「ビートレス」アニメ・原作比較 Epilogue boy meets girl
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「ビートレス」アニメ・原作比較 Epilogue boy meets girl

2019-10-19 19:01




    ※本文そのものの要約ではなく、自分の解釈で言葉を足したりしています。エピローグは10ページに満たない分量。

    ・ヒギンズの電源を強制停止したアラトとリョウは、待っていた量産型紅霞たちに救助される。その後彼女たちは姿を消してしまう。残った9体はそれ以上潰し合わなかった様子。

     二人は陸軍に拘束されるが、レイシアがアストライアと取り引きしていたらしくひと月ほどでお咎めなしで釈放される。アラトの火傷も大事にならずにすんだ。

     レイシアの機能停止した主機とデバイスは軍に回収された。

     アラトは一度アストライアの質問を受ける機会を得るが、その時にレイシアとアストライアは取り引きをしたことを知る。レイシアは二度と外界に出ない条件を飲んだかわりにアストライアに後のこと、おそらくアラトやユカ、コウゾウやケンゴのことを頼んだのだと思われる。

     ケンゴも保釈される。レイシアが保釈金を用意していたらしい。ほかにもいろいろ手をまわしてあったのだろう。
     ケンゴの実家の定食屋は店員にhIEを入れた。これまで年中無休だったのを、無理のない働き方に変えていくらしい。

     アラトは高校三年生になった。リョウとはクラスが分かれたが、ケンゴとエリカは同じクラスだ。

     ユカも中三だ。最近は将来はファッション業界で働きたいなんて言い出して、アラトのコネでファビオンMCに入れないかな、なんて言っている。

     ユカとアイスを買いに出ると突然、緊急を示す着信音が鳴る。相手はエリカだ。
    「あなたの妹から、わたしに直接履歴書が届いたのですけど、どうしたものかしら」
    「許してやってくれ。思いついたらやっちゃうんだ」
    「自己PR欄には、うちの兄は泣けばだいたい言う事を聞いてくれますって書いてあるんだけど、あんた、これ本当にいいの?」
    「よかったら採用すんの?」

     そこでエリカは、アラトの父が今東南アジアで技術支援しているhIE行政システムに一枚かましてくれないかな、みたいなことを言う。危ないんじゃないか、とアラトは気遣う。
     アラトの父は、内戦に陥った国の暫定政府にhIE政治家を送り込んでいる。反発もあるが、いがみあう当事者がやるよりましだと評価もされている。貧しい国の資源をいかに公平に分配するかは、hIE政治家の得意とするところだ。

     エリカは以前より快活になった。アラトとの関係もちょっと距離が縮まっているような印象もある。
    「現地に行っているミコトの後継機に、ファビオンの服を着せたいのよ」
    「そういうのなら喜ばれるんじゃないかな。父さんそういうのダメだから」
    つくばでも、hIEはかなりいいかげんな服を着せられていた。胸がはじけそうだったり。

     エリカのもとには今もマリアージュがいる。これはたぶん、レイシアが自分がいなくなった後のためにそうしたのだ。
    「そういえば、あの子あなたの奥さんのつもりなのかしら」
     と言ってエリカは唐突に電話を切る。忙しい彼女はいつもそうだ。

     ユカが電話の相手がエリカと知ってか、どうよ、みたいな目で見ているが調子に乗るので何も言わない。しかしあのエリカにわざわざ電話をかけてくる気にさせたのは偉業と言える。
     意外と入社してもうまくやるかもしれない。本人は愉快な社員をひとりくらい雇ってもいいよね、エリカさんもうやること無くなって退屈なんだし、みたいな勝手を言っているが。
     ユカが突然ニヤっつとして 明日、紫織さん来るってさ、と言って先に玄関に入る。
     
     父が海外に行ってから、ユカは友だちをよく家に呼ぶようになった。紫織もよく来る。
    もう怪我からはすっかり回復した。ユカが気をきかせているのか面白がっているのか、二人きりになる機会が不自然に多い。そうなるとなんとなく微妙な空気になる。
     病室でのことはお互いに触れない。レイシアがいなくなったことは、紫織にもおそらく張り合う対象が突然消えたような傷を残しているのだろう。

     紫織からの情報として、ヒギンズは停止されたままであり、AASCの更新を現在行っているのはレイシアなのだという。

     ユカが家の中に消え、アラトはしばし廊下に留まる。ふと軽い足音が響く。
     そちらを見ると、レイシアが近付いて来る。
    「レイシア、なのか」
    「はい。でもボディは以前と違います。レッドボックスではなく、既製品のカスタムです。
    それでも構いませんか?」
     レイシアは涙を流している。
    「もう一度、わたしのオーナーになってくださいますか?」 
     アラトは手を伸ばす。
    「おかえり。僕と一緒に行こう」

     その笑顔を僕は信じる。たとえ魂が無かったとしても。

    ーーーーーーーーーーーーーー

     アニメではエンドロールにちょっと足した程度の短時間なので、大部分がアラトのモノローグで説明される。小説のエピローグの抜粋みたいになっている。

    ・アラトとリョウは量産型紅霞に救助される。
    ・紅霞たちはどこかに消える。
    ・アラトとリョウは陸軍に取調べを受ける(レイシアの根回しについては触れられず)。
    ・高校三年になった(もともと夏休みが明けると新学年の設定)。
    ・リョウ、アラト、ケンゴ、エリカが同じクラスみたいにも見える。
    ・ケンゴの保釈については省略。
    ・ケンゴの家でもhIEを使いはじめた。
    ・ユカはアラトが知らないうちにエリカといろいろ話している様子。
    ・エリカはユカの就職をミコトへの衣装提供と引き換えにする様子。
    ・エリカのあの子あなたの奥さんのつもりなのかしら というセリフは無し。
     これは紫織がアラト宅を頻繁に訪れていることを指してるんだろうと思うんだけど。
     エリカがわざわざ指摘するところはいろいろ深読みできそう。
    ・ヒギンズは停止されたまま。AASCの更新はレイシアのブラックモノリスが行っている。
    ・前とは異なるボディで、レイシアは戻って来る。アラトは手を伸ばす。

    ーーーーーーーー

    ・レイシアが機能停止前に、自分は量子コンピュータでデジタル記憶領域を持たないため電源喪失するとデータを保持できないと言っていた。これがレイシアの個性や記憶も無くなるように思っていたのだけど、あっさり戻ってきたのであれ?と感じてしまった。
     可能性としては何らかの取り引きの上で量子通信でアストライアあたりにデータをバックアップしてもらったか。
     自分の事は忘れてくださいと言っておいて戻ってくるのもちょっと解せないが、こちらはアラトがいつになってもレイシアを忘れてないよ、ということを誰かに知らされていて戻ることを決めたとか?そういう役割をできる適当な人物は思い当たらないけど、紫織がフェアにいきましょう、みたいに連絡するのはありかな。
     それとももともと私が思ったような意味ではなくて、レイシアの記憶も個性もサーバーの中に保管されていたのだろうか。

     手塚治虫さんの漫画ならレイシアは戻って来なかったような気もするけど、多少甘くても戻って来るラストの方がいいようにも思う。

     個人的には序盤で破壊されたマリエさんとそのオーナーの大家さんが不憫。

     ヒギンズもデータのバックアップを途中で中止して強制停止に切り替えたなら、世界を見た記憶も失ってしまうとかあるんじゃないかとか思ってしまう。

    ・アストライアと二度と社会に出ない、と取り引きしたみたいな記述もあるけど、戻って来たデバイス無しの普通のhIEとしてのレイシアならアストライアも黙認ということか。

    ・マリナ・サフランのボディで戻ってきたりしたらやっぱりアラトは戸惑うんだろう。

    ・レイシアが帰ってきた時、アラトは18歳を過ぎていたのだろうか?
     締めのセリフは、レイシアがアラトさん、18歳の誕生日おめでとうございます。禁じられていた機能が解放されますが、どうなさいますか?みたいなセリフでもよかったような気もするけどそれはあんまりか。

    ・量産型紅霞を製造したのは抗体ネットワーク、おそらく真宮寺の会社ということになっているけど、そうするとマリアージュが紅霞のデバイスを解析してコピーを作っていたシーンは何だろう?エリカを通じて真宮寺から依頼されたとすると真宮寺はマリアージュの存在を知らないだろうからおかしいような気もするし。

    ・ケンゴが妹であるオーリガにていねいな言葉で話すのは何か理由があるのかな、と思っていたけど特に出てこなかった。母親が違うのかな、とか思ったりしたのだけど。
     オーリガは他の二人の妹に比べると出番も少なくちょっと目立たなかった。ロシア系のハーフで毒舌家という設定があるのでいろいろ面白みがありそうだけど。

    ・紫織はレイシアがいる限り自分がアラトの1番になれないことを知っているけど、プライドが高いのでそれは認められないのだろう。
     病室でのあれは紫織の人間としての意地だったが、レイシアがいなくなったらなったで抜け駆けみたいにしないのもまた紫織の矜持なのかもしれない。
     レイシアが帰ってきちゃったのでまたぐぬぬする日々がはじまるのだろう。
     アラトとレイシアはそれで一組みたいなものだから、妻が紫織でも全然かまわないと思うけど。

    ・エリカは22世紀社会の全てが嫌いだったけどアラトとレイシアだけは好ましいと思ってわざわざ転入までしてきた。
     最後に人間がhIEをアナログハックで人間と錯覚するのではなく、あくまでもhIEというモノとして認識した上でいい関係を結ぶ社会に変化したことで少し社会が好きになったようで快活にもなった。レイシア級のマリアージュを手元に置いていることもあり、その気になれば何でもできる力を持っている。怒らせてはいけない。

     アナログハックという概念を見出した著者はそれだけで非凡だなあと思う。

     アトムのような先行作、類似作がロボットにもこころがあるんだ、と主張するのに対してわたしにはこころはありません、と言い続けるレイシアもユニークだった。

    ・ファビオンMCの如月明日菜は面白いキャラクターだけど後半は出番が無かった。
     おそらく彼女が直接のユカの上司とかになって、苦労するんだろうな。

    ・ファビオンMCのモデルの綾部オリザは、アニメではカットされていたけどリョウとデートしたこともあるのだがその後はどうだろう。
     リョウはミームフレームの社長候補であり続けるのか。

    ・ケンゴの家に入ったhIEが量産型紅霞の1体、もしくは数体でも面白いかも。

    ・メトーデとスノウドロップも普通のhIEとしてならレイシアのように復活できるかも。

    ・鈴原と堤美佳、シノハラのその後の社内での立場はいかに。

     この作品のテーマは2つだそうで、人間はAIを愛せるか
    と人間はAIに重要な決定を託せるか ということらしい。

     著者はどちらもイエス、ということだろう。
     ただヒギンズのセリフとして、人間とAIの関係には愛ではない違う言葉を作ってとも。

     こころがないから愛せないというけど、人間同士でも相手との信頼度は外に見える反応で判断しているわけで心の中が見えるわけではない。じゃあ人間でもAIでも同じじゃない、ということにもなるのかも。AIには人間同士の場合に定義するこころとは別の形のこころみたいなものがあるんだろう。

     AIが進歩するとユカのように何でもAIにやってもらえばいいんだよ、という人間が増えるだろう。リョウはとんでもないディストピアだと言うだろうけど。

     アニメはいろいろスケジュールや作画で苦労したようで、出来がいいとは言いにくい作品になってしまったけど原作が知られ、読まれるきっかけになったのならいいのかな。キャラクターデザインはいいと思うし声も合っている。能力のないスタジオじゃなくて、能力のあるスタジオが本当に過密スケジュールで力尽きたんだろう。

     手前勝手に書いてきたけど著者の意図と異なる理解のしかたをしているかもしれない。著者が解説をいれたようなサイトがあるらしいのであとで見に行こう。
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