「お江戸とてシャン(森島明子著)」
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「お江戸とてシャン(森島明子著)」

2019-02-21 19:00


    ・4コマ漫画雑誌に連載された江戸時代漫画。ちょっとめずらしい気がする。

     ヒロイン・おヒナは最近江戸に出てきたばかりの15歳。歳のわりには幼い、ちんちくりんという感じの娘。実家は大伝馬町の太物問屋(木綿製品屋さんのことらしい)・「綿屋」(フリガナが無いがメンヤかなワタヤかな。検索するとワタヤが圧倒的多数)で父、母・お涼、5歳のしっかり者の妹、お風(おふう)がいる。おヒナは身体が弱く7年間田舎にあずけられていたとのこと。おヒナの生みの母親は亡くなっていてお風とは母親が違う。出奔してしまった兄がいる。そういう設定なのでヒロインは江戸時代の人間の癖に江戸のことをよく知らず、いちいち驚いたりする。そこでヒロインと読者にいろいろ江戸について教えてあげるね、という感じの漫画。

     4コマ漫画雑誌に連載されたので基本4コマ。絵もシンプル。そのわりに内容はけっこう大河ドラマみたいなスケールの話になる。著者あとがきによれば呑気にゆったり江戸の太平楽と歳時記を楽しむつもりだったのが江戸の勉強をしているうちに江戸っ子の熱さに引きずられてそうなってしまったとのこと。

     おヒナは江戸に戻った最初の日に見かけた火消し人足に名も顔も知らぬままひと目惚れ。顔も知らぬというのは火消しは目だけが見えるマスクみたいな頭巾みたいなをかぶっていたから。目元しか知らないのだがその目元に心ひかれてしまう。
     花見の日に雨に降られ同じ桜の大木で雨宿りしたイケメンのとび職に、この人どこかで、と思う。もちろん彼があこがれの人である。名前は虎吉。町火消・は組のまとい持ちで、色男で女性に人気なのだが堅物で有名な男。

     火消しの時はカッコイイが、普段は町のなんでも屋さんみたいなもので真っ黒になってドブさらいとかカッコワルイ仕事もしている。だがおヒナはそんな姿にもキュンとする。虎吉の方も、いわば裏方みたいな時の姿にも、火事場での晴れ姿にも、どちらにも賞賛の目を注ぐおヒナにちょっと興味を持つ。
     
     だが引っ込み思案で行動力の無いおヒナは遠くから見ているだけ。ここにチャンス到来。実家に虎吉が所属するは組のおかみさんから火事装束新調の依頼。おヒナは思わず私に縫わせてくださいと申し出るのだが虎吉のだけというわけにはゆかず、勢いで全員分一人で縫うみたいなことになってしまう。母親は察している様子でやってみな、と彼女に任せてくれる。

     具体的な年号なんかは書かれていないけど、八代将軍吉宗の時代にうんぬん、みたいなセリフがあるのでそれより後ということになる。

     話が進むにつれて、おヒナの同じ年頃の友人たち、商家の娘のお咲や戯作者をめざすお市、帰ってきた兄の亀松、女文身師の椿などが登場して賑やかになっていく。ほのぼの進んでいくのかな、と思うと中盤でどうしても見合いしなさい、と言われたおヒナが家出して、虎吉に告白した上で椿の住み込み弟子になるなど急展開してくる。
     虎吉にはかつてお雪という恋人がいたのだが、若くしてお雪は病死。虎吉は今も彼女を忘れられず、まだ子供のおヒナに思いを寄せられても、ということもあり、椿がかつては虎吉の彼女だったのにお雪に盗られたなどという噂もあり。このへんはご近所さんには知られていないいきさつがいろいろある。お雪は顔に刀傷と火傷がある武家娘だった。

     三年が過ぎ、おヒナもいい女に成長して納まるべきところにおさまってハッピーエンドになる。
     
     とてシャン というのは 「とても綺麗な女性」という意味とのこと。

     著者はどちらかというと百合系の描き手みたいだけど、最近はADHDなどについても漫画にしている様子。現役で漫画家してるだけでたいしたもんだと思う。
     著者のツイッター。
    https://twitter.com/morishima_akiko
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