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  • 「グレイッシュメロディ(水樹和佳子著)」

    2021-06-14 19:001時間前


    ・水樹和佳子さんは主にSF作品を手掛けて「伝説」「イティハーサ」で星雲賞を二度受賞した漫画家さんだったけど、諸事情で漫画家を事実上引退して今は別の仕事をされている。
     この作品は一度姿を消してから5年後にポツンと出版された、今のところたぶん最後の単行本だと思う。
     今は電子書籍で私の知らない作品集が出たりもしている様子なので、もしかしたら最後ではないのかもだけど、ネット上にきちんとした作品・出版リストが見つからないのでよくわからない。
     ご本人の漫画家時代のHPは今も残っているけど最終更新は2002年のまま。この本は2006年に出たけど特にHP上で紹介はされなかった。
     あとがきを見ると旧知の編集者がもう一度描きましょうよ、みたいに気長に口説いて日の目をみたようなことが書いてある。

    1.POPO
     13歳の少年が一応の主人公で、彼には弱い霊感がある。つまり霊が見える。彼には職業不詳の父親がいて、イケメンで細身だが身体は鍛えていてテレビや映画関係の仕事だと言っているのだが一度も作品を見たことが無いので、これはウソだろうと思っている。
     その割には収入はあるようで、仕事の電話の応対を聞いていると仕事してやってるみたいに態度がでかい。このあたりで思春期の少年は父親はおそらくいかがわしいけどよく売れるタイプの映像作品に出ていてそちらで売れっ子なのだろうと推理していて、その手のものにクラスメートが関心を持っても自分は近付かないようにしている。
     そんなわけで父親はどこに行くとも言わず自称仕事で長期間家を空けることも多く、母親は理由がよくわからないけど失踪して行方不明。そこでわりと大き目な家に父子で二人暮らし。買い物や料理など家事は中学生の少年がやらざるを得なくなっている。

     ある日酔っ払った父親が犬と女の子の幽霊と、主人公と同じような年頃の家出少年を拾ってくる。どこでどんないきさつだったかよく覚えていないらしい。女の子の幽霊は犬にくっついている様子。この犬を家出少年が拾って、その子が悪者にからまれていたのを助けてやったらしいのだが。

     少年は父親と一緒に女の子の幽霊を成仏させてやろうと、家出少年が犬を拾った場所に行ってみるのだが・・・
     父親は警察から不動産屋まで知り合いが多く、いろいろと顔が効く様子。

     子供の幽霊は持っているエネルギ―が多い。未来がたくさんつまっているから。成仏するときにはそのエネルギーをこの世に置いていく。何かに姿を変えて。

    2.サブ男につける薬
     主人公の少年は七年前にこの街に引っ越してきたらしい。父親は昔は警察官だった様子だが妻の家出を機に退職したらしい。その後映像業界に転職と本人は言うのだがまったく見かけない。家出少年は居ついてしまった様子でいつのまにか少年以上に父親の情報を引き出している。スタントマンなんでしょ、と聞いたが違うと言われたらしい。
     そこに父親が君のご両親と連絡がついたよ、引き取りにくるそうだと言ってくる。家出少年と書いたけど実は女の子だった。だが迎えに来たのは母親ではなく、代理人と称するキツイ女性。母親は心労で入院中で、代理人女性は母親がバレエ団にいた時の先輩らしい。
     家出少女はけっこう有名な俳優の娘だったとかでその俳優は父親とは面識があった様子。だがその俳優は昨年事故死していて、母親というのは亡くなる半年くらい前に結婚した若手女優で、その俳優にこんな大きな子供がいることは非公表だったとか。義母となった母親は少女に才能があるといってアイドルとしてデビューさせようと奔走していたらしい。

     そんなこんなで家出少女は出ていく。変装を解くとけっこう美人で、モデルもやっていたという。だが代理人が家出少女を連れていくと、母親が病院から姿を消したと騒ぎになっている。連絡を受けた父親は出かけて行って、母親の行方を捜すことになる。
     この件を通じて、主人公の母親が何故いなくなったのか、父親の仕事が本当は何かも聞かされることになる。

    ・苦手なもの
     4ページのオマケ漫画。父親の弱みをつかもうと、警察官時代の後輩だった交番のおまわりさんに話を聞きに行く息子の話。すると父の一番の弱点は自分だとわかる。


     

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  • 「仏教と神道(ひろさちや著)」第Ⅰ部民族宗教と世界宗教

    2021-06-13 19:00


    ・Q&A方式で仏教と神道の違いを簡単に解説した本。

    Q1 仏教と神道の根本的な違いは何ですか
     神道は特定の民族や国民だけが奉じている宗教で血縁や地縁とのつながりが強い。特定の教祖はおらず自然発生的に成立。個人救済よりも共同体の利益を優先し教理よりも祭祀・儀礼を重視。政治的・軍事的支配者が同時に宗教的支配者でもある、などの特徴を持ち、宗教学上は民族宗教というグループに分類される。
     一方で仏教は民族の枠を超えて世界的に広がっており、救済の対象は個人で現実世界よりもそれを超えた別の世界を考える。こちらを世界宗教と呼び、キリスト教、仏教、イスラム教のみが純然たる世界宗教と呼ばれる。
     学者によっては儒教やヒンズー教、ユダヤ教なども含めるが著者は反対とのこと。

     ひと言で言えば神道は現世での利益、仏教はあの世での利益を求めるみたいな。
    神道は古来日本の伝統宗教だが仏教は外来宗教だという違いもある。

    Q2 では、仏教はどんな宗教ですか。
     真理に目覚めた人を意味する仏陀の教えが仏教であり、最初の仏陀が釈迦である。お釈迦様とか釈尊とも呼ばれる。では釈迦教でもいいような気もするが、仏陀はお釈迦様一人ではないので全ての仏陀の意味をこめて仏教となる。仏教徒は誰でも仏陀になることが期待されてもいて、仏教には「仏陀の教え」「仏陀になるための教え」二つの意味が含まれてくる。
     本来の発生時点の仏教と現在の日本仏教には違いも大きい。オリジナルの仏教では人生の「苦」である老・病・死をどう解決すればよいかを考えて執着を捨てる境地に達すればいいのだみたいな考えに到る。
     日本仏教では自力でその境地に達することができる、自力本願出来る人だけではなく人の助けを借りないと達せない人も対象としている。
     阿弥陀仏という仏さまがそうしたものに力を貸してやろうと願を立て、浄土と呼ばれる自分の領地みたいなを西の方に持っている。
     自分に帰依して祈れば来世はその浄土に生まれて、そこで思う存分修行を積んで仏にしてやろう、だから南無阿弥陀仏と唱えなさい、というのが他力本願のやり方ということになる。
     南無は「帰依する」という意味なので南無阿弥陀仏で阿弥陀仏に帰依いたしますのでお救いくださいみたいな意味になり、南無阿弥陀仏と唱えることが「念仏」だという。
     浄土に生まれ変わってからは自分で修業をしなければならないので、すべて人任せという意味ではないのだが、日常的に他力本願をそうした無責任な態度であると誤解されている。
     自力にせよ他力にせよ、仏教は信者本人が仏になるための教えということになる。

     大学入試に例えるなら浄土という大学に独学で合格しようとするのが自力本願で、阿弥陀様という家庭教師について合格を目指すのが他力本願みたいな感じかな。
     でもいずれにしても合格・入学してからの勉強・修行は自分でしないといけない。

    Q3 神道は、いったいどのような宗教ですか。
     神道は日本独特の宗教で、事実上日本人しか信者になれない排他性を持っている。逆に言えば日本人であれば場合によっては好まなくとも信者として扱われてしまう。これは信仰表明と必ずしもマッチしない。
     神道の形成は、古代日本に本格的に仏教が入って来た時といえる。それまでは単なる習俗・慣習でしかなかったが仏教伝来で活性化、体系化された。
     やがて仏教が日本に同化されると神道・仏教の対立も収まって神道はまた単なる習俗に戻る。何らかの原因で仏教が外来のものだと強く意識されるとまた活性化される。幕末から明治維新にかけての廃仏毀釈のように。
     日本の神道は教義よりも祭祀優先のところがあって、祭祀は習俗となって一般家庭にも溶け込んでいる。
     特別なものとして宮中の祭祀があるが、本来はこちらが神道の根幹である。
     明治以降は教義の神道とでもいうべきものが出て来る。黒住教、天理教、金光教といった、教祖に近い創唱者を持って独自の教えを布教する。

     それでも神道の底流にあるのは祭祀だという。

    Q4 仏教と神道のあいだに、宗教戦争といったものがありましたか。
     仏教が伝来したと言われるのは六世紀半ばの欽明天皇の時代。百済から伝わった仏教を受け入れるかどうかを天皇が群臣に尋ねると諾否意見が分かれ、とりあえず蘇我氏が伝来の仏像を受け取って試してみることになる。だが疫病の流行が仏教のせいにされたりして弾圧を受け、しばらくしてまた仏像が渡ってくる。また疫病が流行り仏像が焼かれるが、それでも疫病が広がる一方だったのでこれは仏教を粗末にしたタタリと言われるようになり、仏教がここで根付いていく。やがて聖徳太子が出て仏教の位置付けが安定し、仏教と神道は融合していく。
     江戸時代は国教同然の位置にあったが明治新政府は神道を仏教の上に置く方針を決めていわゆる廃仏毀釈を行う。そのため全国で寺や仏像が焼かれたりする。これは江戸時代に仏教が権威を持ちすぎて民衆を抑圧する存在になってしまっていた反動もあったらしい。
     だがあまり仏教の力を弱めるとキリスト教の影響が大きくなるすぎることに気付いた明治政府が一転して仏教と神道が協力するような政策をとるようになって廃仏毀釈運動も沈静化したという。

    ※山岸涼子さんの「日出処の天子」で神道の物部守屋と仏教の蘇我馬子が戦うことになったシーンは印象に残っている。手塚治虫さんの火の鳥太陽編では仏教神道の戦いの裏で、大陸からやってきた妖怪と日本妖怪が争うような感じになっていた。

    Q5 仏教のおもな宗派と、その性格を解説してください。
     分類すると以下のような分け方がある。
     A 大乗仏教・小乗仏教
      出家しなければならぬという小乗と在野でもよいという大乗。日本仏教は大乗が基本。
     B 顕教・密教
      宇宙そのものである大日如来の教えを仲介者である釈迦を通して聞くのが顕教、
      仲介無しで直接聞くのが密教。
     C 自力仏教・他力仏教
      自分の力だけで修業して仏になる自力仏教と、仏の力を借りて一度浄土に生まれ変わって
      そこで修行して仏になろうとする他力仏教。この時力を貸してくれるのが阿弥陀仏。
      他力仏教は一般に浄土教と呼ばれる。

     という前提のもとに日本の仏教は十三宗五十六派と言われていたが、今はさらに細分化されて総数はわからないという。
     宗というのはもともと僧侶の学派のようなもので、最初に中国から六派が入って来て現在まで残るのは三派。
     華厳宗・・・(大本山は東大寺)
     法相宗・・・(大本山は興福寺・薬師寺)
     律宗 ・・・(大本山は唐招提寺)

     平安時代に日本人が新規に二つの宗派を開く。
     天台宗・・・最澄 大乗仏教の総合大学みたいなで顕教も密教も学ぶ。
     真言宗・・・空海 密教のみを学ぶ。

     さらに平安から鎌倉にかけて七宗が成立する。

     融通念仏宗・良忍 総本山は大念仏寺
     浄土宗・・・法然 総本山は知恩院。大本山に増上寺、善光寺など多数。
     浄土真宗・・親鸞 本願寺派本願寺(西本願寺)、大谷派本願寺(東本願寺)ほか
     時宗 ・・・一遍 総本山清浄光寺

     臨済宗・・・栄西 天龍寺派、建仁寺派など14派に分かれる。
     曹洞宗・・・道元 大本山 永平寺 総持寺
     日蓮宗・・・日蓮 法華経 久遠寺

     江戸時代初期に伝来
     黄檗宗・・・隠元 万福寺

     で十三宗五十六派ということになっていた。今は有名寺院が独立して一つの宗や派になったりしているが本質は十三宗と考えて差し支えないというのが著者の見解。
     派の方は分派が重なってもう正確なところがわからないと書いてある。

     最澄、空海、日蓮、親鸞などは歴史の時間に習ったような気がするが個々にはよく知らない。空海は夢枕獏さんの作品とかでちょっとなじみがある。親鸞は出家とその弟子って昔読んだかも。
     寺の名前も観光地として知る程度で宗派とかは気にしたことないな。ニュースなどでよく聞く創価学会、霊友会、立正佼成会などは日蓮宗の流れになるらしい。
     浄土宗とか曹洞宗とかは聞いたことある気がするけど黄檗宗とか融通念仏宗は初めて聞いた。時宗は大河ドラマの太平記に出てきたな。

    Q6 神道には、どんな教派がありますか。
     日本神道は本来教義を中心としたものではなく生活原理と祭祀儀礼をまとめたようなものだが、次第にこれを研究して理論的に体系化した学問を裏付けにするもの現れて来る。
     前者を神社神道、後者を学派神道と呼び、学派神道は一種の学閥のように多岐に分かれた。
    a.伊勢神道・・・伊勢神宮が神社の根本であると説く。伊勢神宮外宮の渡会氏により成立。
    b.吉田神道・・・老荘思想や仏教思想の影響が濃い。京都吉田神社の吉田兼倶が唱道。
    c.儒家神道・・・神仏習合を排し、神儒一致を説く。林羅山、中江藤樹など。
    d.吉川神道・・・吉田神道から仏教色を除き宋儒を加味。吉川惟足(きっかわこれたる)。
    e.垂加神道・・・既存神道を江戸初期に集大成。道徳的性格が強い。山崎闇斎(あんさい)。
    f.復古神道・・・古事記日本書紀に立脚し仏教儒教を排す。本居宣長、平田篤胤。

     明治政府はこの復古神道をベースに神仏分離を断行して神道を国教化。結果として国家神道として保護される代わりに宗教では無いと扱われる。
     すると神道関係者から不満を持って分派独立するものが多く出る。これが教派神道と呼ばれて明治政府も公認せざるを得なくなる。これを教派神道十三派と呼ぶ。
    a.神道大教・・・神道事務局が教派化する。
    b.黒住教 ・・・天照大神を宇宙の中心とする。黒住宗忠。
    c.神道修成派・・山岳信仰が基盤。儒教色が強い。新田邦光(くにてる)。
    d.出雲大社教・・出雲大社を中心に成立。千家尊福(たかとみ)。
    e.扶桑教 ・・・富士信仰を中心。宍野半(ししのなかば)。
    f.実行教 ・・・富士信仰を中心。小谷三志。
    g.神道大成教・・平山省斎(せいさい)。
    h.神習教 ・・・芳村正秉(まさもち)。
    i.御嶽教 ・・・木曽御嶽山をあがめる。下山応助。
    j.神利教 ・・・佐野経彦(つねひこ)。
    k.禊教  ・・・井上正鉄(まさかね)。
    l.金光教 ・・・川手文治郎(金光大神)。
    m.天理教 ・・・天理王命(てんりおうのみこと)を祀る。中山みき。

     現在はさらに多くの教派・教団が設立されている。

     部分的に聞いたことがある人名や教派名もあるけど詳細は全く知らないな。それでも神社や神道になんとなく親しみを感じる。

    Q7 日本の仏教徒と神道の信者数は?
     この本が出る前の昭和60年末で神道1億1560万、仏教9206万、キリスト教系169万、その他1444万で合計すると二億2380万。日本人口の倍近い。
     国民一人一人に聞いたわけではなく宗教法人の届け出た信者数を集計したものとのこと。
    一人が複数の団体に所属してもかまわないこと、各法人は信者数を水増しする傾向があるからとのこと。
     こういう統計は文化庁が「宗教年鑑」というのを毎年出しているらしい。
     宗教年鑑 | 文化庁 (bunka.go.jp)
     上記によれば令和元年末でこんな感じ。


     
     神道も仏教も減っててキリスト教が増えていると言っていいのかどうか。
     
  • 「復讐クラブ(ジェニイ・サヴェージ著)」

    2021-06-12 19:00


    ・同タイトルの諸星大二郎さんの漫画や、こうしたものが登場するドラマがあったりするけどこちらは昭和に紹介された海外ミステリ。
     著者は解説によれば31歳の新人作家で離婚経験がある二人の子育て中の女性とのことだが、検索してもこの作品しかヒットしない。原書発行は1977年、日本語版発行は1979年らしい。
     
     舞台はイギリスの田舎町ハラートン。ハラートンで検索しても出てこないけど、作中にウォリントンの隣とあるのでこちらを検索すると実在して、隣にHalton(ハルトン)という地名がある。ノース・ウェスト・イングランドのチェシャー州の都市と書いてある。
     おおざっぱにこのあたり。

    地図検索表示画面 (gsi.go.jp)  
     出典:国土地理院ウェブサイト  に赤い丸印を追加  ※ルールに従えば引用可能

     ここで痛ましい事件が起きる。時期は書かれていないけど作品が執筆された頃ということだろう。すると1776か77年。
     日本でいえば小学生高学年くらいの女の子が連続して誘拐され、凌辱された上でバラバラ死体になって発見されるという事件が起きる。犯人はさらに犯行の様子をカセットテープに録音していて、これを被害者少女の母親に送りつける。一人目、二人目の母親は幸い警察が間に入ってこのテープは聞かずにすんだが、三人目の母親は不幸な行き違いがあって聞いてしまう。
     母親はテープを持って警察にやってきたが平常心を失っている。警察はこの状態で車を運転させるわけにはいかないと捜査員に運転させて彼女の家に送らせる。この捜査員はたまたまFBIからロンドン警視庁に交換派遣で来ていたのだが、田舎町のハラートン署が二人目の犠牲者が出た時点でロンドンに応援を頼んだ結果、主任警視と部長刑事に加えて一緒に派遣されて来たのだった。
     FBI捜査員が彼女の家に着き、彼女のかかりつけの医者を呼ぶ。医者が来ればあとはまかせて引き上げるつもり。だがそこに子供の死体を発見したという電話が入り、娘の死を聞かされた母親は失神する。
     このことがきっかけでFBI捜査員は被害者の母親である彼女を気にかけるようになる。彼女は4年前に夫を長患いの末に失っており、母一人娘一人だった。ちょっとしたきっかけで彼女は署の近くにある捜査員のアパートにもやってくる。そこで捜査員が二年前に離婚しており、息子が一人いることがわかる。
     この時彼女は捜査員のピストルを勝手に持ち出してしまう。発作的に犯人を殺さなければ、復讐しなければ、という精神状態に陥ったのだ。もともと彼女はメンタルに危ういところがあった様子。捜査員はこれに気付いて彼女をなだめ、ピストルを取り返すと復讐など考えないように言い聞かす。

     だが彼女は犯人に復讐するという考えにとらわれて、自分の娘の葬式に来てくれた先の二人の被害者の母親にある提案をする。力を合わせて犯人を殺そうと。どうせ捕まっても死刑にはならないかもしれない。それなら自分たちで裁くのだと。
     犯人らしい車の目撃者が出て、この証言が思いのほか正確だったらしく犯人は車の特徴が報道されると新たな犯行を起こすことなく息を潜めてしまう。

     ということで犯人を殺すために動きはじめた女性と、それを察してなんとかやめさせようとする捜査員の話になる。捜査員はいつかこの繊細で危うい精神を持った女性に特別な感情を持つようになっていく。

     話はある女性ジャーナリストが関係者に聞き込みをしていくという感じで進む。関係者の様子ではこの事件は既に決着がついており、当時は大きく報道されたが今は過去の話になっているらしい。そして痛ましい事件だったと認識されている。
     彼女はこのよく知られているが何故そうなったのか自分が納得できない事件について、調べて本を書こうと思っている。

     母親は復讐をとげたのか、犯人はどうなったのか、FBI捜査員は今どうしているのかなどは最後の最後で明かされる。

     原題は「THE NEMESIS CLUB」。復讐というとリベンジかと思うけどネメシス。
    ネメシスというのはもともと女神の名前で、復讐とは微妙に違うみたい。無理やり日本語にするならば天罰とか因果応報みたいな。
     神の怒りに触れた者に対する罰を実行するのが女神ネメシスで、復讐というよりは天意による懲罰を代行する者みたいな。

     ネメシスと言われるとスタートレックの映画を思い出す。他にもネメシスという単語を使った映画やドラマは多い印象。