「草子ブックガイド1(玉川重機著)」二冊め ダイヤのギター
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「草子ブックガイド1(玉川重機著)」二冊め ダイヤのギター

2019-01-31 19:00




    ・紹介されるのは「ダイヤのギター」という短編。作者はトルーマン・カポーティ。
    ブックガイド二冊目は三回にわたる中編で、学校での草子が描かれる。
     学校での彼女はやっぱり、という感じで暗い、とクラスで浮いている。普段は図書委員でもないのに図書室に入り浸っていたみたいだが、最近は図書室で見かけなくなった。

     図書館担当の司書教諭・江波和子は本好きな草子に少し期待しているところもあって、どこか別に居場所ができたのかな?と気にかけている様子。草子は真面目そうでおとなしそうな子だけど、自分の興味無いことには本当に興味が無くて、結構大胆に授業をエスケープしたり宿題をやってこなかったりする。第一作では万引きもしていて見かけと異なり決して優等生ではない。今回も読書感想文の宿題を出してこない。本好きの彼女が出さないのはちょっと解せないのだが、どうも授業中も上の空で別のことに夢中な様子。そしてその何かをしている時は、いつも暗い草子が実にいい笑顔をするのだ。

     和子は授業を抜け出した草子を追って、古本屋にたどり着く。ここで彼女のブックガイドを店主に見せてもらい、その面白さに感心する。最近図書室に来ないね、と草子に話しかけると、草子は学校には自分の居場所がない。クラスでみんなと一緒にいると一人でいる時よりさびしい、と答え、自分が母親に捨てられた子供であるとも語る。この古本屋さんは本が生きていて楽しいの、と裏返せば和子の管理している図書室は本が生きていなくてつまらない、とグサっと来ることを無自覚に言う。

     打ちのめされて古本屋を出て行った彼女は、夜になるとへべれけになって戻って来て、私だって本の魅力を伝えたいってがんばってるのにダメなのかなあ、とからんで酔いつぶれる。
    これを自分のせいだと思った草子は和子に付き添って目覚めるのを待つ。 
     古書店主と店員はこれに付き合っていろいろフォローを入れて、その結果草子と和子が中心になって学校でブックトークをやることになる。

     とにかく生徒に本の面白さを知ってもらいたい和子は前座として星新一の「ボッコちゃん」、稲垣足穂の「一千一秒物語」などを紹介したあと草子にバトンタッチ。
     いつも引っ込み事案でろくに話もしない草子がトークなんかできんのか、とからかう男子もいたりして、草子はコワイ、とその場を逃げ出したりするが和子のフォローでなんとか戻る。だがクラスのみんなは終わり終わり、と図書室を出て行こうとする。ここで草子は大きな声を出し、待って、私ブックトークやるから聞いて、と人生ではじめて自分の意志をクラスメートに伝える。そして「ダイヤのギター」を紹介する。

     いろいろからかうクラスメートはまだいるのだが、草子はこの話を通じて、そこにある面白いものに気付くって素晴らしくて楽しい、私は本であったかい気持ちになる、みんなにもそういう本を見つけてほしい、と思いのたけを伝える。

     草子はこれで力を使い果たしたのか学校に行けなくなり、毎日古書店に通うのだが三日目に和子が古書店にやって来る。和子は草子にクラスメートの読書感想文を渡す。それはブックトークの間ずっと草子をからかっていた男の子が、「ダイヤのギター」を草子の紹介があったおかげでなんとか最後まで読めた、また何かいい本を紹介してくれ、みたいな内容だった。
     草子は学校にも居場所を得つつあるみたい。

     和子はそれから酒に酔いつぶれては古書店に泊めてもらいに来るようになる。

     「ダイヤのギター」は翻訳者によっては「ダイアモンドのギター」とも。
    でも著者が紹介しているのは龍口直太郎訳の「ダイヤのギター」。今は新訳に変わってしまって絶版みたい。

     司書教諭と学校司書の違いとそれぞれの問題点みたいなものもさりげなく触れられている。
     

     
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