「春宵十話(岡潔著)」表題作以外(その他もろもろ)
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「春宵十話(岡潔著)」表題作以外(その他もろもろ)

2019-08-07 19:00




    ・奈良の良さ
     奈良の良さ というのをことばで伝えるのはむずかしい。夏目漱石の時代なら言わずともわかったものが、わからない人が増えていく。わかる人が出て来るまでは、いじり回さずにそのまま保存しておきたい。

    ・相撲・野球
     岡さんは柏戸の方が大鵬より好き。房錦も好き。栃ノ海は根性がありすぎて苦手。
     野球は巨人軍ひいきだがとくに理由はない。

    ・新春放談
     正月は七日まで宗教団体の念仏で過ごす。梅の花が咲く頃から桜が咲くまでの季節が好き。
     春は意識の流れが速くなりすぎてひとつのことに集中できない。種をまくように拾い読みばかり。夏の方が集中して勉強できる。
     宇宙があるから地球があるのではなく、一つしかない地球を維持するために宇宙ができたのかもしれない。
     などとりとめもなく。

    ・ある想像
     日本人の起源についての壮大な想像。

    ・中谷宇吉郎さんを思う
     文化勲章受賞式で中谷さんと話す。自分は物理学者のつもりだが、芸術家みたいに評価されてしまう、とこぼしている。氏とはパリに留学していた若い頃からの付き合い。
     中谷さんを偲んでの文章。明るい人柄だった様子。

    ・吉川英治さんのこと
     吉川英治さんとは一緒に文化勲章を受けて知り合う。もちろんそれ以前から小説は愛読。だが直接顔を合わせたのは二回、三日間にすぎない。
     吉川さんが没して多くの人がほめているがまだまだほめ方が足りないと思い思い出を記す。
    吉川さんは「生命の燃焼」というものを作品テーマにしていて、岡さんが数学は生命の燃焼ですと言ったので知遇を得たとのこと。中谷さんが科学者としてではなく芸術家扱いされて困るという話にも、世の中は型にはmらないものはなかなか評価しない、と同情してくれたという。

    ・わが師わが友
     仏教観に基く前置きとして自分というのは本当にあるのだろうか、みたいにはじまって、その自分を作ってくれた人たちを思い出して、みたいな。
     小学校の先生を二人。特に図画の先生にはいい思い出をたくさん貰った様子。
     中学校では寄宿舎の舎監長だった英語の先生。寮を出る時に生徒一人一人の性格にあった言葉をくれたという。
     高校では数学の先生。岡さんが勉強に意味などあるのか、みたいな態度を取ったときに諭してくれたという。地質学の先生には現役の研究者であり続けるとはこういうことか、と感化を受ける。国語の先生に徒然草を教わったのも印象深いという。

     大学では一年の時に微積分を教えてくれた先生。物理コースだった著者が数学に移るきっかけとなる。「足をふみすべらせて困る」ことのないよう何度でも定義に立ち返るというやり方で、自分もこのやり方に従っているという。
     別の数学の先生からは「ヘルムホルツ-リーのフリー・ムーバビリティーのアクションについて」という程度が高すぎるがおもしろい講義を受けた。
     数学者の逸話をランダムに教えてくれた先生もいた。
     フランスでは数学にはリズムがあると教わる。その先生は彫刻のようなメリハリのある論文を書く。
     あと人ではなく本だが、高木貞治先生の「アーベルとガロア」「過渡期の数学」からだいぶ教わったという。
     今も交際が続く二人の同級生を紹介して、この本は終わる。
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