• ある敗北者の記録~びびび夏の陣2019道中記~⑤激闘編

    2019-07-22 23:53


    【第9部】2019.7.13~開戦~

    『いざ、出陣』~開戦を告げる鬨の声~
     
     
    PM01:25。慣れた手付きで予選卓の段取りや注意事項の相互確認を進める。人員の関係上、予選卓の進行はどうしてもユーザー主体にならざるを得ない状況である。こういう時には経験者が陣頭に立ち、クリーン且つスムーズに進行させる必要がある。
     特に注意が必要なのが、

    ・ホーム&アウェー共に同一の編成①を使用しているか
    ・各試合結果を正しく記入出来ているか

     
    この二点であり、過去にも不正や勘違いを引き起こしトラブルになっている部分でもある。

     なお、試合結果に関しては公式規則により全員での確認や記入の立ち会いが明文化されていたが、編成①に関しては相互確認の義務が明文化されておらず(試合前に相互確認が義務化されているのは版権チェックと試合の同時開始時のみ)、実際に他の卓ではあるが確認不足によりホーム戦を編成①以外を使用して進行してしまったユーザーも今回発生した。
     このため、全員が編成①を選択した状態で試合開始画面に移行しているか相互確認を行う』という事項も義務として規則に明文化する必要があると感じた。
     

     
    PM01:30。
     覆面広報のアナウンスと共に、遂に、【びびび夏の陣2019】の戦端が拓かれた。
     いよいよ、予選開始である。この予選で首位となり、決勝への道を確保する。それが、今自分が成すべき唯一の道。


     開幕戦・VS天宮ユウキ氏
     
    開幕戦の相手は、検証勢としてその名を馳せる天宮氏。もっとも重要となる初戦。まずはここで、確実に勝ち点3を挙げる必要がある。
     まず、予選表に記された氏の名前を見て考えたのが、氏が展開するであろう編成。恐らくは安全マージンを重視するであろう氏の用兵思想を考慮した際に、採るであろう守備戦術はフィールド支配ではなくデバフでのGK要塞化だと考えた。氏がデバフ編成として523を用いていた実績はあったが、予選では攻撃力も必要、という部分を踏まえると、かつて冬の陣でソクラテス氏が使用したデバフ型442Cに近い構成が最も有力ではないか、という答えに行き着いた。

     となれば、用意すべきは対要塞型編成。候補となったのは火力特化型451とOMFシューター型352A。最終的に選んだのは、352A。火力451の攻撃力は魅力だが、その分守備は脆弱だ。仮に相手が攻撃性を保ったデバフ系であれば、得点できたとしても同様にこちらが失点するリスクもある。となれば、GKを要塞化しつつ相手のデバフを潜り抜け得点を狙うことができる352Aの方がベストだ。特に、この352Aは急造という事もあって運用経験が乏しい。決勝Tでの使用を想定した時、やはり少しでも実戦でのフィードバックが欲しい状況だった。であれば、今が試す絶好の機会と言えた。

     編成①を352Aに変更。そして、全員の編成準備が完了した事を確認する。ここで、初戦のスクリーン実況で天宮氏が選ばれる事に。中継卓に向かう天宮氏。アメージング特有の放送事故を順調に実績解除しつつ、試合開始画面へ。残った我々も同様に移行し、氏の編成を確認する。やはり、読み通りのデバフ型442C。勝機は我に在り。そう、仮面の下でほくそ笑む。そして、天宮氏が試合開始ボタンを押すのに合わせ、残る全員もそれに習った。

     キックオフ。2ボランチを形成する神木さゆみと宿星めぐるを中心にボールを回しつつ、攻撃の機会を伺う。前半中頃、右CBの月影うらなが縦へのロングパスを展開。受けたのは、右WGの一色かおる。ボールを持った彼女は一気に加速、ドリブルで敵左SBを躱し、中央へクロス。ボックス手前に到達していたトップ下の姫川あゆりがトラップ。ボールを足元におさめたあゆりは、そのまま敵陣に向かい突進。巧みなドリブルでCBを突破し。遂に、GKと一対一の状況に。刹那、右足から放たれる『百烈しっぽシュート』。さながら、化け猫のように変幻自在の弾道を描きながらゴールへと向かうボール。相手GKは何とか両手で抑えようとしたものの、無回転を前にキャッチを選択したのが仇となり、掴み損ねたボールはそのままゴールネットを無情にも突き破った。スコアボードを眺める。刻まれた、『1』の数字。記念すべき、今大会チーム初得点である。

    「よしッ…!」

     拳を握り、小さくガッツポーズをする。抱き合いながら歓喜する女神達。狙い通りの、完璧な得点パターン。このまま、更に得点を重ねて押し切ろう。そう思いながら、再び脳内で今後のゲームプランを組み上げていく。

     しかし。ここからは、思うような展開とはならなかった。試合後半。敵を引き込み、CB・或いはGKでボールを奪取、そしてロングカウンターを目指す。守備戦術自体は当初の目論見通り順調に運んだ。しかし、奪ってからのロングフィードが、ことごとくサイドではなく2トップに渡ったのだ。2トップを形成するのは、椿木あやと飛龍つぐみ。どちらもこの試合では守備的なタスクを与えており、個の打開力には著しく欠けている。故に、速攻を狙って無理に突出するよりも、パス主体で中盤と連携しながら徐々に前線を押し上げてくれる方がいい。ボールを動かしつつ、機を見て両WBに展開してくれれば理想的なのだ。しかし、2人はボールを受けるとそのままキープし、敵陣を独力で突破しようと試みる。そして、当然の如く敵のスライディングに刈り取られる。それを、度々繰り返した。そうこうする内に時間は浪費され、結局、得点以降は再び敵陣のアタッキングサードに侵入することすら叶わず、そのまま試合終了となった。
     終わってみれば、1-0での辛勝。無論、敵の戦術を読み切り、その上で勝ち点3を得られた事は大きな戦果ではあったが、やはり、欲を言えばせめて後一点は取りたい所だった。このシステムの一番の課題となったのは、前線のビルドアップ。ドリブルを持たない2トップが強引に突破を試みて、結果的に無駄なボールロストを増やしてしまった。ここにきて、付け焼き刃の戦術の未熟さが露呈した形となった。
     しかし、それも含めて有意義な結果ではあった。逆に言えば、初戦を勝利で飾った上で、修正すべき点を発見出来たのだ。来るべき決勝での運用に向けて更なるブラッシュアップが可能という事でもある。そういう意味でも、開幕戦で天宮氏と対戦できた事は僥倖とも言えた。
     気を取り直し、他オーナーの戦況に目を向ける。
     
     開幕戦結果(※敬称略)
     VIVIDMAN-天宮ユウキ→1-0 勝ち点3 得失1
     天宮ユウキ-タケルGT→0-0PK勝利 勝ち点1 得失0
     タケルGT-オレンジ→3-0 勝ち点3 得失3
     オレンジ-VIVIDMAN→0-1 勝ち点0 得失-1

     ホームでは天宮氏相手に1-0勝利。そして、アウェーではオレンジ氏相手に0-1で勝利。結果としては、この上なく理想的な展開である。しかしDTはこちらと同様に勝ち点3を獲得し、更には得失3とこちらの2点上回っている。つまり、現時点での首位はDT。このまま互いが全勝した場合、この2点は大きく響いてくる。残るは、あと2戦。2戦の内にこの差を埋め、可能であれば飛び越える必要がある。
     来る2回戦目の相手は、DT。そしてDTの相手もまた、我がチーム。

     夢にまで見た、直接対決。
     事実上の首位攻防戦であった。


    ~激闘編・完~


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  • ある敗北者の記録~びびび夏の陣2019道中記~④軍略編

    2019-07-20 14:43

    【第7部】2019.7.13~布陣~

     各卓にオーナーも続々と集い、いよいよ、開戦の機運は高まっていた。
     眼前のスマホと睨めっこしながら戦支度を進めるオーナー。
     顔見知りと親しく話すオーナー。
     魔境に放り込まれ、絶望の表情を浮かべるオーナー。
     それぞれが、十人十色の様相を呈している。


     さて、ここで各予選卓の布陣状況と決戦場に集った全40名の将達を簡単にではあるが紹介したいと思う。

     予選卓(※敬称略)

    ・Aグループ

     VIVIDMAN
     天宮ユウキ
     タケルGT
     オレンジ
    ・Bグループ
     ジョニー
     ベイダー卿
     きょうすけ(17冬の陣優勝)
     えりまわり
    ・Cグループ
     ゆっきぃ
     福田某
     ニケ
     うわん
    ・Dグループ
     ホープ@Lチキの人
     ルカ
     トット
     たたた
    ・Eグループ
     がちゃ
     ラライ
     ムシ(18帝都大戦1日目優勝)
     ああああ
    ・Fグループ
     ミヤコハ
     メルク
     ソル
     エアカッター56(17夏の陣&18冬の陣優勝)
    ・Gグループ
     眼鏡
     ろにこ
     ソクラテス
     wildcatmalia
    ・Hグループ
     犬飼
     アル(18帝都大戦1日目準優勝)
     わ~げん
     たけだ
    ・Iグループ
     もぬけのから
     びわこ近江路ライナー
     こもり
     えすてぃあい(18帝都大戦2日目準優勝、18夏の陣優勝)
    ・Jグループ
     ユウキ
     猫議長ちゃん
     ヒロカズ
     セイリュウ(18夏の陣準優勝)

     以上、計10グループで予選が進行さレる事となる。
     大会でお馴染みの強豪だけでなく初参加のオーナーも数多く見え、名実共に過去最大級のラインナップとなった。
     
    「さて…」

     一通りの挨拶も終わり。
     予選表へのID記入も済ませる。対戦画面を開き、各対戦相手のIDを入力していく。リストに並んだ3つの名を睨み、そして編成画面へと移行する。
     予選。同卓の3名と互いに試合を行い、ホーム戦の成績上位者が決勝へと進む。
     なお、勝ち点の算出方法としては

     ・通常勝利…勝ち点3
     ・PK勝利…勝ち点1
     ・通常&PK敗北…勝ち点0
     
     以上の区分となる。
     当然ながら最重要となるのは勝ち点だが、勝ち点が同率となった場合に参照されるのは得失点差。つまり、仮にホームで全勝し勝ち点9を獲得したとしても、得失点差により敗退する場合もあるのだ。となれば、ただ勝てば良い、というものでもない。勝利は大前提の上で、如何に得点を重ねられるか・失点を防げるか、という部分が非常に大事になってくるのだ。必然的に求められるのは、一部分に特化した編成よりも、より汎用的に戦える編成となるだろう。
     複数名の試合結果に左右される分、ある意味では決勝以上の難関と言っても過言ではない。


     この3名相手に確実に勝利しつつ、尚かつ得失点差を広げる。
     採るべき、ゲームプランは。
     そんな事を思案しながら、組み上げた編成群の最終確認を始めた。



    【第8部】2019.7.13~陣容~

     各編成解説

     今回、用意した編成は7パターン。試合用の編成①は除外されるため、実質全ての編成枠をフル活用した形となった。
     基本的な主力となるのは、バランス力に優れる442Cと451。

    ・442C…中盤がフラットタイプの442陣形。18帝都大戦以来、その他に類を見ない圧倒的なバランス力と応用力の高さ、主流であるサイド戦術の最適解とも言える勝負値と挙動で、長らくの間フォーメーションの王様と呼べる程に猛威を奮った陣形。ver.7.3系のアップデートで新規陣形の追加や既存陣形の底上げが行われてからは一強時代は終焉を迎えたが、それでも依然として優れた陣形である事に代わりはない。SMF・SBの勝負値の高さによりサイドでの攻守で優位に立ちやすく、また、2トップの片割れに守備的な役割を持たせることで、前線から相手のボールを奪うハイプレス戦術も可能となる。とにかく様々なバリエーションの編成を組めるため、不特定多数を相手にするなら間違いなく選択肢に入る優等生だ。
     用意したバリエーションは二つ。

     編成①SMFドリブルと敵FWシュートデバフを強化したタイプ…高いドリブル力で敵陣を突破しつつシュードデバフで受け止める戦術が基本。SB強化も考えたがそちらは451の方が効果的なのでこちらはデバフを採用。
     攻撃方針:SMFのドリブルを徹底強化する事で敵守備陣が堅牢な場合でも突破を可能とし、そしてアーク内からダイレクトシュートをねじ込む。一方でシュートバフは抑えめのため、敵のシュートデバフやGKバフが強力な場合はアーク内でもシュートを防がれる危険性が高い。交代オプションとしてシュードバフ要員を揃えてはいるが、限界はあるだろう。
     守備方針:相手のFWのシュートを下げる事でアウェー挙動によく見られるアーク外からのシュートを封殺。数値次第ではアーク内からも完封も狙える。その分、フィールドでの守備はおろそかになるため、守備的FWコロナのハイプレスが如何に機能するかどうかが鍵。
     総合:仮想敵は①DFのディフェンスが高い②シュートデバフは控え目③OMFシューターではい…以上の条件を満たしているであろう編成が主眼となる。

     編成②DF、特にCBを重視したバランスタイプ…ロロロの生パスや中央ドリブル突破を警戒したやや守備寄りの編成。
     攻撃方針:基本的には①と同様だが①と比べるとドリブルが劣るため、DF強化型の編成相手では突破出来ない危険性も高い。シュートバフの脆弱性も同等。
     守備方針:①同様FWコロナのハイプレスに加え、CBにリリス、エリクシールという高倍率、高ディフェンス力の選手を配置し、敵SMFがロロロの場合は生パスを自動カット、また正面から地上&ドリブルのシューターが襲来した場合もスライディングで阻止、というプランである。ただし、442CのCB勝負値は1のため、過信は禁物。また、シュートデバフやGKデバフは希薄のため、敵が高火力ダイレクトの場合アーク外でも得点されるリスクが高い。
     総合:仮想敵は①DFのディフェンスは並以下②シュートデバフは控え目③SMFがロロロ④地上&ドリブルのシューター…等の相手が主眼となる。


    ・451…所謂4-2-3-1システム。かつては脆弱な守備と引き換えにFWの勝負値の高さと優れたサイド展開力を武器とし、機動力を活かした速攻戦術を好むオーナー達に広く愛用された攻撃的陣形。しかし、サイドの突破力で上回り、更には高い守備力も兼ね備えた442Cの登場により下位互換的立ち位置へと追い込まれ不遇の時代に。長らくの雌伏を経て、ver.7.3系アップデートにてFWの凶悪さはそのままにSMFとSBの勝負値が大きく向上、サイドの攻防に於いては442Cを上回る性能を得て遂に復権を果たした。現在では442Cと共に攻守バランスに優れた陣形。442Cに比べると、FWの勝負値やSBの守備で優るが、FWが1トップのためシューター+守備的選手という2トップで鉄板の組み合わせが不可能。そのため1トップがシューターの場合ハイプレス戦術が使えないという欠点がある。1トップに守備的なタスクを与えるのであれば、必然的にOMFシューターを組み込む形になる。逆に言えば、OMFシューターでの速攻戦術を狙う場合は352系列よりも優秀かもしれない。そういう意味では442C以上の多様性を誇る。
     用意したバリエーションは二つ。

     編成③SMF&SBを強化したバランスタイプ…451最大の強みであるSMFとSBの勝負値の高さを最大限に活かした編成。サイドで守ってサイドで攻める、キックアンドラッシュの極地。
     攻撃方針:442C同様にSMFのサイド突破が中核。FWのシュートバフも並程度だが、勝負値が最大のため442C以上の火力は発揮できる。
     守備方針:SBのディフェンスを高めて敵のWGやSMFのドリブルを封殺を狙う。その分、CBは手薄なため中央突破には脆弱。守備的なOMFのボール奪取にも期待したい。また、シュートデバフやGKバフは考慮していないため高火力シューターのミドルシュートには注意。
     総合:仮想敵は①こちらと同程度かそれ以下のバランス型②中央突破型ではない③ドリブル特化orディフェンス特化型ではない…以上が主眼となる。

     編成④シュートバフ特化タイプ…FWの勝負値とシュートバフ&GKデバフの合わせ技でシュートデバフやGKバフを重ねた相手でも容赦なくゴールを奪う脳筋編成。対GK要塞型の布陣。
     攻撃方針:①と同様だがFWが高火力な分、アーク外からの得点も偉えるのが利点。ドリブルは並程度なのでDF強化型には苦戦が予想される。
     守備方針:ほぼ全ての選手がシュートバフ&GKデバフ要員のため、フィールド・GK共に守備は脆弱。
     総合:仮想敵は①シュートデバフやGKバフに特化した編成…あくまでも要塞攻略用として割り切った編成と言える。


    ・523…比較的ポピュラーな守備的陣形。同系統の541と違いFWMFにも勝負値が付与されているため全体のバランスは良い。ただし、挙動の扱いづらさ等の問題から攻撃面での脆弱性が長年のネックとなっている。初期はDF陣の勝負値の高さを活かした鉄壁の守備が主流だったが、近年ではシュートデバフやGKバフを敷き詰めたGK要塞型編成のテンプレートとして採用される機会が増えた。ver.7.3系アップデートでより攻撃志向な532陣形が登場した事によりそちらに流れたオーナーもちらほら。対デバフ型の攻略が進んだ現環境では以前程の凶悪性に欠ける感は否めない。

     編成⑤シュートデバフ&GKバフに特化したタイプ…近年の523テンプレと呼べる編成。SBでサイド突破しFWダイレクトで得点しつつ、守備では要塞化したGKで敵のシュートを完封するのが狙い。控えにもGK強化を並べ、得点後にすぐさま攻撃要員と入れ替えて1-0で逃げ切る耐久戦術。
     攻撃方針:SBをドリブル&パスの攻撃的な構成にしてサイド突破を狙う。フィールド守備を強化した敵には無力化される危険性が高い。FWの勝負値、シュートバフ共に並のため火力にも乏しい。
     守備方針:GKで受け止める、これが全て。フィールドの守備はほぼ放棄しているので、攻撃陣が機能しなければ一方的にボールを支配されてるリスクも。また、相手シューターが超高火力の場合やOMFシューターの場合は為す術もなく打ち負かされる場合も。
     総合:仮想敵は①DF強化型ではない②超高火力やOMFシューターではない③GK要塞型ではない…等。ピーキーな編成のため、あくまでも決勝Tでのオプションの一つに留める。


    ・325…FW5枚という前線の分厚さと引き換えに、中盤以下の守備は非常に脆弱という、超攻撃特化の浪漫陣形。とにかくCFのシュートバフを重ねてロングレンジからでも得点を狙う、という大艦巨砲主義の極地として採用される事が多い。メリット・デメリットの極端さから、あくまでもネタ枠の域を出てはいなかったが、ver.7.3系アップデートで僅かではあるが中盤にも勝負値が付与され、更にはFW5枚全員の勝負値が最大という異常事態となった。特に、ネックだったインサイドのWGが強化された事で前線の構成バランスも多彩になり実用性は一気に向上。状況次第ではジョーカー的な運用も十分視野に。

     編成⑥FW5枚全員シュータータイプ…FW全てにダイレクトや地上シュートを配置しどこからでも得点できる、或いはシュートをガンガン撃ち込んで敵GKのスタミナを枯渇させるのが狙い。実質的なネタ編成ではあったが大会前にヒロカズ氏に挑まれた際、アウェーでも2得点という攻撃力の高さを示したため、秘密兵器として候補に追加。
     攻撃方針:とにかくFWにボールを渡してシュートを撃たせる、というのが全て。ビルドアップ能力は壊滅的なため、どちらかといえばアウェーを想定した編成。
     守備方針:フィールド、GK共に壊滅的。乱打戦上等。
     総合:仮想敵は①GK要塞型②攻撃特化型…が主眼。あくまでも「放送で映ったらウケるんじゃね?」というエンタメ志向。


    ・352A…中盤の厚みが特徴的な陣形。長らくの間352Bの下位互換的な地位に甘んじていたが、ver.7.3系アップデートによりネックだったFWに勝負値が付与、SMFも強化されためほぼ対等の立ち位置にまで上り詰めた。Bとの大きな違いは、2トップがCF(BはRWGとLWG)で勝負値も若干落ちる点、逆にOMFは最大値という点。OMFシューターを狙うならBよりもAの方が高火力を期待できるだろう。

     編成⑦OMF地上&ドリブルシュータータイプ…決戦前夜に夜鍋して作り上げた対要塞攻略の最終兵器。同じく対要塞型の④⑥編成に比べると、OMFシューターという事もあって守備に手数を回せるというのが最大の強み。
     攻撃方針:CMFシュートバフと敵GKデバフを重ね、OMFの地上&ドリブルによる得点を狙う。シュートデバフを回避できるためデバフ型には特に強力。反面、全体的にドリブルは低めのため、DF強化型の相手には苦戦必至だろう。また、純粋にGKバフだけを敷き詰めた要塞型には火力面の不安が残るため交代枠にもCMFシュートバフと敵GKデバフを用意。
     守備方針:GKバフを重ねてGKで受け止める戦術。相手もOMFのシューターの場合を考慮してシュートデバフは除外。中央突破対策としてCB中央に14.5倍エリクシールを配置。特に要塞型のシューターは編成の関係上火力不足に陥りがちのため、アーク内からの完封も狙えるだろう。
     総合:仮想敵は①要塞型②DF強化型ではない…が主眼となる。仮に敵が要塞型では無かった場合でも、DF強化型以外なら十分に戦えるだけの攻守バランスを持ちダークホース的可能性を秘めている。これまでの大会で起用された実績も殆ど無いため、もし決勝で運用すれば注目の的間違いなし。実用性とエンタメ性を兼ね備えた最後の切り札。



     主力選手紹介

     さて、用意した7つの編成の中でも、特に中核となる選手を複数名ピックアップしよう。

    ・コロナ
     ドイツ生まれの金髪碧眼元気娘。言わずと知れたマイエンジェル。天真爛漫な性格と愛嬌溢れる無邪気な笑顔が何よりも可愛い、小動物感満載な少女である。天使かよ。一方で、時折見せる恋する乙女な一面も普段とのギャップで破壊力抜群。また、疲れたオーナーを心配してくれたり元気付けようとしてくれたりと、とっても健気で優しい一面も。やっぱり天使じゃないか。あと、身長は低いものの、実は意外とグラマラス。とらんじすたぐらまーってやつですよ、ええ。わしが育てた。
     ちなみに、チョコが代名詞なのにバレンタインorホワイトデー等のチョコが絡むイベントには一度も登場していない。どうことですかアメージングさん。あれですか、チョコ枠はまほろんで間に合ってるとかそういうアレですか。ファッ◯ューアメージング。あ、でもクラムカフェのコラボドリンクはとっても美味しかったです。そういえば東京の方でコラボしてたコロナのソーセージ盛り合わせ、遠くて食べに行けなかったので今度の帝都ではまた展開して下さい!オナシャス!!!
     少しずつ、淑女として(色んな部分が)成長を重ねており、恋心と親心の両方が宿った不思議な感情でこの地上に舞い降りた天使を筆者は日夜見守っている。可愛すぎかよ、結婚しよう。コロピューは正義。もっと増やして。新作水着はよ。
     当然ながら、優勝の暁にはこの少女の衣装を指名すると数年前から心に誓っている。ちなみに、指名衣装の候補は

     ①ネコ耳&尻尾+旧スクール水着(紺色)+ニーハイソックス(白)お尻強調衣装
     ②ベビードール(風の水着)ピンク色
     ③ウェディングビキニ・22歳大人成長ver

     …等々、多すぎて困っている程だ。いやもう全部着せたい。


     さて。
     今回の編成に於いては、本職であるLSBではなく守備的FWとしての起用が主眼となる。高いディフェンス力を活かして前線からのハイプレスの起点となるのが狙いだ。主に442CのCFと523のLWGでの活躍に期待したい。
     戦略、戦術の両面を考慮した結果、全ての編成に彼女を配置する事は叶わなかった。つまり、使用する編成や状況次第ではベンチ外という事もある。
     正直、悩んだ。愛する者と共に勝ち上がってこそ、という思いも、当然ある。
     だが、それはそれ、これはこれ。全ては勝利と、愛のため。
     愛故に、勝利のため、持てる手札と頭脳の中で最善手を尽くす。
     時には彼女を起用しない、という事が最善手の場合だってある。 
     それでも、その最善手を選ぶのが自分にとって正しい道なのだ。
     かつても、そうした。
     それが、闘いに赴く将の矜持だ。

    ・リディアーヌ
     説明不要、偉大なるロリマザコンの太陽にして百万戦百万勝の守護神。これまで出場した全ての公式戦でゴールマウスを護ってきた小さな大ベテラン。
     麗しく、そしてエゲツない13.5倍花嫁キャッチを手に入れた事でその慈愛溢れる包容力は更に増大した。当然ながら全ての編成に於いて守護神として君臨。


    ・熊田ミキ
     FW、MFならどこでもこなせ、ストライカーからサポート役まで何でもござれの千両役者。
     チームでは唯一の一万ゴール到達選手であり、長年エースストライカーとして共に闘ってきた相棒の一人。今回もほぼ全ての編成でストライカーとしての役割を託すことになる。
     主砲となるのは13.5倍ダイレクトだが、編成⑦の352Aに限り、ファーストチョイスである姫川あゆりの交代オプションとして14倍地上シュートとドリブルを装備。

    ・口口ロロロ
     左サイドを主戦場とし、その圧倒的な個の力で敵陣を蹂躙する【戦術ロロロ】。みんなのトラウマ。今回もほぼ全ての編成に配置し、左サイドの突破役として大幅の信頼を寄せる。

    ・姫川あゆり
     352AOMFシューターの最適解として選ばれた隠し玉。これまでの公式戦では一度も出場経験が無いため、もし編成⑦を採用となれば晴れて実戦デビューとなる。
     
    ・椿木あや
     現行唯一の縦ポジションマスター。長らくSビスキル面で不遇をかこっていたが、修正によりGKデバフという凶悪なステータスを手にし、ポジジョン適性も相まって一気に大化けを果たした。CF、OMF両方のシュートバフを持つため全ての編成で火力の底上げを担う。

    ・月影うらな
     椿木あやと双璧をなす元祖GKデバフ要員。こちらも大半の編成で活躍が期待される。

    ・レイルージュ&セラエノ
     後半限定ではあるが非常に強力なSビスキルを備える終盤のジョーカー。多くの編成で交代枠として控える。

    ・リリス
     MF、DFならどこでも守れ、個としては最高クラスの守備力を誇るオールラウンドディフェンダー。これまではSBやボランチでの出場がメインだったが、今回は442Cや523でスイーパー的役割を担当。

    ・時乃ゆか&宿星めぐる
     MFドリブルバフとGKバフを併せ持ち、ドリブラーとしてもボランチとしても無難に起用できる優秀なMF。攻撃特化型編成以外の全てに配置。

    ・鐘梨せり 
     敵シュートデバフと自GKバフを備える万能DF。抑え役としてほぼ全ての編成に配置。

    ・キャロル
     SMF強化とFWシュートデバフが魅力。特にパスバフが優秀なため、生パスが必至となるロロロとの相性は抜群。442C、451のボランチとして配置。



     
     以上が、今回の戦場に臨む陣容の概略である。



     己の、将としての技量はどこまで成長できただろうか。
     果たして、自分は眼前の猛者達を相手に勝てるのだろうか。

     いや、勝ってみせよう。
     
     己と、そして我が自慢の選手達を信じよう。
     信じた先に、勝利の女神は微笑みをたたえて待っているだろう。

     叶わなかった夢を、今度こそ掴み取ろう。
     そして、かつて屈した、あの高い壁を越えてみせよう。

     そんな想いを、胸に秘めながら。
     

     まずは、如何にして眼前の予選を突破するか。
     相手が選ぶであろう戦術は何か。
     それを潰し、上回るための最適解は何か。
     考えれば考えるほど、胸の奥がずしりと重くなる。
     悩めば悩むほど、胃が締め上げられるような気分に襲われる。
     

     それでも。
     そんな感覚すらも、愉悦だった。

     今この場所で、この瞬間にしか味わうことのできない、闘争の苦悩と悦び、そして高揚感。
     それを、心ゆくまで堪能しようでないか。

     自然と、笑みがこぼれた。

     楽しもう。

     賽は投げられた。 

     あとは、運を天に任せるのみ。

     

     開戦の刻は、目前に迫っていた。

     
    ~軍略編・完~

  • ある敗北者の記録~びびび夏の陣2019道中記~③出陣編

    2019-07-19 13:30


    【第5部】2019.7.13~ヤツの名は~

    『これはファッションのようなもので、プロパガンダと言ってもいい』~存在意義を問われた男の答え~


     凄惨な事件の後。がちゃ氏に荷物を預け、時刻を確認する。AM11:50。大会の入場はPM01:00。まだ、小一時間程度ある。さて、これからどうしようかと考えている中、【コロナー四天王】福田某氏も合流。言わずと知れた我が同志。『コロナーに悪人無し』を体現するかのような、穏やかな御仁である。ここに、筆者、がちゃ氏、白いの、ホープくん、ヒロカズ氏、福田氏の5人+1匹の軍団が結成された。
     
    一同『とりあえず移動しようか』
       
     男達は、歩き出した。
     軍団の先陣は、白いの。
     群衆を掻き分け、肩で風を切って悠然と突き進む。その頼もしい背中を見つめながら、問いかけた。

    ぼく「で、どこに向かってるの?」
    白いの「わかんない…(´・ω・`)」
    ぼく「…」 


     結局、一行が辿り着いたのは、本日二度目となるコメダ珈琲なんばCITY店。やはりセーフハウス。しかし、正午という事もあってか先程以上にごった返している。

     Oh Baby、人の群れが同じ顔で通り過ぎて行く。

     ダメ元で入店すると、何とか四人席は確保できた。福田氏とヒロカズ氏は店員に持ってきてもらった椅子に着席。なんと、ヒロカズ氏の椅子のみ、肘掛けつきの豪華なやつ。何という格差社会。そこに鎮座する氏の姿は、王者の風格があった。
     注文したホットコーヒーを啜りながら、皆で談笑。ここで、がちゃ氏がおもむろにスマホの画面をテーブル中央に提示。

    がちゃ氏「引いてください!」

     イレブンスカウトに絶賛登場中の…もとい、小花衣みすずが狙いのようだが中々に苦戦しているらしい。ふと、チケットを見やると、160枚。あっ…(察し)
     最終的に、氏は筆者を始めとする戦友達の結束の甲斐あってか、40連で見事みすずを獲得する事ができた。天井があるって最高だね!

     そうこうしている内に、いよいよ、出陣の刻は迫っていた。

    一同『そろそろ行こうか』
     
     会計を済ませ、外へ出る。今度は、伝達を間違えなかった。同じ過ちは、二度と繰り返さない。偉いでしょ、褒めて。

     PM12:55。一行は再び、決戦の地へと辿り着いた。そして、凱旋するかの如く堂々と階段を上がって行く。既に、多くのオーナーが階段に並んでいた。皆、先程までの温和な表情は消え失せ、戦に赴く武人の瞳を宿している。


     時、来たれり。

     踊り場の開けたスペースに向かい、バッグを降ろし中身を取り出す。


     かの名選手、パウロ・ディバラは言った。

    『人は困難に立ち向かう時、より強くなるため、戦士の仮面を身に着けなければならないこともある。笑顔と優しさは、失わずに』

     と。

     今が、その時だった。

     かつて。
     拳と共に駆け抜けながら、栄光を目前にして愛に惑い、厳寒に散った者がいた。
     ある夏の日。死線を潜り抜けた先に、待ち構えていた師。その師を前に、為す術もなく敗れ去った者がいた。
     再び訪れた冬。古き王を侮り、己の拳を過信し、傲慢の海に溺れた者がいた。
     
     散っていった者達。その怨嗟は、亡霊となって未だ現世を漂っている。
     そして。
     その亡霊は時を経て、再び器へと宿り、動き出す。
     脳内に、声が響き渡る。

    『見せてもらおうか…新しい仮面の性能とやらを』

     その声に頷きながら、ポツリと呟く。


    「変身…」



    群衆『良い子は見ちゃダメだぞー!』
     

     
    そんな声を背に受けながら。
     視界が、一気に狭まる。そして、身体が重くなるのを感じる。
     この重みは、背負った責務の所為だけではない。
     多分、物理的な原因が主だろう。頭部の。

     まあそれはそれとして。


    「出陣だ…!」


     征こう。
     愛する少女のため。
     今一度あの舞台へと返り咲くため。
     宿敵との闘争を愉しむため。
     故郷に眠る同胞達に勝利を捧げるため。


     そして。
     多くの仮面が無駄死にで無かった事の証の為に。
     再びコロナーの理想を掲げる為に。
     衣装指名権、獲得の為に。


     陣よ!私は帰って来た!!


     
     冥府より舞い戻りし闇の戦士が、姿を現した。


     祝え。
     仮面の力を受け継ぎ、時空を超え、拳と煽りをしろしめすネタ枠の王者。
     その名も…




    【第6部】2019.7.13~英雄、集結~

     PM01:00。再び、門が拓かれた。エントリー受付の開始である。受付のスタッフに名前を告げると、しばしの沈黙のあと、何故か半笑いで卓を告げられた失礼なヤツだ。その後、入場料代わりのドリンクチケット(¥700)を購入。辺りを見渡しながら、自分が向かうべき予選卓を探し求める。告げられた場所は、A卓。会場の最奥には決勝用の卓。A卓は、その手前に在った。座席に向かうと、既に先客が一人。「どうも」と軽く挨拶をする。先客はこちらに視線を向けると、困惑の表情を浮かべた。というか、顔が若干引きつっている。何故だ。失礼なヤツだ。気を取り直し、床にバッグを降ろし、そして卓上に必要な道具を並べ始める。無言で。

     あらかたの準備を終え、ドリンクチケットを握りしめながら席を立つ。目指す先は当然、バーカウンター。実のところ、早朝のバス乗り場で缶ビールを飲んで以来、一滴たりともアルコールを摂取していないのである。口の渇きと、手の震えを感じながら、足早に進む。メニューを一瞥し、チケットと引き換えに、コークハイを入手。意気揚々と座席に戻り、まずは、一杯。ごくり、と久しぶりの感触が、喉を伝う、まさに、至福の一時。これだよ、これ。

     杯を傾けながら、卓上の中央にある成績記入表を眺める。己の名前に続き、『天宮ユウキ』『タケルGT』『オレンジ』の名前。いずれも、Twitterで目にした事のある名前ばかりだった。なんと言っても【ガンギマリDT】タケルGT。アリス推しで有名な、我が後輩。昔は筆者に仔犬のように懐いていたのに、最近はやたら扱いがぞんざいである。反抗期か。泣くぞ。どこぞの悪いオッサン連中の影響を受けたのだろう。嘆かわしい。しかし、いつか決勝で闘おうと誓いあった仲でもある。アリス同様、憎めないツンデレちゃんである。多分。その後輩と、よもや予選で早々に潰し合う事となるとは。ああ、なんという運命の悪戯か。
     しかし、今回は各予選卓の首位通過枠10名に加え、ワイルドカード枠6名計16名で決勝トーナメントを行う。つまり、仮に予選で首位になれなかったとしても、勝ち点や得失点差次第では決勝に上がれるチャンスは十分にある。自分とDTが共に決勝へと進む未来も、ひょっとすると夢ではないかも知れない。そう考えると、DTと同卓も捨てたもんじゃないと思った。DT捨てないで。仮に両者が決勝トーナメントに進出したとしても、互いに相見える事なく敗退する可能性も高いのだ。であれば、確実に当たるこの予選でまず雌雄を決するのも悪くない。ヤツと一度は、真剣勝負の舞台で己の全身全霊を賭けて闘いたい。そんな想いは、常にあった。それが、これから叶う。そう思うと、胸がときめいた。タケちゃん、早く来て。飼い主を待つ忠犬の気分で、DTの到来を待った。

     こちらに向かってくる人影が、一つ。しかし、現れたのはDTでは無かった。右隣りに座ったこの御仁も、見知らぬ顔。つまり正面と右隣。この二人が、天宮氏とオレンジ氏なのだろう。改めて、正面の男性を見据える。身に纏うは、オレンジ一色に染まったTシャツ。予選表に書かれた名を確認し、再度、正面に向き直る。なるほど、と感嘆の声を上げた。このオレンジTシャツを着た御仁こそが、オレンジ氏であろう。名は体を表す、とはよく言ったものだ。なるほど、オレンジだから、オレンジT
    。まさしく、その名に恥じぬオレンジっぷりである。見事なり、オレンジ氏。心の中で、拍手喝采を送った。そして、右隣の御仁が、天宮氏なのだろう。一人頷きながら、残ったコークハイを一気に飲み干し、再びバーカウンターへ向かった。
     まだまだ、酒が足りぬ。財布から500円玉を取り出し、台の上に放り投げる。

    「芋焼酎、ロックで」

     したり顔でマスターに告げ、そして、新たな杯を受け取った。卓に戻ると、オレンジ・天宮両氏が名札に自身の名を記入している姿が目に写った。座席に座り、芋焼酎を3分の1ほど胃に流し込んでから、自分の名札を取り出し、名前を書き殴り首へと吊るす。ふと、両氏の名札に目をやった。
     正面の、オレンジTのオレンジ氏の名札に書かれた文字は『天宮ユウキ』。その文字に妙な違和感を覚え、一度視線を外す。今度は、右隣の御仁の名札を横目で見る。書かれた文字は、『オレンジ』。

     思わず、首をひねる。
     そして再度、正面を見据える。『天宮ユウキ』
     次に、右隣に目を遣る。『オレンジ』  
     繰り返すこと、3回。
     ここに来てようやく、己がとんでもない勘違いをしていたことに気が付いた。
     残った芋焼酎をぐい、と飲み干し、ガタン、と杯を卓に叩きつける。

     瞑目し、天を仰ぎながらポツリと呟いた。

    「詐欺やん…」


     力無くうなだれながらカウンターに向かい、再度、芋のロックを注文する。ふらふらとした足取りで卓へと戻り、酒盛りに没頭した。過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ。そう、自分に言い聞かせながら。

     待ち人は、未だ、現れない。まだか。さながら、デートを待ちわびる乙女のような心境だった。
     
     不意に、気配を感じた。会場の中央を眺めると、入り口の方から、見慣れた人影。あれは、まさか。胸の鼓動が、一気に高鳴る。その男は、きょろきょろと、周り眺めている。自分の向かうべき卓を探しているのだろう。やがて、人混みをかき分けながら、こちらへと向かってきた。
     そして、(仮面越しに)互いの目が、逢う。
     (見えてないだろうが)満面の笑みで、DTを真っ直ぐに見詰める。
     DTが、一瞬固まる。
     刹那。手で顔を覆いながら、DTは嘆息した。

     
     これでもかというくらいに嫌そうな顔をしながら、DTはのこのこと左隣に着席する。

    DT『マジかよ…』

     そんな顔しないでよ、泣くぞ。
     
     気を取り直して、DTの肩に手を掛けながら話しかける。

    私「まあまあ。一緒に頑張ろうぜ❤」
    DT「…うわっ!酒臭ッ!!」
    私「……(´;ω;`)」

     
     悲しみにくれながら、そういえば、と思い決勝卓へと目を向ける。卓上には、既に各予選卓とワイルドカード①~⑥の文字が記入された札が置かれている。恐らくは、この並び通りに決勝進出者達が闘うことになるのだろう。決勝卓は左右ABの2ブロックに分かれていた。正面からみて左手、Aブロックと書かれた卓に、Aグループの札を見付けた。隣には、Iグループの札。つまり、仮に自分がこのAグループを首位通過した場合、決勝トーナメント初戦で当たるのは、Iグループの首位。最も、Iグループ卓の所在もメンバーも未だ不明の状況だった。どちらにしても、全力で闘い、勝つのみだ。

     そんな事を考えながら芋焼酎を流し込んでいると、不意に、とんとん、と後ろから肩を叩かれる。
     振り返ると、そこには。
     見慣れた、六連星のロゴが入った青いTシャツを着込んだ人物が佇んでいた。

     相変わらずスバルの回し者か、この野郎。心の中で、悪態をつく。
     そして、その青いのはゆっくりと口を開く。
     この世のものとは思えぬほどの邪悪な笑みを浮かべながら。

    青いの「ねぇねぇ、俺何グループだと思う?」

     嫌な予感が、全身を駆け巡った。
     冷や汗が、頬を伝うのを感じる。
     それでも、平静を装いながら、聞き返す。

    私「いや、知りませんよ。で、何処ですか」

     杞憂であってくれ。
     そう、心の中で念じる。
     しかし。

    青いの「知りたい~?あそこだよ~」
     
     にっこりと微笑みながら、奥を指差す。その指の向かう先へと、視線を向ける。
     卓上に置かれた札を、視界に捉えた。
     それを見て、思わず、目を見開く。
     
     ガタリ、と勢いよく席を立ち上がり、その卓に向けて、突き進んだ。
     そして。
     卓上の札を、勢いよく持ち上げ、食い入るように見つめた。


     そこに書かれた、文字は。


    『Iグループ』


     絶望のあまり、天を仰いだ。


    「またしても六連星かッ!!」



     時刻は、PM01:15。

     予選開始は、PM01:30。
     
     まもなく、戦が始まる


    ~出陣編・完~