「野菜のこよみ くだものの香り(岡部伊都子著 前田藤四郎画)」前半
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

「野菜のこよみ くだものの香り(岡部伊都子著 前田藤四郎画)」前半

2019-03-06 19:00

    ・1980年・81年に読売新聞家庭面に連載されたとのこと。それ以前から年ごとにタイトルを変えて同じ著者と画家で連載をしていたものらしい。こういうタイプのエッセイはなかなか書籍の形で残らない。とりあえず前半の「野菜のこよみ」部分。
     著者が書いたことと私が思ったことを特に区分せずに書いてます。

    野菜のこよみ

    ・三つ葉芹
     一月七日は人日という人を占う日。七草粥は先のわからない成り行きの難をはらう願いをこめて祝われてきたという。戦前は六日に七草粥をあきなう風習もあり、「七草なづな唐土の・・・」みたいな七草の歌みたいのもあったという。
     これかもしれない。
    http://www.worldfolksong.com/songbook/japan/warabeuta/nanakusa-song.html

    ・柚(ゆう)
     若木になる柚の実は大きく、百年近い木々は小粒な実をつけるという。著者は六月に山道を歩いて青柚の香気を感じ、秋には茸などにしぼりかけ、新年は柚壷を話題にする。

     柚と言われてもわからなかったので調べるとユズのことらしい。柚壷というのもわからなかったけれど姿の良いものを選ぶとあるので丸ごと使ったお菓子みたいなものだろうか。

    ・みぶな
     知人が京都物産展に出かけて、壬生菜は無いのかと聞いたらそんなもの知りませんと言われた、と憤慨して帰って来る。みぶなのファンは京よりよその人に多いらしい。現在の壬生には水菜の類が育つような田畑は見られないという。

     今は京野菜が見直されたこともあってあちこちで栽培されている模様。
    https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/mibuna.htm

    ・かぶら
     一人一個ずつ椀に盛れる程度に育ったかぶらを、葉を別にして昆布と鶏でスープ風に煮たものは著者の献立の一つだとか。おいしそう。

     矢口高雄さんの漫画で、かぶの食感を「ムズい」と表現しているのを読んだ事がある。大根はムズくないけどカブは確かにムズい感じがする。その漫画ではムズくないカブが出て来るんだったけど。

    ・蕗のとう
     著者によれば蕗のとうは風土に自生してきたこの地自身の風味とのこと。著者はいただきものをまず生で噛み、みじんに刻んで味噌汁に散らす。

     蕗味噌と天ぷらは毎年食べたくなる。味噌汁もいいな。

    ・にんにく
     沖縄・竹富島に種子取祭というのがあって、その中に「ばりびる」という儀式があるという。「ばりびる」とは種が割れて根を張る発芽のことらしく、発芽の時期を外さないらしいにんにくにあやかって他の作物もうまく実りなさいみたいな五穀豊穣の願いをこめたものらしい。

     種子取祭はHPがあるけど「ばりびる」についての記載は見つけられず。
    https://www.town.taketomi.lg.jp/event/dento/1531282737/

    ・水菜
     鯨は水菜と相性がよく、ハリハリ鍋を母親が作った話。

     商業捕鯨再開で尾の身やコロなどもまた一般的になるかどうか。学校給食の思い出だけで、鯨はおいしくない、と決め付ける人は尾の身の刺身の味など知っているのかどうか。

    ・わけぎ
     わけぎのよろしさがわかるようになったのは、人の世の味を知ってからだったという話。

     わけぎと言われるとヌタと思う。けど自分では作れない。私が知るのは飲み屋のメニューとしてだけど、その店が無くなってからは久しく口にしていない。

    ・菜種菜
     花明かり、といえば菜の花、菜の花漬けはすぐ味が変わる繊細な漬物だったという。
    今は一年中パックで売っているが昔は季節に待ちわびるものだった。

    ・もやし
     もやしは安いから食べるのではなく、おいしくて栄養があるのにありがたいことに安く手に入るから食べる。ゴマ油でさっと炒めるのがよいと著者は書く。

    ・ブロッコリー
     緑色は花の色、と思っているとブロッコリーのようなものがある。調理するたびにいい色だなと思う。僅かでもブロッコリーを添えると鮮やかな緑で料理が引き立つ。

     昔はカリフラワーばっかりでブロッコリーは珍しかった気がするけど、いつごろからかスーパーの売り場にはブロッコリーはいつもあるけどカリフラワーは時々しか見かけなくなった気がする。

    ・わらび
     著者はわらびごはんを炊くとか。おひたし、酢のもの、ごま和えなども。あくぬきは自分でやらないと不安だという。

     食べて牛が死ぬこともあるとかで、わらびのあくはアブナイらしい。

    ・木の芽
     著者には転居のたびに持ち歩いている山椒の木が二本あって、芽が出ると木の芽和えや木の芽田楽を作るという。

    ・たけのこ
     やわらかな掘りたてのたけのこも、出盛りの中子も、遅れて出回る細い破竹もそれぞれ良いみたいな話。たけのこが出る藪はどんどん減っていく。

    ・わさび
     いただきものの生わさびをすりおろしておつくりや握りずしなどに使うと目のさめるような思いになる、という話。わさびの花を見るのもまた楽しいという。

    ・椎茸
     椎茸の原木をいただいたことがあるそうで、摘みたての椎茸はまた格別であったらしい。火であぶって塩とレモンで食べたという。天日干しもなたいいという。

    ・えんどう豆
     季節になると豆ごはんを炊くという。豆が好きなんですねと言われて、美しくておいしいから食べていたので好きという意識はなかったと思う。えんどう豆をむく手伝いを子供にさせると、子供は楽しみながらむいてくれるという。

    ・パセリ
     パセリを食べ残すことが当たり前となっているがもったいなく感じるという。安心して食べられるよう、ていねいに洗ってあるのが前程だけど。

    ・じゃがいも
     男爵いもの新じゃがに薄皮をつけたまま十字の切り目をつけて蒸し、塩とバターで食べる。
     メークイーンの芽をえぐりとった皮付きのままよく洗い、薄く輪切りにして分厚い鍋で煮る。アクを取ってとろ火で一時間煮詰る。
     
     どちらもおいしそう。でも芽には毒があるのも有名な話。

    ・アスパラガス
     マツバウドという異名がある。昔は缶詰めなどの白く透いたものが主流でグリーンアスパラガスはよろこばれなかったとも。著者は缶詰を絶やさず白いアスパラガスで冷たいおすましを作るという。

     アスパラガス、と聞くと トメチンボー、と浮かぶ。子供の頃に読んだ漫画に頭がおかしくなった人が「アスパラガス!」「トメチンボー!」などと連呼するシーンがあったため。でも何の漫画だったか覚えていない。藤子不二夫作品だったような気もするのだが。
     トメチンボーが何なのかは未だにわからない。もしかしたらトチメンボーだったのかも。それなら「我輩は猫である」に出て来るらしい。

    ・そら豆
     著者はえんどう豆が好きだったが、戦死した兄はそら豆を好んだという。

     子供の頃油で揚げたそら豆がよくオヤツに出た。今はあまり見かけない。あれとサヤに入って売っているそら豆が同じものだと知ったのは大人になってから。

    ・じゅんさい
     カクテルグラスで出されたじゅんさいの話。採れる場所がどんどん無くなっているとも。

     個人的にはカクテルグラスより小鉢の方が。

    ・胡瓜
     戦争のさなかに小さな畑を作り、初なりの胡瓜を嬉しそうに見せにきてくれた母親の小躍りするような姿が忘れられないという。

    ・玉葱
     物心ついたばかりの著者が記憶に残すのは、玉葱を油で炒めるにおいとのこと。

    ・青梅
     父親の指示で梅肉エキスを作った思い出。

     桃屋の梅ごのみ思い出す。久しく食べてないが今もあるのか。


    ・かぼちゃ
     沖縄では真冬にかぼちゃの露地栽培が可能で、長期貯蔵にも耐えるという。ハウスものとは違ううまさがあって安いらしい。

    ・紫蘇
     梅干しにはいい紫蘇がかかせない。無くてもすむけど刺身のつまにはあるほうがよい。

     父親は紫蘇の葉で巻いた焼きおにぎりが大好物だった。これは店ではまず売っていない。

    ・ごぼう
     鍋に入れたりきんぴらにしたり天ぷらにしたり煮含めたり。あくが残ったほうがごぼうらしい風味がある。

    ・飲み屋でゴボウの天ぷらがうまい店があった。もう無くなってしまったが。

    ・とうがらし
     青とうがらしは天ぷら、つけ焼き、煮付けなど。葉とうがらしを煮てお茶漬けに。

     一時期スーパーで大きなとうがらしを見切り品でよく買ったが、たいてい虫入りだった。
    ピーマンで虫がいたのは一度だけ。何が違うんだろう。

    ・なすび
     著者は京都暮らしなのか山城茄子、賀茂なす、山科なすなどについて。

    ・生姜
     残り物を全部鍋にして、生生姜も丸ごと放り込んだ知人の話。

     さば味噌に生姜を入れるとおいしい。

    ・オクラ
     マヨネーズで生でかじったり、刻んでおつゆに浮かしたり。原産地は西インドや南アメリカとか。

    ・とうもろこし
     ニュースで見たアメリカで猛暑に苦しむとうもろこしと、北海道で知人にいただいたとうもろこし。

    ・枝豆
     昔の農家は水田のあぜの土もおろそかにせず、あぜ土で枝豆を栽培していた話。

    ・すだち・かぼす
     しぼって料理やドリンクに使ったあとは風呂に皮を入れて楽しむとのこと。

    ・松茸
     松茸が豊作だと米が不作との言い伝えがあるらしい。なら松茸は不作でかまわない。

    ・ごま
     著者はごま好き。ごま油を毎日ひとさじ飲み、すりつぶしたゴマの缶詰で料理を作り、ゆっくりごまをすり潰しもする。煎り加減で変わる味も楽しむ。

    ・里芋
     里芋の花は水芭蕉に似るという。昔は田んぼの一隅に植えて田芋と呼んだとも。

    ・くるみ
     くるみもちにくるみのおはぎ。ごはんに入れて炊いたりも。くるみあんを自分で作れないのが残念という。

    ・小豆
     生家での習慣だそうで毎月1日と15日には小豆ごはんを炊くという。「味気なし」の語源は「小豆なし」だったとも。

    ・さつまいも
     南アメリカから中国を経て琉球芋となり、八百屋お七の頃には江戸にあったとか。

    ・きゃべつ
     虫のついた有機農法のキャベツを味わう。

    ・ほうれん草
     ポパイのほうれん草は腐植土を喜ぶとか。塩ゆでによし炒めてよし。鍋もなかなかよい。

    ・蓮根
     蓮の花を浄友とも呼ぶという。河内、潮来、愛知県の立田が三大産地だとか。

    ・銀杏
     御堂筋のイチョウ並木の銀杏が、排気ガスのためか年々質が悪くなるという。

    ・白菜
     戦争の時代、白菜だけのサラダや煮浸しなどとの付き合いが長かった著者は今を夢と思う。

    ・かんぴょう
     栃木の奥からかんぴょうをいただく。母の手伝いで覚えた手順で結んで煮る。

    ・葱 
     青葱が無いすき焼きは物足りないという。沖縄では青葱が栽培ができないとか。

    ・大根
     家庭料理の主人公であり脇役である。生でも煮ても。

    ・山の芋
     丹波の農業際で名産の山の芋を見る。むかごをご飯に入れたり、「雪酢」の小鉢にしたり。
    著者によれば雪酢とは大根なますに千切りの山の芋を合わせた酢の物をいうという。

    ・人参
     「じめんのうえとじめんのした」という本の子供の感想文。「にんじんは、じめんのしたにたべるところがあるんだよ。(中略)じめんのしたって ふしぎがいっぱいあるね」


    ・百合根
     著者はいいものをよく人にいただく。姿を残して煮たり煮潰したりご飯にしたり。

     野菜編は以上。こうしてみると、食用植物で「野菜」「果物」どちらにも明確に入らないものってたくさんあるなと思う。どんな定義をしても何かがはみ出してしまう。
     トマトが野菜か果物か、アメリカでは税金の都合で決まったとかも聞くし。
     国会論戦なんかで、「スイカは野菜なんですか?果物なんですか?はっきりしてください!はっきりしなければスイカの販売も食用も認めません!」みたいに二者択一を迫る、みたいのはあんまり建設的な議論ではないんだろうなあ。
     
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。