石原裕次郎特集② 弟
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石原裕次郎特集② 弟

2015-09-26 22:10
    さて、今回の本紹介は前回に引き続き石原裕次郎特集で
    今回は実兄である石原慎太郎の本を紹介したいと思います。

    石原慎太郎 / 弟

    購入場所:地元の図書館(貸出)

    購入金額:貸出なので0円


    石原慎太郎が東京都知事選に出馬した1996年に刊行した本です。
    未亡人の石原まき子が多くの裕次郎に関する本を出しているのに対して
    慎太郎は他の本で僅かに触れる事こそあるものの、彼に関する
    まとまった著作は後にも先にもこの1冊のみとなっています。

    まき子夫人の著書が在りし日の裕次郎の写真や手記などを
    ふんだんに使用して夫であり「昭和の大スター」としての
    石原裕次郎の側面を書いているのに対して慎太郎は「小説」と
    言い切ってる様に写真は僅か1枚(文庫本の表紙含めて2枚)、
    後は全部文章で構成されていて、あくまで「自分の弟」
    としての裕次郎を描写しているのが特徴的です。

    告別式での慎太郎の挨拶


    今存命している人で唯一裕次郎を生まれた頃から知ってる人物とあって
    彼と過ごした幼少期の小樽や湘南での逸話や父の死を経ての無頼人時代、
    そして俳優デビューまでのエピソードを余人には書けないほど些細な事まで
    記されていています。

    2004年にドラマ化された時の映像。
    このエピソードの詳細も語られています。


    特にまき子夫人の著書でも語られた父を尊敬してた裕次郎が唯一
    父に対して「僕にもし子供がいたら絶対にあんな事はしない」
    非難した裕次郎が作った模型飛行機を父が燃やしたエピソードに
    他ならぬ慎太郎が讒言したのが原因である事も明かされており、
    普通この手の逸話にありがちな美談だけではない話も散りばめられ
    2人の生い立ちや関係性がこの頃から出来ていったのが伺えます。

    そして俳優・歌手として活躍する様になってからは離れ離れになった
    事もあって話は少なめですが「黒部の太陽」にまつわる制作の裏話や
    西部警察と日産との関係など所々で裕次郎と関わりのあったエピソードを
    中心にこの人ならではのニヒルな視点で描かれています。

    皆さんもよくご存知のとおり、都知事時代を振り返るまでもなく
    石原慎太郎は自分独自の価値観と考え方を持ち行動している人間で
    それを周りと合わせたり妥協する事を決してしない人間です。
    それは決して裕次郎であっても例外ではなく、
    この本でも他の人間であればまず書かない(書けない)であろう

    ・正直言って彼の生前弟の歌に感興をもよおしたことはほとんどなかった。
     どれをきいていても同じものに聞こえてならない。

    ・弟くらいなってしまうと、結局ある部分では裸の王様になっていたに違いない

    ・なる限り有名になりおおせた弟の人生に唯一欠けていたものは(中略)
     私たち兄弟がふたりして享受してきたようなかつての家庭の楽しさと
     安らぎだったに違いない。
     そしてそこに多分、私だけが、私にしか見えぬ、弟の孤独な横顔を
     見るような気がする。

    などといった裕次郎への辛口評価や心中も遠慮なくずけずけ書いています。
    しかし、これはまき子夫人や息子の良純も他ならぬ裕次郎本人も言ってるように
          「子供の頃から喧嘩したりじゃれたりしながら、 
           結局人生のタッグマッチでやってきました」

    と、この世で唯一裕次郎と対等な存在であると同時に1人の兄として
    弟に対して思った事をそのまま書いているのだと思います。
    (因みに次男の良純によると裕次郎の悪口を言った大橋巨泉を殴りにかかったり
    母の石原光子も同様の理由で山城新伍を生涯憎んだなど家族が悪口を言うのは
    許せても他人が裕次郎の悪口を言うのは決して許さない一家だそうです)

    そして冒頭に少しだけ書かれてもいる解離性大動脈瘤の発病から大手術を経て
    まき子夫人が「日記」を公表する形で決して語ろうとはしない肝臓癌で
    亡くなるまでの様子もしっかり描かれています。

    特に印象的なのが妻であるまき子夫人が日記で書いてある様に看病で精一杯で
    倒れたり渡哲也を始めとする「石原軍団」の面々の献身的な介護の様子に比べて
    母と弟の最後の面会、そして慎太郎と裕次郎の最初で最後の対談や
    最後の会話など傍から見れば冷淡にすら思えるような石原家の人間の淡白な
    やり取りがまるで「動と静」のコントラストを織り成すように描かれています。

    ドラマでも再現された兄弟の会話


    これは別に裕次郎に冷たい訳ではなく、慎太郎も文中で
    「それぞれがそれぞれに弟を愛したが故に、それぞれの人間が他人には
     移せぬ悩みや迷いや苦しみの内で弟を見守り続けていったのだ」

    と語っている様に慎太郎なりの死にゆく弟への
    引導の渡し方だったのではないか
    と思います。

    石原慎太郎という人間は最近では東京都知事時代やその後の衆議院議員時代の
    「暴走老人」としてのイメージが大変強いですが(笑)、
    この本を読んでみるとそれだけではない彼の一面が伺える事ができ
    大変面白い本ですので裕次郎ファンでなくても慎太郎が嫌いな方でも
    1度読んでみる事をお勧めします。

    次回の本紹介は…多分またプロレス関係の本ですw

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