「現実逃避してたらボロボロになった話(永田カビ著)」
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「現実逃避してたらボロボロになった話(永田カビ著)」

2019-11-08 19:00


    ・これまで3冊の単行本を出して、ベストセラーになったり賞を取ったり話題になったりしているのだけど、それが自分と自分の家庭のこと、両親が嫌がるような内容を赤裸々に描いたエッセイだったので親を悲しませた、二度とやるまいという罪悪感を持ち、二度とエッセイは描かない、フィクションを描く、と決めたのだが全くこれがまとまらないし編集者のOKも出ない。それで酒に逃げる。描けない。酒。描けない。酒・・・を繰り返してあっという間に急性膵炎というものになって入院。間もなく重症急性膵炎に昇格。ということで20日間近く入院し、退院したものの今後一生薬を飲み続けなければならず、アルコール飲料もダメ、脂肪肝も併発していて脂肪分もダメなのでチョコレートなども食べられない。自分の身体に不可逆的な変化が起きてしまったことにもショックを受ける。

     これまでもADHDなどで精神科には通っていたのだが、肉体面でも通院が続くことに。
     悶々とするうちに制限された食事の中にもおいしいと感じるものがあることを発見し、この喜びを伝えたい、みたいにエッセイマンガを描きたくなる。
     だが親を悲しませたくないし、そんな事書いて世間の反応もコワイ。嘲笑されるのでは、糾弾されるのでは、と恐ろしい。でも描きたい。

     そんな時に卯月妙子さんから応援していますみたいな連絡が昔編集者経由で入っていて、ラインもするようになって勇気が出る言葉をもらう。

     めでたしめでたしみたいに完結するんではなくて、そんな自分と世間とのもつれあいが今後もまだまだ続くんだけど今回はここまで、みたいな内容。

     点滴がやめられない状態で、どうしても別の病院に行かねばならないことになり、点滴パックは外しても針は腕に入れたままもろもろのパーツを腕に巻きつけて固定してタクシーで出かけるというリアルねじ式体験や、あまりにもおいしくないので病院で出されたごはん(おかゆ)をこっそり捨て続けた話、お腹の痛みの漫画家ならではの表現などいろいろ興味深い。

     創作で生きること、創作しかできない自分に自己肯定感を持つこと、そして作品を仕上げること、などがいかに苦しいことであるかが伝わって来る。結局酒が無いと創作できないみたいなで遠慮しながらも酒を飲むようにまたしてもなってしまう。

     無責任にもっとやれとも言えないのだけれど、自分がそれでオッケーであるならばまた作品を描いてほしい。酒もなるべく抑えて、元気で長生きしてください。
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