「ビートレス」アニメ・原作比較 Phase7 Dystopia Game
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「ビートレス」アニメ・原作比較 Phase7 Dystopia Game

2019-07-07 19:00



    ・リョウの記憶。時々悪夢となって彼を襲う。7歳の時に彼は大火傷を負って入院した。親の会社の研究所を見学中に爆発が起き、これが彼の命を狙ったテロであるとわかると、これまで無邪気に信じていた未来も変わった。自分の会社の大人たちが扱いにくい彼を抹殺しようと図ったと知ったことで、彼は会社の跡継ぎ候補から下りたのだ。
     会社の跡継ぎは何も知らない妹に押し付けた。それ以来妹にうしろめたさもあって普通に接する事ができなくなった。幸い自分と違って素直な妹は大人たちに利用価値ありとみなされたようだ。
     人間不信に陥り孤独だった。その時彼の心を救ってくれたのが白い子犬と、現場に居合せて彼よりも重傷を負いながら手を伸ばし、僕と友だちになってよ、と語りかけてきた少年だった。それがアラトだ。どう接していいかわからなくなり、避けるようになった妹の世話もアラトに押し付けた。
     リョウとアラトは互いが最初にできた友だち同士。アラトは自分に代わって妹の兄代わりもしてくれた。アラトとはそういう絆がある。

     彼の部屋には今も白い子犬がいる。これは病院から引き取った白い子犬を模した動物型hIEだ。本物はかなり前に事故で死んでしまった。アラトにはhIEにたぶらかされるな、と言い続けているが彼にはこの作り物の子犬が精神バランスを保つために必要な様子。動物の姿をしている場合はhIEではなくaIEと呼ばれる。aはアニマル。

     リョウにとってはアラトは大切な親友だ。だからレイシアがアラトを変えてしまい、アラトを危険に導きそうで怖い。だからアラトを責めてしまう。今妹が重傷を負い、アラトを責めたがそんなことを言えた義理ではないこともわかっている。リョウは妹を放置して何もしてやらなかった。妹を支えてくれたのもアラトだった。

     一方のアラトは怒られ続ける毎日。無免許運転で書類送検され、リョウに怒られ、ベンツが廃車になったレンタカー会社に怒られ、ユカに怒られる。
     ユカは紫織の大怪我にショックを受けている。アラトは見舞いに行こうとして面会謝絶と聞くが、これでユカに「やけどしたとことか見られたくないに決まってるでしょ」と正座させられる。
     高校は二週間の停学となり生徒指導室で説教を受ける。近所の所轄警察でも取調べを受け、家庭裁判所でダメ押しを受ける。レイシアがひそかにデータを書き換えてくれてこれである。
     罰金総額は450万円に及ぶ。そしてこれから怒られ行脚の総仕上げとして、父親がいるつくば市へ向かうべく電車に乗っている。呼び出されたのだ。レイシアとユカも同行している。請求は父親に行ったのだ。
     レイシアはメトーデとの戦いで人工皮膚をかなり焼かれた。今は塗りなおして元通りだが、肌が沸騰して固まった様子は大火傷のようで痛々しかった。

     父の職場は筑波近くに作られた次世代型環境実験都市。ここでhIEに人間役をやらせて人間社会をシュミレートしている。以前はニュータウンだったが今は人口減少で半ば放棄された街がまるごと実験場に変わっている。
     立派だが寂れた駅舎を出ると車で来たリョウが待っている。紫織のことを許したわけではないが、アラトとの関係を絶つつもりも無い様子で、実験都市を見学したいと言って来たのだ。
     ここには人間役のhIEとhIE役のhIEがいる。市長は先日破壊されていたミコトが勤めていた。ここで都市運営を人間なしでも可能にするような経験値を貯めている。
     人間役とhIE役は区別がつかないので、人間役は髪飾りをつけている。それ自体小型コンピュータである。人間役は要望や苦情を市長に送る。市長がそれを判断し、クラウドを通じてhIE役にどうすべきかの指示を出す。逆にhIEをどう働かせれば人間の苦情が少なくなるかのデータも取れることになる。人間役の要望で公園が造られたりもする。

     リョウはhIEが人助けをするのは、その行動管理クラウドを提供している企業を攻撃してはいけないという一種の条件付けだと言ってこうした行為を嫌う。企業の防衛にhIEが利用されているだけだと。だがアラトは相手が人間でもhIEでも親切にされたら感謝する。二人はそこが合わない。

     この街は一時は5万人の人が暮らしていたらしいが、今ここにあるhIEは全部で2万体程度。hIEを動かす電気代もばかにならないらしく、この実験は予算的にはかなり厳しいらしい。言われて見れば施設は中古品も多く、hIEも誰かのお古だった中古品が多いという。
     子供タイプのhIEは少ないので大人のボディを持ったhIEが小学生役をやったりもしている。
     
     この都市では時々事件を起こしてそれが人々にどんな影響を与えるか、などの実験も行う。住民アンケートをとっていたような事柄も、そのような形で可視化してデータをとれるのだ。何回でもやり直せる。そのためには普段は平凡な日常を送らせておく必要がある。
     明日はテロで市庁舎が爆破される、という設定で実験を行うらしい。市長不在の状況のシュミレーションを行うのだというのだが、実際にミコトが破壊されたため急遽そういう設定の実験をすることにしたらしい。転んでもただでは起きないというべきか。その準備で父親は忙しい。呼び出されたものの、職員宿舎で父の帰宅を待つことになる。本物の人間である実験スタッフは30人程度だという。
     あまり語られないがアラトとユカの母親はかなり前に亡くなっているらしく、アラトが家事をやるようになったのはそのためだった。おかげでユカが生活力のない兄依存症みたいになってしまったが。普段は父が一人で過ごしている宿舎もだらしなく汚れている。
     アラトはそういえば、父さんはhIEの研究者なのに何故家庭内でhIEを使わないのだろう、と思う。特にこれまで不思議には思わなかったが、レイシアの便利さを知ると逆に不自然に思う。リョウはアラト家での食事は遠慮すると外食に出かけている。

     父親が帰宅する。アラトは怒られるとビクビクしながら食卓を囲む。食事はレイシアが作ってくれた。だが父親は「学生時代は貴重だ。時間を無駄にしないようにな」と言っただけで怒らない。ユカはもっと怒んないとだめだよお父さん、なんて余計なことを言うが父は「信じているから、思ったようにやれ」と言うだけ。ユカがお兄ちゃんはレイシアさんにでれでれなんだよ、とさらに余計なことを言っても「アナログハックか。節度を持って付き合いなさい」というだけ。寛容なのかいいかげんなのか。

     父親はビールを出してくる。子供にはジュース。飲みながら実験の詳細をアラトが父に聞くような流れになる。現在の実験都市は人間役1万7千体に対しhIE役が3千体。実社会の比に合わせてあるという。hIEの比率が高くなりすぎると人間側にストレスがたまるらしい。ユカはhIEが大勢いたほうがいいじゃない、なんて言う。
     そこから抗体ネットワークのようなhIEに反発する人の話になるが、父親はhIEはあくまでも人口減少分を補って人口ピラミッドの補正をするだけ。現状では2割以上の比率になることはないという。
     父はさらに続けて、どれだけ憎まれても世界は自動化する。人間は自動化によって自由な時間を得たんだ、などと話に力が入ってくる。
     父親は奴隷も仲間も会社も、人間が自由時間を作るための道具なんだ、みたいなことを言う。アラトはその言い方だと仲間や会社はhIEの代用品に過ぎないみたいに聞こえちゃうよ、とちょっと反論する。ユカは奴隷という言葉を食事の時に使わないで、と怒る。
     アラトが自分自身を考えると、レイシアが来てからいろいろなことを考えるようになった。家事に追われなくなって考える時間ができたとも言えるし、様々な事態に対応せざるを得なくなって考えることを強制されたとも言える。でも結果として考えるようになったことで自分の世界が広がったように思う。
     父は抗体ネットワークの人間たちこそ社会の自動化を求めている、みたいなことも言う。行政に最も苦情を寄せているのが彼らだからね、と。
     人間の居場所が減ることが自動化なのか、とアラトは釈然としないが父親とこういう話ができるようになったことはいいなと思う。
     父親はさらに続ける。何が最善なのかは後になってみないとわからない。だから決定的な選択をいつでもできる準備をしておかないとな、みたいに言う。肝心な時に考える余裕は無いかもしれないからね、と。その晩はユカのお父さん、お兄ちゃんに甘い!という一言でおひらきみたいになる。
     翌朝父親は早く出勤し、アラトは一人で街をふらつくことにする。レイシアにはまだ寝ているユカについていてもらう。出掛けにレイシアから、この宿舎でhIEを家に置いていないのはお父さまだけです、家にhIEを置く事はお父さまはお好きでないようです、と聞く。そのせいかこの部屋にはレイシアが無線給電するユニットも古いタイプのものしかない。

     アラトが外に出て間もなく事件が起きる。それまではのどかな通勤・通学風景を人間役のhIEが演じていたのだが、突然バン と大きな音がして悲鳴があがる。救急車!という声もする。アラトが音がした方に移動すると死体がある。飛び降り自殺らしい。hIEの。
     思わずhIEが自殺なんてするのか、と呟くと、そこに現れた男が普通はあり得ないな、と答えてくれる。アラトはてっきり実験スタッフだと思って挨拶をする。相手は名乗らずアラトに質問する。hIEとは何だろうね?と。
     アラトが人間で無いもの、と間抜けな答えをすると男性はhIEからクラウドにデータがどう流れるかを説明し、行動管理クラウドの向こうにいる超高度AI、ヒギンズはこの自殺を「見て」はいるが「知って」はいない、みたいなことを言う。
     男性はhIEは人間を超えた知性のインターフェイスにすぎないと言い、その知性からは世界はどう見えているだろうね、などとアラトに問いかける。アラトはそうした知性もかたちを見てこころを動かすことはあるでしょう、などと答える。
     そんな話をしているうちに救急車がやって来る。一方で二体目のhIEが落ちてくる。見上げるとさらに三体目が7階の手すりを乗り越えている。
     男性はヒギンズに自発的にものを作らせたのはきみのお父さんだけだよ、と改めて名乗る。渡来銀河だと。彼はアラトの父・遠藤コウゾウがミームフレーム社と共同研究していた時は父の部下だったという。
     そんな話をしているうちに身投げするhIEは次々と増えてくる。渡来は自分はメトーデのオーナーだということも告げる。アラトはこのhIEたちの集団自殺もメトーデの仕業か、と渡来に聞く。渡来はそれに答えず、君はレイシアを使いこなせていないようだ、レイシアを私に託さないかね、などと迫ってくる。
     アラトの父の部屋があるあたりで爆発が起きる。レイシアからメトーデの襲撃を受け、ユカがさらわれたと連絡が入る。レイシアと話をしているうちに渡来は姿を消し、アラトの周囲は人間役のhIEだらけになる。身投げして壊れていたはずのhIEたちが起き上がり、人間役のhIEたちを襲い始める。まるでゾンビのように。
     リョウからも連絡が入り、近くの公園で合流する。人間役のhIEは頭の髪飾りを壊されるとゾンビの仲間入りをするらしい。公園にはゾンビhIEが溢れて危険になってくる。二人は誰かが乗ってきた車で脱出する。自動運転モードだと周囲のhIEを感知していつまでも発進しないため、アラトがまたしても無免許運転をする。リョウは異常が起きているのはこの実験都市だけらしいと調べていて、この都市のローカルサーバーがある管理棟に犯人がいるだろうと類推する。リョウはいつまでレイシアを信じるんだ、と相変わらず文句を言い続ける。アラトは何か武器になるものを調達しようとショッピングセンターに車を入れる。ここには給電装置が無いらしく、ほとんどhIEがいない。
     一体だけ児童型のhIEがいて、パパもママも死んじゃった、と泣いている。アラトは放っておけずその子を助けようとする。リョウがそんなもの助けるのか、みたいに怒りを示す。
     モノであるレイシアと自分の家族のユカとどっちが大切なんだ、とアラトに問う。アラトの中では皆同等に大切なのだが、リョウにはそうは答えられない。

     そこにメトーデがやってくる。周囲を炎に包みながら。
     アラトは児童型hIEの手をとって逃げようとするが、リョウは動かない。本来アラトはhIEを置いてリョウと逃げるべきなのだが、子供の姿のものを放っておけない。リョウはそんなアラトと一緒に逃げるつもりはない、とアラトと逃げることを拒絶する。二人の道が分かれる。病院以来の二人の絆が切れたのだ。

     アラトは逃げ、残ったリョウにメトーデは近付いて来るが、リョウを襲わない。そこでメトーデが話した内容は、リョウは渡来と手を組んで、アラトを拘束するためにここに来たのだということ。アラトに、リョウが自分を裏切った、というショックを与える目的もあったらしい。だがリョウはアラトを見逃した。つまり渡来を裏切ったことになる。

     リョウはメトーデに、渡来がレイシアを手に入れたらお前はお払い箱になるぞ、それが嫌なら俺を二人目のオーナーにしておけ、と交渉する。メトーデはちょっと考える仕草をし、それを受け入れる。だが彼女がリョウに示した契約書は、紫織に重傷を負わせたのもリョウの責任だというものだった。そしてもうアラトを助けることはできない。

     アラトは男の子hIEを連れて管理棟に来ている。ユカを探すが見つからない。ある部屋が花で満杯なのに遭遇する。スノウドロップの花だ。「なあに、お兄ちゃん」と部屋の真ん中にいたスノウドロップが声をかけてくる。hIEたちが狂ったのは彼女の仕業だったのだ。
     アラトは児童型hIEがおかしくならないよう外に出す。サーバーを全部壊せばhIEも止まるはずだと、車から持ってきたドリルで破壊をはじめる。スノウドロップはきょとんとした感じで特に邪魔をしない。
     そこに渡来がやってくる。アラトはあぶない、と警告するが渡来は平然とスノウドロップの隣に立つ。スノウドロップは人間を不必要に攻撃はしない、と渡来は知っている。

     スノウドロップはユカの口真似をして、つまりユカの行動パターンを使ってアラトに動かないように警告する。
     そこに渡来の部下によりユカが連れてこられる。渡来はユカとレイシアの交換をアラトに持ちかける。スノウドロップのオーナーは渡来というわけではなく、彼女はオーナーを持っていないらしい。無邪気に人間と私たちが共存する必要って無いよねえ?と渡来に呼びかける。渡来がちょっとたじろぐ。

     そこに壁を爆破してレイシアが現われ、アラトを守るように立つ。これは渡来の狙い通り。彼はユカとアラトとレイシアを同じ場所に集めて、人質交換をしようとしていたのだ。ユカとレイシアを。

     スノウドロップはレイシアに攻撃をしかける。これは渡来の命令でなくスノウドロップの判断らしい。渡来は部下に命じてユカとアラトに銃を向けさせ、レイシアにスノウドロップと戦いながら二人を守りきれるかね、と呼びかける。

     レイシアはアラトとユカを守るための合理的な判断をする。渡来をオーナーとして受け入れると。レイシアに近付いてオーナー認証をする渡来に、アラトは思わずレイシアに好きだ、と言ってしまう。それを聞いたレイシアが固まる。
     渡来が、レイシア級を回答不能に追い込むとは、と笑いながら君はレイシアにアナログハックされているだけなんだよ、と哀れむ。
     だが次の瞬間、レイシアが自分のオーナー認証ユニットを自分で破壊する。これはアラトが彼女の最後のオーナーだという意味を持つ。アラトが死んでも、レイシアは次のオーナーを持つことはできなくなるのだ。渡来が狼狽する。

     スノウドロップがゾンビhIEを操って部屋に突入させてくる。ゾンビhIEは渡来たちを襲う。メトーデは渡来が助けを求めても来ない。
     そこにまだ無事な人間役hIEたちがやってきて、ゾンビhIEたちからアラトを守る。その先導をしているのは、先ほどアラトに助けられた児童型hIEだ。
     だがユカはゾンビhIEたちに囲まれてしまう。そのユカを看護師の制服を着たhIEがサーバマシンの上から手を伸ばして引き上げてくれる。アラトは彼女を知っている。マリナ・サフランだ。

     レイシアは中部国際空港で、マリナの件はもう大丈夫だと言った。この実験都市に送り込まれたのなら、誰も機体番号など気にしない。本来廃棄寸前の中古品も多いのだから。
     マリナはユカを助けて外に脱出する。マリナのボディはレイシアと同じ超高級機。身体能力はずば抜けて高い。
     ゾンビhIEと戦う人間役hIEたちに、スノウドロップの花が降り注ぐ。だがhIEたちはその花を払い落とす。レイシアがhIEたちに知恵を与えたかのように。そのため、人間役hIEはもうスノウドロップの制御下には入らない。いつの間にかスノウドロップは姿を消している。

     突然ゾンビhIEが喋る。サーバールームが壊れているぞ。管理センターに連絡だと。

     hIEたちは正常に戻ったのだ。だが、渡来は既に殺されていた。

     そこにリョウがやってくる。その後ろにメトーデ。渡来がいくらメトーデに助けを求めても、新たにオーナーになったリョウがそれを打ち消す命令をすれば、メトーデは渡来を助けないことができる。それが渡来が死んだ理由だった。

     Dwellings and surroundingsというのが第10話タイトル。
    直訳すると 住居と環境みたいな。
     11話タイトルがDystopia Gameとなる。

     10話はリョウの記憶からはじまって、小説と少し印象が違うのは彼が大人たちの話から自分が狙われたと知ったところと自分から積極的にアラトを助けたところ。小説ではそんなにはっきり書いてない。見舞いに来た大人の表情から、こいつらは俺のことなんか心配していない、ただ利害関係があるから俺の様子を確認に来たんだ、と悟るみたいになっている。
     二人が大火傷を負ったのは実験用hIEが破壊された時に見学をしていて巻き込まれたもの。小説ではその詳しい情景は説明されていないが、アニメでは1話冒頭などで出て来る。
     全裸の女性型hIEが破壊されるわけだが、hIEとはいえ全裸の女性の姿をあの年頃の男の子にあんな感じで見学させていいものかちょっと気になる。
     犬の名前は小説によればブライトとなっている。看護婦さんから治療の一環として与えられたのか、リョウかアラトどちらかの関係者から贈られたのかはよくわからない。だがリョウが引き取った様子。
     アニメではここで渡来からのメールをリョウが受け取るシーンがあるが小説にはなく、紫織に怪我をさせたアラトに激昂した彼に対してもアラトが律儀に連絡してくる様子だけ。
     リョウが扱っているのは小説では紙状端末とあり、ディスプレイごと紙のように折りたためる様子。紙状端末という表現は以前からあちこちに使われている。
     アニメでは眠っている紫織の病室の窓の前にアラトがいるが、小説では面会謝絶で会えないことになっており、ユカからはやけどをしたところなんて見られたくないに決まってるでしょ、と正座させられて怒られている。アニメでは正座は省略。
     つくばに向かう列車は鈍行との記述があるが、アニメではグリーン車みたいな向かい合わせの座席になっている。高速鉄道みたいな軌道の覆いは無いみたい。
     ここでアラトはレイシアがメトーデに焼かれた人工皮膚を塗りなおす様子を回想するが、アニメでは腕に数箇所劣化した部分がある程度。小説では背中全面が沸騰して皮膚が劣化したように読み取れる。手足も無事では無かったようで、アニメの印象より重傷だった様子。劣化した状態を人に見られるのは事情を詮索されて好ましくないので先に帰ったことになっている。
     アラトはメトーデとの戦いのあと、レイシアが先に一人で帰ってしまったことにちょっと怒っていたのだが、その被害の様子を見て怒りを静めて反省する。
     アニメでは最初から怒ったりせずに心配だけしている様子。マリナ・サフランの刻印は心配なくなった、とここで言われているが小説ではメトーデとの戦闘が終わり、アラトと紫織が病院に運ばれる前に言われている。紫織は6時間にわたる手術を受けたことになっている。

     アニメではつくば駅構内の様子は省略されているが、駅は自動化されて人間は駅長一人しかいないことになっている。実験都市の常勤スタッフ約30名以外はほとんど使わない駅なので、一日に百人も乗降しないガラガラな駅である。
     駅前広場もそういうことでバス乗り場なども廃止されている様子。

     自動運転車で来て駅前で合流するリョウとはアニメでは比較的友好的な雰囲気だが、小説では二人のhIEに関する考え方が分かれはじめた事が影響してもう少しきわどい印象がある。
     実験都市の仕組みや、人間役hIEが区別のために髪飾りをつけていることをリョウがアラトに説明するこなどは小説もアニメもほとんど同じセリフ。小説ではリョウがアラトの父親を少し尊敬しているらしい様子が見える。
     街が思ったより寂れて見えるのは予算の不足からで、使われているhIEがほとんど中古品であることをレイシアが説明するのもほぼ同じだが、リョウの説明と順番が逆になっている。
     リョウはリンゴを拾うhIEにかまわず、拾う手のそばに足を平気で下ろすが、アラトはどこまでもhIEをモノとして扱い通そうとするリョウとはやはり考えが異なり、hIEのふるまいに感謝してもいいように思う。たとえ心がなくても。

     アニメでは翌日のテロ実験について案内の職員がけっこう長く説明してくれるが、小説では地の文で説明されて職員のセリフなどは無い。サーバールームに案内されるシーンも小説ではなく、すぐにリョウと別れて父親の住む部屋に入った様子。
     汚れ放題の部屋をレイシアが掃除し、アラトとユカがお父さんなんでhIEを家に入れなかったんだろうね、などと話すのはアニメと小説は同じだが、レイシアがアラトの父だけがhIEを使わないようだ、とアラトに告げるシーンはアニメには無い。そのためレイシアはアラトと父の会話には入って来ないことにアラトが気付くシーンも無い。
     父が帰ってきたときに停電があるが、この停電の理由の説明はアニメにしか無い。
     リョウは小説だとどこに泊まるのかわからないけどアニメではビジネスホテルにいることがはっきり描写される。リョウが実験に興味があるという理由は表向きで、渡来にメールをもらったからアラトに同行したんだろうな、というのはアニメではよりはっきりわかる感じ。
     アラトの父は箸を使うのが苦手と小説には書いているけどアニメでは自由に使っている様子。実験に関するアラトと父の会話はほぼ同じ。
     子供タイプのhIEが少ないために大人のhIEが小学生役をしていて、揺れる胸にアラトがたじろぐのも小説と同じだけど、子供タイプが少ないということがアニメだけ見る人に伝わったかどうか。

     hIEが飛び降り自殺して渡来がアラトの前に現われ、いろいろとむずかしい話になるのも原作通り。この時渡来が地面に落書きするのはペン型のエアブラシらしい。

     渡来が名乗ってメトーデのオーナーでもあることをアラトに告げ、レイシアからユカがメトーデにさらわれたという連絡が入ったところで10話は終わる。エンドロールの後にhIEたちがゾンビのように暴れ始める。

     アニメ第11話タイトルは小説のPhase7と同じ。
     小説ではユカがどのようにさらわれたかの記述は無いのだけど、アニメでは少し時間を戻してメトーデがレイシアを襲撃してさらう様子が描写される。
     レイシアが簡単に遅れを取るとは思えないのだけど、周囲のhIEの視覚をハッキングして警戒していたにもかかわらず外壁を破壊して侵入して来たメトーデを察知することはできず、レイシアとメトーデが戦っている間に他の人間たちによってユカは拉致される。
     軍服みたいのを着ていて、ロープを使った懸垂下降などしているので訓練された人間たちだと思うが、彼らが何者なのかよくわからない。ミームフレームの社員とも思えないので会社が雇った民間軍事会社の人間なんだろうと思うけど、それを渡来が個人的に動かしているのは変な気もする。本来民間軍事会社は誘拐みたいな非合法活動はしないみたいな記述もあった。
     でも名古屋ではアラトを電磁警棒で殴ったり、車を狙撃したりもしているから建前に過ぎないのかな。

     レイシアから警告を受けるまでもなくアラトはゾンビhIEが周囲で暴れまわるのでリョウと合流して車に乗り、避難する。人間役のhIEは、髪飾りを破壊されるとゾンビ化する様子。
     リョウからはまだレイシアを信じるのか、みたいなことを言われ続けつつ武器を探しにショピングセンターに入り、ここで子供タイプのhIEを助ける。
     そこにメトーデが現われて、リョウは自分が足止めするからと残ってアラトと少年hIEをサーバールームに向わせる。
     アニメではエレベーターに乗ろうとしてスノウドロップの花びらがあるのに気付き、少年hIEを逃がしてサーバールームに向う。小説ではサーバールームに入ろうとして花びらに気付く。
     そこにはスノウドロップがいるがアラトには興味を示さず、アラトが持ってきたドリルでサーバーを破壊しようとしても特に行動は起こさない。
     以前は花びらだけだったスノウドロップの操る植物は、蔦が這うようにサーバーに深く食い込むようになっていて進化している描写があるが、アニメではよくわからない。
     そこに渡来がやって来てアラトと問答をはじめる。渡来はクラウド上のデータになってしまえば、それがもともと生身の人間の発した言葉であろうとhIE由来であろうとデータとしては同じだ、みたいなことを言う。
     ユカがそこに軍服みたいのを着た男たちに連れてこられる。つまり渡来はユカを返して欲しければレイシアを渡せ、ということを言いたい様子。
     渡来はスノウドロップにもミームフレームに戻れば君にも利益がある、と話しかけるが、スノウドロップはもう人間のオーナーなんていらないわ、とこれを拒絶する。
     彼女が量子通信をはじめたらしいことに(何でそうとわかるのかわからないが)渡来がたじろいだ様子を見せる。小説では量子通信の相手先ははっきり書かれていないけど、アニメでは超高度AIのヒギンズであると渡来がはっきり言っている。
     そこに壁を破壊してレイシアがやって来る。レイシアはPMC(民間軍事会社)と戦闘してここまで来たみたいなことを言っているので、渡来はやはり民間軍事会社を部下として使っていることがわかる。
     渡来はスノウドロップの捕獲のためにつくばにやって来たが、そこにたまたまアラトやレイシアも現われたので計画を変更したみたいなことを説明しつつ、アラトではなくレイシアに自分をオーナーとして受け入れるよう話しかける。アニメでは省略されているが兵士はユカの頭を殴り、アラトを銃撃する(レイシアが弾を掌で受けてアラトを救う)などかなり殺気に満ちた乱暴なことをやっている。
     レイシアはアラトとユカを守りきることはできないと判断し、渡来をオーナーにする代わりに二人の安全を要求。渡来がこれを受け入れて、レイシアはオーナー認証に移ろうとする。
     レイシアがメトーデみたいに複数のオーナーを持てるのか、一人しか持てずにアラトを上書きする形で渡来だけがオーナーになるのかは不明だが、複数のオーナーを持てるのは自分だけとメトーデが言っていたような気もする。
     だがアラトは思わずレイシアが好きだ、と口走ったことでレイシアは固まり、レイシアは決意したようにオーナー認証デバイスを自ら破壊する。これで彼女は二度と新しいオーナーを持てなくなり、アラトが彼女の最後のオーナーということになる。
     渡来は自分が不利になったと悟ってメトーデを呼ぶ。サーバールームにレイシアが開けた穴からゾンビhIEが入って来てピンチとなるが、そこに思わぬ応援が現われる。
     まだまともな人間役のhIEが大勢やってきて、ゾンビhIEと戦いはじめる。アラトが助けた子供タイプのhIEが、今度はアラトを助けようと仲間を連れて戻ってきたのだ。
     小説版だとサーバールーム前で別れているのでここに戻って来るのはわかるのだが、アニメ版ではエレベーターで別れているのでよくわかったな、と思うのと同時にエレベーター内のスノウドロップの花びらにやられなかったのか、とチラっと思う。階段で来たのかもしれないけど。レイシアは彼らの救出を計算に入れていた様子だが、アラトが好きと言わなければ渡来をオーナーとして受け入れていたようでもあり。
     ゾンビhIEはアニメだとパラパラっと入って来る感じだけど、小説ではどっと入ってきてユカも渡来も兵士も取り囲まれて脱出できなくなってしまう。ユカはマリナ・サフランに引っ張り上げられて救われるけど、彼女がレイシアと同等の身体能力のあるモデルだからこそこの状況でユカを救出できる。アニメは小説ほど追い詰められた印象ではなかったけど。
     民間軍事会社の兵士は小説でもアニメでも途中でどこかに行ってしまう。傭兵としていかがなものか。あるいは傭兵なんてそんなものか。ゾンビにやられたのかもしれないけど、任務を放棄したのかも。
     スノウドロップの花びらを払い落とすことをレイシアからの情報提供で学んだらしい人間役hIEは、スノウドロップに操られることなくゾンビhIEを撃退していく。その戦いぶりも格闘訓練を受けたかのような動きに変わってゆく。
     ゾンビを排除し終わると、ふいに正気に戻ったかのようにhIEたちは日常生活に戻り、サーバーの修理の手配もはじめる。
     エンドロールの後に、渡来の死と、リョウがメトーデのオーナーになっていることが明かされる。

     小説ではリョウはメトーデに殺されそうになりながら彼女の興味を引く会話をし、その結果としてメトーデを獲得するけどアニメではそこは無いので最初からリョウがメトーデと示し合わせてつくばにやって来たようにも思える。

     渡来はメトーデが複数オーナーを持てることを知らなかったのか。紫織がオーナーになってメトーデが中部国際空港でレイシアや紅霞と戦ったことを知っていれば当然疑問を持つような気もするのだが。紫織が重傷を負ったことも知らなかったのだろうか。民間軍事会社は情報を伝えなかったのか。
     切り札のはずのメトーデが呼んでも来なかったことで渡来は死んだわけだけど、そんなこんなで結構間抜けな奴だったな、という印象が残る。

     アニメは作画パワーが足りなかったようで、集団のゾンビhIEがうごめく様子はいまひとつ物量に欠けてまばらな印象。小説版ではあふれる群衆、みたいに書かれている。
     
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