「JM(テリー・ビッスン著)」ネタバレ
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「JM(テリー・ビッスン著)」ネタバレ

2019-02-24 19:00




    ・キアヌ・リーブス主演で作られた1995年公開のハリウッド映画のノベライズ。当時北野武さんのハリウッド進出作品としても話題になってたと思う。

     元ネタは時代の寵児みたいに言われていたSF作家・ウィリアム・ギブスンの「記憶屋ジョニイ」という短編。これを原作者自身が映画版の脚本を書き、その映画を元に別のSF作家が小説にしたのがこれらしい。

     ブレードランナーみたいなディストピア的未来。
     NAS(Nerve Attenuation Syndrome:神経衰弱症候群)という治療法が無い病気が流行し、金持ちなら進行を遅らせるような治療が受けられるが、貧乏人は手足のコントロールができなくなってゾンビのようにしか動けなくなって死んでいく。

     この時代、ネットワークのセキュリティというものは上には上がいる、という感じでどんなに強固なセキュリティを組んでも誰かに破られてしまう。政府管轄のネットやテレビ番組はローテックと名乗る反政府勢力にしょっちゅうハッキングされて彼らのキャンペーン放送に置き換えられている。ここには正体不明の凄腕のハッカーがいるらしい。もと海軍にいた軍人らしいのだが。

     というわけで、最も安全な情報の運搬手段は、人間が運ぶこととなっている。その人間の脳に情報を入れて。そういうことができるように脳に機械を埋め込んで身体を改造している人間がおり、記憶屋とか配達人(courier:クーリエ)とか呼ばれている。彼らはその代償として、脳の記憶領域を空けるために自分の記憶を消去している。例えば子供の頃の思い出のような。
     頭の後ろにジャックがあって、ここにケーブルと特殊な機械を接続してデータを脳内にダウンロードする。記憶屋本人にはダウンロードした情報が何だかはわからない。データを取り出すためにはパスワードが必要となるのだが、このパスワードを記憶屋は知らない。

     主人公ジョニーはそんな一人。代理人から仕事を回されて、合法非合法関係なく情報を運んでいる。だが今回はちょっとヤバイ仕事だった。
     1.記憶領域を広めるべくアップグレードを行う予定だったが、そのための機械が純正品
       ではなくてパチモンしか手に入らず、十分にアップグレードできなかった。
     2.運搬を頼まれたデータ量が、聞いていたよりも大幅に多かった。
     3.そのデータがヤバイものだったらしく、回収しようとする日本の犯罪組織に追われる
       ことになってしまった。
     4.脳内に格納したデータが大きすぎて、データが脳内に漏れ始めている。
       早くデータを取り出さないと命があぶない。
     5.パスワードに3つの画像を設定したのだが、犯罪組織が乱入してきたため一枚は
       その場で燃え尽き、一枚は彼らに持ち去られ、手元には一枚しか残らなかった。

     この話の背景は、世界的な製薬会社が既にNASの治療薬を開発済みだったのだが、これを世に出すよりは延命治療をこれまで通り続けたほうが儲かるという判断のもとにこの公表を止めた。これに良心の呵責と憤りを覚えた研究者がデータを盗み出し、ジョニーに依頼してドクター・オールカムという人物に届けようとしたのだった。
     だがこれに気付いた製薬会社は犯罪組織に依頼してというか、企業の警備部門というのが犯罪組織そのものというかでジョニーは追われることになった。この時代、死体の脳からも情報を取り出すことができるみたいで、ジョニーはいくら内容は知らない、知っていたとしても喋らない、と主張しても許してもらえない。ジョニーの首を切り取って持ち帰れば問題ない、との判断のもとに犯罪組織は行動しようとする。

     ジョニーにこの仕事を回してきた代理人はあっさり裏切って、ジョニーを犯罪組織に売ろうとする。だがある女性に救われる。彼女は代理人のところに雇ってもらおうとやってきたボディガード志望者であったがNAS患者であることを見抜かれて契約に至らなかったのだが、ジョニーを助けたら金になるかもと思って助けてくれる。彼女は神経をいじって反射速度を上げており、このように戦闘向けに肉体改造している人間たちがいて戦闘アーティストなどと呼ばれている。

     ジョニーは彼女を手術した医者を経由してローテックにたどり着き、謎のハッカーと面会してNASの治療法を全世界に公開することになる。

     犯罪組織もちょっと分裂していて、本来は北米支部長が動く案件なのだがその部下がいろいろと思惑あって支部長に報告することなく動き回っている。
     というのは支部長は最近溺愛する愛娘を亡くしたばかりであり、部下はこのことによって支部長は弱くなった、自分が出柄をたてて支部長を蹴落とすチャンスだ、と製薬会社からの依頼を自分だけで処理してまるごと自分の手柄にしようとして、資料を持ち出した研究者は殺したもののジョニーには逃げられるという失態を犯したのだった。
     この支部長を演じるのが北野武さん。支部長は部下を叱責し、子飼いの殺し屋に直接ジョニーを追わせる。この殺し屋は牧師を名乗っているが身体のあちこちを機械化している危険な人物である。この男の襲撃で戦闘アーティストの女性を手術した医師は殺される。
     この医師はNAS患者を治療するボランテンティア組織のメンバーで、ローテック創設者の一人でもあった。ジョニーが本来情報を届けるはずだったドクター・オールカムという人物は架空で、これは緊急事態が発生したときに応援の医師を呼ぶための一種の符丁みたいなものらしい。あて先はこのボランティア組織だったのだ。だがパスワードの画像が1枚だけではジョニーの脳内データは取り出せなかった。
     医師の遺言に従い、唯一ジョニーの脳内データを取り出せる可能性のある、ローテックの謎のハッカーのところに戦闘アーティストの女性はジョニーを連れて行く。天国と呼ばれるローテックの本拠地は、巨大な橋を占拠して要塞化したものである。
     支部長、部下、支部長子飼いの殺し屋がそれぞれ別の思惑を持ってこの天国を襲撃し、ローテックの兵士と戦闘を繰り広げる。
     ネットの中に時折り現れる女性がおり、彼女は製薬会社の創設者であったのだが数年前に死んでいる。死後、その人格がネット内に保存されて現在も製薬会社の役員の一人であるらしい。彼女はジョニーを導くように時折り現れ、支部長の元にも現れて彼に製薬会社がNAS治療法の公開を阻んだことを示す。彼女自身は治療法を公開しようとしたのだが、既にデータになっていた彼女の力だけではできなかったらしい。そこで技術者を選んでデータを盗ませたのだった。これが支部長の心を動かすことになる。彼の愛娘はNASで死んだのだ。データが予定通り公開されていれば、助かっていたタイミングだった。

     支部長は部下の裏切りで重傷を負うが、ジョニーに自分が持っていたパスワードの画像を渡して事切れる。その部下も死に、牧師の殺し屋もローテックの反撃で倒れるが、ジョニーのデータを取り出す作業も機器に損傷を受けて中断を余儀なくされる。この作業を担当した凄腕ハッカーの正体は、敵潜水艦をハッキングするために改造された軍用イルカだった。
     だが支部長の渡した二枚目の画像を使って残り一枚の画像を解析し、ついにデータはジョニーの脳から引き出され、全世界に配信される。これでNAS治療薬は世界中で作られる。合法非合法含めて。
     創業者の女性の人格データも敵対者の攻撃を受けて消えてゆく。消える前、彼女は自分がジョニーの母親であると言い残す。

     ジョニーと戦闘アーティストの女性はこれまでの戦いを通じてちょっといい感じになっている。ローテック指導者はこれから忙しくなるぞ、と二人に声をかける。

     映画が公開された時代はようやくウィンドウズ95が発表されるかされないかという頃。その頃にVRなども含めたネットーワーク世界を描いたということで非常に先見性が高かったらしい。今読むとさほど目新しさを感じないけど、そこは割り引いて読むべきだろう。

     タイトルのJMというのはノベライズを読んでも意味がわからないけど、主人公の本名Johnny Mnemonic(何て読むんだろう?)のイニシャルらしい。主人公は自分の名字も覚えていない。

     ジョニーが生命の危機を抱えて運んだデータ量は320ギガバイト。当時はそう言われてもこの数値の多い少ないを評価をできる人はほとんどいなかったろうけど、今はそれっぽっち?と思う人も多いかもしれない。
     当時はパソコンのメモリは標準16KB、増設しても32KBとかだったんだよなあ。
















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