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東方WITH A MISSION~狼達が幻想入り~ MISSION6 鬼vs狼
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東方WITH A MISSION~狼達が幻想入り~ MISSION6 鬼vs狼

2015-08-23 00:42
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 こいしについていく形で、タナ輩は「旧灼熱地獄跡」の「旧都」と呼ばれる集落を歩いていた。
 他愛のない一方的な会話が続く中、一軒の飲み屋だろうか、一際賑やかというよりかは少々騒がしい店があった。気になり、立ち止まって遠目にのぞいてみると、額から一本の角を生やした女性を中心に、酒に飲まれた屍達が積み重なるように横たわっていた。女性の隣には二人の女性が座っていたが、その表情は酔いつぶれた者たちへの憐みと、屍達への呆れが混ざり、何とも言えない表情がはっきりと見える。

「あ、勇義だ! ヤマメとパルスィもいる―」

 こいしが無邪気に手を振ると、三人が一斉にこちらを見て二人の女性が手を振り返した。中央に座っていた角の女性がこちらをまじまじと見ると、いきなり立ち上がりずかずかとこちらに近づいてきた。

「へえ、こいしが男を連れてくるなんて珍しいこともあるんだねえ」

 近づいてきた角の女性からはアルコール臭が漂ってきたが、酔い方を見るにほろ酔い程度の様だ。上気した顔がやたらと色っぽい。否、エロい。

「ああ、自己紹介が遅れたね、あたしは勇義、“星熊勇義”っていうんだ。よろしくな。あんた、名前はなんて言うんだい?」
「この人は“トーキョー・タナカ”っていうんだよ」

 発音が出来ない自分の代わりに、こいしに名乗ってもらう。

「へえ、タナカっていうのか、なあタナカ、どうだい、あたしとひと勝負してみないかい」

 突飛な発言に耳を疑ったが、勇義はまじめなようだ、勝負と言っても何をするのだろう。飲み比べるにしても酒豪と言うほど酒に強くはない。しかし、勝負しようと言われ真っ向から挑まないのは失礼にあたる。はて、どうしたものか。逡巡していると相手から提案が出された。

「そこまで考え込まなくてもいいよ、あんたの得意な分野で構わないよあたしは」

 そこまで言うなら、パワーファイトをしよう、ボディーランゲージで提案すると勇義も快く受け入れてくれたようだが、大きく笑い出してしまった。何かおかしな動きでもしただろうか、一瞬疑問に思ったが杞憂となった。

「いや、まさかあんたも力比べが得意だったとわね、いいよ、のった!!」

 どうやら勇義もパワーファイターの様だ。いつの間にか勇義の後ろに立って話を聞いていたヤマメとパルスィは、方や明らかに自分を心配するような、方やこいつはアホなのかと呆れるような、まるで既に勝負が決まっているかのような雰囲気だった。そんな態度を取られては燃えてしまう。闘争心をむき出しにして、押し合いをするポーズをとる。

「おっ、さっそくやるのかい? そうこなくっちゃね!」

 勇義はかなり乗り気で同じように構えた。互いに手を取り合い、ヤマメ達が離れると、合図もなしにほぼ同じタイミングで力が入る。共に全力で力んだからか、周囲に風が起こる。押しつ押されつ、とはならずに数分ほど硬直状態が続いた。互いに一歩も譲らず、勇義は額に筋を走らせた。かなり熱く燃えているようだ。対するタナパイも歯を食いしばり、口からは涎が一筋垂れていた。
 更に硬直状態が続く中、互いに闘気で上気し、その足元には鬼と狼の汗で水溜りが出来ていた。こいしが暢気に感嘆の声を上げていたが、対するパルスィとヤマメは初めて勇義と互角に戦う者を見たのか、息をのんでいた。そして当事者の勇義とタナパイは、しゃべる余裕も無く殊更に強く歯を食いしばる。畳みかけようとするが、偶々力量が互角なためか、互いにそれを許さない。
 滝の様に両者から滴り落ちる汗が、その戦いの壮絶さを静かに語っていた。一分が、一秒が、悠久の時の様にさえ感じてしまうような、息をすることさえ忘れてしまいそうになる中、更に数分の時が流れ、勝負の行方は音も無く訪れた。
 足元にたまっていた汗の水溜りが、土で出来た道を泥に変えてしまったため、互いに足を滑らせ仲良く顔から地面に倒れこむ形で決着がついた。
 共にゆっくりと体を起こし顔を合わせると、二人?の間で大きな笑いが生まれた。

「いやあ、まさかあたしと互角にやり合う奴が出てくるとはねえ、気に入った!!」

 互いに互角の勝負が出来たのが嬉しかったのか、鬼と狼はガッチリと硬い握手を交わした。

「初対面のくせにあんなに勇義と仲良くするなんて、妬ましい」
「勇義と力比べで互角に戦う奴なんて初めて見た……」

 ヤマメは勝負の結果に唖然とし、パルスィは勝負の行方よりも、勇義とどこの馬の骨ともわからぬ妖怪?が仲良くしていることが気に食わないようだ。  

「タナカすごーい! 勇義と互角だなんて、大概の人は勝負にもならないのに」

 無邪気にはしゃぐこいしに向かって、タナパイは震える腕でサムズアップのポーズをとった。それに対しこいしも元気よく同じようにサムズアップをした。

「そう言えばあんたこいしと一緒にいるってことは地霊殿に行くのかい?」

 勇義に聞かれた質問に対しタナパイは頷いた。

「そっか、確かにあそこなら喋れなくても大丈夫だな、またなんか会った時はよろしくな、タナカ!」

 そう言うと勇義はタナパイの頭をワシャワシャと撫でまわした。力強く優しいその撫で方は心地よく、もっと撫でて欲しくなる。タナパイは勇義にもっと撫でまわしてくれと言わんばかりに近づいた。

「なんだ、もっと撫でて欲しいのか、可愛い奴だなあ、お前!」

 対する勇義も満更でもないようで、更に撫でまわす。

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……」
「チョッ、パルスィ血涙出てるよ! そんなにうらやましいならパルスィも行けばいのに、素直じゃないんだから……」
「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……」

to be NEXT MISSION!!


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最近仕事終わりに心臓辺りがキュッてなる。
70ヶ月前
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