声優魂
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声優魂

2015-10-11 15:04
    今回の本紹介はプロレスの本の予定でしたが
    前から読んでみたかった本が手に入ったので
    先にこちらから紹介したいと思います。

    大塚明夫 / 声優魂



    購入場所:地元のブックオフ

    購入金額:756円

    声優の大塚明夫が2015年3月に出版した「声優」を取り巻く厳しすぎる現状を
    踏まえた上で自らの演技論や人生指南を兼ねた自伝本です。
    氏は以前このブロマガでも紹介した山寺宏一の盟友であり、
    また氏の父で出版直前の1月に急逝した大塚周夫もアニメ創世期から声優で
    自身も所謂「ベテラン」の域に入る芸歴の長さを誇っています。

    イベントでの大塚さん

    そんな彼が帯のキャッチコピーにも書いているように

       「声優だけはやめておけ。」

    と近年の声優ブームで多くの人が声優を目指す現状に
    苦言と警告をしているのが独り歩きしてあたかも
    「告発本」の趣をなしている様に見えますが
    あくまでその手の事を書いているのは全5章の内、
    無料で読む事ができる1章と3章ぐらいであり、
    読んでみるとそこまで過激な本ではありません。

    その1章ですが声優の過当競争の現状(300の席を1万人が奪う状態と表現)や
    声優はオファーあっての仕事という特殊さ、更にギャラシステム等
    声優界を取り巻く現状を詳しく説明しています。
    要は

    ・仕事が少ないのに競争率は300倍以上
    ・固定給は保証されず老後は愚か現状の生活さえ安定しない
    ・なのに自分から仕事を作る事ができない(自主舞台興行を除く)
    ・オマケにギャラは仕事量に比べ恐ろしい程低い

    という事を説明して

      「安易に声優になったとしても仕事なんかないし
     万が一食える様になってもそれが続く保証なんてないよ?」


    と警告してます。
    これは他の声優さんも異口同音に同じ趣旨を話していて決して大塚さんが
    話を盛ってる訳ではないと思われます。

    続く2章からは自身の生い立ちや今の声優に感じている疑問点、
    更に自身が演じたキャラの中でも思い入れのあるキャラについて語っています。

    大塚さんのキャラまとめ動画(バトーとソリッド・スネイク)


    ライダー(イスカンダル)

    前者は父親が声優であるが故に生活の不安定さや
    声優に対して幻想を持っていなかった自分が奇しくも
    父親と同じ道を歩む事になった契機や父や後見人の
    納谷六朗氏の存在について長短含め語っていて
    後者は本人が劇団出身という事もあって昨今の声優に見られる
    声作り、人気作り偏重に対しての役作り、演技力軽視
    前者の重要さと後者の無意味さを理論的に説明しています。
    要は「小手先の事ばかり真剣で肝心の演技力の基礎もない連中は
    まず売れないし万が一人気を得ても長くは続かないよ?」
    という事であり、図らずも彼の言ってる事はかつて故、山田康雄が

     「声優を目指すな、役者を目指せ。演技は全身でするものだ。
      それでこそ『声優業』も活きてくるんだ」

    と一言で言ったのをより掘り下げて語っていて非常に説得力があります。

    文中で「類稀なる芝居心でもって台詞のコードなども
    全て織り込み済みで的確な演技をしていた」と絶賛していた
    「もののけ姫」での美輪明宏と森繁久彌の名演技


    そして3章以降は声優学校の功罪や事務所やマネージャーの重要性、
    更には不遇の下積み時代の乗り越え方や今現在声優を目指している
    人たちが「本当にやりたいこと、目指したい事」が明確に定まってない
    故の齟齬から来るギャップなどについて語りまとめています。

    ライトなアニメ好きであるが故に読んでみたのですが
    特に著者の言う「声優で食っていけると勘違いしている」
    最近の若い声優志望者or声優には私もかなり疑問点を感じていました。
    勿論、文中でも書いているように「(声優が足りなかった昔に比べ)、
    ダンスや歌手も同時並行で行い声優個人の固定ファンを作る事が
    声優にも求められている時代になった」というのは理解してましたが、
    それ以前に昔の声優さんに比べると今の声優さんたちの中で
    「演技が皆どれも棒に見える」割合が多く感じる様になりました。
    恐らくこのギャップは声優が「食って行けない役者の成れの果て」
    言われた時代の声優さんの多くは役者として評価されない故の反骨感に加え
    劇団などで基礎訓練等をみっちり教わった上で声優をしているのに対して
    今の人たちの多くは安易に「声優に憧れて」なった人が基礎訓練を満足に
    受けずにとりあえず「声優になってしまった」結果なのかと思います。

    私の知り合いにも大塚さんの言うところの「一皮剥けずくすぶっている」
    若い声優さんがいますが果たしてこの本を読んでいるのか、
    もし読んでるとするならどう感じているのかを聞いてみたいなと思ったりします。
    煽りや前評判故に敬遠しがちな人もいるかと思いますが普通に素晴らしい本なので
    アニメや演劇が好きな方にはオススメできるかと思います。

    次回はプロレス関係の本を紹介したいと思います。

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