東方WITH A MISSION~狼達が幻想入り~ MISSION8 悟り少女と狼男
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東方WITH A MISSION~狼達が幻想入り~ MISSION8 悟り少女と狼男

2015-11-10 23:48
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 こいしの後ろをついていく形で地霊殿の中を歩いて行く。外から見ても分かっていたが、かなり大きな屋敷だ。案内が無ければ絶対に迷ってしまうだろう。迷子、ダメ、絶対。
 見慣れぬ雰囲気の洋館を、右へ左へと視線を泳がせているうちに、こいしが目的と思われる部屋の前で立ち止まった。どうやらこの両開きの扉の向こうに「さとり」というこいしの姉がいるようだ。
 どのような人物なのだろうと逡巡しようとしたら、こいしが勢いよくドアを開け放った。こちらの気持ちはお構いなしの様だ。

「お姉ちゃーん! さっきぶり! 会いたかったよ―!」
「お帰りなさい、こいし。お出かけはもういいの?」
「うん、面白そうなの見つけてきたから連れてきたの!」
「面白そうなの?」

 怪訝な表情をしながら、こちらに視線を向けたお姉ちゃんと呼ばれた少女は、狼頭人身の妖怪? の姿を見た瞬間、その小さな口をポカンとさせた。

「え?」

 その少女から発せられる雰囲気は、何だこいつとでも言わんばかりの、何とも言えない気まずい雰囲気だった。こちらとしても本当に気まずい。こいしだけが何があったのか分からないようで、二人を見比べながらキョトンとしていた。

「どうしたの? 二人とも?」

 こいしの一言が切っ掛けになってくれたおかげか、唖然としていた少女はハッとし、軽く咳払いをして姿勢を正した。

「失礼しました。ようこそ地霊殿へ、此処の主を務めています古明地さとりです」

 こいしの鶴の一声で正気に戻った少女は、ようやく自己紹介をしてくれた。もしかしなくてもこの少女がさとりで間違いないようだ。こいしと違って、こちらの少女の胸元に浮かんでいる目は、見開いているようだ。

「サードアイが気になりますか。この目で見ると相手の考えていることが手に取るように分かるんですよ」

 驚いた。どうやらこの少女の前では、こちらの考えていることが全て筒抜けの様だ。だが通訳を通したり紙に書かなくてもいい分、意思の疎通がかなり楽だ。このまま自己紹介もしてしまおう。

「ふむ、トーキョー・タナカというのですか、変わった名前ですね。そして空間の裂け目に飲みこまれたと思ったら、外の世界からこちらに来ていたと、なるほど、では紫のスキマが原因で幻想入りしたようですね。全く、あのスキマ妖怪ときたら、まあそれはともかく、これからよろしくですね、その様子ですと幻想郷でのあてはなさそうですし、館の空いている部屋を使って構いませんので、しばらくはこちらに泊まってはいかがでしょうか」

 自己紹介とこちらに来た経緯を伝えると、すぐに原因を伝えてくれた、「紫」という人がこちら側へ連れてきたようだ。それだけではなく、寝床の提供までしてくれるとは思いもしなかった。感謝の意を伝えるとさとりは微笑んでいた。

「良いんですよこのくらい。そうと決まればまずはお風呂ですね。泥だらけですもの、まずはお風呂で体を綺麗にしてください。ここまで来る道中で泥まみれになるようなところなんて、無いはずなんですけどね」
「タナカは此処に来る途中勇義と力比べしてたんだよ、お姉ちゃん」
「えっ、あの勇義と!?」

 そういえばあの時から泥だらけになっていたのを思い出した。全力を出して互角の勝負をしたのが記憶に新しい。

「しかも勇義と互角ですか……、恐ろしい怪力の持ち主ですね……、では疲労回復も兼ねて、尚更お風呂に入った方がよさそうですね、その後はタナカさんの事を色々と教えてくださいね」

 色々と言われて、一瞬ピンク色な方向に考えがシフトしてしまったが、おそらく外の世界で何をしていたのかを色々と聞かれるのだろう。だがとりあえずはお風呂で汚れを落とそう。話はそれからだ。

 アオーン!

 お風呂で汚れを落とし、体も綺麗に洗い、体の芯まで温まった。後は酒でもあれば最高だろうが、客として招かれている以上ワガママはいけない。いくら人間ではないとはいえ、そこら辺はわきまえている。
 汚れた服はお空が選択してくれるらしい、なんでも炊事と洗濯はお空の役割だそうだ。掃除に関してはお燐が行っているらしい。何から何までいたせりつくせりだ。アー写以外で和服を着るのも初めてだ。後でお礼を言っておこう。
 入浴後、言われた通り、“色々と”話をするためにさとりの部屋へと向かった。

「お湯加減はいかがでしたか?」

 さとりに言われ、サムズアップで最高だった事を伝えると、少女は微笑んだ。

「気に入っていただけて何よりです。後、伝え忘れていましたが此処に住んでいる者たちはあなたよりずっと年上ですよ。少女と思ってくれているのは嬉しいですが、取り合えず伝えておきますね」

 衝撃を受けた。否、衝撃なんてものではない。タナ輩自身WW2以前から生きてはいるが、それでも自分よりずっと年上の存在など、それこそ植物以外で出会ったことが無いからだ。

「驚き過ぎですよ……、まあそれはともかく、入浴前に言ったこと、覚えてますよね?」

 そうだった。年齢のことで飛びかけていた。確か、外の世界で何をしていたのか、聞きたいということだった。しかし、今更になって、なぜ自分の事を聞きたいと言うのか疑問に思った。

「そりゃ気になりますよ、外の世界から来た外来人が妖怪だなんて。しかも勇義さんに匹敵するほどの力の持ち主ですよ?気にならないはずがありません」

 なるほど、どうやら妖怪だと思われていたようだ。だが自分は妖怪ではなく、造られた存在だということを伝えた。

「造られた存在? どう言うことですか?」

 そこからタナ輩は、自身が造られたエレクトリックレディーランドのこと、他に仲間が4匹いること、そして生みの親であるジミー・ヘンドリックス博士のことを伝えた。そして、世界の歴史の裏で暗躍させ続けられてきたことや、勝手に皆で悪さしたこと、それがジミーに罪の意識を芽生えさせ悲しませてしまったこと、ジミーの命と引き換えに南極に封印されたこと、最後に、現在のMAN WITH A MISSIONのこと。全てを伝えた。伝え終わるころには、さとりの顔は苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。

「非常に辛い思いをしてきたんですね、途中、全く同情できないところもありましたが、何が悪で何が善なのか、それらを知るころには、もうすでに手遅れだったということですか」

 やはり過去の話をすると誰もが重苦しい顔をする。重い話しかないから当然なのだが、ジャンケンが生放送でジミーの話を振られて、スタジオが重苦しい雰囲気になったのを思い出す。

「それでも、今は5匹で楽しく活動しているのですね、強いです」

 苦虫を噛み潰した様な顔と打って変わって、今度は優しく温かい笑みを浮かべた。明るい顔の方が似合うと思った途端、さとりの顔が若干赤くなった。

「ありがとうございます」

 どうやら、伝わってしまったようだ。
 タナ輩はふと、ジミーの遺言を思い出した。

『次に生まれ変わったらストレートパーマもかけてみよう』

「なんですか? それ?」

 途端にさとりの顔が怪訝な表情になった。なぜジミーの遺言を今になって思い出したのか、全くの謎だ。


TANAKA side MISSION COMPLETE... to be NEXT MISSION!!


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さーて、ベンガルの槍騎兵でも見るかな
57ヶ月前
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