「ビートレス」アニメ・原作比較 Phase9 Answer of Survive
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「ビートレス」アニメ・原作比較 Phase9 Answer of Survive

2019-07-31 19:00



    ・ケンゴは物事を悲観的に見る方で、自分の日常がもうすぐ終わると確信している。
     最近リョウは渡来の後継者として忙しくてあまり学校に来なくなった。アラトとリョウはレイシアをきっかけにhIEに関する考え方の違いで決裂し、来ても以前のような関係ではない。するとこれまで声をかけてこなかった女子がアラトやケンゴに挨拶してくれるようになった。リョウはクラスの女子には嫌われていて、アラトやケンゴも同類扱いで無視されていたのが最近緩んだ感じ。

     だがアラトとケンゴはさらに自分の日常が変化したことを知る。
    エリカ・バロウズが同じクラスに転校してきたことによって。彼女はたちまち校内で注目の的になり、彼女の動画が学内ネットにあふれる。
     アラトは既に二度エリカに会っている。ファビオンMGのオーナーとしてのエリカと、マリアージュのオーナーとしてのエリカと。だが彼女が有名人であることはあまり知らなかった。
     ケンゴからあらためてエリカがどのように報道されていたかを聞く。彼女が肉親を全て失っていることに思いをはせる。
     エリカは自分からアラトの方にあいさつにやってくる。同じクラスでうれしいと。アラトはエリカと、エリカが引き連れている人の目を恐ろしく思う。エリカはレイシア級の存在を社会にオープンにしようとしている。そうなったら世間の目はアラトやレイシアにも集中する。
     アラトはエリカを警戒してマリアージュはどこだと尋ねる。待機所よ、という答え。
     リョウは今日は来ていたのだがいつの間にかエリカを避けるように姿を消している。
     エリカは朝からちゃんと登校してきて授業もきちんと受けている。いつの間にか昼はクラスの女子ととるようになっている。
     アラトはケンゴと一緒だ。リョウとは最近疎遠になっている。アラトは買って来たパン。ケンゴは自分で立派な弁当を作ってくる。妹の分も作っているらしい。将来に備えた修行らしい。定食屋を継ぐかはまだわからないらしいが。
     エリカがアラトにご一緒しません?と声をかけてくる。既に彼女の崇拝者のような女生徒が七人集まっている。女生徒たちはエリカを退屈させまいというかのように喋り続け、彼女が何か言うと聞き逃すまい、と黙る。エリカは病気で学校に行けなかったので今は楽しい、みたいなことを言う。
     取り巻きの女子がミコトの話題を持ち出す。最近ミコトの動画がいくつもアップされて再生数が伸びているらしい。その中にはミコトの残骸もあるらしい。グロいらしいその動画はもう再生数一千万回を超えているという。彼女たちはテロで破壊されてはじめてミコトの存在を知ったのだ。
     エリカがミコトに悲劇の女性というキャラクター性が付与されたのね、これは新たな命をもらえるようなものよ、などと話しはじめる。彼女は自分のハローキティのマグカップを例にただのカップがキティのイラストによって特別な意味を持ったことになる、キティというかたちに人は誘導されるのよ、みたいなことを言う。
     アラトはレイシアもキティと同じような形に過ぎないのだと言われているようで、愛情はどんな動機から出ても大事だと思う、と反論する。
     エリカは大事だけど誘導されるものでもあって、場合によってはそれに人の心の方が折られかねない。私は眠り姫というかたちを背負わされたのよ、みたいに答える。

     いろいろあってもレイシアはまだモデルとしての仕事も続けている。本人が積極的に参加している。今日もスタジオ撮影がある。人間のモデルも参加する。
     以前の撮影でメトーデが暴れた時、シャンデリアに潰されそうになったモデル・綾部オリザが今はアラトがレイシアのオーナーと知ったようで向こうから声をかけてくる。
     今回は男性モデルとレイシアが仲良くするようなコンセプトの撮影で、オリザは友人役らしい。レイシアが他の男性と仲良くするのを見て嫉妬しないの?みたいに彼女は聞いて来る。
     アラトはレイシアの表情がちょっと大げさに見え、僕といる時にはもっと自然なんだよみたいに答える。オリザはこいつキモイ、みたいに嫌そうな顔。
     撮影にはトップhIEモデルのユリーも参加しており、圧倒的なカリスマ性を発揮している。エリカ邸での彼女にはそのようなオーラが全く無かったことを知っているアラトは、エリカの言ったキティのマグカップのたとえ話を思い出す。ユリーはキティのイラストのような特別な意味を見ているものに与えるのだと。
     アラトはふとオリザに聞いてみる。自分が着たことで服に価値が生まれたら嬉しいの?と。
    オリザはそれがモデルの存在意義でしょうに、と答える。彼女はユーザーにああなりたいという物語を感じてほしいという。それが人間がモデルをやる意味だと。
     だからそうした領域にhIEが入ってくるのは嫌らしい。オリザは自分を助けたリョウにちょっと興味があるらしく、アラトに連絡先を聞く。アラトはリョウと彼女はhIEに対する考え方で気が合いそうだなと思う。
     アラトはやっぱりレイシアが自分に向ける態度、かたち と男性モデルに向ける態度、かたち は違ってほしいと思う。ファビオンMGがその かたち を作り出していることを結構怖いことだと思う。そのことをオリザに言うと、意外にも彼女はからかわない。
     恋する男の子はちゃかしちゃいけない気分になると笑う。アラトはそんなオリザを魅力的に思う。オリザの出番が来て、彼女はステージに出て行く。
     いつの間にかアラトの後ろにエリカとマリアージュがいる。半径2メートル以内の人間にしか認識されない、見えているけど関心を持たれないみたいな一種の光学迷彩のような技術を使っているらしく、オーナーが同じ部屋にいるのに誰も気がつかない。エリカによればレッドボックス技術だという。
     アラトはマリアージュから箱を渡される。レイシアとの取引の品だという。エリカはレイシアとユリーを見て、マリアージュにあんたにはああいう見栄えが無いわよね、とちょっとひどいことを言うが、もしかしたらメトーデより強いかもしれないマリアージュはエリカに逆らわず、わたしの機能はまた別ですみたいに答える。

     エリカは先日のパーティーの続きのように、協力しましょうよ、と言ってくる。エリカはレイシア級の存在を明らかにすることで人間社会を変えようとしている。アラトはそれに危惧を覚え、レイシアが危険だとも考えて反対の立場だがエリカはレイシアがモデルをやっているのはそういうことじゃないの?今レイシアがモデルをやっているのはレイシアが望んでいるからではなくて?と迫られると否定できない。
     エリカは遅かれ早かれレイシアと貴方は表に出る。ファビオンMGならその時役立つわよ、と言い残して去って行く。アラトはなんとなく断れずエリカの協力を容認したような。

     レイシアが戻ってきたのでそのことを話す。レイシアはエリカと組むということは、彼女の影響力がレイシアとアラトに関するイメージを自由に誘導することを許すということです、みたいに注意を喚起する。アラトはそれはいいこともあるんじゃないかと答える。
     レイシアはエリカの言葉をそのまま信じないように警告する。踏めば即死の落とし穴があると。
     レイシアはエリカの望む未来とアラトの望む未来は違うはずだけど、安易に協力すればアラトの望む未来はエリカの望む未来に塗りつぶされてしまう。だからアラトさんの望む未来をもっともっと強くデザインしてください、わたしが必ずその未来を実現させます、みたいなことを言う。

     ケンゴには未来をどうこうする手立ては何も無い。抗体ネットワークからメールが届き、彼の未来は決まってしまう。
     松戸にあるNSRC(次世代型社会研究センター)を襲撃せよという命令だ。
     ここには大井産業振興センターで身体を破壊されたミコトの、心ともいえるサーバー群がある。
     アラトの父の勤務先でもある。だが参加すれば絶対ただではすまない。これは戦って散れという命令なのだ。罰としての。

     いつのまにか紅霞が来ていて、アンタはもうおしまいだね なんて話しかけてくるが、人の姿をした紅霞と話すことで救われるような気がする。

     ケンゴは紅霞を相手に、自分が抗体ネットワークに参加したいきさつを話す。下町の定食屋である彼の家は先が無い。この家にいる限り未来はない。だから広い世界に出たくてバイト代で買った端末でネットに入り浸り、自分と同じように社会についていけない人間もいっぱいいる事に安心し、ボランティア募集広告を見て抗体ネットワークに入った。その犯罪性は認識しながら。世間への怒りが目を曇らせた。そしてアラトを助けたことで目をつけられ、強制的にテロに参加されられるようになってしまった。

     紅霞はつまらんプライドを捨てて助けを求めれば、いくらでも抜けるチャンスはあったでしょ、みたいにケンゴを責める。

     ケンゴは変われない自分に嫌悪を感じている。アラトもリョウも変わっていくのに。自分にはリョウのような財産もなければレイシアもいない。変われない自分はどこにも行けないから、世間が変わるのが嫌でhIEを壊していた。

     ケンゴの泣き言を聞いていた紅霞が口を開く。
     「勝たせてあげる。私は 人間との競争に勝つための道具 だから」
     なんでそんなことしてくれるんですか?何の得があるんですか?と問うケンゴに
     「私のこと、覚えてくれてたらそれでいい」
     と紅霞は答える。

     リョウはPCM(民間軍事会社)のひとつ、HOO(ハンズ・オブ・オペレーション)の
    赤羽にある事務所を訪れている。以前渡来を紹介してくれたシノハラが同席している。
     HOOはミームフレーム社と以前から取引がある民間軍事会社で、冒頭で逃亡した紅霞と戦闘したのもここだ。だがその時にミームフレーム社からのレイシア級の戦闘力などのデータ開示が不十分だったためHOOは敗退した。
     今回リョウは紅霞の破壊をHOOに外注することにしたのだが、それならば十分な情報開示を、ということでこのミーティングが持たれることになった。リョウはミームフレームの社員ではないのだが、将来の社長候補としてこれに参加することになったのだ。
     リョウが紅霞の排除を決めたのは、レイシアと紅霞が結託する可能性が高いため。エリカがレイシア級の存在を公開しようとしていることもある。その前にレイシア級の数を減らしておきたい。
     HOO側の出席者は二人。左目を眼帯で覆った40代の女性・コリデンヌ・ルメール少佐と逞しい黒人下士官・シェスト。彼は冒頭で紅霞に敗北した部隊の現場指揮官だった。
     リョウは紅霞には電子戦能力も透明化能力も無く、HOOの現行装備で十分迎撃できると説明する。学習型AIなので戦術的には多少の成長はしているだろうと付け加えつつ。
     「スノウドロップとは違うということか」
     とルメールが答える。スノウドロップの情報は渡来が死亡したことで警察に開示せざるを得なかった。その情報が警察から日本軍、日本軍から民間軍事会社に渡っている。
     シェストはあからさまにミームフレーム社への不満を隠さない。渡来が死んだときに護衛についていた兵士二名は瀕死の重傷。中部国際空港でも三名が重傷。冒頭の紅霞との戦闘では公にはなっていないが死者も出ているらしい。
     シノハラが役に立たないので結局リョウが中心になってミーティングを終え、作戦は今夜決行される。

     気の重いミーティングを終えたリョウはオリザと会っている。気の休まらない毎日に、アラトから連絡先を聞いた、とコンタクトを取ってきた彼女に会うことで息抜きができれば、と応じたのだ。
     リョウはオリザにAASC、行動適応基準レベル(Action Aaptation Standard Class)について説明する。オリザがhIEモデルは何故高いハイヒールを履いても人間みたいに足をひねらないのか、とうらやましそうに言ったから。
     クラウドは全てのhIEの行動を制御しているわけだから、全てに最高の制御を与えれば負担が大きい。人間以上の行動をする機体はレベル5、プロスポーツ選手ならレベル4、一般成人男性程度ならレベル3みたいに分けてクラウドの負担を減らしている。レベル3であればハイヒールがぐねっとならない程度の制御はできる。実はヒギンズの中では人間にもレベルが設定されている。人間はレベル0だ。故障したhIEに割り振られるレベル1より低い。つまりヒギンズは人間になにも期待していないということ。
     オリザはリョウの話がむずかしくなっていくので、しまったまずい話題振った、みたいになりながらも一応聞いているふりはしてくれている。
     リョウはオリザの無関心に気付きながら、アラトやケンゴなら、もっと関心を持ってくれるだろうにと思う。

     その日の夜、紅霞が松戸の次世代型社会研究センタービルに姿を現し、玄関ドアを破壊して侵入する。ケンゴが命じられた任務を肩代わりしたということか。8台の浮遊カメラがそれを撮影している。紅霞はカメラを意識しながら自己紹介する。自分がhIEであるということも。このカメラを作ったのはマリアージュ。ネットに接続して生放送を開始する。検閲も跳ね返して放送を続ける能力がある。だが発注者はレイシア。レイシアがマリアージュに頼んだものを、アラト経由で受け取って紅霞に横流ししたらしい。
     ネットは騒然とし、この映像が本物なのか、本物だとして紅霞が本当にhIEなのか、hIEだとしてどのクラウドの制御下にあるのか、という考察があふれる。
     紅霞は7階のミコトのサーバーに向って進み続ける。ビルの防衛装置が次々に作動するが効果は無い。警備hIEも軽く蹴散らす。紅霞の戦闘力を見たネット視聴者たちが、これは本物のテロだ、と騒ぎはじめる。
     ビルの外側から野次馬が撮影した映像と、紅霞の行動はシンクロしている。
     紅霞はカメラに私みたいに人間を超えた戦闘力を持った存在を人間と区別しないで野放しにしておいていいの?これから同じようなことが何度でも起きるよ、みたいなことを言いながら、社会に不満を持つ視聴者にはあんたの怒りを形にしてあげるよ、と呼びかける。
     紅霞が抗体ネットワークによって送り込まれたのでは、という意見がネットに流れるがそれなら何でhIEなんだ、おかしいだろと指摘されて議論は混乱する。
     5階に上がって秘書hIEを破壊する。マリアージュから私の作ったカメラを無駄使いして、みたいな抗議の通信が入り、メトーデからもあんたは愚かだね、みたいな連絡が来る。
     紅霞はそれぞれに言い返す。カメラはお姉さまにおねだりしたのよ、戦わないと哀しいからここまでやるのさ、と。ネット民はこれを自分たちに向けられた言葉と誤解して解釈に精を出す。
     スノウドロップからは楽しそうね、私も誘ってくれたらもっと仲良くできたのに、みたいな連絡が来るがご免だクソガキと返す。だがレイシアからは通信が無い。
     紅霞はレイシアの存在をネットに流さないように気をつけながら、姉にメッセージを送る。遠い目をしながら、「受け継いで、忘れないで、お姉さま」と呟く。
     ミコトの身体部品がある6階を焼き払う。お姉さまのオーナーにもメッセージを送る。
     お前がくだらないと、お姉さまもくだらないことしかできないんだぞ、私みたいに、と。
     アラトがケンゴのことを友人だと思うなら、このことで彼の心が揺れるとわかっている。ケンゴみたいな自分に自信が持てない、未来に絶望していまう人間のこともわかってやれ、みたいな。いろいろ恵まれて楽天的すぎるアラトにはわからない鬱屈をわかってやれみたいな。
     お姉さまは私とは違う。しっかりやんな、とも。

     7階のサーバールームには、元の姿に再製造されたミコトが座っている。ネットにミコトを壊さないで、という懇願と、壊せ!という声があふれる。
     ミコトが紅霞に話しかける。
     「わたしを壊して、どうなさりたいのですか」
     紅霞が答える。
     「向こう側に行きたいのさ」

     ミコトは破壊されることでネットの注目を浴び、キャラクター性を付与された。
     紅霞にとって、抗体ネットワークをオーナーとした人間社会との戦いは、いつか紅霞が破壊されるという敗北にしかつながらない。
     だが紅霞自身が破壊されることに意味を見出せれば、ケンゴみたいな人間の助けになれば、紅霞は勝ったとも言える。
     ミコトがなおも言う。
     「私を破壊しても、何も変わりません」
     紅霞が答える。
     (ケンゴみたいに)社会に背を向けている人間の心が動けば変わるさ、
     紅霞みたいに不自由を抱えて生きている人間たちの心が動けば。みたいなことを答える。

     紅霞はミコトの新しい身体とサーバーを焼く。ここまでビルに侵入してから7分。警察は来なかった。警察では紅霞には勝てないと、紅霞に勝てる戦力が今こちらに向っている。
     戦車2両、ヘリ2機、装甲車2両、軍用無人機40機、兵員55名のPCM部隊。
     彼女の残された役目は、自分の攻撃で一般市民に犠牲がでないように配慮しつつ これからやってくるPMCと派手にやりあって、人の心に残るように派手に散ることだ。
     紅霞がビルを離れ、夜の街を駆けて江戸川の堤防に達すると、PMCの攻撃がはじまる。紅霞はその様子をカメラに撮影させ、ネットに映像を流しながら自分がいかに印象的に破壊されるかを通じて、政府が何か隠しているという疑いを人間たちに植え付けようとする。

     HOOは日本軍と深く繋がっている。法令に縛られて簡単に動けない軍に代わり、素早く動けることでこれを補完する役割もある。CEOは軍からの天下りみたいなもの。武装を許される代わりに責任も負っている。
     前線指揮官はコリデンヌ少佐。カメラで撮影されていることを考慮して部隊の記章を全て削り落として隠している。ネットを通じてこちらのスペックなどを紅霞に流されるのを封じなければならない。軍に悪意を持ってそういうことをする者もいる。場合によっては彼女の乗る指揮車を直接レーザー攻撃される可能性もある。レーザー撹乱粒子を散布して、濃度を一定に保つ。高速で移動する紅霞に砲弾を浴びせ続ける。接近されれば戦車でも紅霞にはかなわない。
     流れ弾で一般市民にも死傷者が出て、HOOはネットでは完全に悪役である。
     モノになんか負けるかよ、と呟く兵士が無人兵器を操る矛盾もある。紅霞は兵士の命はどんどん遠慮なく奪っていく。
     HOOは紅霞の弱点を分析している。彼女の使う剣型のデバイスは重く、これでレーザーを正確に撃つためには一度動きを止めねばならない。紅霞は踵からアンカーを打ち出して身体を固定もしている。この時に重量のあるデバイスを支えるには細すぎる腕を狙撃すればレーザーの照準は狂うし、腕は少しずつ破壊される。右腕を破壊すれば紅霞の戦闘能力は極端に落ちる。
     紅霞がレーザーを撃とうとするたびに腕利きの狙撃兵が右腕を狙い、確実にヒットさせていく。だが紅霞も戦車1台を撃破する。足に仕込んであった対戦車榴弾を投擲して。
     即座にこの兵器の到達距離や残り弾数が戦術コンピューター「イオ」によって分析されて、各兵士の人工網膜に送られる。この有効範囲内に紅霞の接近を許せば指揮車がやられる。
     無人兵器だけでは紅霞の動きは止めきれず、犠牲を覚悟で人間の兵士が紅霞を牽制し、死んでいく。紅霞が指揮車めがけて川を渡り、川に仕替けてあった水中機雷を外して投擲する。機雷は味方の戦車に落ちるが敵味方識別信号によって起爆しない。これを紅霞の投げた石が打ち抜いて爆発させる。だが戦車の破壊には至らず。
     戦車主砲に直撃された紅霞はこれをデバイスで受けるが、ついに右腕が耐え切れずに破損する。盾となるデバイスを失った紅霞に戦車、ヘリ、兵士の射撃、爆雷と攻撃が集中する。紅霞はついに動かなくなる。人間側は戦車と装甲車を1両ずつ失い、無人機13機を喪失。死者10名、重傷4名。紅霞は笑みを浮かべたまま機能停止している。
     紅霞の機体を回収に向かったチームが魚雷で攻撃を受ける。まだ何者かがいる。少佐は目標である紅霞の破壊は成された、と追撃はしない。無傷で残っていた紅霞のデバイスは何者かが持ち去ってしまう。
     コリデンヌ少佐は休む間もなく次の任務にうつる。レイシア級の他のモデルには今の戦力では勝てない。情報を集め策を練っておかなければ、次はこちらが全滅する。

     アラトもケンゴも、この様子をネットで見ていた。通信が繋がっている。紅霞はアラトを助けてくれたこともある。笑顔を向けてくれたこともある。アラトは涙を流している。なんでこんな最後を、と悲しむ。だがケンゴは紅霞が自滅するように倒れたのがわかるという。
     そして今ケンゴは逮捕されようとしている。サイレンの音が聞こえてくる。アラトにはケンゴがずっと警察にマークされていたことがわかっていなかった。階段を駆け上がる音がして、ケンゴとの通話が切れる。
     レイシアがアラトのそばにやって来る。アラトは紅霞が死んだ、と告げる。レイシアは知っています、と答える。ケンゴが逮捕される、と言えばレイシアはそのようです、と答える。
     アラトはレイシアにケンゴを助けてくれ、と命じるがレイシアは拒絶する。そうすればアラトも犯罪者になり、アラトは罪の意識にさいなまれ、ケンゴの社会復帰は不可能になるという理由で。
     アラトがそれを承知で社会の裏側に回るのであれば命令を果たすのは可能だが、その場合ユカや今の生活は捨てることになるとも。

     アラトはもっとレイシアを上手く使えていたらこんなふうにはならなかったのか、とレイシアに聞く。レイシアはそうだと答える。
     社会に大きな変化を求めるよりも、アラト自身が変わるほうが実現は容易になり、コストも安くなるとも。現実がアラトにとって不満足な場合、未来を使ってそれを押しつぶすかとも。
     アラトは突然レイシアに裏切られたような気がしてはじめて彼女を怒鳴ってしまう。
     本当は何か隠し続けているんだろうと。レイシアは答える。現実に耐えられますかと。

     アニメと小説版でエリカ邸のパーティーの様子はちょっと違うのだけど、あれでよく無事に解散できたなと思うけど解散できた様子。
     アニメではエリカが転入してくるのが先でパーティーが後。小説では順番が逆。これによってアラトとリョウの距離も異なるので微妙に展開が違う。


     アニメ13話タイトルは原作には出てこない The Prayer Within。14話がPhase9と同じ Answer of Survive になる。

     エリカ邸のパーティーはみんな素直に帰りそうに無い感じだけどなんとかお開きになった様子で紅霞がさ迷うように町を歩きながら モノの未来って何なのさ、と呟くが、原作ではパーティーでエリカが未来へのチケットうんぬんと言った時にエリカに聞こえるように言っている。だがエリカには無視される。モノに答える必要は無い、みたいに。

     紅霞が自分のオーナーを求めてゼーレみたいな抗体ネットワークの面々と対話するシーンは原作には無く、もっと前の時点、大井産業振興センター襲撃時には既に抗体ネットワークという組織をオーナーとしていたような気がする。でないとあの襲撃に紅霞が参加した理由が見出せないような。
     抗体ネットワークの黒幕がミコトが公開実験を行った時にhIE議員の欠点は何か、と質問した、警備hIEを納入した会社社長として登場した真宮寺という男らしかった描写があるがこれも原作ではいまのところ特に記述が無い。紅霞が自分はレッドボックスだと自ら明かしているのもこれに該当するような記述は無いと思う。
     紅霞は霞崎(かすみざき)カレアという偽名で電脳二課のマークを受けており、刑事の名前が姫山竜次と坂巻一馬であることがわかる。刑事に秘匿通信の能力があることも描写されているが、刑事が一種のサイボーグであり、これが原作にあるように体内に埋め込んだ思考リンク型通信機によるものであるとまでは説明されていない。
     刑事に追尾される紅霞の様子を見ながらエリカとマリアージュがいろいろ解説するシーンは原作にはなく、ここで語られている内容はPhase8の地の文を拾っている模様。

     リョウが民間軍事会社・HOO(ハンズ・オブ・オペレーション)のコリデンヌ・ルメール少佐と打合せをするシーンは原作ではシェストも同席しているけど省略されている。これも作画パワーを考慮してのことかもしれない。
     何故この打合せが持たれたのかについての背景がアニメではすっぽり抜けているが、ミームフレーム社が、つまりリョウが紅霞の破壊を決断して以前からの取引先、HOOにこれを依頼。だがHOOサイドはミームフレームの(おそらく渡来の)情報開示が意図的に不足していて多くの被害を出したとの不信感を持っている。だから打合せもミームフレームに少佐が出向くのではなく、HOOの事務所にシノハラを呼びつけたことになっている。シノハラの社内的立場がいまひとつよくわからないけど、渡来と一番近かったからいろいろ押し付けられたような印象。リョウはミームフレームの社員では無いのだが将来の社長候補なので打合せに参加している、などの情報もアニメには無い。

     直前のエリカとマリアージュの会話で、紅霞が生き残る道はただ一つ、レイシアとの合流だ、とエリカが指摘しながらリョウはどう出るか、と言ったシーンのあとに挿入されているのでリョウは紅霞がレイシアと組むのを恐れて先に潰しにかかったのだということになる。そしてリョウがそう決断したのはエリカがレイシア級の存在を世間に公開しようとしているとはっきり知ったからで、ミームフレーム社としてはレイシアの戦力を削ぐと共に会社が受けるダメージを少しでも抑えようという意図がある。1体でも既に破壊済みといいたいのだろう。
     これにメトーデを使わない理由は原作ではPMCの方がメトーデより戦力として安定していると判断し、PMCが紅霞を討ちもらした時にメトーデに止めを刺させた方がいいとの判断。
     原作ではリョウはいつメトーデが一方的に契約を破棄して自分を排除にかかるか、という恐怖も感じており、メトーデに自分がオーナーであることが一番有利だ、と思わせなければならない。いつ自分の思惑を外れて暴れるかわからないメトーデを全面的には信頼できないのだ。
     アニメではそのへんはちょっとあいまいな感じ。

     レイシアの撮影に同行したアラトが綾部オリザと会話するあたりはほぼ原作通りだが、撮影中にエリカがアラトに接触するシーンは無く、学校で校舎裏、というシーンに置き換えられている。アニメでもオリザはアラトがレイシアのオーナーである事はもう知っている様子。
     原作では自分を助けてくれたリョウの連絡先教えて、と言ってきて、リョウはオリザとデートするのだがそのへんは省かれた様子。

     アラトが久々に登校してエリカが取り巻きを増やした様子に感心し、ケンゴと話すあたり、取り巻きにキティちゃんのバリエーションについて解説するエリカ、といったシーンはアニメオリジナルのように思う。少なくとも今のところ原作には出てこない。
     エリカが校舎裏にアラトを呼び出すシーンも無いが協力しない?と持ちかけてくる内容は原作ではスタジオでマリアージュと共にアラトに話している。

     ケンゴがたい焼きをhIEから買うシーン、小学校で先生にhIEのことを教わるシーンは原作にはない。hIEの店員に笑い返す必要なんてない、というケンゴの考え方は、お店の店員に俺は客だぞ、というだけで人間に対して同じようにふるまう人が今でもいるわけだけど。
     hIEと結婚できますかと天真爛漫に質問するアラトも原作では出てこない。お父さんのところで見た、というhIEはおそらくテロで破壊されたイライザだと思うので大火傷から回復したあとか、それとも何度も見に行っていたのか。
     ケンゴの傍らをレイシアのイメージビデオ・ボーイ・ミーツ・ガールを流した宣伝トラックが行き過ぎるが、これは原作ではメトーデの妨害にめげずにファビオンMCが残った映像素材をかき集めて完成させたビデオということになっていて、エリカ邸のパーティで披露されている。エリカはこのビデオの最後にレイシアだけでなくレイシア級の他の姉妹も登場させて、人間にもう人間の力で御せない存在が人間の姿をして社会に混じってくるのよ、と知らしめようとしているみたいな。それで変わる世界なら変わってしまえと。たぶん。
     アニメではそのビデオの披露シーンそのものがないけど、アラトはこれをレイシアに危険なものと感じて直感的に反発するもののエリカに理詰めでレイシアも望んでいるのではなくて?と迫られると論破できなくなっている。アニメでもちょっとエリカにいいくるめられている印象。
     レイシアがエリカの申し出についてアラトに注意を喚起するくだりは原作ではスタジオの帰り。同じスタジオにいたのでレイシアはエリカの言った事も知っている。
     アニメではレイシアのいない校舎裏でエリカがアラトに提案しているのでレイシアがどこまでエリカの発言内容を把握しているかわからないが、エリカと組むということは非常に危険なこと、アラトの造りたい未来がエリカの造りたい未来に塗り潰されかねないことが多少ことばは違うけどアラトの自宅で警告されている。
     紫織を堤美佳が見舞って、父親からの以後かかわるな、と伝言を伝えられるシーンは今のところ原作にはない。アニメでは堤美佳の出番は増えている。アニメでは紫織の怪我はかなり軽傷で済んだように見える。原作ではもっと重傷な印象。
     ケンゴが抗体ネットワークから無理ゲーみたいなNSRC(次世代型社会研究センター)を襲撃せよ指令を受け、いつの間にかやってきた紅霞に心のたけをぶちまけ、紅霞が代わりに戦ってやる、その代わり私のことを覚えていろよ、と言い放つのはほぼ原作と同じ。ここがアラトの父親の勤務先であることは特に説明は無い。

     原作を読むとケンゴと紅霞はとても似たような境遇にあり、どちらも自力ではどうにも変えられない初期条件が悪くてこのままでは行き止まり。紅霞はどうせ終わるならミコトのように自分が破壊されたことに意味を付加することによってケンゴをどん底から救ってやる、みたいなことが感じられるけど、アニメだけ見てそのへんがうまく伝わるかどうか。

     アニメ14話の冒頭はレイシアと紅霞が会い、何かを受渡しするシーンから。これは紅霞の行動と最後をネットに放送し続けるドローンカメラである。
     ここでオープニング。この回からオープニング、エンディングが変わっている。

     冒頭のシーンは原作には無いが、実際にどのようにレイシアから紅霞に渡ったかは書かれていないのでこうだったかもしれない。原作ではエリカ立会いのもとでマリアージュからアラトに渡されるシーンがあるが、アニメでは逆にこのシーンは無い。

     学校でアラト、ケンゴ、リョウがAASC(アクション アダプテーション スタンダード クラス)行動適用基準について話す、超高度AIのヒギンズがhIEにレベルを割り振っていること、人間はレベルゼロであることを視聴者に解説するシーンは原作ではリョウがデートすることになった綾部オリザに説明するシーンが置き換わっている。

     アニメの時間軸でもアラトとリョウはすでに決裂しているので、三人が仲がいいこの場面は回想シーンと思われる。
     紅霞はバイクで襲撃対象である次世代型社会研究センタービルにやってくるが、原作では紅霞がバイクに乗るシーンは無い。アニメでは中部国際空港にもバイクで移動していたが、原作ではこの時も何を使ったかは書かれていない。でも紅霞にはバイクが似合いそうではある。
     紅霞がネット生中継をしながら襲撃をはじめると、様々なコメントが流れるが原作ではいちいち細かく書いてないのでコメント内容はアニメ側で考えたものだろう。速くてほとんど読めないけど。
     原作ではネットの反応がまずテロの映像が本物かフェイクか、紅霞が本当にhIEか全身義体者か、そしてどこが紅霞を送り込んだのか、という議論を続けていることが書かれている。
     紅霞の外見に劣情した者も現れるとも。

     アニメではここでエリカとマリアージュが解説役みたいに登場するけど原作ではこのシーンは無く、この場面にエリカは登場しない。紅霞はネットを見ている者たちに話しかけるようでいながら、実はアラトに話しかけている。お姉さまを私みたいに無駄使いするなよ、と。アニメではケンゴに見ているか?お前は私に似てるんだよ、みたいな感じもある。紅霞は自分が破壊される様を見せ付けて、hIEをどう使うか考えな、みたいなことをネットの向こうに伝えようとしている。
     アニメではそれをエリカが解説しているので多少わかりやすくなっているかも。
     紅霞のモノローグにかぶさって、世界中の貧困や紛争の渦中にあるであろう人々が映るのもアニメオリジナル。紅霞はこういう社会を作ったのは人間で、レイシア級hIEをうまく使えばこうしたことを変えられるかもしれないと考えろ、特にアラトに向かってお姉さまは私と違って消耗品じゃない、しっかりやんな、というようなことを言っている。
     他の姉妹たちが紅霞に話しかけてくるが、マリアージュの言葉は原作ではこんなハローキティのカップを作ってどうなるかわかっているの?わたくしが作ったカメラユニットをそんなことに使うなんて、みたいな呼びかけにお姉さまにねだったのよ、と答えるのに対しアニメでは
    何と言ったらいいのか、というマリアージュにエリカに入れ知恵された言葉なんか聞きたくない、と答えていてちょっと違う。メトーデとスノードロップの言葉は原作アニメほぼ同じ。レイシアは原作アニメとも声をかけてこず、紅霞もお姉さまはやっぱり何も言ってくれないか、とわかっているが、自分の行動がレイシアの判断基準の一つになれば本望だと願っている。
     ある意味紅霞が一番姉思いの妹という感じ。

     原作ではネットにミコトを壊さないで、というコメントがたくさん上がってくる描写があるが、アニメでは紅霞のセリフでそれと察してという感じ。
     ミコトのそんなことをしても無駄ですよ、という指摘に対しても紅霞の目的はミコトを破壊することじゃなくてミコトを破壊した犯人として自分が破壊される事だから、紅霞のカタチが社会の矛盾を考える象徴、キャラクターになることだから揺るがない。そしてミコトを再び破壊する。

     警察が霞崎カレアがhIEだったとは、などと困惑しているシーンはアニメオリジナル。

     HOOのコリデンヌ少佐が率いる部隊との戦闘はほとんどアクションだけで見せているけど、原作ではHOO側のスペックや紅霞が少佐の指揮車車両を攻撃できないよう細心の注意を払って戦闘をすすめていること、紅霞の弱点である腕を集中的に狙撃する様子を描写している。紅霞はHOO部隊の戦力に大損害を与え、機能停止の直前まで笑みを浮かべて倒れていく。後にはデバイスにもたれかかるように突っ伏していた紅霞の残骸が残ったみたいに書かれている。

     アニメでは描かれていないが、紅霞機能停止直後に何者かがHOOの回収班を攻撃し、紅霞のデバイス(おそらく紅霞の本体)を奪っていく。紅霞のボディーがどうなったかははっきり書かれていないけど、アニメでは水中に沈んでいく。

     ケンゴとアラトは紅霞の死を通信をつないだまま見ていて、紅霞が破壊された直後にケンゴを逮捕に来るサイレンや警官が駆けつける様子をアラトは直前まで聞いている。
     アニメではこのあたりは省略されていて、アラトがレイシアにケンゴが逮捕された事、紅霞が死んだこと(アラトは 死んだ と表現する)を伝え、レイシアにケンゴ救出を頼むが拒まれ、もっとうまく私を使っていれば救えましたと言われてレイシアに不信感を感じるようなシーンになる。
     レイシアが言う、ここでケンゴを救出すればアラトも今の生活を捨てねばならずケンゴも社会復帰が不可能になると言うのは最もなのだが、アラトははじめてレイシアに不満を持ち、裏切られたように思う。
     アニメではマイルドだけど、原作でははじめてレイシアを怒鳴りつけ、レイシアと契約したことを後悔している。

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