「遥かなる円環都市(マイケル・C・グラムリー著)」ネタバレ半分くらい
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「遥かなる円環都市(マイケル・C・グラムリー著)」ネタバレ半分くらい

2018-01-07 19:00



    ・ハリウッド映画の原作に手頃な感じの話。「アビス」を思わせる部分も少しある。
     詳しくわからないけどプロの作家ではない著者が電子書籍として自費出版したものが口コミで話題になったみたいな作品みたい。

     以下、本の裏表紙に書いてある程度にネタバレ。

     アメリカの原子力潜水艦が、カリブ海で異常現象に直面する。ある海域で、衛星とリンクした位置情報システムが狂うのだ。主人公の一人である(この作品は群像劇で、何人も主人公がいるけどこの人が一番中心の感じ)海軍調査官が様々な調査をするが、原因は潜水艦でも衛星でもなく、その海域そのものに海底に大量の鉄が含まれているなどシステムを狂わせる何かがあるのでは、ということになる。

     最新鋭の海洋調査船と超低周波で遠隔操縦される無人深海探査艇で調査に挑む主人公。だが、探査艇は突然制御不能となり、失われてしまう。

     一方、ヒロイン格の海洋生物学者は、水族館に勤務しながら半ばボランティアでイルカの言語を翻訳できないか、という研究を続けている。IBMが資金と研究者とサーバーを提供してくれたりして、データ収集はほぼ終了し、AIを使っての単語解析段階に入っている。既に「こんにちわ」「イエス」「ノー」という単語が解析され、AIは次々にデータを収集して新たな単語の発見をはじめている。
     研究に目途がついたとのことで、プレスリリースも発表される。

     探査艇は制御不能になる直前に、わずかながら海底の映像を伝送してきており、不鮮明な画像を解析すると海底に巨大な建造物のようなものがあるらしい。

     もう一人重要な人物として、アメリカ地質調査所の女性所長がいる。南極で地震が発生し、地割れが生ずる。これを調査した彼女は、この地割れを放置すると南極大陸の地盤が大規模崩落し、巨大津波が発生する可能性があるとの報告を上げる。が、政府高官に門前払いを食ってしまう。
     彼女は海水の総量が不自然に減少しているという報告も上げているがこれも「では、その海水はどこへ行ったのだ」と問われると回答できず嘲笑されたこともある。政治的な人脈から外れている彼女はちょっと政治的に迫害されている。

     イルカとの会話の研究は進み、簡単な意思疎通ができるようになっている。水族館にいる2頭のイルカは、ヒロインを認識し、数の概念を持っていることもわかる。

     ここに海軍調査官が、イルカを使って探査機を見つけられないだろうか、と相談にくる。ヒロインは以前に海洋生物学者としての研究成果を軍に取り上げられ、研究者としても潰されかけた経験を持っているので難色を示すが、結局政治的に承諾せざるを得なくなる。

     海軍調査官と一緒に海洋調査船に乗り組むヒロイン。海洋調査船にはイルカの水槽やサーバーも積み込まれる。現地で海に放たれたイルカは探査機を発見したと伝えてくるが、町があって人がいる、とも伝えてくる。
     だが突然海が荒れ、海洋調査船はイルカを回収する余裕もなく撤収することに。ヒロインはやむなくイルカに船に着いてくるよう伝える。そして、海洋調査船に乗り込んでいた謎の男が、イルカが記録したデータを破壊するかのような行動を示し、追われて重傷を負う。
     だが別の男が現れ、重症を負った男を空間に開けた穴の中に運び込んでしまう。だが彼自身は捕虜となる。彼は何者なのか。

     イルカの活躍で回収された探査機からはもっと鮮明な海底建造物の映像が得られる。海底の建造物は巨大なリング状で、しかも回転している。人類の技術で造れるとは思えない。リングの中心部はどこか別の世界との通路になっているらしい・・・

     みたいな感じで掴みは盛りだくさん。原子力潜水艦、海洋調査船、無線誘導の深海探査機、イルカとの会話などSFでお約束のネタが次々に登場する。アビスやイルカの日など有名SF作品を連想するところもある。

     以降はネタバレになりすぎないように紹介すると、海底のリングは何者が作ったのか、謎の男はどこからどのような目的で現れたのか、などが明らかになって、主人公たちはいろいろめんどくさいことに巻き込まれていく。リングの目的が分からない段階で、これを破壊せよ、と強引にことを運ぼうとする政府高官がいて、大統領にも内緒で潜水艦隊を出動させ、それが失敗した場合のBプランとしてイルカに核爆弾を持たせて送り込もうとする。ヒロインの研究所は襲撃されてイルカとAIは奪われてしまう。核爆発が起きたら南極の岩盤が崩落し、大津波が起きてしまう。
     海軍調査官とヒロインは協力してなんとかそれを防ごうとするのだが・・・

     後半は非常に都合がよすぎる気もして、そうはうまく行かないだろう、それは強引すぎるだろう、という気もするのだが、ハリウッド映画はだいたいこんな感じだよな、とも思う。
     そういうのが好きな人にはほどよく楽しめそうな。A・C・クラークみたいな本格SFを期待するとたぶんあれ?みたいになると思う。あとがきによれば続編があって、既に第三作まで発表されているらしい。
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