「白銀の墟 玄の月(小野不由美著)」①~④
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「白銀の墟 玄の月(小野不由美著)」①~④

2019-11-12 19:00



    ・長いこと新刊が出なくなって、長編としては18年ぶりの新作。短編集を含めても6年ぶり、と解説に書いてある。なんでそんなに空いちゃったの、なんて理由があとがきに書いてある、なんてことはない。
     11月29日までの期間限定だそうだけどこんなインタビューはあった。
    https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/author_comment/1.html

     もう読んだのはだいぶ前で、この作品の特殊な設定は特殊すぎるのである程度覚えているものの、登場人物はかなり忘れてしまった。本当は旧作を読み直してから読みたかったんだけどそれだとかなり時間がかかってしまうので準備運動なしにぶっつけ本番みたいに読んだ。
     最初の方はアニメにもなっているんだけど、私は未見。

     どの国か忘れちゃったけど、確か王様が行方不明になったまま尻切れトンボになっていたんだよなーくらいは覚えていたんだけど、この世界の一番右上に位置する「戴(たい)」という国の王様がそうだった。この作品には人間のほかに妖魔なんかも出てきて、空を飛ぶ翼を持つ四足の動物(騎獣と呼ばれる。騎獣にも虎みたいのとか犬みたいのとかいろいろある)もいて、麒麟という特別な生き物がいる。麒麟は1国に1匹しかいない。そして麒麟が天啓を受ける形で王を選び、補佐をする。王になる資格みたいなものはなくて、特に血筋とか身分とか財産とかは関係ない。麒麟が選べば王である。この世界で麒麟は常に正義で善であり、嘘もつかず血を嫌う。麒麟は獣の姿にもなれば、人の姿にもなる。通常たてがみは金色だがまれに黒いものもいる。戴の国の麒麟なら泰麒(たいき)、慶(けい)の国の麒麟なら景麒(けいき)、みたいに呼ばれる。麒麟が男の場合はそうで、女だったら泰麟(たいりん)、景麟(けいりん)みたいになる。王をはじめとする各国の王宮に住まう者は仙という不老不死みたいな存在になる者が多い。うまく統治すれば何百年でも国を治められるが、統治に失敗すると天によって王も麒麟もその座を追われて死を賜ることになる。すると新しい麒麟がまた生まれて、新たな王を選ぶことになる。天のルールと人の思う善悪とは必ずしも一致しない。名君が長く治める国もあれば、王がすぐに失脚を繰り返して落ち着かない国もある。

     国の配置は幾何学的で、まるでゲームの世界のような人工的な印象もあるけどそういうことは作品内では誰も気にしない。そういう世界だ、というだけ。人はある種の果物から生まれ、時にはこの世界に生まれるはずだったのが間違って蓬莱と呼ばれる別世界、人間の世界に生まれたり流れていってしまうものもいる。この作品の泰麒もそうである。慶という国の女王もそうで、雁(えん)という国は王も麒麟もそうだという。

     人名、地名、生き物の名前、職業や役職名など様々な固有名詞や用語にあまり見慣れない漢字が使われて読み方も特殊。そうしたものが独特の雰囲気をかもしだすのだけれど、すぐに読み方がわからなくなる。何度も振り仮名をつけてくれてはいるんだけど。この話のタイトルの墟だってはじめて見る。「おか」と読むらしい。玄は「くろ」と読ませている。

     よくこんな設定を作って、これまでさしたる矛盾なく書いてきたもんだなと思う。

     何度も舞台になる国もあれば、ほとんど書かれていない国もある。今回の舞台になる戴は、比較的何度も取り上げられている、おなじみといえばおなじみの国。

     出たばかりなのでネタバレっぽいことは書かないけど、1巻あたりは忘れ果てていることもあってちょっと読むのが苦しかった。いろいろと伏せられていることがあってどうも見通しがきかずいらいらもするんだけど、3巻の途中くらいからだいたい見えてきて加速がついてくる。登場人物一覧表みたいのは欲しかったかも。
     これまでよりも少し陰惨な印象もある。

     ちょっと既刊を取り出して読み直すことになりそう。

     公式サイトみたいな。
    https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/
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