「触身仏(北森鴻著)」①秘供養
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「触身仏(北森鴻著)」①秘供養

2019-05-08 19:00




    ・シリーズの2冊目。5編が収められている。

    ・那智と三國は冬の東北の山中で雪まみれになって「供養の五百羅漢」という石仏群を探している。天明の大飢饉で亡くなった人々の供養のために作られたという。それらしきものをようやく発見したが、何故か風化しやすい堆積岩に彫られている。雪庇を踏み抜いて沢に転落した那智は全治二ヶ月の重傷。
     本来は山人による里の人々誘拐伝説を調べに行き、そこで古老に聞き込んだ五百羅漢像を寄り道的に調査に行ったのだった。
     怪我をした那智は期末試験の代わりにこの五百羅漢像に関する考察を学生へのレポートの課題にするが、たまたま学生の中にその羅漢像のある村出身の者がいる。彼女は美人学生で、学内では多情仏心とあだ名のある、複数の男子学生と同時に交際するトラブルメーカーとして有名だったが過去に提出したレポートの出来はよく、三國は彼女がどんなレポートを書くか期待する。
     だがレポートの締切日に彼女は河原で焼き殺されて発見され、三國は重要参考人として警察にマークされる。彼女のレポートについての質問を受けていたのが傍目には口論と思われたらしい。つまり三國が彼女と男女間のトラブルを起こした、みたいに疑われている。
     彼女が生前にメールで提出したレポートは着眼点が良くユニークだが、時間不足を理由に中途半端に打ち切られた内容になっている。だが提出日は締切日のずっと前であり、残り時間で何故もう少し詰めなかったのか疑問が残る。
     さらに研究室が何者かに荒らされて、那智に対する風当たりが強くなる。だが三國は大学関係者の中に静かに那智を守ってくれていた人を見出して少し気が楽になる。

     五百羅漢像は何故作られたか。何故風化しやすい堆積岩に彫られたのか。美人学生は誰に殺されたのか。これらの謎に挑むことになる。
     山人なるものに人がさらわれた、という伝説は、ほとんどがさらわれた人と猟師が再会したというエピソードも含んでいる。この謎も一緒に解明される。


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