「おとうと(幸田文著)」
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「おとうと(幸田文著)」

2017-10-26 19:00


    ・書かれていることは多くが実際の出来事に基づいており、特に主人公である姉の心理はご本人が当時感じ、思ったことなのだろう。

     父親は高名な小説家だが、今思うような作家ではなく、世間的な地位は決して高くなく経済的には困窮している。
     母親は二度目の妻で、リョーマチの持病もあり家事ができない。二人の子供に対し、まま母であるという引け目もあり、いまひとつ感情的に通じ合わないところがある。
     姉は家のことをやり、学校に行き、弟の面倒を見、という長く続く生活にどこか疲れている。
     弟はそんな家庭に育ち、学校でのささいな出来事が重なって少しずつ道をふみはずしていく。
     姉から見る弟は、どんどん遠くに行ってしまう。

     だがそうした事とは無関係に、弟は結核になり、発見が遅かったこともありそのまま長く患って死んでしまう。
     この小説では、弟が中学に上がったばかりから19歳で発病し、半年ほど入院して死ぬまでが書かれている。姉は最初は17歳だがら、最後は22、3歳か。

     弟が長く生きたら生きたで、もっとむずかしいことになったのかもしれない。

     著者がこれを書いたのは50を過ぎたころとのこと。基本的に父親のことからはじまって、自分の経験した事を小説や随筆にしたことが多かったみたい。
     モデルになった弟についての実際はどこかに語り残されているのかもしれないけど私にはよくわからない。

     仲が悪いわけでもなく、悪人がいるわけでもないのにどこかうまくいかない家族がなんとなくさびしい。

     何度か映像化されているようだが、どれも見た事はない。


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