「はやぶさ2トークライブ5」
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「はやぶさ2トークライブ5」

2016-10-30 12:00
    ・JAXAが行っている、はやぶさ2トークライブ。私はそんなものがあるのは知らなくて、ある掲示板で知って、以前の2にはじめて参加したのだが、今回も行ってきた。

    公式HP
    http://sagamiharacitymuseum.jp/blog/event/10

     私は特にJAXAの内情に詳しいわけではなく、どなたがどこを担当しているとか、どのような経歴の方かというのもよく知らずにぶっつけ本番で現地に行って、そこで聞いた内容から泥縄で調べたりしているニワカなので間違いがあったらごめんなさい。

     司会は武井悠人さんという非常に軽妙なトークをされる方で、何も知らないで行った前回も司会進行をつとめられていたが、プロのイベント会社の人だと思ったらイオンエンジンを担当する研究者の方らしい。
     今回メインで話をされるのは、佐伯孝尚さんという、いわゆるスペースキャノン、じゃなかったインパクタの開発を担当された人。
     他にもいろいろなシステムという名の雑用を担当されているようだが、今回はインパクタの担当としての登場だった。JAXA内ではSCI(スモールキャリーオンインパクタ)と略称で
    呼ばれるらしいこの装置の略称の名付け親でもあるらしい。定着しちゃって困ったな、とも言っていた。

     以下話の順番ではなくて、印象の強い順番(つまり思いつき順)に書いていきます。
    写真撮影もOK(シャッター音や、後ろの人の邪魔になるようなカメラを高い位置に上げての撮影はご遠慮くださいとのこと)だったのだが、私の10年近く使っている携帯のカメラはこんな感じだったのであまり役に立つような画像は撮れなかった。





     インパクタというのはある意味、はやぶさにはあってはやぶさ2には無い最大の目玉商品。
    つまり新規に開発しなければならなかったものということで、時の理解の無い政権と仕分けの女王にいじめられて開発期間が大幅に減る結果となったはやぶさ2にとっては特に困難な開発課題だったと察せられる。
     

     どういう肩書きを使えばいいのかよくわからないが、一応研究員とさせていただくと佐伯
    研究員は主に2つの大きな苦労をされたそうで、ひとつは開発スケジュール。
     地中のサンプルを採集する、という構想そのものは正式にプロジェクトが開始される前からいろいろ検討されていたようだが、お金と時間と技術ともろもろのせめぎあいの結果、インパクタを開発することに決まる。没案には探査機そのものを小惑星にぶつけたり、ぺネトレーターというミサイルみたいなジェットモグラみたいなもので掘削しようとか、探査機が自分で小惑星上に降りて地面を削ろうとかがあったらしい。

     加速時間と距離と威力の観点から火薬を使ったインパクタを作ろう、という方針が決まって、JAXA内部の手続きとしてはPDRというものを終えてからCDRというものに移行するらしいが、この両者の間の期間が半年くらいだったらしく、通常はどのくらいあれば妥当なのかはよく知らないが、非常にシニソウなタイトなスケジュールだったらしい。誰だかここに書いちゃいけないような気がするが、偉い人がそういうスケジュールを決めちゃったから相当しんどい思いをしたらしい。これは本当に悪いのは時の理解の無い(略)。

    PDR:基本設計審査「PDR」(Preliminary Design Review)
    CDR:詳細設計審査「CDR」(Critical Design Review)
     (略称の意味は以下のHPで確認)
    http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/satellite_development_methods.html

     もうひとつはサイズ。インパクタの基本的な構造は、サンプルを積んで帰ってきたカプセルのものを流用して開発に関わる時間やコストを抑えるつもりだったのが、誰だかここに書いちゃいけないような気がするが、偉い人が本来直径40cmだったものを30cmにしなさい、と言い出したので既知の技術でいいはずが未知の技術になってしまい、シニソーニなったらしい。直系を10cm縮めると、重量や体積は当然小さくなり、探査機全体としては有利になるわけだが、インパクタ及び発射機そのものの挙動は40cmと30cmではかなり別物で、その暴れん坊な動きを抑え込むのにしなくてよかったはずの苦労を強いられたらしい。

     佐伯研究員は1時間半くらいの持ち時間の間、隙あらばこの40cm30cm問題を誰だかここに書いちゃいけないような気がする偉い人への不満として繰り返し何度も大丈夫かと思うくらい穏やかに表明していた。偉い人ももし聞いていたら内心忸怩たる思いと、それが必要だからそうしたのだ、という思いがあるだろう。予算を削られてビンボーでなければ40cm
    ですんなりいけたのかもしれない。

     今日の話を聞くまで全く認識していなかったが、インパクタというのは丸い球を弾丸として打ち出すのだと思っていたがそうではなくて、ステンレス製のすり鉢に味噌を詰めて、それに直径がすり鉢と同じ銅の円形のお盆を被せたような状態で味噌が爆発すると、お盆がすり鉢の真上方向に吹っ飛ばされて、お盆の真ん中ほど大きくたわんで、湯船の中で手拭坊主を作る時みたいに丸まりながら飛んでいく、というものらしい。もちろん味噌が爆発するわけはないのでここには火薬が入り、HMXというプラスチック火薬という非常に強力なものらしい。
     プラスチック火薬というものには可塑剤という揮発する性質のものが混じっており、これが無くならないように密閉するためすり鉢とお盆のフチ同士を丁寧に溶接する必要があったり、放射線の影響で何かいけないことになったりしないか検証したり、非常に精密な加工や試験が必要だったらしい。

     お盆をはやぶさ2から直接発射すると、それが丸まってリューグウにぶつかりクレーターをつくってくれるわけだが発射後じっとしていると飛んで来る破片ではやぶさ2が壊れてしまうため、インパクタは発射装置ごとはやぶさ2から切り離した上で弾丸を撃たねばならない。
     切り離しから発射までは40分くらいの時間があり、その間にはやぶさ2はリュウグウの
    陰に避難して、破片を避ける。ここでめんどくさい制御がたくさん必要になる。
     切り離しの時に傾かないようにスピンをかけたり、電源をたぶんはやぶさ2本体の供給から内蔵バッテリーに切り替えたり(バッテリーは民生品だそうだ)はやぶさ2を規定の時間内に避難させたり。

     
     インパクタについてはそんな感じで、大雑把に手順をまとめたカードが配られて、空欄に
    動作順序を書き入れていく、という演出だった。



     発射のタイミングは、はやぶさ2本体がインパクタ作戦開始を告げなければ発射されないし、発射装置がはやぶさ2本体から分離したかを確認してからでなければならないし(この分離確認には太陽電池パネルを使っているそうだ)、はやぶさ2がリューグーの陰にきちんと隠れていなければならない。計画当初は通信機があって、はやぶさ2が「モーイーヨー」と言ってから発射するつもりだったが、もろもろの事情でここはタイマーで時間を計って発射することになったという。アニメやなんかのお約束としては、ヒロインが逃げようとするとハイヒールの足が地面のひび割れた所にはまり込んだりして転んでしまって、ということがありがちだが、はやぶさ2も足元には十分注意してもらいたい。後スカートを挟まれたりとか触手に捕まったりとか無いように。

     正確にどういう用語を使用していたかはメモしたのだが自分でも読めなかったので記憶だけで書くと、いろいろな試験があって、インパクタ発射装置が壊れないよね、と各部にかかる力の大きさを解析してその力には十分耐えられる、みたいな多分構造設計とか爆薬部をどうやって確実に(必要な時に)爆発して確実に(必要ないときに)爆発しないものにするか(SADという安全ピンのようなものを使うみたいなことを言っていた)という爆薬部設計とか電気回路の設計とかどのような挙動をさせるかのソフトウェアの開発についての話があったりして、さらにどのような試験を行ったかの説明も一部動画を交えて紹介してくれた。
     機体を振動させて、その横でずーっと異音がしないか聞いている人がいる画面などもあって、なんて地味な拷問のような試験なのだろうと思ったりした。こうしたことがたくさんあって、携わる人が大勢いて(大勢じゃないかもしれないけど)足元を支えてくれているのだろう。

     リューグーの観測が十分にできていないので、今後データが得られればいろいろ今の想定と異なることが出てくるかもしれず、どこを狙うかとかは最後までせめぎ合うことになるみたい。今は様々な想定をもとに、こうだったらこう、ああだったらああ、などと様々な事態に対応できるように案を検討している最中らしい。


     また、プロジェクトマネージャーの津田雄一さんはこれまで登壇したことがないらしく、
    「津田さんは出ないんですか」などという質問もあったらしいが実は次回の12月のライブに出る、ということが以前から決まっていて、今年のトリをつとめることになっていたらしい。

     だが今回は何故かその津田さんもいらしていて、佐伯さんの前に登壇した。これはISSの
    大西さん(本日帰還予定)から送られた映像を紹介するという特別企画で、この解説者として。津田さんと大西さんは大学時代同じ学校の同じクラブで、人力飛行機を作っていた仲間だそうで、鳥人間コンテストに出ようとがんばったが台風のため一緒に参加する事はできなかった、という縁があるらしい。津田さんは誰だかここに書いちゃいけないような気がする偉い人とも関連が深いらしい。

     津田さんはISSに行く大西さんが宇宙で退屈しないように、と3Dプリンタでリュウグウとはやぶさ2のフィギュアを贈っており、これには磁石が仕込んであってドッキングゲームができる。



     大西さんは映像の中で退屈するヒマなんて無いんだけどな~と言いつつ、このゲームに自分でハードルを上げつつ何度もチャレンジして、失敗したところはカットしてね、とおっしゃっていたがノーカットで公開されている。
    https://www.youtube.com/watch?v=G_kLLSZ9cUU

     また守屋純子というジャズピアニスト歌手のの方(音楽にうといもので失礼しました)が
    <Blues For Hayabusa2>という曲を作られたとのこと。
    この映像の一部も公開された。
    https://www.youtube.com/watch?v=Yw1R_sQ6s4o
     
     トークライブ全体の様子はこちらから見れます。
    https://www.youtube.com/watch?v=miVA70127PQ&feature=youtu.be

     そんな感じでした。

    次回トークライブ6は12月3日(土)14時~16時と決まっていて、津田さんのほか
    海外からのゲストもお招きするそうです。
     11月15日から受付開始だそうです。近くなったらJAXAか相模原市立博物館HPで
    ご確認を。

     
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