「テスタメントシュピーゲル(完結)」紹介と感想(ネタバレ微小)
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

「テスタメントシュピーゲル(完結)」紹介と感想(ネタバレ微小)

2017-07-10 19:00
    下はまだニコニコ市場にないのでリンク貼れず。



    ・「テスタメントシュピーゲル3」の下巻がようやく出て、完結。これは同時に第1作が出て10年目の、ナンバリングだけで数えれば全部で11作、上・下を別々と考えれば13冊の
    「シュピーゲル」シリーズ完結ということになる。最初の9冊は2007~2009年の短期間に次々に発表されて快調なペースだったが、その後震災が挟まって著者の環境が大きく変ったこともあったらしく書かれなくなり、未完で終わっちゃうのかな、と心配したりしたがようやく完結した。
     上だけ読んでも欲求不満になるのがわかっていたので下が出るまで読むのをガマンしてましたがようやく読めることに。
     巻頭に表記されている主な登場人物だけでも50名を超え、結構活躍しているのに紹介されていない人物もかなりいるので、正直この人誰だっけ?となってしまったりもするのだけど、中心となる少女6名はとてもはっきりした個性を持っているので、そこだけ覚えていれば勢いで読める。
     設定については以前書いたので省略。
     http://ch.nicovideo.jp/metabou/blomaga/ar829787
     http://ch.nicovideo.jp/metabou/blomaga/ar831717

     3の物語開始時点で、主役6名のうち最強の1名は脳内チップにもともと組み込まれていた裏コードみたいなものをを悪用されて自我を喪失、操り人形のように敵の指示通りに動く存在となってしまう。さらに1名は脱走に近い形でチームから脱落。少女たちの指揮官の一人は要人暗殺の犯人に仕立てられて投獄されてしまっており、さらにさらに少女たちをバックアップしてくれていた男の子2名が過負荷のため脳が焼け切れたような状態に陥って意識喪失。
     少女たちはそれぞれ敬愛する人や想い人、生きる目的をロストしたような状況で打ちのめされている。2のラスト近くでようやく一人が前を向いて、彼女が他のメンバーも牽引して決戦に赴き、敵に奪われた仲間も取り戻すぞ、というところで続いていた。

     上下合わせて850ページくらいのボリューム。同時進行的に6名それぞれに視点を切り替えながら話がすすむ。ボリュームもあるけど密度もすごい。50名近い主要人物はほぼもれなく、過不足なく活躍の場を与えられて描写されている。どうなったかもうちょっと書いてほしかった人もいるけどそこは仕方ない。

     舞台になっている都市は犯罪都市みたいに呼ばれてもいるのだが、そもそもなぜそうなったのか、という起源まで遡って、これまでの事件がひとつながりのものであったことも語られる。なんというか、いろいろ繋がってきちんと終わったな、という印象。第1作のときからここまで構想されていたのかな。
     
     具体的なネタバレは避けるけど、欠損のある身体で生きるためには国家に奉仕することを
    事実上強制されて戦い続けた少女たちが、それぞれの人生の負い目みたいなものを打ち払ってそれぞれ自分の人生を選びなおして、これまでとは違う道を歩いていけるようになり、その道には自分を理解してくれる同行者がいて、きっとその相手とこれまで以上にいい関係を深めていける、そのためこれまでのチームは解体され、また新たなメンバーで再構成されるのだろうみたいな感じで終わる。十分に余韻を持ったエンディングになっている。
     すでに死亡した人物が彼女たちに残した「子供が学校に通うことが世界を救う」という言葉が少女を導いている。ある者は退役して進学し、ある者は別の任務につき、あるものはさらに過酷な戦場に向う。

     読むのにもエネルギーが必要だけどこれを書ききった著者はものすごいエネルギーだな、と思う。もうラノベは卒業でこれが最後のライトノベル、ということだけど、創作塾みたいのを主宰して、自作の二次創作にも寛容な人でもあるので、別の人の手で次世代メンバーの活躍が書かれることはあるのかもしれない。

     いろいろ元気をもらえる作品。少し時間をおいたらまた最初から読み直したいかな。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。