「メトロポリス(2001年版)」
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「メトロポリス(2001年版)」

2019-09-16 19:00




     手塚治虫さんの初期の名作のひとつ、「メトロポリス」を手塚さんの死後にアニメ映画化した作品。当時予告ですごく期待して見に行ったんだけど、いまひとつ感動しなかった記憶がある。けど内容はほとんど覚えていなかった。
     DVDで久々に見直してみたんだけど、やっぱり感銘は受けなかった。映像や音楽はいいと思うけど、ストーリーがやっぱり私にはいまひとつ合わなかった。スタッフは一流と言われている人が揃っていて、脚本は大友克洋さん、監督はりんたろうさん。なんだけど。

     今見直してみると、原作に登場する人も含めて手塚キャラは初期の絵柄を再現してオールスターという印象で賑やかなんだけど、ほとんどがさしたる活躍もせずにあっさり殺されてしまうこと、原作のヒロインというか主人公は両性具有の人造人間ミッチィなんだけど登場せず、代わりに両性具有ではなく人造人間でもない、一部生体部品を使ったロボット・ティマが登場するんだけどさほど魅力的に感じない。原作のミッチィほどセリフが無いし、いまひとつ心のうちがよく伝わってこない。
     原作ではケンイチとは男の姿の時に知り合って同居するようになり、同じ学校に通うクラスメートとなって親友となる。ミッチィが女の姿になれることを知っても友情は変わらない。
     映画では最初から女の姿で通していてケンイチはちょっと好意を持ち、ティマも事実上はじめて会話をした人間であるケンイチに刷り込みのように好意みたいなものを持つのだけど一緒にいる時間も決して長いとはいえずはっきり恋愛感情と言えるほどの間柄でもない様子。
     ティマはほとんどどこかに閉じ込められているような場面が続いて、これだと経験値も上がらないだろうなという印象。
     原作では人間の奴隷として扱われているロボットがミッチィという指導者を得て反乱を起こすけど、映画では人間が上流階級と下層階級に分かれていて争っており、下層階級の人間は自分たちの職場を奪ったロボットを憎んでいるという図式で人間対ロボットという印象は薄れている。人間の下層階級の指導者役がアトムに登場するアトラスになっている(ただし人間)。ティマが作られた理由は全ての人間を支配するためのコントロール装置になるためで、それを人間の権力者であるレッド公が望んでいるのだが、彼の義理の息子ロックはそれをいまひとつよくわからない、父さんのために、という理由で父さんの邪魔をする。
     このロックはとにかくちょっとでも邪魔だと思ったものは父親の味方であってもバンバン射殺する感じであんまり賢く感じない。
     原作の舞台は大都会の中だけではなくてミッチィが船に乗って旅立ったり、レッド公の秘密基地の長靴島に行ったりと世界が広く感じるんだけど映画では大都会の中、ほとんど高層ビルと地下街だけが舞台でちょっと閉塞感がある。
     ミッチィもティマも最初のうちは自分は本当の人間と思っていて、自分が人造人間なりロボットなりと知ってしまうのだけど、そう知ったことが何故わたしみたいなものを作った!と人間への憎しみに繋がって反乱を起こし、それでも心のどこかで親を求めているミッチィに比べ、ティマはそう知った直後くらいに心を失ってしまって単なるコントロール装置になってしまうのであまり煩悶みたいなものもなく、ロックがビルを爆破したためあっけなく墜落死してしまうので悲劇的な盛り上がりみたいのも伝わってこなかった。
     人造人間のミッチィは太陽黒点の異常が収まると細胞が破壊されて死んでしまうのだが、ティマの方は墜落してバラバラになったものの組み立てなおすことができそうな気もする。

     なんかいろいろ惜しいなあ、という作品でした。

     原作漫画の方はこちら。原作通りに作るのはシャーロック・ホームズやガニマール警部なんかも登場するので今のご時勢ではちょっと難しそうだ。


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