日本語のアクセントをゆかりさんと勉強してみる
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日本語のアクセントをゆかりさんと勉強してみる

2017-06-21 19:00
    ・世田谷のNHK研修センターという所で、むかーし朗読・ナレーション講座みたいのを短期間受けたことがある。別にプロになろうとか思ったわけではなくて、なんとなく受けただけなんだけど。ボイスロイド2の結月ゆかりさんをお迎えしたこともあって、その当時のことも思い出しながら日本語のアクセントについてちょっと書いてみる。でも画像は以前からいる、EXでもないただのVOICEROIDの方のゆかりさんです。

     日本人は何か話すとき、例えば「あめ」と言うときに「あ」と「め」を通常は同じ高さで発音しない。「あ」が低ければ「め」は高く、「あ」が高ければ「め」は低い。

     ゆかりさんの場合、「あめ」という単語を同じ高さで発音させようと思っても、たぶん内部の辞書の関係で出来ないようになっている。雨みたいな高低か、飴みたいな低高か、どちらかしか言えない。

     ミクさんだとそういう縛りは無いので、低低であれ高高であれ高低であれ低高であれ入力した通りに自由に発音してくれる。
     方言によっては低低とか高高の発音もあるのかもしれないけど、普通こうした発音を聞くといわゆる棒読みに聞こえて不自然に感じる。「ワレワレワウチュージンダ」みたいな。


    ゆかりさんは普通にしゃべらせるとけっこう滑らかに話すので、棒読みさせる方が難しい。


     単語としてのつながりを切って一音一音独立して発音させるとちょっとそれっぽくなるけど、棒読みというほどでもない。でもわざわざゆかりさんを使って棒読みさせる必要もないだろうから、棒読みでいいならソフトーク(棒読みちゃん)で十分だろう。




     「桜」「日の丸」「すき焼き」みたいな単語は、最初の音が低く、残りの音は高い。
     こういうのを難しく言うと「平版型(へいばんがた)」のアクセントと言う。日本語っぽい単語はこのタイプで発音することが多く、こういう発音をすると日本語っぽく感じるみたい。
    ゆかりさんに発音してもらおうと思えば、こんな感じのフレーズ調整になる。


     そういうアクセントって、何か基準があってどこかに載ってるの?というと
    辞書に載っている。
     「桜」をネットの大辞林で引くと さくら[0]と書いてある。


     アクセントの説明を見ると

      ということで、[0]は平版型(ここでは平版式と書いてあるが)の意味になる。
    「拍」という概念が出てきたけど、日本語の1音が1拍だ、くらいに考えていいと思う。
    「目」なら1拍、「空」なら2拍、「桜」なら3拍みたいな感じ。一文字1拍か、というとそうでもなくて、拗音(ねじれの音)は2文字で1拍だったりする。
     一方促音(小さいツ)や長音(ー)は1拍に数える。「病気」はビョ・ー・キで3拍、
    「鉄橋」はテ・ッ・キョ・ーで4拍みたいな感じ。

      [1]と書かれていた場合は1音目が高く2音目は下がる。この場合3音目より後で上がることはない。ということでこの[1]は頭高型(あたまだかがた)とも呼ばれる。
     「さくら」も頭高型で発音すれば「桜」ではなくて寅さんの妹や千葉県の「佐倉」や栃木県の「さくら(市)」になる。



     [2]の例としては「ニオイ」なんかがある。「ニ」よりも「オ」が高く、「イ」でまた下がる。両端が低く、真ん中が高いので中高型(なかだかがた)と呼ばれる。
      
     三文字ではなくて四文字、五文字、六文字・・・となっていっても[2]であれば
    一番最初の音が低く、二番目の音が上がって三番目の音が下がる。
     ただし、[2]というのは2番目の音が高くなるという意味ではなくて、2番目の次の音が下がる、という意味になる。ここがちょっとややこしい。頭高型でない場合は、1番目の音は低く、2番目の音が上がるというのは自動的な当たり前のことなのでいちいち記号で示さない。どこで上がるかではなくてどこで下がるかが重要か、ということなんでしょう。

     四文字なら二番目の音が上がって三番目の音が下がる、というほかに二番目で上がって三番目は同じ高さで四番目で下がる、という場合も考えられる。この場合[3]と表記する。
    3番目の音に比べて次の4番目の音が低くなる、ということになる。
    この場合も分類としては同じ中高型(なかだかがた)になる。

     同じように考えて、五文字なら[2]、[3]、[4]が考えられるがこれもみな中高型(なかだかがた)になる。

     文字数が増えていっても考え方は同じ。
     ゆかりさんに六文字の場合について話してもらうとこんなパターンになる。


     この時に、
    見物人    は平版型で[0]
    けんもほろろ は頭高型で[1]
    お巡りさん  は中高型で[2]
    金婚式    は中高型で[3]
    国語辞典   は中高型で[4]
    炭酸ガス   は中高型で[5]

     ということになる。[]の中の数字は、例えば[3]なら3番目の音が低くなるのではなく、
    3番目の音の次の音が低くなる、という意味になる。大事なことなので2度言いました。
     最初の音、いわゆる1拍目が高い[1]の頭高型をのぞけば他は全て1拍目に比べて2拍目は自動的に高くなり、それが次に低くなる場所を[]の中の数字で示していることになる。
     2拍目と同じ高さなのは[]内の数字の拍までですよ、と思ったほうがわかりいいかも。

     なんだけど、上で「見物人」「十一月」は形から見て同じ平版型に見えて実は別物になる。
    ここがややこしいところ。その単語の次に来る語の高さの違いで別物に分類される。
     次にくる語というのはたいてい助詞で、助詞にもいろいろあるんだけど「が」で考えれば
    わかりやすい。
     「見物人が」と言った時は「人」の「ん」と「が」の高さは同じなんだけど、
    「十一月が」と言った時は「月」の「つ」と比べて「が」の音は低くなる。


     助詞をつけても高さが変わらない「見物人」という単語は平板型で、助詞が下がる「十一月」は単語の最後の「つ」までが高くて次につながる助詞が下がる、ということで尾高型
    (びだかがた)と呼ぶことになっている。さっきみたいな書き方で書けば

    十一月は  尾高型で[6]  となる。

     というわけで、日本語の単語を読む時のアクセントパターンとしては、ゆかりさんはこれを単語であれ文章であれひとまとめでフレーズと呼んでいるようだが、一つの単語を構成する音の高い低いの組み合わせは

    ①平版型
    ②頭高型
    ③中高型
    ④尾高型

     の4パターンのどれか、ということになる。②頭高型、③中高型、④尾高型の3つはまとめて起伏型みたいに呼ぶ事もあるみたい。資料によっては型ではなくて式となっている。

     アクセントのことを調べるのに、いちいち辞書を引いて[0]とか[3]とか調べるのはたいへんだけど、今は電子辞書に発音が収録されている場合も多いので便利になった。
     ただこれを使う場合、アクセントが辞書によって異なる場合があったりもするらしい。
     また、アクセントには複数正解があったり、関西弁など地方色が出たりもするので、電子辞書で最初に発音されたものだけが絶対正しい、と思い込むのはよろしくないみたい。

     このアクセントに関するデータを多く持っているのは大辞林や新明解国語辞典を出している三省堂と、NHKだという。辞書と言えば岩波書店の広辞苑、とも思うが、広辞苑にはアクセントは書かれていないらしい(持っていないので未確認)。電子辞書で広辞苑を引いても発音が出てきたりするが、これは電子辞書にはいくつもの辞書が登録されているので広辞苑のデータではなく大辞林とかNHKとかのデータが連動しているものだそうだ。

     三省堂のデータは新明解アクセント辞典として出ているみたい。

     NHKのデータというのはいわゆるアクセント辞典として公開されている。この最新版は
    昨年出たばかりで、表記法などが大幅に改訂されていて、収録されているアクセントについてもかなりの変動があったとのこと。

     以前の表記法は文字の上にラインを引いたり、¬みたいな記号をつけたりしていたのでパソコンで打てなかったりして不便だったので、パソコンで打てる記号\と ̄を文字の上ではなく後に書く、ということにしたそうだ。
     なので先ほどの例をいくつかこの新記号で書くとこんな感じ。
    見物人    は平版型で[0]・・・ケンブツニン ̄
    けんもほろろ は頭高型で[1]・・・ケ\ンモホロロ
    お巡りさん  は中高型で[2]・・・オマ\ワリサン
    金婚式    は中高型で[3]・・・キンコ\ンシキ
    国語辞典   は中高型で[4]・・・コクゴジ\テン
    炭酸ガス   は中高型で[5]・・・タンサンガ\ス
    十一月    は尾高型で[6]・・・ジュウイチガツ\

     現在このNHKのアクセント新辞典のデータに対応した電子辞書は無いそうだ。早くて来年アプリがでるかどうかで、市販の電子辞書にいつ収録されるか、ということはわからないらしい。

     NHKはあくまでもニュースを読む時などのフォーマルな発音として調査の上決定しており、
    ①伝わりやすい
    ②特定の地域を連想させない
    ③特定の年代を連想させない
    ④ある程度改まった場合に使用できる
     ということに重点を置いて選定しており、②の配慮から東京偏重ということもないらしい。辞書に載っているから正しくて、載っていないから間違い、というわけでもないらしい。
    アクセントを一つに決めきれずに併記する場合もあるが、その順番が正しい順番というわけでもないらしい。
     
     一方三省堂大辞林の場合は



     という編集方針らしく、テレビ・ラジオなどで用いられている全国共通語のアクセントであると書いてあるのでほぼ似た感じみたいだけど、全く同じ調査データを全く同じ人が検討しているわけではないだろうから、そこにはおのずから差異が生じるんだろうと思う。
     三省堂のデータは東京地方を基準にしていると聞いた事もあるんだけど、今調べるとはっきりそう書いているのは見つからなかった(新明解は東京中心だと書いてあるページがあった。
    すると同じ三省堂でも大辞林と新明解でアクセントの元データは異なるのかも)。

     また、人間は機械でもボーカロイドでもボイスロイドでもないので、アクセント辞典では
    同じ\で示されていても、単語によってはぐっと下がったり、ちょっと下がったりで必ずしも下がり方が同一ではなかったり、アクセント辞典では同じ高さの音が少しずつ高さが違って下っていったり、地域差個人差があったりする。そういうことも使用時には心得て、辞書は載っていないから間違いだ、という基準ではなく、載っているアクセントであれば使ってもほぼ問題なくわかってもらえるだろう、程度の目安だと思った方がいいんだろう。

     アクセント辞典で説明している日本語のアクセントは、音の高い低いだけを問題にしているみたいで、音の強い弱いはあまり問題にしていないみたい。英語のアクセントだと、高さよりも強さの印象が強いけど。
     日本語だと音が上下に動いて、MMDでいえばY軸方向の移動で
      くら
     さ

     みたいな感じだけど、英語だと音が前後に動いて、MMDで言えばZ軸方向の移動で

     ホッ

     みたいな感じなのかな。するとMMDでいうX軸方向の移動で左右に動いて子音が重なったりするのもアクセントの一種なのかも。

     ゆかりさんがフレーズ変換に用いている辞書はどっちなんだろう。あるいは独自のものなんだろうか。
     
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