DVD「ジャコ萬と鉄」
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DVD「ジャコ萬と鉄」

2018-12-09 19:00



    ・DVD処分中。高倉健対丹波哲郎の1964年版。三船敏郎対月形龍之介の1949年版もあったらしいがフィルムが失われてもう見れないらしいとどこかに書いてあった。発掘されたら見てみたい。

     昭和39年公開のモノクロ映画で作品の舞台は昭和20年から21年、終戦直後の北海道の冬から春に向うあたり。当時は大量に獲れた鰊漁の季節のはじまりの頃。

     その頃になると全国からヤンシュと呼ばれるニシン漁師が集まって来る。集まってきた中に関西弁で漁は未経験だというちょっとワケありっぽい若者(たぶん江原真二郎)もいる。ニシン小屋の主人・九兵衛(山形勲)は樺太帰りで、戦後初のニシン漁に借金をしての挑戦。ニシンが不漁なら財産を失う。帳場を仕切るのは娘婿の宗太郎(大坂志郎)だが押しが弱く頼りない。借金も値切られて必要額が集まらなかった様子。
     妻のタカ(浦鍋粂子)は戦死したらしい息子・鉄(高倉健)の遺影に手を合わせ、ちょっとボケているのか夫に鉄は生きてるんじゃないかねえ、と鉄が帰ってきた、と言っては九兵衛にそんなわけあるか、と文句を言われる毎日である。
     ヤンシュの集まりも悪くて数が足りない。そこで前科者を雇って安くこき使うことにする。ヤンシュたちの食事の支度を取り仕切る鉄の姉で宗太郎の妻のマサ(南田洋子)にも飯の盛りが多すぎる、と文句をつける。だが雇ったわたり者の中ににジャコ萬(丹波哲郎)がいる。彼は樺太でも有名なならず者で、九兵衛に恨みを持っている。樺太でソ連兵が迫ってきた時に自分の船が壊れていた九兵衛はジャコ萬はもう死んだものと思って彼の船を奪って引き上げてきたのだが彼は生きており、劇中ではそういう説明はないのだが紹介サイトなどによればソ連軍に捕まって苦労したらしく嫌がらせをするためだけに雇われてきたのだった。
     彼はあっという間にヤンシュたちを圧倒して止めに入った九兵衛も投げ飛ばし、一切働かずに王様のような扱いを受けるようになる。彼を追ってユキ(高千穂ひずる)という美人もやって来る。だがジャコ萬はユキには帰れ!とつれない態度。どんな縁だかはよくわからないが料理屋とか遊郭とかで働いていた女性みたいな印象。
     ユキによればジャコ萬のジャコはジャコウジカみたいに逃げ足がすばしっこいということからついたあだ名だという。

     そこに鉄が帰って来る。鉄の歓迎会も兼ね、網下ろしの祝いみたいな飲み会が番屋で開かれる。踊るヤンシュたち。だが姉夫婦は鉄が帰ってきたため、一度は宗太郎が跡取りに指名されていたのがどうなるのか案じている。宗太郎は尺八を披露し、鉄は戦地で覚えたのか南洋踊りみたいなものを披露する(かなりヘンテコで何かのネタになりそう。ここだけようつべに上がっている)。
     宴会に参加せず、番屋の隅でこれを見ていたジャコ萬がちゃちゃを入れ、ジャコ萬と鉄が一触触発となる。組み打ちになる二人。互いに投げ飛ばすが、ジャコ萬はモリを持ち出す。だがタカが萬吉さん、と止めに入り、タカにはよくしてもらっていたらしいジャコ萬もタカの顔を立ててか矛を納める。喧嘩は鉄に花を持たせた形で終わる。
     鉄はジャコ萬と面識が無く、怠けて偉そうな様子に文句をつけるが、父親がジャコ萬にした非道な行いを聞いて父親を呼んで真偽を確かめ、目的を質す。ジャコ萬は九兵衛が血の涙を流すのを見たいのだという。
     鉄は父親の非を認めた上でお前さんの好きにはさせないと言えば、ジャコ萬もできるならやってみろ、と殴りかかって来る。鉄は明日用事があるんで今日はやめてくれ、顔に傷をつけたくないんだとこれをいなす。
     鉄は馬橇で近くの村に行き、そこに住む父娘(入江若葉)に戦友の死を伝え、開墾作業を手伝う。帰り道に橇に縛り付けられて馬に引きずられるユキを救う(ジャコ萬は何度かこうやってユキを追い払っている)。
     ここで鉄はユキにジャコ萬が密漁船に乗り、白熊を獲っていたマタギだった過去を聞く。

     一方番小屋で、ジャコ萬は関西弁の若者と話をする機会を得る。若者はジャコ萬が復讐を考えていると聞き、自分はそのために女を殺し、それで人生がおかしくなった、止めた方がいいですよ、と懺悔するように話す。

     網入れという儀式が行われるが、その晩ベテラン漁師が時化の気配に気付く。ヤンシュたちは舟を出して何かする(多分網と船を守ったんだと思うがよくわからない)。鉄は冷たい海に飛び込んで奮闘し、ジャコ萬は高見の見物をしゃれこむ。この時海に落ちた若者が熱を出す。この時九兵衛は特別手当を出すみたいなことを言ったみたいだが翌朝は反故にし、病人である若者も働かせようとする。
     ジャコ萬が九兵衛は約束を守らない男だぞ、と吹き込んだせいもあってヤンシュたちは騒ぐが、鉄がやってきておとうちゃんが悪いよ、病人は休ませないと、と言うとその場は納まる。
    その夜ユキが鉄の不在中にやってきてジャコ萬に鉄砲を突きつけて、あたいがアイヌの血を持つから愛してくれないのか、と迫る。

     鉄は毎週1回、父娘のところに通って開墾を手伝っているが、その帰りにとぼとぼと歩くユキとすれ違う。いつもと違う、馬橇もない様子に声をかけ、鉄は番屋にユキを連れ帰って、姉夫婦にここで雇ってやってくれ、と頼む。ジャコ萬が余計なことをするな、と文句を言うが鉄は俺が拾った女だ、どうしようと俺の勝手だろう、と言い返す。

     さらにヤンシュたちの一部がストライキを起こす。鉄は相場に比べて父ちゃんの賃金は安すぎるよ、ヤンシュがいないとニシンは一匹も獲れないんだよ、相場並みに出してやんなよ、とヤンシュたちの味方をし、何だと、勘当だという九兵衛に黙って殴られる。ヤンシュたちはストを続けるがこのままだとこれまでの給金も出なくなると心配するものも出て気弱になってくる。
     ジャコ萬は気弱になったヤンシュたちにそれでは九兵衛に負けるぞ、あきらめるな、とハッパをかける。鉄は黙っている。

     そこに船頭?番頭?がニシンが来たぞ、と知らせに来る。
     九兵衛はヤンシュたちにニシンが来た!出港だ!と声をかけるが誰も動かない。ついに九兵衛は俺の負けだ!賃金は上げるから船を出してくれ、と頼むがヤンシュたちは誰も信じない。だが鉄がみんなはもう雇われ人じゃない、ニシンを獲ってくれと頼まれた人間なんだと力付け、金が払われなければニシンを渡さなきゃいいんだ、まずニシンを獲ってから金のことを考えよう、とヤンシュたちも動き出す。鉄も俺にもニシンを獲らせてくれ、とヤンシュの仲間に入る。九兵衛が息子のくせになんだ、というと勘当したじゃないか、と言い返す。
     だがここでジャコ萬が銃を持ち出し、ニシンは獲らせない、と立ちはだかる。あと30分もすれば白子が出てしまうとかで商品価値が失われるらしい。それまで動くなと九兵衛に銃を突きつける。ユキが止めに入るがすぐに振り払う。

     鉄が進み出て、二人の喧嘩はご自由に、でも俺たちがニシンを獲って金を稼ぐ邪魔はしないでくれ、と突き放すとヤンシュたちもそうだそうだ、俺たちの邪魔はしないでくれ、と団結してニシン漁に向かおうとする。なおも銃をヤンシュたちに向けるジャコ萬に若者が立ちはだかり、そんなことをしたらあんたは俺みたいに一生悔やむよ、と言い聞かせる。
     それでも銃を離さぬジャコ萬に鉄が飛びかかり、二人が争う間にヤンシュたちは出港していく。若者は血を吐いて砂浜でうずくまる。

     ジャコ萬は斧みたいなものをつかんで浜へ行き、ニシンで重くなった舟や網を浜に引き上げるための綱みたいのを切ろうとする。鉄はこれを止め、この綱を切れば泣くのはヤンシュとその家族たちだ、どうしても切りたけりゃ俺の腕でもどこでも切るがいい、と邪魔をする。
     しばしにらみ合いが続き、ジャコ萬は斧みたいなを海に投げ捨てる。誰か踏んだりしたらあぶない。ジャコ萬はお前の腕なんか切ってもしかたがない、さっさとニシンを獲りに行け、胸糞悪い孝行息子め、と悪態をつく。鉄はすまん、といって舟に向う。残されたジャコ萬にユキが駆け寄る。

     ニシンが次々に引き上げられていく。ジャコ萬も鉄も一緒に手伝っている。大漁旗が上がり、飯が炊かれる。活気あふれる浜で、若者が死んでいるのを炊き出しを手伝っていたユキが見つける。

     鉄は若者の荷物に封筒があるのを見つけ、身元がわかるものが入っているかもしれない、と開けようとするがジャコ萬が止める。人に言えない過去があるからこんなところに流れてきたんだろう、故人に恥をかかせるな、と。鉄は納得したように じゃあ、よすか、と封筒を火に投げ入れる。

     ヤンシュたちは約束通り給金をもらい、喜んでいる。九兵衛はどうだ、約束は守ったぞ、来年も頼むぞ、とヤンシュたちに声をかけている。ヤンシュたちも気持ちいいニシン小屋だった、と答えている。

     小屋の裏からひっそりとジャコ萬が出て来る。浜辺に石が積まれ、墓碑が立っている。昭和21年3月20日 通称 大阪之墓 とある。若者の名前は作品内で呼ばれることはなく、関西弁を話していたので大阪になったのだろう。
     ジャコ萬は墓碑の前で帽子を脱ぎ、歩み去ろうとすると鉄が忘れ物だ、と声をかける。ユキを連れている。ジャコ萬は余計なことを、といろいろやりとりがあるが、結局嬉しそうにユキがついてくるのを許す。鉄はユキにジャコ萬の取り分だ、と札束も渡している。

     誰もいなくなった番屋。帳場で姉がこんなに稼いでも、これは鉄のもので私らのものじゃない、みたいに夫に愚痴をこぼしていると鉄が荷物を持って現われる。
     漁場はショウに合わないからやっぱり船乗りになるわ、二人に漁場とおふくろを頼む、と言い残して去っていく。
     九兵衛が浜にいる。親子らしい会話をして、鉄は去る。あの父娘のところに立ち寄るが、娘のそばに恋人らしい男(たぶん小川守)がいるのを見て声をかけずに港へ向う。で終わる。ちょっとこのへん寅さんっぽい。

     脚本は黒沢明・谷口千吉とあるがこれは三船・月形版と同じ。同じ台本を使ったのか書き直したのかはネットではよくわからない。ウィキペディアだと黒沢明の名前が無かったりする。
     監督は深作欣司。
     お姫さま役で有名だった高千穂ひずるさんがかなりイメージの違う役でも美人だなと思う。ご主人が月光仮面の大瀬康一さんだったと今調べてはじめて知った。数年前に亡くなったとのこと。

     ニシン漁は入江の浜から見えるくらいのところに網を張り、産卵のために押し寄せるニシンを次々舟の上に引き上げるものらしい。だからほとんど一発勝負。
     その浜で漁をする権利を買い、網や舟を買い、網を引き上げる漁師(ヤンシュ)を大勢雇い、船頭を雇い、彼らが泊り込む番屋を建て、食事を提供し、食事を作る女たちを雇い、ニシンが来るのをひたすら待つ、と先行投資がものすごい。これでニシンが来なければ、というギャンブル。だが当たれば大儲け。石狩挽歌の世界ですね。
     蒸気機関車は出るけど車は一台も出て来ない。村の外に出る時は馬橇の時代。

     ジャコ万という人物は男一匹ガキ大将にも出て来るが、これが元ネタなんだろうな。
     これまではジャコってチリメンジャコのジャコだと思ってた。


    ニコニコには無かったけどGYAOストアにあった。
    https://streaming.yahoo.co.jp/p/y/00740/v12962/
     
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