「星を追う子供」
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「星を追う子供」

2019-07-28 19:00
    ・GYAOで無料配信していたので久々に視聴。



    ・以前劇場で観た時はよくわかんなかったなあ、という印象だけ残っている。
    ほとんどどんな話か忘れちゃったんだけど、覚えていたのは

    ・ヒロインがイカ娘の声だった。
    ・地底に行くような話だった。
    ・ラピュタのムスカみたいな男が出てきて、自分の組織を裏切った。
    ・エウロパの老人たちによろしくな、とかムスカが言ってたけど、
     このエウロパの老人たちというのは登場しなかった。
    ・川の両岸に何か怖いものがいる中を舟で下るシーンがあった。
    ・何か空から目玉がいっぱいあるのが降りてきた。
    ・なんとなく全体に暗いムードがあった。

     程度。でも当時観て損したぜ!みたいには思わなかった。なんかジブリみたいな雰囲気だったな、とは思ったけど、ジブリみたいな活劇ではなかったなという印象。なんかもっと静かな雰囲気があったような。

     見直してみてようやくどんな話だったのか整理できたような。

     ちょっと一昔前みたいな田舎が舞台。携帯とかスマホとかが無い時代。田舎だけどそれなりに活気があって寂れてはいない感じ。
     そこに母親と二人暮らしの小学校高学年くらいのヒロインがいて、母親は時間が不規則な仕事で不在がちのため、家のことはたいてい自分でやる。弁当なんかも自分で作る。
     彼女には山の洞穴みたいのを使って作った秘密基地があって、暇があるとここに来て手作りっぽい鉱石ラジオを聴いている。自分で作ったのかどうかはよくわからないけど、使用している石は父の残したものらしい。父ははっきり語られないけどもう亡くなっている感じ。

     秘密基地には鉄橋を渡って行くんだけど、ある日そこで奇妙な怪物に遭遇する。巨大なサンショウウオのような熊のような。そこに同じ年かちょっと上くらいの少年が現れて助けてくれる。少年は彼女を抱えて空を飛んだような。
     少年は彼女を助ける時に腕を怪我したので、スカーフで手当てする。何度か秘密基地で会うのだが、ある日少年は来ない。そして彼の遺体が発見される。彼女のスカーフを傷に巻いていたことから問合せが来る。

     担任の先生が産休に入り、代わりに若い男性の先生が着任する。先生の授業で黄泉の国みたいな伝説があちこちの国にあることを聞く。

     ヒロインは少年が死んだと信じられず、また会えないかと秘密基地に行き、そっくりな少年に出会うが彼は彼女を知らないという。そこに特殊部隊みたいなのが現れて襲ってくる。
     少年は洞穴みたいのの中にある異世界みたいなのに続く扉を開けて中に逃げる。行きがかり上ヒロインも一緒。特殊部隊は追いかけてきて少年が持っていた異次元への鍵みたいになっている宝石を奪う。特殊部隊を指揮していたのは先生で、先生はこの宝石を奪うと仲間を裏切ってもう一つの扉を開け、ヒロインを連れて中に入る。少年も後に続くが、特殊部隊の残りはおいてきぼりになる。

     そんなわけでヒロインと先生は地底にあるみたいなもしかしたら異次元かもしれないアガルタという世界に行く。先生はこのアガルタの力を利用しようとする秘密結社の一員だったみたいだが、先生の望みはアガルタに行けば死んだ妻にもう一度会えるかもしれないとただそれだけ。そのために秘密結社を逆に利用していた様子。
     少年はもともとこの世界の人間で、先にヒロインと出会ったのは少年の兄だった。兄が扉を開く鍵である宝石を持って地上に出、そこで死んだため弟がその回収に来たのだった。

     地底であるはずのアガルタには空もあり、太陽もあって昼夜の別もある。夜になればオーロラや星も見える。神の舟みたいなものが飛んでいたりもする。人も住んでいるが文明は後退している様子で廃墟ばかりの中に小規模な村が点在している。先生はここで聖なる地みたいなところを目指す。そこにたどり着けば妻を生き返らせることができるかもしれないので。
     ヒロインには特に目的があるわけではない様子だが、先生と同行する。

     手足が6本ある異型の存在に襲われたり、地上人は敵だ!などと考えるアガルタの住民に追われたりしながら、助けてくれる人もいて、最終的には少年も合流して聖なる地にたどり着く。空を飛んでいた神の舟みたいのが聖なる地に降りてきて、全身に目玉がある人のような姿になる。この中に先生の妻の魂があるみたいな。
     先生はヒロインの身体を依代に妻と再会するが、少年がその媒介になっていた宝石を破壊すると妻は消え、ヒロインは目覚める。この間、ヒロインは夢の中で死んだ少年と再会している。

     ここで唐突な印象で終わってしまい、エンドロールで先生はアガルタに残ったらしいこと、少女は地上に戻ったらしいことが描かれる。少年が宝石のかけらを少女に渡していたので、再訪があるのかもしれない。エンドロールが途切れて中学校みたいな制服を着たヒロインが卒業式に出かけるシーンが入り、エンドロールに戻る。

     新海誠作品では少年少女が出会って、自分ではどうしようもない理由で離れ離れになって、いっしょうけんめい近付こうとする、というのが基本パターンのように思うけど、この作品はヒロインと地底から来た少年が出会いはするけど少年はすぐに死んでしまう。
     少年の弟が登場するけど性格は全く違うし、弟には故郷の村に彼女っぽい女の子がいるのでヒロインにとっての運命の相手というわけではない。
     近付こうとしているのは奥さんと死別した先生の方ということになる。
     ヒロインも死んだ少年と一応再会するけど、強い意思を持って彼を生き返らせようなどと思ってアガルタに行ったわけではなく、先生に偶然同行するはめになったという感じ。

     離れ離れになっていた二人が再会して、二人で新しい未来を作っていくというわけではない。先生もヒロインも、再会することで自分の心の喪失を少しだけ埋めただけみたいな。

     妻と再会するためには魂の宿る肉体を差し出さねばならず、先生はヒロインの身体を使ってしまう。だが子供なのでそれだけでは足りず、自分の片目も差し出す。それだけで足りるのかと思ったりするけど、これは目だとポイントが高かったりするんだろうか。

     妻の魂が去り、ヒロインの肉体は復活するけど先生の目は戻らない。ヒロインが戻らないと話がホラーみたいになってしまうから仕方ないか。目が戻るとそっちはそっちで。

     アガルタの民というのが意外にフツーというかかなり弱体化していて、滅び行く人たちなんだろうな、と思う。好戦的な人もいたりするけど。

     アガルタに住む手足6本のイジンというモノは日なたには出てこないけど、日陰では岩や地面から染み出るように現れて襲ってくる。これはなかなか気持ち悪かったが、最初にヒロインをさらった時何故その場で殺さなかったのかよくわからなかった。

     見直してみるとそこそこ活劇もしているのだけど、ヒロインが何かを得るためとか守るために戦っているわけではないのでいまひとつ印象が薄い。脇役がそれぞれの理由で背景として戦っているような。

     男女が出会って世界が広がっていく、という印象ではなくて、世界が閉じていくみたいな印象があってちょっと暗い感じがするのかな。

     ジブリみたいだ、とよく言われるみたいだけど ジブリもいろいろあるから ラピュタみたいと言ったほうがいいのかな。空に行くラピュタと地下に行くこの作品とはちょっと対比される部分があるようには思う。ヒロインの肩に乗る動物はナウシカのテトみたい。
     先生はちょっとムスカみたいだけどあんなに悪辣ではない。
     アガルタの少年の兄の方があっけなく死んでしまうので、死のイメージが強い作品になっている気もする。

     ヒロインは星も追っていないし、死んだ少年の面影をそんなに強く求めていたわけでもない。追っていたのは奥さんを甦らせようとした先生の方。
     タイトル詐欺と言われればその通りかも。

     そんな感じで新海誠作品ではちょっと異質だなという印象。
     田舎の景色や異世界の空などはあいかわらず綺麗。
     異世界の「聖なる地」は、君の名は。の彗星のぶつかったあとみたいに切り立った崖に覆われた陥没したような丸い一帯になっている。
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