「日曜日の住居学(宮脇壇著)」
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「日曜日の住居学(宮脇壇著)」

2018-01-24 19:00


    第一章 住まい方は生き方
    ・新「住居学」事始め
     住居学という用語は今和次郎氏による。本来は生活学という内容を含んでいた。
     住居は生活の容器にすぎず、本来一人一人異なるばずだが住居が生活を画一化してしまう。
    ・建て売り住宅へのひとこと
     民意が大手メーカーの住宅をダメにし、それが人間をダメにしている連鎖。
     ハウス55という国家主導の定着しなかった例。
    ・土地のミステリー
     家は自分の所有でなくてはならないのか、土地は買って占有せねばならないかの問い。
     ※この頃は土地が値下がりすることはない、という時代だった。
    ・ローンはささやかな幸福を保障するか
     年収から家が決まり、家からローン額が決まり、ローンから社会的地位が決まる管理社会。
     ※この仕組みは悪い方に崩壊したのかも。
    ・欲望という名の電車
     セントラルエアコンやシステムキッチンの弊害について。
    ・住宅金融公庫の持ち家の夢
     住宅公団と住宅金融公庫という水と油のような組織の誕生経緯とその不公平について。
    ・住宅の個性って本当?
     名建築家の手になる住宅は施主にとって本当に住みやすいのか。
    ・間取りの本当の無意味
     2DK、3DKなどの記号が家の住みやすさや使い勝手を全く表現していない件。
    ・家は地震にどこまで耐えられるか
    鉄筋コンクリート住宅と木造住宅の違いはコストと安心感。
     どの家も倒れてないのに倒れても、他が全部倒れたのに1棟だけ残ってもダメ。
     地盤が弱ければ鉄筋コンクリートでもダメ。
    ・住み方の姿勢について
     大勢の施主の家を見た結果として、家を住みこなすのはむずかしいと思うことしばしとか。
    ・住宅誌的住居観で家を建てると・・・
     住宅雑誌に連載を持っている身で住宅雑誌の実用性について。
    ・都市に住むこと
    郊外に一軒家をかまえるだけが人生の目標だろうか、という問い。
     ※当時は都心のタワーマンションなどは無く普通のサラリーマンが買えるのは郊外だった。
    ・緑あるところに住みたい
     緑と共存できるような住宅をどのように作ればよいか、という問い。


    第二章 専門家信仰の誤算
    ・派手な見せかけの裏に見える淋しい貧しさ
     家を建てるとき女性は収納にこだわり、男性は外観にこだわり、住み心地は気にしない。
    ・建築家の領分、住み手の領分
    人間は変化していくので住処である住宅も改造が必要になる。だがマンションでは困難。
     高名な建築家であってもおまかせでは自分が住みよい家にはならない。
    ・リビングルームは必要か
     ヨーロッパにリビングルームという概念はもともと無いらしい。アメリカ発の概念らしい。
    ・これからのリビングルームは
     リビングルームは何用の部屋か性格があいまいだが無くせない。強いていえばだんらん用。
    ・ステンレス流し、そしてシステムキッチン
     住宅公団のステンレス流しからアメリカ発のシステムキッチンとなりまたステンレス回帰。
    ・バルコニイ人気はなぜ
     二階に取り付ける建屋と独立した脚付きのバルコニー。水漏れの心配がないらしい。
     これがないと建売は売れないらしい。ロマンか布団干しか縁側代用か。
     アルミ製のバルコニーは夏場は熱くて素足で出られない。
    ・畳の魅力
     畳のサイズが三尺×六尺でなくなってしまった件について。
     銀行やホテルの従業員休憩室は畳でなければならない件について。
     ひなびた湯治場の和室にゴロンと横になるのが最高の休養だと考える世代について。
    ・クロスに苦労す
     著者は壁材にクロスを使わない主義とのこと。その理由とそれに起因する苦労あれこれ。
     建売住宅業界ではクロスもレザーも布や皮ではなくビニール製とのこと。
    ・テレビ、このやっかいもの
     テレビの置き場をどこにするかという設計者を悩ます問題。
    ・座りよければよい椅子か?
     著者は椅子のコレクター。座りやすい椅子はくたびれたとき、仕事中、食事用と異なる。
     日本での椅子の歴史はとても短い。休息用の椅子の歴史はさらに短い。

    第三章 私の建築日誌
    ・家の個性を上手に出すには
     雑然とした街並みにならぬよう、建売住宅地全体のデザインコントロールする仕事がある。
     一方で客は隣と同じ家は買わない。なのでコントロールできない。結果街はどぎつくなる。
    ・なぜ南向きの部屋?
     南向きの窓というのは必ずしも必須ではなく、そうなったのは戦後戸建て住宅からだとか。
    ・家相に耳をかそう
     建築家の大敵が家相というもので、渾身の設計が家相の先生のひと言で流れるという。
     家相には勝てない、ということで著者を含む建築家も家相を勉強して先に取り込むように。
    ・旅で得るもの
     子供と京都・奈良に旅行した時の話。子供は喜ばなかったが、親には優れた建物を見て
     自分の引く線が間違っていない、と自信を取り戻すよすがになる。
    ・木材のこと
     著者は檜・杉以外は建築木材ではない、ラワン、米栂は草だと思え、と教育されている。
     だが建築材はラワン、米栂が主流になり、檜・杉は普通の人は使えなくなっている。
     結果的に日本の木材に向いた工法で、その工法に向かない外国の木材で家を建てている。
    ・新建材のこと
     定義に踏み込むとややこしいが、いわゆる新建材はたたくとポコンと音がする。
     表面がピカピカ光っているのは新建材とも。旧建材で光るのは漆のようなにぶい光。
     終戦後の価値観喪失で、新しいものがいいものだと信じ込まされているという著者の分析。
    ・建築家ってどういう人?
     建築家の自己評価ほど社会は建築家を認知していないというアンケート結果。
     日本ほど建築家が大勢いてサラリーマンの家も担当してくれる国はめずらしいらしい。
    ・工事契約をめぐる問題
     図面をきっちり描いて、信頼関係に基づく簡素な契約書にするか。
     雑な図面で、ことこまかなあれをしたらいくら、これをしたらいくらという契約をするか。
     料理を作ってもらう時、塩を何グラム、故障を何グラム、熱は・・・みたいに細かく指示
     するのと、俺の好みのおいしいの作ってくれ、みたいに頼むかの感じかな。
     オリンピックの国立競技場や豊洲の施設やリニアモーターのトンネルや駅、どのくらいの
     図面で契約してるんだろう。先に業者に図面無しで概算出させて、あとから作った図面と
     食い違いがあってもその図面と金額をセット扱いさせる、みたいに聞いた事あるけど。
    ・住宅の業者について
     著者は住宅設計が好きだが毎回赤字だという。建売住宅の工事業者は利益追求集団だから
     どんなに手抜きをしても利益を出すという。著者には信じられないという。
    ・近ごろの暖房事情
     最近は一瞬の寒さもガマンできない、という風潮がある、という話。
    ・火事は瑕疵
     都会には不燃建築があふれ、不燃建築の中には可燃のものが詰め込まれている。
     都市レベルの火災の怖さ。糸魚川でまざまざと見せられた。
    ・水辺のみずみずしさ
     どんな土地に住みたいかとアンケートを取ると、土地に起伏があり、緑が豊富でなんらかの
     歴史的な遺産があり、中央に河が流れている、というのが共通項だという。
     ロサンゼルスやヒューストンではわざわざ人工的に水場や緑を作っているという。
     東京はわざわざ水場や緑を潰している。
    ・車は汚れ役か?
     テラスというのはきれいな床という意味だとはじめて知った。
     ※ウィキではフランス語で盛り土のこと、とある。
     アメリカではオートテラスという、車でガレージに入って、ガレージの中からダイニング
     キッチンに入る、という車が入って来るのが正面玄関という家が増えたという。
     ※その後定着したのかは不明。ぐぐると中古車ディーラー名としてしかヒットしない。
    ・大テーブルのすすめ
     著者はL字方のソファがあるリビングよりも、大テーブルのあるダイニングの方だんらん 
     に最適というのが持論。1.8m×1.8m(一坪)のテーブルが自宅にあるという。
    ・ダブルはシングルより上?
     一時期ダブルの(二槽式の)流しが流行ったらしい。著者は反対だったみたい。
     

    ・松家仁之さんという、編集者として接点があったらしい方の解説によれば、宮脇氏は還暦を過ぎたくらいで喉頭癌と告げられ、松家さんを呼んで生きているうちに出したい本の計画を告げ、治療にも専念し、もしもの場合事務所をどうたたむかもきちんと計画して逝かれたという。
     
     

     
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