漫画「栞と紙魚子(諸星大二郎著)」一気読み
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漫画「栞と紙魚子(諸星大二郎著)」一気読み

2018-09-07 19:00




    ・最初はA5版単行本で6巻まで出て、それから文庫版で出て、今はB6版で新装版全4巻として出てる。諸事情あって文庫版には収録されていない話があり、今回は書き下ろし漫画が巻末についているので、このB6版で揃えないと読めない話があるみたい。
     A5版の時はリアルタイムで買って読んでいたんだけど、一度連載終了してしばらくしてからまた再開したりして、次が出るまでかなり間があいたりしたので、6巻が出たのは気付いてなくてたぶん5巻までしか読んでなかったりしたのと今は手元にないこともあり、大人買いして一気読みしました。
     
     著者が住んでいるらしい吉祥寺近辺をモデルにした鬱状寺という、神田川ならぬ肝田川、玉川上水ではなくて股川上水、井の頭公園ではなくて胃之頭(いのあたま)公園などがある街を舞台に話が展開する。この街はフツーにもののけやユーレイが闊歩し、魔界の住人などが何気なくご近所さんとして暮らしている街であって、時折りよそのもののけが侵略にやってきたりする。

     ヒロインの一人で主役の栞は、美人だがどこか頭のネジが抜けていて、物事に動じない。何か霊感とか超能力とかを持っているわけではないのだが、動じないというところで普通の人なら怖がるものを恐れることなく叱りつけたり、おだやかにスルーしたりもできる。なのでクラスメートは何か奇妙な出来事があるととりあえず栞をけしかければいいや、という一種の便利屋みたいなポジションにある。
     ヒロインの親友というか相棒が紙魚子で、ヒドイ名前だがこちらは頭が良く冷静、実家が古本屋ということもあって様々な変な本を読んでいて無駄な知識がある。栞の相談相手あるいはアドバイザーのような感じになっている。珍しい本を見つけると我を忘れるところもある。
     この女子高生二人が街に発生する普通の事件をなんとなく解決したり悪化させたりもっとひどい事件の発生源になったりする、という連作短編集になっている。

     そういう設定なのでユニークな脇役がたくさん登場する。
     段一知(ダンイッチ)という作家が街のはずれの通称おばけ屋敷に住んでいて、名前はもちろんラブクラフトの小説からとっているわけだろうけど、この人の奥さんは魔界の住人で、奥さんの血を多く受け継いだ娘がいる。この奥さんは非常に前代未聞のユニークなキャラクター。
     ヒロインの飼い猫は時々人間の姿になって、近所の猫と一緒に古道具屋をやっている。
     股毛(ももけ)神社の神主はこのあたりの産土神でもののけの町内会長みたいな感じで、巫女さんはろくろ首みたいだが(首だけではなく手も伸びる)あまり強くなく、結界はいつも簡単に破られてよそのもののけに蹂躙されている。彼らがその度に助っ人として頼るのは段先生の奥さんとヒロイン二人である。
     長頸寺という寺や血笑園という庭園には、長姫という美人の強力な怨霊が出没する。長姫は栞のことがお気に入りで、彼女の身体を借りたがる。長姫は気風のいい紙魚子のことも買っている。
     終わりの方で新キャラとして胃之頭公園の弁天様や胃之頭稲荷大明神のキツネの神様(本名はコン太)など神様も登場。コン太はちょっと栞に懸想している様子。彼はキツネ神一族ではかなり出来が悪く、フィギュアなどいわゆるオタク趣味に走ってもてあまされている様子。
     目立たないけど登場回数がけっこう多い早苗とマチ子は主人公二人の同級生。まったく普通の人間で、事件解決にはほとんどからまないのだけど発端にはからんだりする。

     まだまだいろいろなキャラが出て来るのだけど、主役二人がどんな強烈な脇役が出て来ても中心にいる。

     最後のほうで新キャラがどどどって出て来るんだけど、十分に活躍しないまま終わってる印象で、いつでも続けられそうな。既にBOXという別の作品のキャラクターと主人公二人が共演する番外編が描かれているので、今後描き足されることを期待したい。
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