「十八面の骰子(さいころ)(森福都著)」③石火園(せっかえん)の奇貨
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「十八面の骰子(さいころ)(森福都著)」③石火園(せっかえん)の奇貨

2018-07-29 19:00


    ・銀水県という土地の知事を調べた主人公たち。国に納めるべき税がなかなか納められないので調査に来たのだが、旱魃と冷害と虫害に三年続けて襲われたとの理由に嘘は無く、農政には巡按御史も口を出せないので、知事に天子に助けを求める嘆願書を書かせて引き上げようとしている。もちろん巡按御史として知事に指示をしているのは傳伯淵である。ここの知事は弁舌たくみで軽い人物という印象だが、民には意外と人気があるようでもある。だが、民の総意として、知事は犯罪捜査はヘタクソだという。
     知事と面談し、仕事は済んだ、と思っていたとこれで殺人事件が発生し、捜査はヘタクソな知事から協力を頼まれてしまう。被害者は貧乏な名家の三男だという。さらに二人が殺されているのが発見され、何と彼ら三人の従者が知り合いで、犯行時刻に三人で飲んでいたということがわかる。調べると殺された三人を含む四人がこの地にある石火園という園庭の持ち主を訪ねてきた友人同士であることがわかる。持ち主も含めた五人は石火園の五友と自分たちを呼んでいたという。
     その石火園を訪ねてみようとするとその持ち主で葛養正(かつようせい)も失踪しているという。残る一人、秦徳忠(しんとくちゅう)という男もこの地に来ているかと探すが見当たらない。だが、賈由育が希舜や伯淵の様子をうかがっていた怪しい女を捕らえると、彼女は秦徳忠の娘、秦淑芳(しんしゅくほう)と名乗る。
     彼女の顔を見た伯淵は瑶琴さん、と呟き呆然としてしまう。これは人違いなのだが、いろいろ仔細がある話らしい。
     秦淑芳に事情を聞くと、彼女の父親を含む友人五名は十年後のいついつ、と日時を約して会うことになってたのだが秦徳忠は卒中で急死し、お嬢様育ちだった彼女はそれから苦労したらしく、父がこの会合で金が入ると言っていたのを頼りにやってきたのだという。だが到着早々父の友人と聞かされている名前の死人が次々に出るので気になって、捜査をしているらしい希舜や伯淵をマークしてたのだという。彼女によれば石火園の奇貨というものが一財産になるらしい。だが彼女はそれが具体的に何なのかは知らないという。
     彼女は父親が葛養正から日本の扇子を贈られていたことを話し、その扇子を見せる。そういえば殺された三人の遺品の中にも扇子があり、希舜はこれを確保する。葛養正は四人の友にそれぞれ違う絵柄の扇子を贈り、これを余興に使うと言っていたという。
     扇子にはそれぞれ三つの画題が描かれている。例えば竹・鳳凰・蝸牛といった具合。扇子5本で15の画題があることになる。おそらくこの画題が何かの判じ物になっているに違いない。
     趙希舜、傳伯淵、賈由育、秦淑芳に知事は石火園へ行き、扇子をそれぞれ1本ずつ持ってこの判じ物を解いてみようとする。知事との会話の中で、この庭園に欠けているものを聞いた希舜は、それこそが奇貨だ、と見当をつける。だが希舜は一度巡按御史としての調査は終わりだ、と宣言し、引き上げて見せる。殺人犯をおびき出すために。

     希舜と伯淵の過去に関わる夏瑶琴という女性について、少し語られる。伯淵にとって忘れられない女性であり、希舜にとってもそれは同じらしい。そのあたりの事情を知らない由育はこれを聞き出そうとするのだが、二人とも口が重い。もうこの世にはいないらしい。
     ひょろっとした青二才、と伯淵のことをこれまで馬鹿にしていた由育だが、伯淵が拳法の達人である事を身を持って知り、一目置くようにもなる。
     
     
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