「琥珀枕(森福都著)」①太清丹(たいせいたん)
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「琥珀枕(森福都著)」①太清丹(たいせいたん)

2018-08-09 19:00




    ・琥珀枕(こはくちん)というのは文字通り、琥珀でできた枕のこと。陶枕(とうちん)というのがあるそうで、陶器でできている枕だそうで、頭が冷えるので頭痛持ちによい、みたいに愛用する人がいるとかいないとか。この作品でもある頭痛持ちの女性が琥珀枕を愛用していることになっている。いつか大怪我しそうで私はコワイ。

    ・この作品は、時代ははっきりわからないが古代中国の東海郡藍陵県というところが舞台。ここの県令(辞書で引くと県の長官と書いてある。県知事とイコールと思っていいのかよくわからないけど、えらい人みたい)に一人息子がいて、名前は趙昭之(ちょうしょうし)。中国には塾師というものがあって、住み込みの家庭教師みたいな印象だが昭之少年にも父親が塾師をつける。それが徐康(じょこう)先生。先生は年齢200歳とも300歳とも。スッポンの妖怪である。この作品世界では、人間と妖怪は何気に同居している。住処として屋敷内に作られた池の中ではスッポンの姿だが、池の外に出ると人間の老人の姿となる。そして昭之少年を連れ歩き、世の中の奇妙な(たいていは妖怪がからんでいる)出来事を解説してやるのだが、決して干渉はしない。そうしながら少年の自主性や判断力が育つように、という教育方針らしい。そんな設定で語られていく短編集。

    ・太清丹(たいせいたん)
     李通(りつう)という若者が、母親の病を治すために家宝の太清丹を売りに出す。これは先祖の李曜(りよう)が作ったもので、安期(あんき)先生という名高い神仙の元で修行してでのことだった。これは不死の薬で、二百粒を毎日一粒ずつ二百日間飲み続ければ不死が得られるという。百日で外部から傷つけることのできない半不死となる。李通の母親はいつ死ぬかわからぬほどの重病で、太清丹では間に合わない。だから売ってきちんと医者に見せたいのだという。
     この土地にはそれだけの大金を払える金持ちが二人いる。生糸商の鄭万進(ていまんしん)と鉄を商う姚宗桂(ようそうけい)。二人はウマが合わず、非常に仲が悪い。 
     万進の方が商人としては格上だが宗桂の方が見かけはよい。だが娘は圧倒的に万進の方が美人で慎ましく淑か(しとやか)だ。名は麗雲(れいうん)という。万進は太清丹を買い入れ(買い叩いた模様)、百日間飲んで半不死を得るが、そこで薬を盗まれてしまう。盗んだのは宗桂に決まっている。どうしてくれよう。というところに鐘安瑞(しょうあんずい)という色男が訪ねてくる。彼は腹の中に赤蛭(せきてつ)という一種の寄生虫を飼っており、これを使って外からは傷つけられない半不死の男であっても、身体の内側から食い殺させることができるという。宗桂は盗んだ薬の残り百粒を飲んで半不死になるだろう。だが赤蛭があれば殺せるのだ。

    というわけで、何故そこまで、という金持ちの突っ張りあいと、そこに割り込んで利益を得ようとする色男の三つ巴のせめぎあいのような。でも一番利益を得たのは実は・・・という話。最初にも言ったように、スッポンの先生と人間の生徒は何の干渉もせず、ただ見ているだけ。
     仙人が作った不老不死の薬や体内に蛭を飼う男、スッポンの妖怪などがいても誰もキニシナイ世界観の話。
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