「花だより(高田郁著)」
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「花だより(高田郁著)」

2018-09-10 19:00


    ・4年前に全10巻で完結したシリーズの、出ると思わなかった特別編。本編では退場したが、その後が語られず読者が気にかかっていただろう人物や、ヒロインを含めた周辺の人物のその後を、読者からのたくさんの要望に答えて1冊だけ書きました、でもこれで本当に終わりです、みたいなことが書いてある。

    注:既刊を読んでいない人にはネタバレです。

    ・花だより
     ヒロインを親代わりになって面倒を見たようなかつての雇い主が、夢をかなえるため大坂へ去ったヒロインを訪問しようとする話。この元雇い主は74歳。江戸時代の74歳だからもういつ死んでも不思議はない。さらに、よく当たると噂の易者に、来年の桜を見ることはかなわぬだろう、と言われてしまう。これで意気消沈するのだが、じゃあ今年の桜は見れるんだ、ヒロインに会いに江戸から大坂までの長旅をしても大丈夫ということだ、と気持ちを切り替えて、一緒に来るならついて来るがいい、という人もあって旅を決意する。だが箱根八里は老人にはやはり厳しく、思わぬ道中になってしまう。

    ・涼風あり
     本編では途中退場した武士。ヒロインと相思相愛であったが、自分のところに来れば窮屈なしきたりばかりの武家の嫁として暮らさねばならず、それはヒロインにとっては生き甲斐の料理人という道を断つことになる。だが本人は愛情と生き甲斐に挟まれて動けなくなっていた。
     それを察した彼は、自分ひとりが悪役になって自分より格式の高い武家の嫁に迎えることにし、それに目が眩んで貧乏な町人であったヒロインを手ひどく捨てる、という芝居をうつ。ひと言も説明も言い訳をしなかったので、それまで親しかった人は、自分の妹も含めてなんて非道な男、と彼を軽蔑する。彼の真意を知っているのはヒロインのみ。これでヒロインは自分の夢をかなえる道に戻ることができたが、二人は二度と会えなくなった。
     その彼がヒロインを救う為に迎えた嫁はどんな人物で、どんな夫婦生活を送っているか、という話。

    ・秋燕
     かつて吉原一と言われたもと花魁は、ヒロインの幼馴染で今も親友。彼女が吉原を無事に抜けられたのには、ヒロインの尽力と、花魁を命と引き換えにして守った料理人の犠牲があった。
     今は大坂で商売をし、成功を収めているもと花魁だが、女が主人では本来店を持てないのがこの時代。夫を亡くした女房のことなどを考え、三年は猶予を与える慣習があり、これまではそれで目こぼしされてきた。でももうすぐその猶予も終わる。
     後援者は、夫を迎えなさい、お前の好きな相手を見つけて、とずっと言ってきた。だがそんな男はいない。忠実な店の番頭がいるのだが、彼は彼女が花魁だったことも、彼女を助けて死んだ男がいた事も知らない。それを話さずに、自分を嫁に、とは言えない。

    ・月の船を漕ぐ
     ヒロインは夢だった自分の料理屋を持ち、ヒロインが武士と交際していた間も心を秘めて静かに友人として交誼を続けていた医師と所帯を持っている。だが謎の伝染病が流行り出し、ヒロインの大家も罹患する。医師の必至の治療もこの病気ーコロリには効果なく、大家は助からなかった。
     大家の息子は、親父を助けられなかったヒロインの夫にやり場のない怒りをぶつけ、もう全て忘れるために家作も建て直す、ついては立ち退いてくれ、と言い渡す。
     ヒロインはこれに苦悩するが、患者を助けられなかった、と打ちのめされている夫には言えない。さらにダメ押しのように、その夫も病に倒れてしまう。

     という感じで、本編で語り残したと言えば言えるようなエピソードが4つ。こうなるとこの人物についても、と思うのが人情だけど、それは察することに。

     この本自体はまだニコニコ市場にないので、本編の方のリンク。

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