「若きウェルテルの悩み(ゲーテ著)」を今頃読む
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

「若きウェルテルの悩み(ゲーテ著)」を今頃読む

2016-05-09 19:00



     多くの日本人が名前を知っている名著で、戦前は青年の必読書でもあった本だが、今も読まれているのだろうか。読んで自殺した人も多くいた、みたいにも言われていたと思う。
     先頃亡くなった水木しげるさんは、ゲーテを若い頃に繰り返し読んだと語っているし、
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47443
     手塚治虫さんは「ファウスト」をモチーフにした作品を三作(もしかしたらもっと)描いている(「ファウスト」「百物語」「ネオ・ファウスト」)。


     萩尾望都さんの「トーマの心臓」だったか「11月のギムナジウム」だったか他の作品だったかに、ゲーテのことをワルガキが「死にたい死にたいと言いながら長生きした」みたいに言っていたシーンもあったと思う(うろ覚え。手元に本が無く確認できない。ヘッセのことだったかもしれない)。

     私の親世代、あるいは教師とかの上の世代にとっては読んで当然の作家であり、中でもこの「若きウェルテルの悩み」は思春期に読むべき本、という位置付けだったと思う。
     私がこの本の名前をはじめて聞いたのはやはり手塚治虫さんの「火の鳥・未来編」の中で、
     ドーム都市の中で命を守り続けようとする猿田博士の息子のような存在の人工生命・ブラドベリイが読んでいる本として登場するシーンでだった。
     人工羊水が満たされたケースの中から出る事が出来ないブラドベリイ。猿田博士は息子同然の彼に、何を読んでいるかと尋ねる。
    「ゲーテの若きウェルテルの悩みです」
    「もうそんなものが読めるのかい?」
     みたいな会話があり、ゲーテの文章が引用されている。
     知能が高いブラドベリイは、本の影響からか、人工羊水の外に出たいと博士に懇願し、
    博士もブラドベリイなら大丈夫かも、とも思ったのか願いを聞き入れ、彼をケースの外に出す。だが、外の環境にブラドベリイの身体は耐えられず、泡になって消えてしまう。
     猿田博士は、彼の読んでいた若きウェルテルの悩みを、その泡の上に伏せる。
     そのことを書いているHPがたくさんあったのでリンクを。
    http://blog.goo.ne.jp/adpro_2006/e/ce34b945bb137a392f6479be7e20cbd8
    http://ameblo.jp/shisyun/entry-10039996461.html
    http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/tezuka/werther.htm

     私はこれを読んで、引用されたゲーテの文章の意味がさっぱりわからなかったし、「若きウェルテルの悩み」がどんな内容の本か、というのもさっぱり見当がつかなかった。だが書名は強く印象に残った。

     小学校高学年か中学生の頃に、学校で推薦図書みたいのが紹介されて(今はいけないのだろうが学校の中で売っていた。学研の科学と学習とかサイエンスエコーなんかも体育館で売ってたりしたが、そのうち学校の中では売らないで、近所の文房具屋とかで売るようになった。パチンコの景品交換所みたいなもんだろう)、聞き覚えのある書名だったので買ったのだが、最初の数ページでもうついていけなくなってずっとそのままになっていた。「ファウスト」も挑戦したことはあるのだが同じようにザセツ。ゲーテは一つも読んだ事が無い。



     年をとるとそういうものがやり残しの宿題みたいな気になって、実家にまだ残っていたのを読んでみた。
     この年になって読んでもあまり感慨は無いのだが、若い時に読んだらどうだったか。水木さんも手塚さんも10代の頃に読んだんだと思うが。まあ読もうとはしてみたのだけど私は受け付けなかったわけだけど。
     こうした本にあまり感銘を受けないほうが幸せなようにも思うし、感銘を受けないのが感性の欠如という感じで不幸にも思うし。直接関係があるかどうかは知らないけど、藤村操、奥浩平や高野悦子、といった若くして死を選んでしまった人たちはウェルテルと同じような感性を持っていたのかどうか。
     いい人というか、感性に優れた、繊細な人は早く亡くなってしまう。憎まれっ子世にはばかる。
     著者のゲーテは長生きするんだけど。

    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。