則!」

     立ち止まり後ろへたたらを踏む

    少年「なっ! そ、そんなんじゃない! お前が……」
    シオン「今の見たみんなー!?」
    女子「今のはないわー」
    女子「変態」
    女子「ひくわー」
    少年「ぐっ……!」

     悔しがるその男子の肩に、手を置き別の男子が静かに語りかけていた、こういうときの男ってのはな……うんぬんかんぬん

                         ◆

    少年「ま、まぁいい!」

     私に抱きつこうとした男子が恥ずかしさに顔を赤らめながら手を振った

    シオン「いやよくない!」
    少年「うるさい!」

     その男子はずかずかと私に近づき
     そのまま私はひるむように後ずさり、壁に背をつけた

    シオン「!!」

     そして顔の横にバン! と片手をついた

    少年「それよりもだ!」
    シオン「……! って、思い出した! あなたこの前私の人生初の壁ドンを奪った人じゃない! 忘れもしないその顔!」
    少年「今忘れてただろうが!」
    シオン「またこんな……壁ドンしないと女の子と話せないのかあなたは!」
    女子「その癖やめたほうがいいよ……」
    女子「ねえー」
    少年「そんな癖ねえから!」

     少年が振り返りながらシオンから離れる

    シオン「やっぱり……」
    少年「やっぱりじゃねえよ!」
    女子「男の子と話すときもそうなんだから……」
    シオン「……え」
    少年「そんなわけ……ってお前はなんで今更顔赤らめてるんだよ! タイミングおかしいだろ!」
    シオン「だって……ねえ?」
    少年「ねぇ、じゃねえよ! あいつらの勝手な冗談に決まってるからな!」
    シオン「なあんだ……クラスメイトのそういうの、私はもう受け入れる気ができていたのに……」

     私はその少年の肩に優しく手を置く
     大丈夫だよ、と優しく語り掛けるように

    少年「絶対違うからな!」
    シオン「じゃあそういうことで」

     私はそこから歩き……

    少年「待てい」

     彼の手が私の肩に置かれる
     逃がさない、と警告するように

    少年「悪いが、こっちは受け入れる気はないぞ」
    シオン「な、なんの話?」
    少年「彼女の話だ」
    シオン「……」

     彼女、が指す人物のこと
     サイ、のことだろう

    シオン「……オーケー。じゃあ場所を変える?」
    少年「いや……ここでいい」
    シオン「!」

     そうして、いつの間にか私を取り囲むようにクラスメイトたちが立っていた
     さっきまで気軽に話していた女子が、奥の黒板の手前で静かに談笑していただろう男女が、少年からちょっと急に一歩引いていた男子が、その他大勢の、クラス中の生徒が、私を見ていた
     教室はすっかり静まり返っている

    少年「真実を知らないお前に、どこまで話せば信じてもらえるかわからないが。俺達の、暗黙の了解ってやつを……話してやるよ」
    シオン「……ふーん。その話、できれば短く簡単にまとめてね。貴重な昼休みなんで」
    少年「大丈夫だ。お前にとっても貴重な情報になるだろう」
    シオン「どうかな。彼女と過ごせる時間と比べて貴重なものなんて、ここにはないと思うけど」
    少年「それはこれからする話を聞いてから決めてもらおうか……」
    シオン「……いいよ」

     ため息を飲み込む
     そして私は、テストの答えあわせをするような気分でそれを聞き始めた

                         ◆

    サイ「…………」

     中が静かになった
     小声で話しているのだろうか?

    サイ「…………」

     背を傾けていた戸から離れ
     廊下を歩き始める

    サイ「……」
    トーキー「……あれでいいの? サイ」

     唯一一緒にいた彼女が私に問う

    サイ「…………いいの。……あれでいいのよ」

     自分に言い聞かせる
                         ◆

     すっかり日も高くなったころ
     とある家の玄関前に謎に積み上げられた
     ダンボールやプレゼント用紙袋に包まれた贈り物を

    「よいしょっと」

     ひとつひとつ崩しながら或いは中を開け確認しながら
     家にその荷物たちを運び入れるひげを生やしたオヤジがいた
     道路にまで転がり出しそうなその多種多様な見た目の荷物

    オヤジ「おっとっととと」

     心配した通りにひとつ、小さな軽い紙袋を道に転がしてしまい
     そして……
     それが道行く人の脚にぶつかり止まった

    「……」

     それを拾い上げる
     追いかけていた男がノロノロと走りながらようやく追いつく

    オヤジ「ひぃ……ひぃ……」

     たいした距離でもなかったが、男はすっかり息があがり、膝に手をついて少しずつ見上げる
     その細い足を
     健康的なふとももを晒すスカートを
     年相応な華奢な体、だが制服は来ていない
     そして荷物を拾い上げたその半そでから覗く左腕は、白い包帯をぴっちりと巻き細腕をしっかりと浮き上がらせていた

    オヤジ(怪我……だろうか)

     包帯は指の先から肘より少し上、あたりまで巻かれていて半そでからはちらちらと肌色が見える

    包帯の少女「大丈夫ですか?」

     少女が荷物を差し出してくる

    オヤジ「……大丈夫ですかってアナタのほうが……」
    包帯の少女「お手伝いしましょうか?」
    オヤジ「え」
    包帯の少女「あ、私さくらって言います!」
    オヤジ「さ、さくらさん」

     包帯の少女、さくらは、こちらの返事を聞く前にさっさと走り出し、荷物の前に座り込んだ

    オヤジ「でも、その腕……。怪我をされてるんじゃ」
    さくら「ああこれですか?」

     包帯の左腕で箱を持ち上げる

    さくら「問題ないでしょう?」

     年相応の、とても元気な笑顔で返された

    オヤジ「ないでしょう……ってこちらに聞かれても」
    さくら「?」
    オヤジ「い、いいえ! じゃあ、お手伝いお願いしてもいいですかね? さくらさん」
    さくら「はい!」

     さくらは笑顔で答えた
     そして
     『的井』と書かれた表札の家へと入って行く

    さくら「…………ホントに問題なかったや……にひっ」



     ……つづく


                        ◆  ◆

                      お  ま  け

    【SS5 トオリナデシコ】
    の 次回(4-6話)予告!!


    『わたしは草くんが好き。そんな草くんが話してくれたまりさんとの思い出。草くんはまだ死んだことのない人だけど。それはたぶん草くんの未練になるものだよね。ちょっと悔しいけどでも、わたしは草くんのためならなんでもしてあげたい。そうだ! だったらわたしが探せばいいんだよ! 命ある草くんと命のないまりさん、そんな2人を繋ぐ、きっとそれがわたしがここにいる意味!! だからわたしにまかせて、草くん! あの真っ白な世界で、まりさんを絶対見つけ出してあげる! まりさんもわたしを待っているはずだから!
     次回!
     トオリナデシコ第4話『デッドエンドの恋』前編-6 『わたしを待ってる人がいる』

     ――はじめまして、まりさん』


    「ワタシは友田くんのことが好き。でも彼は死んであっちの世界、ワタシは生きてこっちの世界。すぐにそっちへ行ってもよかったんだけど、まだワタシはこっちでやることがあったの。でもそれも終わっちゃった……。でもね、まだそっちへ行けないの。でもねワタシはまだ死ねないの。ワタシにまた戦いを挑んできたあの男、殺されたくない! だってそんな再会の仕方ってないでしょう? だから、もう少しだけ待っていてね、友田くん! さあ! ワタシ今度は全力で戦うから! 本気で相手をさせてもらうから!! 命を懸けて戦うよ!!!
     次回!
     トオリナデシコ第4話『デッドエンドの恋』前編-6 『ワタシを待ってる人がいる』

     ――血の一滴さえワタシは引かない」