「十八面の骰子(さいころ)(森福都著)」①
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「十八面の骰子(さいころ)(森福都著)」①

2018-07-22 19:00




    ・本編を読んでも、どこのどの時代の話かよくわからないのだけど、人名や地名から古代中国の話なんだろうな、とは思う。地名とかで制度とかでわかる人もいるのだろうけど私には時代がわからない。裏表紙の紹介文とか解説によると、宋の最盛期の話らしい。でも私には最盛期って何時頃でどんな時代だったの?というのがわからない。
     主人公たちが何者か、というのも裏表紙とかには書いてあるのだけど、第1話では読んでいるうちに少しずつわかってくる、という趣向になっている。

    第1話 十八面の骰子(さいころ)
     趙希舜(ちょうきしゅん)という男が寧沙(ねいさ)という土地にやってくる。検索しても見つからなかったので架空なのかもしれない。寧化県とか沙県というのはあるみたい。傳伯淵(ふはくえん)という男が一緒である。
     伯淵は書生風のひょろりとした22歳の青年で声も良い。飯屋の娘に話しかけると相手は顔を赤らめる。趙希舜は24歳という事だが、子供並みの体格で15歳くらいにしか見えない。
     知らない人間からは伯淵が兄、希舜が弟みたいに見えるのだが、伯淵は年上の希舜にていねいな言葉遣いをするので周囲の人はいぶかしむ。伯淵によれば希舜は洛陽の医家、陶文奥(とうぶんおう)の孫息子で、伯淵は希舜の祖父に恩義があって、祖父亡き後の希舜を助けて一緒に薬売りをしながら諸国を巡っているのだという。これは半分本当で半分嘘みたいな。
     二人はとある飯屋に立ち寄り、そこの看板娘の王金哥(おうきんか)、銀哥(ぎんか)の姉妹と親しくなる。金哥は店の主人の姪で20歳、明るく客あしらいも上手だが、14歳の銀哥の方は無口で無愛想である。それには理由があって、常連客で彼女をかわいがってくれた劉という石工の老人が何も言わずに姿を消したので心配しているのだった。
     この飯屋で毎日のように食事をするようになった希舜と伯淵は銀哥が元気になるような薬はないか、と相談を受ける。
     この店は労働者でにぎわっており、新江という大河の水を引き込んでの水路工事と、六博荘(りくはくそう)という県知事の山荘の工事関係者がほとんど。だが六博荘の工事は職人がすぐ逃げ出すそうで、口入れ屋が活躍している。劉老人もこの六博荘の工事にいって姿を消したらしいのだが、渡り職人でもありまたどこかに流れていったのだろう、と思われている。
     気の荒い客たちは、ちょっとしたことで喧嘩騒ぎも起こす。そんな時、居合せた髭面で武人風の男があっさりと騒ぎを収めてしまう。この男もここ最近姿を見せるようになった常連客だが、何をしているのか不明である。彼は軍人上がりで賈由育(かゆいく)と名乗る。希舜は只者ではないな、と彼と挨拶をする。
     口入れ屋が殺される事件が起き、銀哥がその第一発見者になる。事情を聴くため政庁に連れて行かれた彼女を金哥と一緒に迎えにいった希舜と伯淵だが、銀哥はこの町で何かが起こっている、と怖れている。劉老人以外にも突然姿を消す常連さんが多すぎる、それに劉老人は彼女に預けていったものがあり、これを取りにこないのはおかしいという。
     その預けていった小さな巾着の中には、18面の骰子が入っていた。そして殺された口入れ屋は片目だったのだが、その潰れた目の中に同じ18面の骰子が隠されていた・・・
    口入れ屋を殺した犯人というのはすぐに捕まるのだが、どうも街の噂では冤罪らしい。口入れ屋につきまとわれて困っていた同業者の未亡人だというのだが、口入れ屋は剣の遣い手に殺されたと見られ、未亡人にはとてもできない。だが判決を下すのはこの県の県知事である。このままでは打ち首になってしまうかも、と案じる街の人々の前で、伯淵は巡按御史のお出ましがあれば、と噂をたてる。巡按御史とは天子直属の監察官で、地方役人の不正や職務怠慢などを調べて断罪する権限を持った秘密捜査官のようなもので、冤罪を晴らしたりもするという。
     この噂から、この地に巡按御史が来ているらしい、ということになり、知事は冤罪で無実のものを打ち首になどすれば自分が免職されてしまうので裁判に慎重になる。
     その間に希舜と伯淵は真犯人と事件の真相をつきとめる。

     みたいな話。巡按御史と検索すると中国語のページばかりでてくるけど、多分実在したものらしい。日本で言わば公儀隠密が正面から名乗って乗り込んで来るみたいなものか。韓国の暗行御史(あんこうぎょし、アメンオサ)というのを聞いたことあるけど似たようなものかな。
     本の紹介では中国版「水戸黄門」と書いてある。表紙イラストを見ると、主人公たちの顔色が悪いこともあってキョンシーの話なのかと思ったけどそうではなかった。
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