「コールド・ゲヘナ あんぷらぐど(三雲岳斗著)」
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「コールド・ゲヘナ あんぷらぐど(三雲岳斗著)」

2018-07-10 19:00


    ・この「コールド・ゲヘナ」という作品は著者のデビュー作らしい。あんぷらぐど というのはその番外編みたいな短編集で、この時点で本編は3巻まで出ていた様子。あとがきには本編でお会いしましょう、と書いてあるけど本編は4で打ち止めだったみたい。

     ラノベらしい特殊な世界の特殊な設定を特殊な用語で定義しつつ、ちょっと奇矯なところのある登場人物たちが活躍したりしなかったりする。

     ゲヘナというのは舞台となる砂漠の惑星の名前で、天空には美しい環がかかる。元々は月だったという。この世界にはドラゴンという生物がいて、その他にも魔獣といってよい凶悪な生物がたくさんいて人類は小さくなって暮らしている。
     かつては高度な科学があったらしいが今は廃れて、三つの大国と教団と呼ばれる組織の四勢力の独占状態になっている。三大国は本編の十年ほど前に大戦争を行ったらしい。

     ドラゴンと戦うにはガンダムみたいな人型ロボットが必要で、さらにその操縦者は遺伝子組み換え技術で反射神経を常人の7倍くらいに強化している。主人公もそんな一人という設定。それでもドラゴンを倒すにはかなりの訓練が必要とのこと。

     砂漠なのでそのロボットとは呼ばないでデッドリー・ドライブというその人型を積んだ空母で砂漠を渡る。主人公は空母に住んでいる。住人は3人+1匹。
     双子の少女と人語をしゃべる猫が一緒であり、猫が一番偉い。
     少女は双子というかクローンだが、一緒に育ったわけではなくむしろ憎み合うような環境で育ったために関係はぎこちない。一方は前向きで素直な常識人。この世界の勢力分布を変えるような秘密を脳内に持っているが自分でどうこうできない。もう一人は工作員として暗殺や破壊工作だけを仕込まれて育ったので、それ以外の常識が全く無い。という自覚も無い。でも生真面目で料理とかを覚える気になれば覚える。

     主人公は設定上無敵の戦士みたいな感じなのだが、本編の3巻まで終了時点で自宅?の空母では猫に尻にしかれ、少女二人に振り回されるような毎日を送っている模様。
     
     7本の短編が収録されている。

    ・いつか誰かが・・・
     主人公と因縁がある三大国の一つの女王が見合いをすることになり、彼女はこれをなんとか回避しようとする。だが巡りめぐって主人公がこの見合いを潰すという依頼を受けたことになってパーティー会場に乗り込んで来る。実はこの女王は主人公のことがアレなのだが、気が強すぎていろいろ問題がある人物でもある。主人公は彼女の気持ちに全く気付いていなのでなおさらマズイことになる。

    ・お買い物に行こう
     主人公のところにいる少女二人が買い物に行く。常識がある方が常識の無い方に買い物のコツを教えこもうとするのだが、教えられる方は買い物というものを戦闘の一種だと解釈していく。

    ・涙
     主人公たちが住む空母に赤ん坊が捨てられている。遺伝子欠陥があり、育てられないらしい。遺伝子改造を受けている主人公たちなら医者に伝手がある。
     だがこの赤ん坊は、クローンの少女の常識の無い方にしかなつかない。感情も発達していない少女はちょっと赤ん坊になつかれて戸惑うのだが、次第に楽しそうになっていく。
     だが赤ん坊の母親を主人公たちは見つけ、手放した理由を知る。少女が涙というものをはじめて流す展開になる。

    ・ドラゴン退治にはお鍋を持って
     依頼を受けて通商ルートに出没するドラゴンを退治に来た主人公たち。だがドラゴンは出現せず忍耐の日々。この機会に常識のある方の少女が無い方の少女に料理を教えることにする。
    だができた料理を食べた少女も主人公も悶絶してしまう。そこにドラゴン出現。
     元気なのは料理を作った少女だけ。彼女はデッドリー・ドライブに乗って立ち向かうが、彼女の経験値ではドラゴンは倒せない。経験値のある主人公は動けない。

    ・きみの名は・・・
     主人公が15歳の頃の昔の話。当時はトレーラーで暮らしていて、既にデッドリードライブに乗っている。姉がいたがドラゴンに襲われて死亡している。
     そこに16歳の少女が迷い込んで来る。実は彼女は追われている。彼女と主人公の関わりが、本編でも大きな意味を持つことになる。

    ・灼熱の方程式
     主人公若かりし頃、「きみの名は・・・」の少し後。自分の国の女王から、盗まれたデッドリードライブ奪還を頼まれて僻地に向う主人公だが、トレーラーに密航者発見。その密航者は女で、しかも自分が隠れるために水のタンクを捨ててしまっていた。灼熱の砂漠の中、目的地まではまだ数日かかるというのに。彼女は恋人を訪ねていくというのだが、その恋人こそデッドリードライブ強奪犯だった。

    ・邂逅
     一番時系列的に昔の話。まだ軍の下っ端で、自分のデッドリードライブも持たない主人公。軍の中では命令違反や上官への不服従で嫌われて嫌がらせもされているが、姉のカタキを取るためには軍にいないといけない、と辞める気は無い。だがある任務で砂漠にわざと置き去りにされる。これは命を狙われたに等しい。砂漠に棲む巨大な狼とも山猫ともつかない獣の集団に襲われ、10頭近くを倒したものの力尽きるが、そこを謎の少女に救われる。
     少女の目的地は、主人公を置いてきぼりにした部隊の行き先と一緒だった。そこは定期便が途絶え、連絡がつかなくなっている村。
     村に着くと、住民は全員人間では無い者に変わっている。少女はその犯人を追って来た刺客だった。

     というような内容。私は本編を読んでいないのだけど本編も楽しそうだな、と思われる。自分で作った設定で好き勝手書いて、それが評価されるのは嬉しいだろうなあ、と思わされる。
     でも4巻で中断しているような状態らしい。この著者は中断する作品も多いらしい。書きたいものがたくさんあるんだろうなあ。
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