「黒い沼地(横山光輝著)」
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「黒い沼地(横山光輝著)」

2018-03-17 19:00


    ・これも夜光島魔人に収録された短編で、無国籍な感じの西部劇。BB牧場のポップスという経営者を、ギム・ギャレットという男が訪ねてくる。西部劇だから地平線の向こうから馬でやってくる。
     ギム・ギャレットは有名な拳銃使いで、拳銃の台尻には黄金を使っているので金持ちらしい。ポップスの牧場を高く買い取りたいのだという。相場の二倍出すという。

     いい話だが、ポップスは断わる。ここは彼がゼロから開拓した愛着のある土地だから。ギャレットはそれなら西側半分だけでもいい、と言うが、ポップスはとんでもない、西側は草木も生えない、牛一ぴき飼えない荒地です、あんなところ高値で売ったら私の恥です、みたいに応じない。ポップス氏は牛を飼ってそれなりの収入を得て暮らしていければそれで十分で、それ以上の金儲けなどは考えていない。ギャレットはそれなら仕方がない、とおとなしく引き上げる。

     ポップスの息子、ケリーはその話を聞いて西側を見て回る。なんでこんな土地を欲しがるんだろう、とつぶやきながら。ここには黒い毒水をたたえた沼があって、この水を飲んだ牛が死んだ事もある。二年前まではそんなことはなかったらしいのだが。

     その夜、牧場を牛泥棒が襲う。泥棒は牛を盗むのではなく、がけに追い立てて転落させ、牧場の牛は全滅してしまう。ケリーは牛泥棒と対決するが、首領は凄腕のガンマンでかなわない。首領は子供だから助けてやろう、ととどめをささずに去る。ケリーは首領の拳銃の台尻が黄金に光るのを目撃する。牛を全部失ったポップス牧場はこのままでは破産である。

     現場に残された蹄鉄跡とケリーの証言から、ギム・ギャレットが怪しいということになり、保安官はギャレットを連行する。ギャレットは何でわかったんだ?と驚いて連行される。

     ギャレットが逮捕されたと聞いて、慌て出した男がいる。隣のキング牧場の牧場主である。彼はギャレットを一度助け出し、ギャレットが安心したところをだまし討ちする。拳銃で打たれて瀕死のギャレットは、キングがかけつけた保安官やケリーに正当防衛でギャレットを撃った、と説明しているところで起き上がり、キングを射殺する。ポップス牧場の黒い沼は石油で、牛にしか興味のないポップスは知らなかったがそれを隣で気付いたキングが手に入れようとしてギャレットを雇ったが、バレそうになって口封じにギャレットを殺そうとした、というのが真相だった。ギャレットはケリーにお前は金持ちなんだ、と言い残して死ぬ。

     これでバレナイわけないだろ、と今読むと思ってしまうが、昔の少年マンガはこんなものだった。日本製の西部劇マンガというのは手塚治虫さんもいくつか描いているが、当時西部劇ブームがあったから描いたんだろうな。日本人に西部劇マンガはあまり受けなかった気がする。荒野の少年イサムは力作だと思うけど。
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