「読む数学記号(瀬山士郎著)」なぜ、分数の割り算はひっくり返してかけるのか
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「読む数学記号(瀬山士郎著)」なぜ、分数の割り算はひっくり返してかけるのか

2018-01-03 19:00


    ・小学校で習う1から9までの数字、0、小数点、分数表記、+-×÷=などからはじまって、大学で習う偏微分や整数論などに使う∀や∃のような論理記号まで、記号を紹介しながらその記号が使用される数学の意味を簡素にわかりやすく書いた本。
     それぞれの記号の読み方も書いてくれているので、正式にどう読むのか知らずに記号としてだけ知っていたものの読み方を結構知ることができた。

     読み方に限らず、その記号の意味するところを改めて知ることができてなかなか興味深かった。

     全体をレビューするパワーは無いので、帯に書いてある「なぜ、分数の割り算はひっくり返してかけるのか?」という項目についてだけ。

     本の中では
    「Xリットルの水をa/b平方メートルの花壇に撒いたとき、1平方メートルあたりどのくらいの水を撒いたことになるのか」

     という問題に図解をつけて説明しているが、丸ごと引用するのもよろしくないだろうし、
    それに数学的に厳密すぎてセンスの足りない私にはうまく説明できる自信がない。

     なので数学的厳密さはこれっぽっちも無いんだけど、なんとなく素人がわかったような気がするような説明を自分なりに考えてみる。

     小学生当時、割り算や分数をどう習ったかはもう覚えていないのだけど、

     3÷5 みたいなものは 答えとして小数で書く場合もあるんだけど、

     3/5 みたいにも書くんですよ、こういうのを分数と言って、上(もしくは左)を分子、
    下(もしくは右)を分母と呼びますよ、みたいに教わったような気がする。
     
     割り算の意味的な説明としては、これも覚えていないけど

     「6個のミカンを3人で分けました。ひとりの分け前は何個でしょう」
    みたいな感じだったような気がする。

     こういうイメージしか持っていないと、分数で割る、ということは

     「6個のミカンを1/2人で分けました・・・」

     みたいになってしまい、1/2人て何?とイメージでつかめない。私はそうだった。でも

     「6個のミカンを12人で分けました」となれば、ひとりの分け前は半分ですという結果は、たいていの子供が理解できると思う。

     つまり「割った結果」として分数が出て来るのには抵抗がないんだけど、割る途中にというか割る道具というか、ナントカ÷カントカのカントカに分数が出て来るとなんか抵抗を感じてしまう。

     6個のミカンを3人で割ると一人の分け前2個の裏返しで、6個を2個で割って答え3人を得るとか、6個を1/2個で割って答え12人を得る、みたいなイメージはあまり日本人の子供は持っていないと思う。少なくとも私は持っていなかった。
     そんなこと考えなくても電卓を叩けばいいんだけど、分数は電卓では普通キー入力できないので、意味はあまり追求しないけど分数はひっくり返してかければいいや、と思ってその場を凌いでそのまま現在に至る。

     この、うまく表現できないけど、分ける人数ではなくて一人あたりの持ち分である、無理やり呼べば「あたり量」とでも言うべき概念を基準に割り算を考えると、もう少しイメージを捕らえやすくなるらしいことが本に書いてある。
     一人あたりの分け前でも、一皿あたりに乗せる量でも、一袋あたりに入れる量でも
    「(1)あたりの量」ということは変わりなく、このあたり量が分数になった時のイメージをつかめばよいわけだろうたぶん。

     足し算だと、2+3でも3+2でも同じ結果になる。順番を入れ替えても結果が変わらない、交換法則とかいうものが成り立っている。
     掛け算でも2×3と3×2は同じ。やはり交換法則は成り立つ。のだけど、

     のだけど足し算と掛け算には本質的な違いがあって、足し算は基本的に同じ種類の量(人と人とか本と本とか個と個とか)を足すのが原則なんだけど(男の子3人+女の子2人みたいのは同じ人間の数を求めているのでそれなりに意味があるけど、鉛筆3本と電信柱2本を足して5本、といったところで実用的な意味はないので普通は無意識に除外している。でもそこにはあまり引っ掛からずに暗黙の了解としてミカンの個数にはミカンの個数を足す人が大部分だと思う)、掛け算の場合は別の概念の量を掛け合わせるのが普通になっている。

     つまり、掛け算の基本は

     1あたり量×いくつ分=全部でいくつ

     と異なる量、異種量をかけている。これを交換法則が成り立つから

     いくつ分×1あたり量=全部でいくつ

     とやってもかまわない。ただし概念が異なるもの同士をかけているので、単位は意識しないと困る事がある。

     1円の株を61万株売るのと、61万円の株を1株売るのとは大いに違う。今はシステム的にそんなことできないようになっているはずだけど、昔これで大損した会社があった。
     
     1個100円のミカンを3つと1個200円のリンゴを2つ買ったらいくら、みたいな問題が小学校の算数ではよく出て来ると思うけど、この時の100円なり200円なりは単価、つまり1個あたりの価格であたり量だ。

     だから本当は100円×3個ではなくて(小学生はたいていこう書くだろう)
           100(円/個)×3個なわけだ。だから答えの単位は個が打ち消しあって円。

     円に個をかけると円、みたいな式は本当はおかしいんだけど、算数の問題ではわざわざ
    (円/個)とはあまり表記しない慣習があるような。ちゃんと調べたわけではなくてそうだったような気がするだけだけど今はどうなんだろう。
     
     なので掛け算はたいてい

     あたり量×そのあたり量がどれだけ分

     みたいな構成になっているわけで、交換法則が成り立つからといって
     あたり量と どれだけ分 は概念としては異なるものなわけだから、そこがわかってるかわかってないかは時に株の誤発注みたいな大事故にもつながるのでもし子供に教えるなら意識させたいところ。
     でもそれが掛け算には順番があるんだ、決まってるんだ、みたいになってしまうとまたちょっと違うような。教える手順として説明しやすい順番というのはあるんだろうけど。
    掛け算順番問題、みたいのがあるらしいけど。

     (1個)100円の何かを先に認識して、その何かが3個ある、という順番で認識するのもありなんだろうし、先にミカンが3個あるな、そのミカンは1個100円だな、と認識する事もありだろうし。
     つるかめ算なんかだと鶴なり亀なりの数を認識するのと、鶴の足は2本、亀の足は4本と認識するのはほぼ同時のような気もするし。
     8人に6本ずつ鉛筆を配ると全部で何本、なんていう問題だと8と6どっちがあたり量か一瞬わからない。8人×6本でもいいような気がしちゃうけど、この場合は6(本/人)なんだろう。48本を8人で分けた結果でもあるんだから。

     それを無理に意識させようとして、掛ける方と掛けられる方とか、ずつのつく方とつかない方、みたいに余計な言葉を作るとよけい子供は混乱するだろうな。
     でも「あたり量」という概念を小学生にきちんと理解させるのはけっこう難しそう。数学は(あるいは算数も)型だけ覚えればそこそこ使える形式の学問でもあるから、概念無しに型だけ覚えてね、みたいな授業になっちゃうんだろうな。

     個人的には順番にこだわるよりも、単位をきちんと意識させるのがいいように思うけど。
    単価の単位は円ではなくて(円/個)ですよ、めんどうなら円と省略して書いてもいいけどそのココロは円/個なんですよ、と。
     これを必ず(円/個)で書きなさい、とやると子供は日常生活で例えばスーパーなんかの値札はそうなっていないのでこれはこれで混乱しちゃうのでココロで。

     単位をきちんと認識しておれば順番はどちらでもいいんだろうけど、世の中にはエクセルの計算シートのこのマスにはあたり量を入力してね、みたいになっていて、そこに入力した値が他の所に飛んでいって別の計算に使われるような場合もあるだろうから相手がどんな順番で答えてほしがってるか、を読み解くのも大事だろう。
     円という単位は、全体量でも単価つまりあたり量でも「円」と区別なく書かれることも多いので子供には特にわかりにくいかもしれないな。

     というわけで、ちょっと脱線したけど分数で割る、というのはあたり量が分数になったらどう考えるの、というイメージをつかめれば納得できるのだろう。

     つまり6個のミカンを1/2人ではなくて一人あたり1/2個ずつ分けるのであれば、ミカンをまず2つに割るわけだから2倍になるし、1/3個ずつ分けるのであれば3つに割るわけだから3倍になる、みたいに分母にある値がミカンの数に掛けられて、ミカン丸ごとじゃなくてミカンのかけらの数になって、それを1個ずつ取るんだから1で割る。
     もし2/3個ずつに分けるんであれば、3つに分けるんだからミカンの数を3倍したかけら全体の数を出して、かけらを2つずつ取る(と何人に行き渡るのかを考える)んだから2で割る、ということになる。
     結果的にひっくり返して分数を掛けていることになる。つまり分数で割るという事は、丸ごとの数をかけらの数に分解して、そのかけらを分け合うイメージ。分け前の数が分子で1つを分割するカケラの数が分母。

     あるいはゲッターロボのようなものを考えて、ゲッター1が何台かあるとして(何台もあるのはちょっと変だけど)ゲットマシンに分離してトレーラで輸送する時にトレーラーにゲットマシンが何台積めるかによって必要となるトレーラー数、みたいに考えてもいいかも。分離するから分数なんだ、と強引に印象づけできるかも。ボルテスVやゴッドマーズでもいいな。私が教科書の執筆をまかせられたら(そんなことありえないが)こっちの例を使うだろう。

     数学的に厳密にするなら記号を使って任意の数で検討しないといけないんだろうけど、イメージ的には分数で割るということは切って分割して配るんだ、くらいでいいんじゃないかな。実際には水とか土砂とかガスとか生き物とか切るというイメージが合わないものもあるんだろうけど。
     距離Xマイルを時速1/2マイルで移動すると何時間かかるか、みたいな。
    あと割る分数の分母にパイとかイーとか対数とか入ってくるとこのイメージではきついけど。

     自分自身は あたり量 という概念は子供の頃に聞いた記憶は無くて、この本ではじめてそういう言葉を聞いたんだけど。それでこれまで特に困りはしなかったが、言われてみるとなぜひっくり返してかけるのか、と考えた事もなかった。のでちょっと考えて書いてみました。
     

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