「写楽・考(北森鴻著)」①憑代忌
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

「写楽・考(北森鴻著)」①憑代忌

2020-01-24 19:00


    ・蓮丈那智助教授と内藤三國助手がいる東敬大学民俗学研究室には、前回からレギュラーが一人増えている。佐江由美子という美人助手が加わっている。彼女の双子の妹は人気の天才女性シンガーだという。三國は自分より優秀っぽい彼女が加わったことで戦力外通告に怯えることに。

    ・憑代記
     大学の言い伝えの中に、これこれした学生は必ず単位を落とし、最履修しても二度と挽回できない みたいなものがあり、それが三國を悩ませている。
     伝説がいつのまにか変容していて、キャンパス内のある場所で三國の写真を撮り、それを身につけていると那智の講義や卒業論文で及第点をとれるというもの。おかげで最近女子学生に写真を撮らせてください、と頼まれる。最初は喜んでいたのだが、事情を知ってがっくりしてもいる。

     写真をお守り代わりに使われるだけならまだしも、その写真を生贄のようにさらし物にされたりしているのを発見してさらに落ち込む。
     ここで三國は那智にある調査を命じられる。由美子と一緒にある山村の旧家を訪ね、そこに伝わるお守り人形の鑑定をというもの。だが先方の当主と、彼をおじさまと呼ぶ中年手前の女性の間で意見が対立。家守の老人のとりなしでとりあえず仕切りなおすことになって二人は離れに泊めてもらうが、翌朝その人形が紛失したという。箱は残っていたが中の人形が消えていた。三國たちは昨日もこの人形は見ていない。布に包まれていたので。どうも紛失した人形は塞(さえ)の神だったらしい。これは常世から来たマレビトが凶事をもたらす場合に守り神になる。マレビトが吉事をもたらす場合は同じ人形が憑代になる。

     事情が知れてくると、当主はこの人形を県の資料館に寄付したいと思い立ち、那智の研究室にこの人形の由来などの調査を依頼。だが親族の女性が強硬に反対。女性は村の守り神になんてことをするの、と怒っている。当主が寄付を言いだした陰には県の教育委員会からその資料館に出向した人物がいる様子で、この人物は中央の民俗学学会に敵意のような感情を持っているみたい。
     そして人形が見つかる。床の間にいつのまにか置かれていたのだが、顔を潰されている。そして当主が人形同様、顔を潰されて殺害されているのが発見される。

     関係者の名字に 火、水、土、金、林(つまり木)が含まれており、三國は五行思想を連想する。人物同士の関係は木剋土とか木生火とか、いわゆる相生、相克関係にあてはまる。当主は火だったから、殺したのは水である親族女性ということになるのだが・・・

     この事件の真相は実にくだらないものであったのだが、同じような枠組みを持つ三國の写真がさらし物になっていた事件の方は、ちょっと危険なものだった。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。