「スターシップオペレーターズ(水野良著)」①
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「スターシップオペレーターズ(水野良著)」①

2018-06-14 19:00


    ・昔買ったままの長期間放置の本を消化中。
     この本は6巻まで出て、未完のまま事実上の打ち切りになったらしい。売れなかったからとも作者が投げ出したとも。
     アニメにもなったけど、こちらは13話に詰め込みすぎて話が説明不足になったり原作と離れて死ぬキャラクターが増えるなど鬱展開になっていろいろ消化不良になったらしくスタッフが過労死するなど作画にもいろいろあって評価はあまりかんばしくない模様。出演した若手声優のほとんどは現在売れっ子になったみたいだが。


     でも1巻を読んだ限りではそんなに悪く無かったと思う。小説とアニメの相乗効果でもっと受けて作者がノレば、もっと名作になったかも。

    設定はある意味おなじみの、宇宙に進出した人類の植民惑星がだんだん力をつけてきて、地球との関係が怪しくなるというものだけどちょっと工夫がある。

    ①植民惑星連合みたいのと地球が戦うのではなくて、植民惑星連合の中から他の星を侵略して
     勢力を伸ばす「王国」が出現する。
    ②宇宙戦艦はとても高価なので、一つの惑星国家が1隻持てるか持てないか、というところ。
     地球にも50隻程度しかない。
    ③主人公は「王国」に侵略を受けた側の植民惑星の所属。
    ④「王国」は地球に対しては表向き従順なので地球から他の植民惑星に対する助けは来ない。⑤「王国」は戦艦3隻から侵略開始。降伏した星に戦艦を作らせて現在は20隻ほど所有。
    ⑥主人公の星はアッと言う間に負けて降伏。たった1隻の宇宙戦艦は奮戦するが沈没。
    ⑦だが宇宙観測船という名目で次世代の宇宙戦艦は完成していて、自衛官による試験航海と
     防衛大学生の航海実習を兼ねて航行していた。その最中に本国がアット言う間に降伏。
    ⑧次世代宇宙戦艦もまず乗り組んでいた自衛官が退官させられ、学生が残るだけとなった。
    ⑨自衛官と呼んでいるのは、この星が日本が開拓した植民惑星のため。
    ⑩学生は何故かこのまま降伏するものか、といきり立って蜂起。1隻で「王国」と戦う事に。
    ⑪艦長に選ばれた学生は戦争するためにスポンサーを獲得。それは銀河ネットワーク。
    ⑫銀河ネットワークは戦争を生中継することで契約者確保を狙い、この戦艦に出資。
    ⑬そのため女性キャスターが宇宙戦艦ブリッジに常駐し、生放送している。生放送だと
     戦闘に不利という意見も出て、30分遅れの録画放送にすぐ改まる。
    ⑭宇宙戦艦の名称は、視聴者からの投票で「アマテラス」に決定する。開始時点では名無し。
    ⑮テレビ中継時に効果音やBGMが追加され、その効果音やBGMは艦内にも流れる。
    ⑯乗組員のセリフもテレビ局によって勝手に吹き替えられたりする。
    ⑰テレビ局の意向によりブリッジはセクシーな制服を着た女性クルーが大部分となる。
    ⑱艦長は防衛大で首席の男子学生だが教科書通りのことしかできない応用がきかないタイプ。
    ⑲艦長秘書の女性クルーが超優秀で、艦長にダメ出しする。優柔不断な艦長は彼女に相談して作戦を決めている。視聴者は冷静沈着な艦長と艦長に従うおしとやかな女性と思っている。
    ⑳宇宙戦艦が沈むか、「王国」に勝つか、番組が打ち切りになるまで戦いは続く。

     という感じで設定が面白い。効果音やBGMのアイデアはいいと思う。ブリッジクルーの人選や衣装はテレビ的な見栄えも考えて美人が集められて制服もミニスカートに。ごつい男はバックヤードに配転される。
     メガネキャラがほしい、と無理やりメガネをかけさせられたりするクルーもいる。プロデューサーの要求に答えないといけないので、傷付いた敵を有利な状態で攻撃できなかったり、不利でも逃げることが許されず戦わないといけなかったりもする。戦闘時にテレビ側から命令や脚本が来たりする。戦闘開始時間も放送の都合で決められたりする。

     ヒロインである艦長秘書は女ヤン・ウェンリーという感じで、奨学金と資格目当てに防衛大学に入り、卒業後は任官拒否するつもりで星間企業に就職するつもりで内定ももらっていたのだが戦争に巻き込まれて降りるに降りられなくなってしまった。
     彼女は艦内の基本作業みたいな学科は成績がよくないのだが、戦史と戦闘シュミレーションだけは抜群に良く出来る。つまり記憶力が良く、ゲームが得意。こんなはずでは、と思いながら、彼女の戦術眼がこの戦艦を何とか勝利させていくことになる。
     イヤなんだけど、テレビ局の都合でレオタード姿で健康器具のCMなんかにも出演させられたりもする。
     また、宇宙戦闘の結果は賭けの対象にもなり、クルーの一人はこの賭けに参加して宇宙戦艦の活動資金を作ろうとしたりする。

     宇宙戦闘シーンが他の多くの作品と大きく異なる。宇宙戦艦が高価で貴重、ということから艦隊戦ではなく基本的には1対1の戦闘になる。そして彼我の距離は遠く、互いの射的距離外から少しずつ接近しての撃ち合いとなる。どっちが撃った弾も、相手に届くには3時間とかかかる。光線兵器でも30秒とか。レーザーは一度撃つと充填のためしばらく使用出きず、それを補うための使い捨てのレーザー砲とかもあったりする(高価)。こういう距離と時間の感覚を持った宇宙戦闘はめずらしい。
     尻Pの「太陽系の簒奪者」なんかにもこんな感じの戦闘シーンがあったと思うが、一度放った質量兵器の軌道は変えられず、この軌道と相手軌道が交差するかがセメギアイになり、狙われた側は燃料を消費しないとこれを避けられない、みたいな地味な攻防になる。
     「王国」側の戦艦は、一芸タイプに特化していて、小さな弾を伴走する小惑星から製造しつつ無限に近く大量に発射しながら長遠距離攻撃してくるとか、観測機器が充実していて、こちらの攻撃を全て撃ち落とす、という方針で挑んで来るとかの相手がいる(こちらの武装は放送が進むにつれてどんどんバレていくので、当然対策を講じてやってくる)。
     派手な艦隊戦争も嫌いじゃないけど、こういうのも悪くないと思う。



     1巻しか持ってないのでそれしか読んでないんだけど、やりようによっては面白くなりそうな気がするんだけどダメだったのか。今なら面白くリメイクできそうにも思うけど。
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